○栃木県中小企業・小規模企業の振興に関する条例

平成27年12月24日

栃木県条例第50号

栃木県中小企業・小規模企業の振興に関する条例をここに公布する。

栃木県中小企業・小規模企業の振興に関する条例

目次

前文

第1章 総則(第1条―第12条)

第2章 中小企業・小規模企業の振興に関する指針(第13条)

第3章 中小企業・小規模企業の振興に関する基本的施策(第14条―第23条)

附則

栃木県は、首都圏北部に位置する地理的優位性や交通の高い利便性を有するとともに、産業活動の基盤となる土地や水資源にも恵まれ、ものづくり産業をはじめ多彩な産業が成長し、経済発展を遂げてきた。

そのような経済発展の中で、中小企業は多様な事業活動を通じて本県経済の成長を支える役割を果たし、その多くを占める小規模企業は地域の雇用を支える等地域社会の担い手として重要な役割を果たしてきた。

しかしながら、人口の減少及び少子高齢化に伴う内需の縮小や経済活動の国際化の進展等に伴う急激な環境の変化により、中小企業は厳しい経営環境に置かれており、経営資源の確保が困難な小規模企業は特に厳しい経営環境に直面している。

このような状況に鑑み、本県の経済及び社会が今後も発展していくためには、今、改めて中小企業の果たす役割とその重要性についての認識を共有し、中小企業の成長発展と小規模企業の事業の持続的な発展に向けて取り組んでいくことが必要である。

ここに、私たちは、中小企業・小規模企業の振興について県を挙げて推進することを決意し、そのよりどころとするため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、中小企業・小規模企業の振興に関し、基本理念を定め、及び県の責務等を明らかにするとともに、中小企業・小規模企業の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を総合的に推進し、もって本県経済の健全な発展及び県民生活の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業・小規模企業の振興 中小企業の多様で活力ある成長発展及び小規模企業の事業の持続的な発展を図ることをいう。

(2) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項に規定する中小企業者であって、県内に事務所又は事業所(以下「事務所等」という。)を有するものをいう。

(3) 小規模企業者 中小企業基本法第2条第5項に規定する小規模企業者であって、県内に事務所等を有するものをいう。

(4) 中小企業支援団体 商工会議所、商工会、商工会連合会、中小企業団体中央会、指定法人(中小企業支援法(昭和38年法律第147号)第7条第1項に規定する指定法人をいう。)その他の中小企業の支援を目的とする団体であって、県内に事務所等を有するものをいう。

(5) 金融機関等 銀行、信用金庫、信用協同組合その他の金融機関及び信用保証協会であって、県内に事務所等を有するものをいう。

(6) 大企業者 中小企業者以外の事業者(金融機関を除く。)であって、県内に事務所等を有するものをいう。

(7) 教育機関等 大学、高等専門学校、高等学校その他の教育機関、公共職業能力開発施設及び研究機関であって、県内に所在するものをいう。

(基本理念)

第3条 中小企業・小規模企業の振興は、中小企業者による経営の改善及び向上を図るための自主的な努力が促進されることを旨として推進されなければならない。

2 中小企業・小規模企業の振興は、中小企業者が供給する原材料、製品及び役務の利用が地域の経済循環を創出し、中小企業の発展に資することに鑑み、その積極的な利用が図られるよう推進されなければならない。

3 中小企業・小規模企業の振興は、中小企業者が多様な事業の分野における特色ある事業活動を通じて、地域経済の活性化を促進し、就業の機会を増大させる等地域社会の発展及び地域住民の生活の向上に貢献する重要な存在であるという認識の下に推進されなければならない。

4 中小企業・小規模企業の振興は、県、市町村、中小企業者、中小企業支援団体、金融機関等、大企業者、教育機関等及び県民が相互に連携を図りながら協力することにより推進されなければならない。

5 中小企業・小規模企業の振興は、豊富な人材、集積された多様な技術、優れた産業基盤、豊かな自然その他の地域資源(以下「地域資源」という。)の持続的な活用が図られるよう推進されなければならない。

6 特に小規模企業の事業の持続的な発展については、小規模企業者の経営資源の活用が図られるとともに、小規模企業者が多様な主体と連携し、及び協働することにより推進されなければならない。

(県の責務)

第4条 県は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2 県は、工事の発注、物品及び役務の調達等に当たっては、予算の適正な執行に留意しつつ、中小企業者の受注の機会の増大に努めるものとする。

(中小企業者の努力)

