○とちぎの子ども・子育て支援条例

平成30年12月18日

栃木県条例第39号

とちぎの子ども・子育て支援条例をここに公布する。

とちぎの子ども・子育て支援条例

目次

前文

第1章 総則(第1条―第9条)

第2章 基本計画(第10条)

第3章 とちぎの子ども育成憲章(第11条)

第4章 子ども・子育て支援に関する基本的施策(第12条―第21条)

附則

子どもは、1人1人がかけがえのない存在であり、次代を担う社会の宝である。子どもが健やかに生まれ、育ち、豊かな人生を送ることができる地域社会の実現は、全ての県民の願いである。

しかしながら、近年、未婚化や晩婚化などにより急速に少子化が進行するとともに、核家族化や地域社会における人間関係の希薄化などを背景として、家庭や地域の子どもを育てる力の低下、子育て家庭の孤立化、児童虐待の増加などの様々な問題が生じている。

こうした状況の中、県民が安心して子どもを生み、育てることができ、かつ、子どもが健やかに成長することができる地域社会の実現を図るためには、県民1人1人が子ども・子育て支援に関する理解を深め、関係者の相互の連携の下、結婚、妊娠、出産及び子育ての各段階に応じて切れ目なく支援する取組を一層進めていく必要がある。

ここに、私たちは、子ども・子育て支援について県を挙げて取り組むことを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、子ども・子育て支援に関し、基本理念を定め、及び県の責務等を明らかにするとともに、子ども・子育て支援に関する施策の基本となる事項を定めることにより、子ども・子育て支援に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって県民が安心して子どもを生み、育てることができ、かつ、子どもが健やかに成長することができる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 子ども おおむね18歳未満の者をいう。

(2) 保護者 親権を行う者、未成年後見人その他の者で、子どもを現に監護する者をいう。

(3) 子ども・子育て支援 県民が安心して子どもを生み、育てることができ、かつ、子どもが健やかに成長することができる地域社会の実現に向けた全ての取組をいう。

(4) 子ども・子育て支援機関等 子ども・子育て支援を行う機関及び団体をいう。

(基本理念)

第3条 子ども・子育て支援は、次に掲げる事項を基本理念として推進されなければならない。

(1) 子どもの権利を保障し、その最善の利益を考慮すること。

(2) 結婚、妊娠、出産及び子育ての各段階に応じて切れ目なく支援を行うこと。

(3) 県、市町村、保護者、子ども・子育て支援機関等、事業者及び県民の相互の連携及び協力の下に社会全体で取り組むこと。

(4) 結婚、出産及び子育てに関する個人の価値観が尊重されるよう配慮すること。

(県の責務)

第4条 県は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、子ども・子育て支援に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

(県と市町村との協力)

第5条 県及び市町村は、それぞれが実施する子ども・子育て支援に関する施策が円滑かつ効果的に推進されるよう、相互に連携を図りながら協力するものとする。

(保護者の責務)

第6条 保護者は、基本理念にのっとり、子育てについての第一義的責任を有することを認識し、深い愛情をもって子どもを健やかに育てるものとする。

(子ども・子育て支援機関等の責務)

第7条 子ども・子育て支援機関等は、基本理念にのっとり、子ども・子育て支援を積極的に推進するとともに、県及び市町村が実施する子ども・子育て支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第8条 事業者は、基本理念にのっとり、当該事業所において雇用する労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるよう雇用環境の整備に努めるとともに、県及び市町村が実施する子ども・子育て支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(県民の責務)

第9条 県民は、基本理念にのっとり、子ども・子育て支援についての理解と関心を深めるとともに、県及び市町村が実施する子ども・子育て支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

第2章 基本計画

第10条 知事は、子ども・子育て支援に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、子ども・子育て支援に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めるものとする。

2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 子ども・子育て支援に関する基本的方向

(2) 子ども・子育て支援に関する施策に関する事項

(3) 前2号に掲げるもののほか、子ども・子育て支援に関し必要な事項

3 知事は、基本計画を定めようとするときは、あらかじめ、栃木県子ども・子育て審議会の意見を聴かなければならない。

4 知事は、基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。

第3章 とちぎの子ども育成憲章

第11条 知事は、子どもの健やかな成長を促進するための県民の行動の指針として、とちぎの子ども育成憲章(以下「育成憲章」という。)を定めるものとする。

2 知事は、育成憲章を定めようとするときは、あらかじめ、栃木県子ども・子育て審議会の意見を聴かなければならない。

3 知事は、育成憲章を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

4 前2項の規定は、育成憲章の変更について準用する。

第4章 子ども・子育て支援に関する基本的施策

(子ども・子育て支援に取り組む気運の醸成)

