●令和3(2021)年度第2回栃木県障害者差別解消推進委員会 次第 1 議題 (1)令和3(2021)年度における障害者差別解消の取組実績について (2)令和3(2021)年度における障害者差別解消の相談状況等について (3)令和4(2022)年度における障害者差別解消の取組について (4)栃木県障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例について (5)障害のある方への差別解消に関する事例集について 2 報告 (1)令和2(2020)年度栃木県障害のある方の生活実態調査結果について 〈 配付資料 〉 ・次第 ・委員名簿 ・資料1 令和3(2021)年度における障害者差別解消の取組実績について ・資料2 令和3(2021)年度における障害者差別解消の相談状況等について ・資料3 令和4(2022)年度における障害者差別解消の取組について ・資料4 栃木県障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例の概要 ・資料5 栃木県障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例 ・資料6 令和4(2022)年度における栃木県障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例に関連した取組について ・資料7 障害のある方への差別解消に関する事例集 ●栃木県障害者差別解消推進委員会 委員名簿 ・国際医療福祉大学 あぜがみ やすひこ ・宇都宮共和大学 つちさわ かおる ・皐月法律事務所 しょうじ まどか ・栃木県身体障害者福祉会連合会 まえだ のりたか ・栃木県視覚障害者福祉協会 かとう のりよし ・栃木県聴覚障害者福祉連合会 いながわ かずひこ ・栃木県心身障害児者親の会連合会 みしな ともこ ・栃木県精神保健福祉会 まえの すみこ ・栃木県自閉症協会 みやした ようこ ・とちぎ高次脳機能障害友の会 そでやま すみえ ・栃木県難病団体連絡協議会 たまき ともこ ・栃木障がいフォーラム むらかみ はちろう ・特定非営利活動法人栃木県障害者施設・事業協会 たかざわ しげお ・とちぎ障がい者相談支援専門員協会 ささざき あきひさ ・栃木県社会福祉協議会 しのざき かずお ・栃木県立リハビリテーションセンター ほしの ゆういち ・栃木県精神衛生協会 まえさわ たかみち ・栃木県医師会 よだ ゆうすけ ・栃木県商工会議所連合会 かねこ かずひこ ・栃木県バス協会 こやじま まさゆき ・高齢・障害・求職者雇用支援機構栃木障害者職業センター かとう ゆうき ・栃木労働局 いとが まさとし ・栃木県市長会 ささき ひろとも ・栃木県町村会 まつばら かずとし ・栃木県特別支援学校教育振興会 たにぐち てるこ ・栃木県PTA連合会 たきぐち たかし ・栃木県民生委員児童委員協議会 ひやま かずこ ・下野新聞社 おおつか じゅんいち ・公募委員 よしだ しま 資料1 ●令和3(2021)年度における県の障害者差別解消の取組実績について 1 普及・啓発 (1) 県政出前講座  引き続き、出前講座と併せて障害者や御家族からの体験談等の発表をしていただくふれあい交流・体験事業を実施。  令和3(2021)年4月6日 栃木県新採用職員研修 (2)庁内合理的配慮の推進 (来庁者への対応)  代読・代筆・筆談が可能なことを明示  車椅子スペースの確保 (情報保障)  県が主催する会議等に必要に応じて手話通訳者、要約筆記者等を配置し、点字版資料を作成。 2 知事表彰  条例第10条に基づき、県民の模範となる取組を行ったと認められる事業者を表彰する「共生社会とちぎづくり表彰」を実施。  ○障害者差別解消部門、障害者の工賃向上部門、ナイスハート部門  ※コロナ禍のため表彰式は実施せず、受賞者は個別に訪問して表彰した。   障害者差別解消部門・・・・・1件   障害者の工賃向上部門・・・・4件   ナイスハート部門・・・・・・1件 3 ヘルプマークの普及啓発 (1) ヘルプマークの配布  既存の窓口配布のほか、福祉サービス事業所、医療機関等への配布先拡大にあたった。 (2) テレビCMの実施(動画タイトル:きもちをプラス ヘルプマーク)  R2年度に作成したショートバージョン(15秒)、フルバージョン(30秒)の動画を、とちぎテレビにおいてテレビコマーシャルとして放映することにより、一層の周知を図った。 ●令和3(2021)年度 共生社会とちぎづくり表彰 受賞者一覧 (1)障害者差別解消部門  障害及び障害者に関する理解促進や合理的配慮の浸透・定着等に取り組み、障害者差別の解消の推進について特に顕著な功績があると認められる県民、事業者及び団体 1 尾澤嘉孝(足利市)   小学校や特別支援学校等に在籍する保護者同士の交流の場の創出や、地域において長く障害者からの相談業務に務めるなど、障害者の理解促進や自立支援に貢献 (2)障害者の工賃向上部門  障害者が地域において自立した生活を実現できるよう、障害者の工賃向上を推進するため、障害者就労支援事業所からの物品の調達等に積極的に取り組む事業者 1 有限会社魚登久(日光市)   平成27年から週3回程度、うなぎ料理店の店舗内清掃業務(施設外就労)を継続して発注しており、受注機会の確保や工賃向上に貢献 2 エム・シー・アイ株式会社(宇都宮市)   平成3年から週4日程度、自動車部品の加工・選別作業を継続的に発注するほか、施設の自主製品(リサイクルせっけん)の原材料である廃食油の寄付も行うなど、受注機会の確保や工賃向上に貢献 3 関東ミナセル株式会社(佐野市)   令和元年から緩衝材シートを規定の寸法に調製・梱包する作業を発注しており、受注機会の確保や工賃向上に貢献 4 株式会社どまんなか たぬま(佐野市)   令和2年から道の駅「どまんなか たぬま」及びイオン小山店内「どまんなかマルシェ」各売場において、弁当、総菜、パン及びノウフクJAS関連製品(桑を使ったお茶、ジャム、パウンドケーキ等)の販売に協力し、販売機会の確保や工賃向上に貢献 (3)ナイスハート部門  障害者就労支援事業所で作られた商品の販売促進を図るナイスハートバザールの開催に積極的に取り組む事業者 1 宇都宮中央郵便局(宇都宮市)   平成29年から年1回「ナイスハートバザール」の開催に協力。