第5条 中小企業者は、基本理念にのっとり、経済社会情勢の変化に対応してその事業の発展を図るため、自主的にその経営の改善及び向上に努めるものとする。

2 中小企業者は、地域における雇用機会の創出並びに従業員の労働環境の整備及び福祉の向上に努めるとともに、その事業活動を通じて地域の振興に寄与するよう努めるものとする。

(中小企業支援団体の役割)

第6条 中小企業支援団体は、基本理念にのっとり、中小企業・小規模企業の振興に主体的に取り組むとともに、県が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

2 中小企業支援団体は、中小企業者の多様な需要に対応するため、当該中小企業支援団体の職員の業務遂行能力の向上に努めるものとする。

(金融機関等の役割)

第7条 金融機関等は、基本理念にのっとり、中小企業者の円滑な資金調達並びに経営の改善及び向上に協力するよう努めるものとする。

(大企業者の役割)

第8条 大企業者は、基本理念にのっとり、その事業活動並びに地域の経済及び社会における中小企業の重要性について理解を深め、中小企業の発展に貢献するよう努めるものとする。

(教育機関等の役割)

第9条 教育機関等は、基本理念にのっとり、教育又は職業訓練を通じて勤労及び職業に対する意識の啓発を行うよう努めるとともに、職業に関する教育又は職業訓練を行う場合にあっては、実践的で充実した教育又は職業訓練を行うよう努めるものとする。

2 大学及び高等専門学校並びに研究機関は、中小企業・小規模企業の振興に資する人材の育成に努めるとともに、中小企業者との共同研究、中小企業者の技術の向上を図るための支援、研究成果の中小企業者への移転その他必要な協力を行うよう努めるものとする。

(県民の役割)

第10条 県民は、基本理念にのっとり、中小企業・小規模企業の振興が地域経済の活性化、地域における雇用機会の創出等地域住民の生活の向上に寄与することについて理解を深めるとともに、中小企業者が供給する製品及び役務の利用を通じて中小企業の発展に協力するよう努めるものとする。

(県と市町村との協力)

第11条 県及び市町村は、それぞれが実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策が円滑かつ効果的に推進されるよう、相互に連携を図りながら協力するものとする。

(財政上の措置)

第12条 県は、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を総合的に策定し、及び実施するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

第2章 中小企業・小規模企業の振興に関する指針

第13条 知事は、中小企業・小規模企業の振興に関する指針(以下「指針」という。)を定めなければならない。

2 指針には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 中小企業・小規模企業の振興に関する基本的方向

(2) 中小企業・小規模企業の振興に関する施策に関する事項

(3) 前2号に掲げるもののほか、中小企業・小規模企業の振興に関し必要な事項

3 知事は、指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

4 前項の規定は、指針の変更について準用する。

第3章 中小企業・小規模企業の振興に関する基本的施策

(創業の促進等)

第14条 県は、創業の促進並びに中小企業者による経営の改善及び向上の促進並びに事業の承継の円滑化を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

(新たな技術等の開発の促進)

第15条 県は、中小企業者による新たな技術、製品及び役務の開発の促進を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

(販路開拓の促進)

第16条 県は、中小企業者による販路の開拓の促進を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

(地域資源の活用の促進)

第17条 県は、中小企業者による地域資源を活用した事業活動の促進を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

(海外への事業展開の促進)

第18条 県は、中小企業者による海外への事業の展開の促進を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

(人材の育成及び確保)

第19条 県は、中小企業者の事業活動を担う人材の育成及び確保を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

(資金の円滑な供給)

第20条 県は、中小企業者の事業活動に必要な資金が円滑に供給されるよう、必要な施策を講ずるものとする。

(産学官金連携)

第21条 県は、産学官金連携(中小企業者、中小企業支援団体、教育機関等、県、市町村及び金融機関等が相互に連携を図りながら協力することをいう。)による研究成果の移転及び事業化の促進を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

(災害時等における事業継続)

第22条 県は、災害が発生した場合等における中小企業者の事業の継続が円滑に行われるよう、必要な施策を講ずるものとする。

(小規模企業者への配慮)

第23条 県は、小規模企業者の経営に関する相談、指導、研修等に係る体制を整備するとともに、小規模企業者の事業活動に必要な経営資源の確保を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

2 県は、商工会議所、商工会等が実施する小規模企業者への経営に関する助言、指導その他課題の解決に向けた取組に対し、必要な施策を講ずるものとする。

この条例は、公布の日から施行する。

栃木県中小企業・小規模企業の振興に関する条例

平成27年12月24日 条例第50号

(平成27年12月24日施行)