第12条 県は、子ども・子育て支援について県民の理解を深めるとともに、社会全体で子ども・子育て支援に取り組む気運の醸成を図るため、子ども・子育て支援に関する情報の提供、子ども・子育て支援の推進に寄与した者の表彰その他必要な施策を講ずるものとする。

(結婚の支援等)

第13条 県は、市町村等と連携し、結婚を望む者が結婚することができるよう、結婚の支援に関する情報の提供その他必要な施策を講ずるものとする。

2 県は、結婚を望む者が経済的に自立し、家庭を持つことができるよう、就業に関する相談、職業能力の開発の機会の提供その他必要な施策を講ずるものとする。

(母子保健医療体制の充実等)

第14条 県は、母子保健医療体制の充実を図るため、市町村が実施する妊産婦及び乳幼児に対する健康診査、妊産婦に対する保健指導等の母子保健サービスの提供に対する支援を行うとともに、周産期医療、小児医療等を提供する体制の整備の促進その他必要な施策を講ずるものとする。

2 県は、不妊治療を望む者に対し良質かつ適切な保健医療サービスが提供されるよう、不妊治療に係る情報の提供、相談支援その他必要な施策を講ずるものとする。

(地域における子育て等の支援)

第15条 県は、地域における子ども及び保護者に対する支援に係る多様な需要に対応するため、保育サービスに係る情報の提供、保育サービスの提供に対する支援その他必要な施策を講ずるものとする。

2 県は、良質な保育サービス等の提供を確保するため、地域における子ども及び保護者に対する支援に携わる人材の育成その他必要な施策を講ずるものとする。

(教育環境等の整備)

第16条 県は、子どもが将来自立して社会生活を営み、家庭を持ち、及び子どもを生み、健やかに育てることができるよう、子育ての意義及び家庭が果たす役割について学ぶ機会の提供、食育の推進その他必要な施策を講ずるものとする。

2 県は、子どもの健やかな成長を支援するため、地域において学習活動、文化芸術活動、スポーツ活動、自然体験活動及び社会体験活動に参加することができる環境の整備の促進その他必要な施策を講ずるものとする。

(生活環境の整備)

第17条 県は、子ども、保護者及び妊産婦が安全に安心して生活することができるよう、交通安全対策の推進、良好な居住環境及び地域環境の整備の促進その他必要な施策を講ずるものとする。

(職業生活と家庭生活との両立支援)

第18条 県は、保護者が職業生活と家庭生活との両立を図ることができるよう、育児休業制度の普及その他必要な施策を講ずるものとする。

(困難を有する子ども等及び家庭への支援)

第19条 県は、経済的な困窮、虐待等の困難を有する子ども及び障害児(児童福祉法(昭和22年法律第164号)第4条第2項に規定する障害児をいう。)の福祉の充実及び自立の推進を図るとともに、その家庭に対する適切な支援を行うため、相談体制の充実強化その他必要な施策を講ずるものとする。

(家庭の日)

第20条 県は、子育てにおいて家庭が果たす役割の重要性について県民の理解を深める日として、家庭の日を定める。

2 家庭の日は、毎月第3日曜日とする。

3 家庭の日には、県の設置した公の施設の使用料及び利用料金(以下「使用料等」という。)で知事が規則で定めるものについては、当該使用料等に係る条例の規定にかかわらず、これを免除するものとする。

(財政上の措置)

第21条 県は、子ども・子育て支援に関する施策を総合的に策定し、及び実施するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(施行期日)

第1条 この条例は、平成31年1月1日から施行する。

(経過措置)

第2条 この条例の施行の際現に母子及び父子並びに寡婦福祉法(昭和39年法律第129号)第12条、次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)第9条第1項から第4項まで、子ども・若者育成支援推進法(平成21年法律第71号)第9条第1項、子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)第62条第1項から第5項まで及び子どもの貧困対策の推進に関する法律(平成25年法律第64号)第9条第1項の規定により定められている県の計画は、第10条第1項から第3項までの規定により定められた基本計画とみなす。

第3条 この条例の施行の際現に定められている子どもの育成に関する県の憲章であって、子どもの健やかな成長を促進するための県民の行動の指針を定めたものは、第11条第1項及び第2項の規定により定められた育成憲章とみなす。

(栃木県青少年健全育成条例の一部改正)

第4条 栃木県青少年健全育成条例(平成18年栃木県条例第41号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

とちぎの子ども・子育て支援条例

平成30年12月18日 条例第39号

(平成31年1月1日施行)