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検索アイコン 枯木沼湿原の植生

【群落】
沼沢植物群落、ヌマガヤ群落、ヌマガヤ−オオミズゴケ群落、ヌマガヤ−スギバミズゴケ群落、オオカサスゲ群落、アブラガヤ群落、ヤチスゲ群落、ワタスゲ群落、ヤマドリゼンマイ群落、ワレモコウ群落、シナノザサ群落、ズミ群落、サワラ群落、ミタケスゲ群落など
【選定理由】
A、B、D
【カテゴリー区分(保全状態)】
不良
【写真】
枯木沼湿原の植生
スキー場から見た枯木沼湿原
(1996年10月撮影)
【市町村】
藤原町
【主な群落とその特徴】
 枯木沼湿原は藤原町の「高原山」〔最高峰は釈迦ヶ岳(1,795m)、西側の峰は鶏頂山(1,765m)〕の中腹にあたる標高1,393 〜1,395mの位置にあり、東西約180m、南北約135m、面積約2.9haの湿原である。  枯木沼湿原は大小の池塘が見られるヌマガヤを主とした中間湿原である。樋口・福田(2000)では、枯木沼湿原とその周 辺を構成する群落として、沼沢植物群落が1群落、湿原植物群落が8群落、低木群落が3群落、高木群落が2群落、荒廃地植 物群落が2群落報告されている。  湿原内に点在する大小の池塘には沼沢植物群落が見られる。夏季の水深が30m以上になる比較的水深の深い池塘ではヒツ ジグサやヒルムシロなどの浮葉植物が低い個体群密度で生育する。また、水位の変動が激しい環境下ではホタルイやオオヌ マハリイなどの抽水植物が純群落をつくり、秋から冬に干上がる立地や帯水地ではクロイヌノヒゲモドキが高い個体群密度 で純群落を形成している。  湿原内で最も広範に見られる群落はヌマガヤ群落である。コケ層の種組成によりヌマガヤ−オオミズゴケ群落とヌマガヤ −スギバミズゴケ群落に大別できる。草本層はヌマガヤが優占しヤマドリゼンマイ、レンゲツツジ、ヒメシダ、タムラソウ を、コケ層にオオミズゴケやスギバミズゴケを伴い谷地坊主をつくる。池塘周辺の深水地にはオオカサスゲ群落が、スキー 場と湿原の接するあたりにはアブラガヤ(アイバソウ)群落が成立する。蛇行する小流の流水が停滞し多湿となるところに はヤチスゲ群落が成立し、ヒメシロネやヌマガヤ、シタミズゴケが生育する。ワタスゲ群落は荒廃地跡とみられる小凸地で 顕著であり、ミカヅキグサやヌマガヤなどが混生し、コケ層にスギバミズゴケやシタミズゴケの生育が見られる。他にマン ト群落ないしはソデ群落としてのヤマドリゼンマイ群落と特異的群落として山地草原のススキクラスの標徴種とされるワレ モコウ群落がある。ワレモコウ群落は、異常な土砂の流入など何らかの原因で、ヌマガヤ群落が荒廃した後、一時的に出現 した遷移途中相群落と思われる。さらに、湿原周縁部ないしは高燥地にはシナノザサ(クマイザサ)群落、ズミ群落などの 低木群落の成立がみられる。シナノザサ群落はシナノザサが優占しヤマドリゼンマイ、ヌマガヤなどが生育する。ズミ群落 はノリウツギやカンボクを伴い、草本層にはヤマドリゼンマイやイボタノキ、シナノザサが生育する。さらに、生育立地条 件の極めて悪い過湿地不安定土壌上に、立枯れの目立つ疎生林型のサワラ群落がある。サワラの他にノリウツギ、ダケカン バ、ヤマハンノキ、ムシカリなどを伴い、草本層にはオオカザスゲが繁茂する。  その他に、荒廃地植物群落として、ハイカーの踏みつけ跡地にできたとみられるヌマガヤを伴ったミタケスゲ群落と、何 らかの原因によって荒廃地に生じたワタスゲの谷地坊主群落が挙げられる。
【県内の現状と保全上の問題点】
 枯木沼湿原の複合群落の選定理由はA)原生的な群落、B)特殊立地に成立する群落、D)保護上重要な植物種の生育す る群落である。栃木県を代表する中間湿原でオオミズゴケ、スギバミズゴケ、フナガタミズゴケ、ヒメミズゴケ、シタミズ ゴケ、ウロコミズゴケの6種類ものミズゴケ類やワタスゲ、ヒツジグサといった保護上重要な植物種を有する。  保全状態は「不良」とされた。枯木沼湿原で最も問題な点は、湿原に隣接するスキー場からの土砂の流入や流入土砂等に よる湿原の破壊と流水路の浸食等による湿原の乾燥化の問題である。特に土砂の流入により立枯れの目立つサワラ低木群落 などは、生育環境の改善策をスキー場の維持管理と併せて早急に講じなければならないことを示唆している。湿原内は木道 がほぼ整備されており保護されているといえるが、木道敷設の一部不備な場所の整備や湿原内荒廃地の復元の問題などがあ る。今後、湿原の乾燥化の実態調査や、シカやクマなどの野生動物等の早急な影響調査も必要と考える。また、冬季のス キーコースとしての使用についても再考する必要があると考える。さらに、ミズゴケ類の盗掘なども絶えないので、この湿 原は、種多様性に富んだ大変貴重な自然であり保全していかねばならないことを啓発していく必要がある。
【参考文献】
樋口利雄・福田廣一 2000 栃木県枯木沼湿原の植生 栃木県立博物館研究紀要(自然)17:47−81
【執筆者】
福田廣一
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