○栃木県プラスチック資源循環推進条例

令和2年3月10日

栃木県条例第2号

栃木県プラスチック資源循環推進条例をここに公布する。

栃木県プラスチック資源循環推進条例

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 プラスチック資源循環の推進に関する基本的な指針(第7条)

第3章 プラスチック資源循環の推進に関する基本的施策(第8条―第15条)

附則

プラスチックは、我々の生活に利便性と恩恵をもたらした。さらに、機能の高度化を通じ、食品等の長期の品質保持を可能として食品ロスの削減に寄与するとともに、軽量化によって運搬時のエネルギー効率の改善等を促進し、社会的課題の解決に貢献してきた。

他方、今、資源の大量消費が気候変動などを地球規模で引き起こしている。とりわけ、プラスチックに関しては、いわゆるマイクロプラスチックなどの海洋ごみが生態系に大きな影響を与えるリスクが懸念されており、早急かつ実効性のある対策が求められている。

今こそ使い捨て型の大量消費社会から循環型社会への大胆な移行が必要であり、プラスチックの持つ高度な機能を尊重しつつ、プラスチックとの上手な付き合い方を探求し、持続可能な社会の実現に向けた新たな1歩を踏み出していかなければならない。

栃木県は、山・川・里・湖など豊かな自然にあふれ、美しく清らかな環境を有する。無駄に使われる資源を徹底的に減らし、将来にわたり「ふるさと栃木」の豊かな自然と清らかな環境を引き継いでいくことは、我々の使命であり、責任である。

ここに、プラスチックが資源として適正に循環する体制を築き、持続可能な循環型社会を実現することを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、栃木県環境基本条例(平成8年栃木県条例第2号)第3条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、プラスチック資源循環の推進に関し、県の責務等を明らかにするとともに、プラスチック資源循環の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、プラスチック資源循環の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって循環型社会の形成並びに県民の健康の保持及び増進に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 循環型社会 循環型社会形成推進基本法(平成12年法律第110号。以下「循環基本法」という。)第2条第1項に規定する循環型社会をいう。

(2) 循環資源 循環基本法第2条第3項に規定する循環資源をいう。

(3) 循環的な利用 循環基本法第2条第4項に規定する循環的な利用をいう。

(4) 廃プラスチック類等 次に掲げる物をいう。

 廃プラスチック類

 1度使用され、若しくは使用されずに収集され、若しくは廃棄されたプラスチック製の物品(現に使用されているものを除く。)又は製品の製造、加工、修理若しくは販売その他の人の活動に伴い副次的に得られたプラスチック製の物品(に掲げる物を除く。)

(5) プラスチック資源 循環プラスチック製の製品、容器等(以下「プラスチック製品等」という。)が廃プラスチック類等となることを抑制し、並びにプラスチック製品等が循環資源となった場合においてはこれについて適正に循環的な利用を行い、及び循環的な利用が行われない廃プラスチック類等については適正に処分することをいう。

(県の責務)

第3条 県は、基本理念にのっとり、プラスチック資源循環の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

(事業者の責務)

第4条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに際しては、プラスチック製品等の原材料等がその事業活動において廃プラスチック類等となることを抑制するために必要な措置を講ずるとともに、当該原材料等がその事業活動において循環資源となった場合には、これについて自ら適正に循環的な利用を行い、若しくはこれについて適正に循環的な利用が行われるために必要な措置を講じ、又は循環的な利用が行われない当該循環資源について自らの責任において適正に処分する責務を有する。

2 プラスチック製品等の製造、販売等を行う事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに際しては、当該プラスチック製品等の耐久性の向上その他の当該プラスチック製品等が廃プラスチック類等となることを抑制するために必要な措置を講ずるとともに、当該プラスチック製品等の設計の工夫及び材質又は成分の表示その他の当該プラスチック製品等が循環資源となったものについて適正に循環的な利用が行われることを促進し、及びその適正な処分が困難とならないようにするために必要な措置を講ずる責務を有する。

(県民の責務)

第5条 県民は、基本理念にのっとり、プラスチック製品等に関し、なるべく長期間使用すること、再生品を使用すること、循環資源が分別して回収されることに協力すること等により、プラスチック製品等が廃プラスチック類等となることを抑制し、プラスチック製品等が循環資源となったものについて適正に循環的な利用が行われることを促進するよう努めるものとする。

2 前項に定めるもののほか、県民は、基本理念にのっとり、プラスチック資源循環の推進に自ら努めるとともに、県が実施するプラスチック資源循環の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(市町村との連携等)

第6条 県は、市町村と連携及び協力を図り、プラスチック資源循環の推進に関する施策を確実かつ効果的に実施するよう努めるとともに、市町村において、当該地域の実情に応じたプラスチック資源循環の推進に関する施策が円滑に実施されるよう、助言、情報の提供その他の措置を講ずるものとする。

第2章 プラスチック資源循環の推進に関する基本的な指針

第7条 知事は、プラスチック資源循環の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、プラスチック資源循環の推進に関する基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めるものとする。

2 基本指針は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) プラスチック資源循環の推進に関する基本的事項

(2) 前号に掲げるもののほか、プラスチック資源循環の推進に関し必要な事項

3 知事は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

第3章 プラスチック資源循環の推進に関する基本的施策

(廃プラスチック類等の発生の抑制)

第8条 県は、事業者がその事業活動に際してプラスチック製品等の原材料を効率的に利用すること、プラスチック製の容器等を使用する場合には繰り返して使用することが可能なものを使用すること等によりプラスチック製品等の原材料等が廃プラスチック類等となることを抑制するよう、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

2 県は、県民がプラスチック製の製品をなるべく長期間使用すること、商品の購入に際してプラスチック製の容器等が過剰に使用されていない商品を選択すること等によりプラスチック製品等が廃プラスチック類等となることを抑制するよう、知識の普及その他の必要な措置を講ずるものとする。

(廃プラスチック類等の循環的な利用の促進等)

第9条 県は、事業者が、その事業活動に際して、当該事業活動において発生した循環資源(廃プラスチック類等に係るものに限る。)について自ら適正に循環的な利用を行い、若しくはこれについて適正に循環的な利用が行われることを促進し、又は循環的な利用が行われない当該循環資源について自らの責任において適正に処分するよう、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

2 県は、県民が、その使用に係るプラスチック製品等が循環資源となったものが分別して回収されることに協力すること等により当該循環資源について適正に循環的な利用及び処分が行われることを促進するよう、普及啓発その他の必要な措置を講ずるものとする。

(廃プラスチック類等の適正な処分)

第10条 県は、循環的な利用が行われない廃プラスチック類等について適正に処分が行われるよう、必要な措置を講ずるものとする。

(教育及び学習の振興等)

第11条 県は、学校、地域、家庭等におけるプラスチック資源循環の推進に関する教育及び学習の振興並びに広報活動の充実のため、必要な措置を講ずるものとする。

(研究及び技術開発に対する支援)

第12条 県は、事業者等が実施するプラスチック資源循環の推進に資する研究及び技術開発を支援するため、助言、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(産業の振興)

第13条 県は、県民、事業者及びこれらの者の組織する団体、大学、研究機関、国並びに市町村との連携の下、プラスチック資源循環の推進に寄与する産業の振興を図るため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(推進体制の整備)

第14条 県は、県、市町村、県民及び事業者が一体となってプラスチック資源循環の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、必要な体制の整備に努めるものとする。

(財政上の措置)

第15条 県は、プラスチック資源循環の推進に関する施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

この条例は、公布の日から施行する。

栃木県プラスチック資源循環推進条例

令和2年3月10日 条例第2号

(令和2年3月10日施行)