重要なお知らせ
更新日:2011年1月28日
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山々に囲まれた緑の田園。 悠々と流れる美しい清流・・・
実に、のどかな風景ですね。
こういった清流が集まりながら、次第と大きな川となり、やがて海へと注ぎ込ます。
そして、その長い旅の過程で、河川の水は、水道や農業・工業用水として上下流の人々の命を支えています。
半面、時には、台風や集中豪雨などで、一時的に大量の雨が降ると、河川は洪水を氾濫などを起こし人々に災害を与えることもあります。
また、極端に長期的な雨不足が続くと、水不足が人々を苦しめることもあります。
しかし、たいていの場合、川の水は、降雨が続いても、日照りが続いても、安定した量で流れ続けてくれます。
それは、どうしてでしょう?
その答えは、川を取り囲む山々を覆う森林にあります。
それは、森林の力で山々の地下に浸みこみ溜められた雨水が、徐々に湧き出して川に流れ込んでくれているおかげです。
では、山々に森林がある場合と、なかった場合の違いを比べてみましょう。
下の写真(絵)の左側は、山々に森林がなかった場合。
右側は、山々に森林がある場合です。
それぞれの写真をクリックしてみてください。
【写真1:森林がまったくない禿山の場合】 【写真2:緑に覆われている森林の山の場合】
森林におおわれた山地では、山肌に降り落ちた雨水は、木々の枝葉や幹をつたいながら、ゆったりと地面にまで流れてゆきます。
地面に届いた雨水は、地表を流れていっても、木々の根や、落ち葉、多様な下層植物にさえぎられ、一気に流れてはいきません。
森林になっている斜面を一定量の雨水が流れていく速さを、草地や、草もない裸地と比べると、約1.5から4倍ほど時間がかかります。
さらに、森林地帯の地面は、長年落ち積もった落ち葉や枝が、昆虫や菌類・地中の微生物によって分解されて作られた柔らかい「土壌」に覆われています。
土壌は雨水を浸み込ませ、ゆっくりと土中や地下に誘導します。
地中に浸みてためられた雨水が、ふたたび地表に湧き出すまでに、ときに長い年月がかかることがわかっています。
そのように、森林には雨水を時間をかけて流す力があり、大雨による洪水や日照りによる干ばつを防ぐ機能があります。
この機能を、「洪水調節機能」と呼びます。
また、安定して水を供給してくれる水源としての機能を「水源涵養(かんよう)機能」と呼びます。
そのような機能があるため、森林は「緑のダム」と呼ばれるのです。
ただし、森林の下床に下層植物がなかったり、土壌生物の働きが悪く土壌に空隙(すきま)がなかったりすると、森林は「緑のダム」の機能を果たしません。
それどころか、土の浅いところにたまった水分も、木々に吸い上げられ、葉から蒸散してしまい、川などに流れる水が少なくなってしまいます。
そのような状況になってしまった森林は、「荒廃した森林」と呼ばれます。とくに、放置された人工林の多くがそのような状態になっている現状があります。
森林の「緑のダム」の機能が発揮されるためには、人の手による森林整備が欠かせません。
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