フォトとちぎ2014冬号
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牧歌舞伎保存会は2012年、結成30周年を迎えました。現在は、2年に1度定期公演を行っています。上演に先立って、口上を述べる牧歌舞伎保存会。江戸末期から明治の初期にかけて、歌舞伎の地方巡業が盛んでした。歌舞伎役者から教わった演目を、地域の農民たちが自ら演じようと、一座をつくりました。農作業が一段落した秋の終わり、祭礼の奉納行事として上演し楽しんでいました。娯楽が少なかったことを背景に素人による「地芝居」は広く地方の農村に浸透してゆきました。栃木県内にも、最盛期には30以上もあったそうです。大戦を機に、ひとつ消え、ふたつ消え、しばらくの間上演されることはありませんでした。こうしたなか1981年、郷土の伝統芸能を守り次の代に受け継ごうと旧葛生町の青年たちが「牧歌舞伎保存会」を結成。86年には茂木町に「飯野歌舞伎会」が発足しました。地域の人たちの熱い想いが復活公演を成功させ、いまも各地で上演しているほか、子どもたちを指導するなど、伝承にも力を注いでいます。佐野市北部(旧葛生町)の牧地区に江戸時代から伝わる農村歌舞伎です。江戸歌舞伎の関三十郎を師とする役者が旧田沼町に住んでいて、牧地区で農民芝居を楽しんでいた人たちを指導したのが始まりと伝えられています。盛んだったのは1935年頃まで。牧不動尊の春と秋の縁日に上演していました。戦後、途絶えそうになりましたが、伝統の灯が消えないうちにと、記録映画を制作したことをきっかけに1981年に牧歌舞伎保存会を結成。現在では、2年に1度の定期公演のほか、イベントなどで上演。地元常盤中学校の生徒たちに指導するなど、伝承に努めています。(栃木県無形文化財)地芝居地域に受け継がれるとちぎの牧まぎ歌舞伎(佐野市)フォトとちぎ2014冬10

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