栃木県水環境保全計画

第4章 水環境に関する施策

 

基本目標4

みんなが水環境づくりに参加する体制をつくる

1 水環境を学ぶ機会の充実

(1)環境学習の推進

課 題

  • 子どもたちが、水に親しむとともに、水の持つ様々な恵みを理解し、水を大切にする行動を実践するための教育環境の整備が求められている。

  • 小・中学校における環境学習やこどもエコクラブ等の活動を、大学や企業等を含めた地域的な広がりに発展させる方策が必要である。

  • 県民の水環境保全に関する意識は総じて高く、今後は、身近な河川の水質の状況や、農地・森林の水源かん養機能等についての情報、ふれあい活動の場を提供することにより、県民一人ひとりの実践活動を促進していく必要がある。

施策の内容

 1 水環境を考え、水とふれあう機会の確保

  • 自然に対する理解と関心を深めるため、自然観察会等の自然とのふれあい活動を推進する。

  • 河川愛護団体等の活動を通して、住民参加による河川の美化・清掃活動を促進するとともに、これらの活動を積極的に支援する。また、小・中学生を対象にした体験型の環境学習事業を実施する。

  • 水田、ため池、農業用用排水路などの身近な水辺環境フィールドを活用した体験活動を推進する。また、これらの施設の維持保全活動が継続的に取り組まれるよう、地域における多様な住民活動を支援する。

 2 学校における取組の促進

  • 水辺を活用した子どもたちの環境学習、自然体験活動を推進するために、学校教育関係機関等の策定する計画に対し、必要に応じて水辺の整備を実施し、活動の支援を図る。

  • 自然とのふれあいを推進するため、学校における自然観察会等の環境学習の機会に講師を紹介するなどの支援を行う。

 3 家庭や地域における取組の促進

  • 家庭でできる生活排水対策を推進するとともに環境家計簿等の普及啓発を図る。

  • 身近な水環境保全活動の周知や情報提供を通して、地域的な広がりを持った活動に発展させる。

  • とちぎ県政出前講座等を活用し、水環境保全についての理解と協力を求める。

 4 指導者の養成

  • 環境学習や地域住民活動に対する助言・指導に関わる指導者の資質の向上を図る。

  • 自然とのふれあいを推進するための指導者の人材の育成を計画的に進める。

 5 環境学習施設や学習プログラムの充実

  • 各環境学習施設との連携を図りながら、水環境の保全に関する学習機会の拡充を図る。

  •  「環境学習プログラム」の効果的な利活用の普及を図る。

  • 農村地域の水辺環境における体験学習の手引きを作成し、学校教育への活用を推進する。

(2)各種啓発活動の実施

課 題

  • 水に関する行事への参加機会を広く提供するなど、効果的な啓発活動を展開する必要がある。

施策の内容

  • 水の週間、河川愛護月間等の啓発運動月間等を通じて、作文や絵画の募集、広報、イベントの開催等を実施する等、水環境保全に関する意識の高揚を図る。

2 水環境の保全に関する体制の整備

(1)自主的な保全活動の促進

課 題

  • 水環境の保全に関して、県民、事業者、民間団体といったあらゆる主体が、それぞれの役割や責務を認識し、自主的かつ積極的な取組を実践していく必要がある。

  • 水環境保全活動に意欲や関心のある県民が多くなってきており、必要な情報や活動機会の提供が必要になっている。

施策の内容

 1 ボランティア活動の促進

  • 農業や農村の持つ多面的機能の維持を図るため、地域住民とボランティアが協力しあうパートナーシップ型のシステムを構築する。

  • 平地林や湿原等を保全するため、民間団体の活動を支援する。

  • 森林ボランティア活動への参加者を募集登録し、参加者と活動の受入側とをつなぐことによりボランティア活動の機会を創出する。

  • 市町村河川愛護会が実施する河川美化活動と併せ、地域住民等のボランティア団体が行うボランティアサポートプログラム*1を積極的に活用し、河川環境の保全を図る。

 2 活動を支えるしくみづくり

  • とちの環県民会議*2等を通して各活動団体の内容を把握し、保全活動の委託を検討している者へ情報を提供する。

  • ボランティア活動等を促進するため、指導者の登録、紹介、養成等を行う。

  • 持続的なボランティア活動が展開されるための支援のあり方(エコマネー*3等)について検討する。

(2)環境コミュニケーションの推進

課 題

  • 県民、事業者、民間団体、学識経験者等と互いに情報を交換、共有化し、それぞれの立場や利害を調整して解決策を模索するための体制が求められている。

  • 流域の環境管理に取り組むとともに、水源林や上流部の水環境・流域環境を中流・下流の住民等が共に支えあえるような参加の仕組みが必要である。

*1 「愛リバーとちぎ」事業では、軍手やごみ袋等の活動用具を提供し、活動の支援をしている。
*2 各主体のパートナーシップのもと、環境保全を図るための実践活動を推進するため、平成15年に設立された。
*3 エコマネーとは、ボランティア活動の対価として、商品やサービスの提供が受けられる地域通貨のこと。エコマネー
 (eco + money)の「eco」 は、ecology(環境)、economy(経済)、community(地域)に由来している。

施策の内容

 1 県民、事業者、民間団体等との連携

  • とちの環県民会議の活用により、県民、事業者、民間団体等との連携・協力を図り、効果的な環境保全活動を推進する。

  • 環境影響評価制度の適正な運用を図り、県民、事業者、学識経験者等が有益な情報を提供してよりよい環境配慮を実現していく。

  • 河川改修や土地改良事業等を実施する場合には、地域関係住民等の意見を聴取し、事業への反映に努める。

 2 流域自治体等との交流・連携

  • 水環境を保全するための流域全体の取組について、関係自治体等と交流・連携を図るとともに、協力・役割分担等のあり方を検討する。

(3)水環境に関する情報の共有

課 題

  • 県民や民間団体等の水環境保全活動を活性化し、効率的に行うとともに、地域の水環境を保全していくため、それぞれが有する多様な水環境関連情報の共有化が必要である。

施策の内容

 1 調査研究の推進

  • 環境汚染状況の実態調査、発生源に係る各種試験検査、環境汚染対策のための基礎的研究を実施する。

  • 環境との調和に配慮した農業生産基盤の整備を図るため、地域住民や学識経験者等の意見を踏まえ、水質や生態系等の調査を行う。また、環境への影響や環境保全対策の効果についてのモニタリング調査を実施する。

  • 農業水利施設や周辺農用地等の維持保全を図るための地域住民活動等の先進事例の調査、研究を行う。

  • 県版レッドデータブックの作成、頒布により情報の共有化を図るとともに、定期的な改訂版作成へ向けて継続調査を行う。

  • 河川整備に伴い、必要に応じて水辺環境等の調査を行い、整備に反映させる。

 2 情報の収集、公表

  • 県が実施している河川、湖沼、地下水等の監視結果等の水に関する情報を公表する。

  • 環境白書を通して、県の施策の実施状況を広く公表する。

  • 水に関する様々な情報の収集に努め、関係機関と連携してインターネット等を通じて提供する。

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