栃木県水環境保全計画

第2章 栃木県の水環境の現況

 

水質

(1)河川

 人の健康の保護に関する項目(健康項目)については、年により数地点で環境基準を超過することがあるものの、ほとんどの地点で環境基準*1を達成している。
 生活環境の保全に関する項目(生活環境項目)のうち、河川の有機性汚濁の指標であるBOD*2の県全体の環境基準達成率の経年変化をみると、年によって変動はあるものの、水質は改善傾向にある。このほかの項目では、全県では、大腸菌群数の達成率が低い。
 また、過去10年間の環境基準達成率をみると、那珂川水系の100%達成の地点が多い。

*1 人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準であり、環境施策に係る行政目標をいう。
*2 生物化学的酸素要求量(Biochemical Oxygen Demand):水中の有機性汚濁物質が微生物によって分解されるときに必要 
 な酸素の量で、この数値が大きいほど水質汚濁が進んでいる。
*3 水素イオン濃度:水中の水素イオン(H+)の濃度を表す。pHは0から14で7.0を中性とし、酸性の場合は7より小さく、アルカリ性では7より大きい。
*4 溶存酸素量(Dissolved Oxygen):水中に溶解している分子状酸素をいう。河川の上流では、ほぼ飽和に近い溶存酸素が含まれているが、生活排水や工場排水等により汚染されると、溶存酸素は消費される。
*5 浮遊物質量(Suspended Solids):水に溶けないでその中に浮遊している物質で、水の濁りの原因となる。
*6 大腸菌の存在は、水が人畜のし尿等で汚染されたものであり、その数は、汚染の程度を示す指標となる。

(2) 湖沼

 窒素、りん等の栄養塩類の湖沼への流入が増加し、植物プランクトン等が大量に繁殖することにより水質が悪化する富栄養化現象が、全国的に進行している。
 中禅寺湖は面積11.5ku、最大水深163m、湖水の滞留日数は約6年で、貧栄養湖*1に属している。過去5年間の状況を見ると、COD*2、全りんは環境基準を達成していない。

*1 栄養塩類が少なくプランクトンが少ない湖沼をいう。
*2 化学的酸素要求量(Chemical Oxygen Demand):水中の有機性汚濁物質が化学的に分解されるときに必要な酸素の量で、この数値が大きいほど水質汚濁が進んでいる。

 湯ノ湖は面積0.35ku、最大水深14.5mで、湖水の滞留日数は約30日で水深も浅く、富栄養化しやすい湖沼といえる。富栄養化対策として底泥のしゅんせつ、湯元下水処理場における高度処理*1施設の導入等の対策を行っている。近年では、全窒素、全りんはほぼ横ばいで推移している。

 渡良瀬貯水池(谷中湖)は、洪水調節・水道用水の安定供給等を目的に平成2年度より供用が開始され、面積4.5ku、平均水深5.9m、有効貯水量2,640万㎥である。水質の悪化を防止するため、現在各種の水質浄化対策が行われている。

*1 下水処理等において、沈殿処理(一次処理)や活性汚泥法等の生物処理(二次処理)より高度な水質が得られる処理のことで、三次処理とも呼ばれる。

(4) 生活排水処理の状況

 公共下水道、農業集落排水施設及び浄化槽等を合わせた汚水処理人口の普及率は、平成14年度末で63.2%と前年度末に比べ2.8%増加したものの、全国平均75.8%に比べ普及が遅れている。


>>拡大<<

 

表紙へ