○栃木県暴走族等の根絶の促進に関する条例
平成14年12月27日
栃木県条例第63号
栃木県暴走族等の根絶の促進に関する条例をここに公布する。
栃木県暴走族等の根絶の促進に関する条例
(目的)
第1条 この条例は、暴走族等の根絶の促進に関し、県、県民、保護者等の責務を明らかにし、暴走族等の根絶の促進に関する県の施策の基本となる事項を定めるとともに、暴走行為をあおる行為等を規制することにより、県民生活の安全と平穏に寄与することを目的とする。
(1) 自動車等 道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「法」という。)第2条第1項第9号に規定する自動車及び同項第10号に規定する原動機付自転車をいう。
(2) 道路 法第2条第1項第1号に規定する道路をいう。
(3) 少年 20歳に満たない者をいう。
(4) 保護者 少年法(昭和23年法律第168号)第2条第2項に規定する保護者をいう。
(5) 暴走行為 次に掲げる行為をいう。
ア 法第68条の規定に違反する行為
イ 道路において2台以上の自動車等を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、法第7条、第17条第1項若しくは第4項、第22条第1項、第25条の2、第26条の2又は第30条の規定に連続して又は繰り返して違反する行為
ウ 道路において、正当な理由がないのに、自動車等を滑走させ、又は著しく傾斜させて走行する行為で著しく交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすもの
エ 法第71条第5号の3の規定に違反し、かつ、法第71条の2の規定に違反する行為
オ 道路、公園、駐車場、空き地その他の場所において、自動車等を急に発進させ、若しくはその速度を急激に増加させ、又は自動車等を急に転回させて走行し、若しくは自動車等の原動機の動力を車輪に伝達させないで原動機の回転数を増加させる行為で著しく交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすもの
(6) 暴走族 暴走行為を行うことを目的として結成された集団をいう。
(7) 暴走族等 暴走族、暴走行為を行う者及び暴走行為に係る自動車等に同乗する者をいう。
(県の責務)
第3条 県は、この条例の目的を達成するため、暴走族等の根絶の促進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
(県民の責務)
第4条 県民は、県が実施する暴走族等の根絶の促進に関する施策に協力するよう努めるとともに、暴走行為が行われていること又は暴走行為に使用され、若しくはそのおそれがある自動車等が隠匿され、若しくは保管されていることを知ったときは、速やかに、その旨を警察官に通報するよう努めるものとする。
(保護者の責務)
第5条 保護者は、その監護に係る少年が暴走族に加入し、暴走行為を行い、暴走行為に係る自動車等に同乗し、又は暴走行為を見物に行くことがないよう監督するとともに、暴走行為に使用され、又はそのおそれがある自動車等を保有させ、使用させ、又は保管させないよう努め、併せて、その監護に係る少年が暴走族に加入していることを知ったときは、当該暴走族から離脱させるよう努めなければならない。
(学校等の関係者の責務)
第6条 学校、職場、地域等において少年の育成に携わる者(以下「学校等の関係者」という。)は、その職務又は活動を通じ、少年が暴走族に加入し、暴走行為を行い、暴走行為に係る自動車等に同乗し、又は暴走行為を見物に行くことがないよう指導に努めるとともに、少年が暴走族に加入していることを知ったときは、当該暴走族から離脱させるよう指導に努めるものとする。
(事業者の責務)
第7条 自動車等若しくはその部品の販売又は自動車等の修理を業とする者は、県が実施する暴走族等の根絶の促進に関する施策に協力するよう努めるとともに、その事業活動において、暴走行為を助長するおそれがある自動車等の部品の販売若しくは取付けをし、又は暴走行為を助長するおそれがあるような改造をしないよう努めるものとする。
2 自動車等の燃料の販売を業とする者は、県が実施する暴走族等の根絶の促進に関する施策に協力するよう努めるとともに、その事業活動において、法第62条又は第71条の2の規定に違反することが外観上明らかである自動車等その他の暴走行為を行うおそれがある自動車等の運転者等に対し、自動車等の燃料の販売をしないよう努めるものとする。
