フォトとちぎ2012夏号
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世界一を目指す研究開発助成事業 顔面骨折の中で鼻びこつ骨に次いで多いのが「頬きょうこつ骨骨折」です。形成外科医で自治医科大学助教の加持秀明さんと共同研究者の宇田宏一さんは、新しい手術の方法(術式)を考案しました。 これまでの頬骨治療の手術は、瞼や口腔、眉毛外側の3カ所を切開し、骨折部を剥離し、整復(もとの正常な形に戻すこと)した後に、3か所プレートで固定します。この方法だと、強固に固定できますが、顔に傷をつける部分か大きく、患者への負担が大きくなります。整復がうまくいっても、顔面の腫れや変形などの副作用が問題になります。 新しい術式は、頬部に1か所、小さな切開を行うだけで整復し、特殊のボルト(中空スクリュー)で頬骨を強固に固定するという方法です。この方法だと、骨折したところを剥離しなくてもよく、切開も小さく1か所だけなので、手術時間は従来の4分の1程度(30分ほど)ですみ、患者への負担が格段に少なくなるといいます。 「頬骨骨折は絶対的な症例数が多く、臨床に及ぼす恩恵は膨大です。日本だけでなく世界的に新しく優れた術式(手術方法)として発展する可能性があります」と加持さんは言います。頬きょうこつ骨の骨折治療に新システム自治医科大学医学部(下野市)助教 加かもち持 秀明さん(37)写真上は従来の頬骨骨折治療。プレートで3か所固定します・左は新しいコンセプトの頬骨骨折治療。特殊なボルト(中空スクリュー)を用い、1か所固定します(資料提供:宇田宏一さん)フォトとちぎ2012夏8

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