令和2年度からは職員向けの定期販売会として毎月開催しており、販売機会の確保や工賃の向上に貢献 資料2 ●令和3(2021)年度における県の障害者差別解消の相談状況等について 1 相談件数 平成30年度 福祉サービス 1件、医療 3件、教育 2件、公共的施設・公共交通 8件、不動産取引 1件、商品・サービス 8件、労働 1件、行政 3件、その他 3件 令和元年度 福祉サービス 1件、医療 2件、教育 1件、公共的施設・公共交通 7件、不動産取引 0件、商品・サービス 4件、労働 4件、行政 3件、その他 11件 令和2年度 福祉サービス 1件、医療 1件、教育 0件、公共的施設・公共交通 0件、不動産取引 0件、商品・サービス 1件、労働 1件、行政 2件、その他 2件 令和3年度 福祉サービス 5件、医療 2件、教育 1件、公共的施設・公共交通 2件、不動産取引 1件、商品・サービス 3件、労働 0件、行政 7件、その他 1件(R4.2.28現在) 2 主な相談事例 (1)福祉サービス分野 相談内容:通院介助の後、生活介護のサービスを利用しようとしたが、職員にきつい言葉で追加料金になると言われ、辛い気持ちになった。 対応結果:内容は、利用している事業所で、職員に言われた言葉により、辛い気持ちになったという相談であった。 事業所にこれまでの状況を確認したところ、職員には、利用者への接遇について指導しているが、利用者が辛く受け止めてしまたっとしたら申し訳ない。今後の利用も差し支えないとのことで、この旨を相談者に伝え、相談を終了した。 (2)福祉サービス分野 相談内容:A型事業所利用者が、利用者と職員でコロナ対応が違うのは差別ではないか。また、職員から不快な言葉遣いを受けている。 対応結果:内容は、利用者と職員とで、コロナの感染防止対策が違うのは差別ではないか、また、職員から不快な言葉遣いを受けているとの相談であった。 事業所に確認したところ、検温については、利用者も職員も同じ対応をしていることを確認した。また、言葉遣いについては事業所として今後気を付けるとのことで、この旨を相談者に伝え、相談を終了した。 (3)医療分野 相談内容:病院で、近くに駐車しようとしたが、救急車の出入りのために駐められず、案内された駐車場には優先駐車場のマークがなかった。 対応結果:内容は、身体障害のある方が病院で適切な車いす用駐車場の案内がなかった。 ホームページ及び現地にて確認をし、県保健福祉課地域福祉担当と思いやり駐車スペースつぎつぎ事業について連携しながら、当該病院に支援を要する方が適切に駐車できるよう依頼し、相談を終了した。 (4)教育分野 相談内容:共通テストにおいて、発達障害のある受験生にどのような配慮ができるのか情報はあるかとの問合せがあった。 対応結果:内容は、発達障害のある受験生の母親から、相談支援センターに寄せられた相談に関する問合せであった。 独立行政法人「大学入試センター」のホームページ及びホームページ内にある障害種別配慮事項及びその申請のページを紹介した。 (5)公共施設・公共交通分野 相談内容:盲導犬ユーザーがバスに乗ったところ、運転手に「ケージに入れてほしい」と言われ、不快な思いをしたとの相談があった。 対応結果:内容は、いつも利用しているが、その日の運転手に「ケージにいれてほしい」と言われ、不快な思いをしたとの相談であった。 バス会社に連絡をしたところ、運転手の発言は不適切であるので、今後厳重に注意するとのことであった。その旨を東日本盲導犬協会に伝え、了解を得て終了した。 (6)公共施設・公共交通分野 相談内容:市の運動公園の障害者用駐車場に、健常の方の車が駐まっていて、必要な方が利用できない現状がある。何とかならないかとの相談であった。 対応結果:内容は、いつも利用している公園の障害者用駐車場に健常の方が駐車して、使いたい人が使えないとの訴えであった。 傾聴し、これまでの配慮や各方面への問合せに感謝をし、今後とも県保健福祉課地域福祉担当とも連携して、更なる啓発に努める旨を話し、了解を得て終了した。 (7)不動産取引分野 相談内容:アプリを使って賃貸物件を探していたが、視覚障害があると分かると、紹介できる物件は無いと、その後連絡が取れなくなったとの相談であった。 対応結果:内容は、アプリで物件を探していたが、障害があることが分かると紹介できる物件は無いと、連絡が取れなくなったとの訴えであった。 当該不動産業者に経緯を聞き、障害があることで物件を紹介しないことは差別に当たることを説明し理解を得、その旨を相談者に伝え、了解を得て終了した。 (8)行政分野 相談内容:障害のある利用者の付き添いでワクチン接種会場に行ったが、係員から付き添いで入場することに対して苦情を言われたことは、合理的配慮の不提供ではないか。 対応結果:内容は、障害者の付き添いでワクチン接種会場に行ったが、中に入ってほしくないと言われたとの相談であった。 県感染症対策課に確認し、高齢者と障害者には付き添いが認められているとのことで、その旨を伝え、相談を終了した。2回目接種時には、付添者用の目印が準備されていたとの連絡があった。 