栃木県水環境保全計画

第2章 栃木県の水環境の現況

 

地下水と地盤沈下

(1)地下水の流動

 本県では、北部の山間部などで降った雨が、扇状地の砂礫層を通して多量の地下水となり、長い年月をかけて平野中心部へと流動しているものと推察される。

(2)地下水水質

 平成14年度の県内133地点での地下水調査では、9地点で硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が環境基準を超過した。なお、昭和60年度から平成14年度までの調査では、延べ110地区においてトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等による地下水汚染が確認されているが、そのうち41地区の汚染が終息し、現在、69地区の監視を続けている。

(3)地盤沈下

 本県では、昭和50年に国が精密水準測量を実施した結果、昭和42年9月から50年1月までの7年4か月間で、野木町及び小山市の一部の水準点が最大で約14p沈下していることが初めて認められた。
 県南地域の平野部は、沖積層や洪積層*1が厚く、特に被圧帯水層*2に存在する地下水(いわゆる深層地下水)を過剰に揚水するとこれらの地盤が収縮し、特に渇水であった年(平成2年、4年、6年、8年)には、沈下量及び沈下面積ともに大きくなる傾向がみられる。平成9年からは、年間2p以上沈下した地域はみられないものの、依然として沈下は続いている。

*1 約180万〜1万年前に生成された地層を洪積層(こうせきそう)、約1万年前から現在に形成された地層を沖積層(ちゅうせきそう)と呼んでいる。一般に古い時代に形成された地盤ほど堅固である。
*2 帯水層とは、水で満たされた透水層のことで、その構造により、被圧帯水層と不圧帯水層に分類できる。被圧帯水層は、帯水層の上部下部とも不透水層に覆われ、地下水は圧力を持っている。被圧帯水層に存在する地下水を被圧地下水といい、被圧地下水は厚い粘土層の下の帯水層に存在するため、地下水のかん養が行われにくい。

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