重要なお知らせ
更新日:2011年1月28日
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森林には、わたしたち人間の心身を健康にする効果があります。
「森林浴」という言葉が、一般的に使用されるようになってきました。
とくに、都会に暮らす人々にとって、森林は非日常的な空間であり、そこに身を置くことで、心身のリフレッシュになることは想像するのに難しくはありません。
しかし、農山村地域に暮らす人々にとっても、森林浴は効果的なものです。
それは、農山村地域の人々も、気持は現代社会にほんろうされ、意外と森林が持つ奥深い雰囲気のようなものと、心が向き合ってはいないからです。
新たな感覚で森林に向き合うことで、日常的に触れ合っている森林が、異なった意味を持つようになるのです。
では、森林の中に入って、心静かに深呼吸をしたり、くつろいでみたり、ゆっくりと散歩してみましょう。
人の心身にどのようなことが起きるのでしょうか?
森林内でゆったりとくつろいだりすることで、ストレスの度合いを示す「唾液アミラーゼ」の量が減ることが報告されています。
様々な気分評価法で調べたところ、イライラしたり不安感があったりするような気分が改善されることが知られています。
適度な森林散策によって、高い血圧が正常値の範囲に近づくことがわかっています。
お酒を飲み過ぎると、血液の中のγ-GTPという物質が増えることは、良く知られていることです。
これは、アルコールによって肝臓に負担がかかっていることを示す値です。
ところが、ストレスによってもγ-GTPが増えるということが分かっています。
森林の中に身を置くことで、γ-GTPが減少することが報告されています。
年間、日本全国で約3万人もの人々が自ら命を絶っています(2008年現在)。
実に悲しいことですね。
世の中には、命を絶たないまでも、つらく苦しい思いをしている人々はたくさんいらっしゃることでしょう。
心の病によって自分を肯定する力が弱くなってしまったり、また幼い頃からの成長過程で自分を否定する癖がついてしまった方々もいらっしゃいます。
(自己否定感・・・「自分なんか社会のお荷物」「自分なんか社会にいないほうがいいのだ」というような感覚)
自己肯定感が低い人が森林環境で過ごした結果、自分本来の個性に気が付き、その自分を認める(肯定する)ようになる事例が報告されてきています。
その他、様々な効果が報告されています。
森林が人間の心身に与えるこれらの働きを「保健休養機能」と呼びます。
ストレス社会と呼ばれる現在、この働きはきわめて大きな意味を持っているといえるでしょう。
森林でくつろぎたいと思っても、そういった場がなければ、それはできません。
そういう場をつくっていくために、身近な里山の整備が非常に大切な意味を持つことになります。
また、森林内に棲(す)む生き物、とくに野鳥や草花、昆虫などに注目することは、
人々の心を癒すことにも、
人々と自然との距離を近づけ、自然の価値を人々が認識することにも役立ちます。
かつて、日本人は、身近な生き物たちを眺めるように観察をし、水墨画や詩などにその姿を描いてきました。
そのような感覚を現代の日本人が取り戻すことは、日本独自の文化を継承し、世界における日本の価値を高めることにつながることかもしれません。
身近な里山の整備には、生物多様性の保全に十分留意するのはもちろん、生物の姿と触れ合いやすい環境作りが大切だと言えるでしょう。
県では、そのような生活環境の整備に取り組んでいます。
木をふんだんに使った建物は、温度や湿度の変化を穏やかにし、物音や話し声などが反射しにくい音響的な特質があり、ストレスの少ない環境を与えてくれます。
しかし、防災上の理由や、コスト的な理由などで、壁面から天井まですべて木目に親しめるような建物は、なかなか造られにくいようです。
たとえば、腰板(壁の腰ぐらいまでの高さまで、木の板を張り付ける)の使用を積極的に取り入れれば、室内の生活環境はかなり良くなります。
住環境に、少しでも木材を多く取り入れるよう、心がけてみましょう。
お問い合わせ
県西環境森林事務所
〒321-1263 日光市瀬川51-9
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