3 とちぎ県政出前講座等による説明会の実施状況(令和3(2021)年4月1日〜令和4(2022)年2月28日) (1) 実施回数等 6回 延べ約265人 ※R2年度は、6回 延べ約485人 (2) 主な説明の対象 障害者関係事業所、企業、大学、行政職員等 資料3 ●令和4(2022)年度における県の障害者差別解消の取組について 1 普及・啓発 (1) 県政出前講座  引き続き、出前講座と併せて障害者や御家族からの体験談等の発表をしていただくふれあい交流・体験事業を実施予定。 (2) 庁内合理的配慮の推進 (来庁者への対応)  代読・代筆・筆談が可能なことを明示、車椅子スペースの確保 (情報保障)  県が主催する会議等に必要に応じて手話通訳者、要約筆記者等を配置し、点字版資料を作成。 2 知事表彰  条例第10条に基づき、県民の模範となる取組を行ったと認められる事業者を表彰する「共生社会とちぎづくり表彰」を実施予定。  ○障害者差別解消部門、障害者の工賃向上部門、ナイスハート部門 3 ヘルプマークの普及啓発 (1) 映画スクリーン広告(シネアド)の実施(動画タイトル:きもちをプラス ヘルプマーク)  R2年度に作成したショートバージョン(15秒)、フルバージョン(30秒)の動画を、映画スクリーンにて広告として上映し、マークの趣旨の理解促進を図る。 (2) バス広告の実施  栃木県障害者コミュニケーション条例の周知と併せたヘルプマークの普及を、障害者の多くが利用する公共交通機関であるバス広告を活用して実施する。 (3) ポスター作成  現在、市町や包括連携協定を締結している民間企業等にて掲示しているポスターを、県内の就労継続支援事業所に委託することにより増刷する。 4 課題等の把握 ・とちぎネットアンケートの実施  広報課が実施する、県民の意識やニーズを把握し、県政に反映させるため、インターネットを活用して、月1回・10問程度のアンケートを実施 ・県政世論調査の実施  広報課が実施する、県民の意識やニーズを把握し、県政に反映させるため、郵送により、県内在住の満18歳以上の男女2,000人(無作為抽出)を対象としてアンケートを実施 資料4 ●栃木県障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例の概要 1 条例制定の背景  本県では、共生社会の実現に向けて、平成28年4月に栃木県障害者差別解消推進条例を施行し、全ての県民が、障害や障害者に関する理解を深めるとともに、不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮の浸透・定着に取り組んできました。  今般、外部委員会による栃木県障害者差別解消推進条例施行の検証結果、近年の障害者の情報格差を解消するICT技術の進展や災害の頻発・激甚化及び本年10月の第22回全国障害者スポーツ大会「いちご一会とちぎ大会」の開催を踏まえ、障害者に対する合理的配慮の中で最も重要な、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進を図るため、本条例を制定しました。 2 条例の目的  この条例は、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関し、基本理念を定め、並びに県、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策を総合的に推進し、もって全ての県民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とします。 3 主な内容 (1) 県、県民及び事業者の責務、県と市町村との協力等について規定します。 (2) 障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段について規定します。 (3) 啓発活動や相談体制の充実、県政等に関する情報の取得の円滑化等の障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進のための取組を行うことについて規定します。 (4) 障害者の災害時等における必要な情報の取得や避難所等における他人との意思疎通の円滑化に向けた連絡体制の整備等について規定します。 4 施行期日  令和4年4月1日 資料5 ●栃木県障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例 (目的) 第1条 この条例は、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関し、基本理念を定め、並びに県、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策を総合的に推進し、もって全ての県民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。 (定義) 第2条 この条例において「障害者」とは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 2 この条例において「社会的障壁」とは、障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。 3 この条例において「障害の特性に応じたコミュニケーション手段」とは、手話、点字、要約筆記(口述を要約して文字により表示することをいう。以下同じ。)、触手話(手話を行っている者の手に触れることにより意思疎通を行うことをいう。)、指点字(点字用のタイプライターを使用する際の手の動作で相手の手に触れることにより意思疎通を行うことをいう。)