3 衣服、はちまき、旗等(以下「衣服等」という。)に刺しゅう又は印刷(以下「刺しゅう等」という。)をすることを業とする者は、県が実施する暴走族等の根絶の促進に関する施策に協力するよう努めるとともに、その事業活動において、衣服等に暴走族の名称その他の暴走族等に関する表示の刺しゅう等をしないよう努めるものとする。
(公園等の管理者の責務)
第8条 公園、駐車場、空き地その他の場所で、暴走族等が暴走行為を行うために集合し、若しくは集合するおそれがあるもの又は暴走族、暴走行為若しくは暴走行為に対する警察の取締りを見物する目的で多数の者が集合するおそれがあるもの(以下「公園等」という。)の管理者は、これらの者の集合を禁ずる旨の掲示その他これらの者を集合させないための措置を講ずるよう努めるものとする。
(道路管理者の責務)
第9条 道路を設置し、又は管理する者(以下「道路管理者」という。)は、暴走行為が行われ、又はそのおそれがある道路について、暴走行為を防止するための措置を講ずるよう努めるものとする。
(基本方針の策定等)
第10条 知事は、暴走族等の根絶の促進に関する施策を総合的に推進するため、暴走族等の根絶の促進に関する基本方針(以下この条において「基本方針」という。)を策定するものとする。
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 暴走族等の根絶の促進に関する県民の意識の高揚に関する事項
(2) 暴走行為の防止に関する事項
(3) 暴走族への加入の防止に関する事項
(4) 暴走族からの離脱の促進に関する事項
(5) 前各号に掲げるもののほか、暴走族等の根絶の促進に関する施策を総合的に推進するために必要な事項
3 知事は、基本方針を策定し、又は変更したときは、これを公表するものとする。
(関係者の意見の反映)
第11条 県は、暴走族等の根絶の促進に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、保護者、学校等の関係者、事業者、公園等の管理者、道路管理者その他の関係者(以下「関係者」という。)から意見を聴き、又は関係者と協議する機会を設け、その意見を当該施策に反映させるよう努めるものとする。
(関係者への支援と協力の要請)
第12条 県は、暴走族等の根絶の促進に関する施策を効果的に実施していくため、関係者に対し、情報の提供、助言その他の支援を行うとともに、必要な協力を求めることができる。
(保護者への支援)
第13条 警察本部長は、少年の暴走族からの離脱等に関し、その保護者を支援するため、相談業務の実施、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
(警察署長からの要請等)
第14条 警察署長は、暴走族に加入していると認められる少年を発見したときは、その保護者に対し、当該少年を当該暴走族から離脱させることを要請するとともに、必要な助言を行うことができる。
(市町村等との連携等)
第15条 県は、暴走族等の根絶の促進に関する施策を実施するに当たっては、市町村、他の都道府県及び国と密接な連携を図るとともに、市町村が暴走族等の根絶の促進に関する施策を策定し、又は実施する場合においては、その施策が円滑に策定され、又は実施されるよう、情報の提供、助言その他必要な協力を行うよう努めるものとする。
(暴走行為をあおる行為等の禁止)
第16条 多数の者が、暴走行為を行っている者又は暴走行為に対する警察の取締りを見物する目的で道路、駅又は公園等に集合した場合において、当該目的で当該道路、駅又は公園等に集合した者は、次に掲げる行為を行ってはならない。
(1) 現に暴走行為を行っている者に対し、声援、拍手、手振り若しくは身振りをし、又は旗、鉄パイプその他これらに類するものを振ることにより、暴走行為をあおること。
(2) 顔の全部若しくは一部をその者を特定できない程度に覆い隠し、又は暴走族の名称その他の暴走族等に関する表示の刺しゅう等をした衣服等を当該刺しゅう等が見えるように着用し、若しくは使用して、威勢を示すような姿で群がり、又は通行すること。
(暴走行為助長禁止重点区域)
第17条 公安委員会は、暴走行為及び暴走行為をあおる行為等から県民生活の安全と平穏を確保するため必要があると認める区域を暴走行為助長禁止重点区域(以下「重点区域」という。)として指定することができる。
2 公安委員会は、前項の規定により重点区域を指定するときは、あらかじめ関係市町村長の意見を聴かなければならない。
3 公安委員会は、第1項の規定により重点区域を指定するときは、その旨及びその区域を告示しなければならない。
4 前2項の規定は、重点区域の変更及び指定の解除について準用する。
附則
この条例は、平成15年4月1日から施行する。