、筆談、代筆、代読、平易な表現、表情、身振り、手振り、実物又は絵若しくは図形の提示、情報通信機器の利用その他の障害者が他人との意思疎通を図るための障害の特性に応じた手段をいう。 4 この条例において「意思疎通支援者」とは、手話通訳、要約筆記、失語症を有する者向けの意思疎通支援(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第77条第1項第6号に規定する意思疎通支援をいう。)、盲ろう者(視覚障害及び聴覚障害を併せ有する者をいう。)向けの通訳若しくは介助、点訳(文字を点字に訳すことをいう。)、代筆、代読又は音声訳(文字、図形等を音声を用いて表すことをいう。)を行う者その他の障害の特性に応じたコミュニケーション手段を利用した意思疎通を支援する者をいう。 (基本理念) 第3条 障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進は、障害者の自立及び社会参加のためには社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮が重要であるとの認識の下に行われなければならない。 2 障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進は、全ての障害者が、言語(手話を含む。)その他の意思疎通を図るための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られることが重要であるとの認識の下に行われなければならない。 (県の責務) 第4条 県は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。 (県と市町村との協力) 第5条 県及び市町村は、それぞれが実施する障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策が円滑かつ効果的に推進されるよう、相互に連携を図りながら協力するものとする。 (県民の責務) 第6条 県民は、基本理念にのっとり、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する理解を深めるよう努めるとともに、県及び市町村が実施する障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策に協力するよう努めるものとする。 (事業者の責務) 第7条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、障害者が障害の特性に応じたコミュニケーション手段を利用できるようにするために必要な配慮をするよう努めるとともに、県及び市町村が実施する障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策に協力するよう努めるものとする。 (学校教育の分野における利用の促進) 第8条 県は、学校教育の分野において、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用を促進するため、必要な施策を講ずるものとする。 (県民に対する啓発活動等) 第9条 県は、県民が障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進の重要性について認識し、障害及び障害者に関する理解を深めることができるよう、必要な啓発活動を行うとともに、教育及び学習の推進に努めるものとする。 2 県は、意思疎通支援者と連携し、障害者及びその保護者が障害の特性に応じたコミュニケーション手段を利用するために必要な知識及び技能を習得することができるよう、障害の特性に応じたコミュニケーション手段に関する学習の機会の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。 (県民及び事業者が行う活動への支援) 第10条 県は、県民及び事業者が行う障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する活動を支援するため、相談体制の充実、情報の提供、助言その他の必要な施策を講ずるものとする。 (意思疎通支援者等の養成等) 第11条 県は、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用が円滑に行われるよう、意思疎通支援者及びその指導者の養成のための研修の実施その他の必要な施策を講ずるものとする。 (県政等に関する情報の取得の円滑化) 第12条 県は、障害者が県政等に関する情報を円滑に取得することができるようにするため、障害の特性に応じたコミュニケーション手段を利用して県政等に関する情報を発信するよう努めるものとする。 (災害時等における連絡体制の整備等) 第13条 県は、市町村その他関係機関と連携し、災害その他非常の事態の場合において、障害者が必要な情報を取得するとともに、避難所等において他人との意思疎通を円滑に行うことができるよう、障害者の家族及び障害者を支援する者の協力を得つつ、災害その他非常の事態の場合における障害の特性に応じたコミュニケーション手段を利用した連絡体制の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。 (財政上の措置) 第14条 県は、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策を総合的に策定し、及び実施するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。 附則 この条例は、令和4年4月1日から施行する。 資料6 ●令和4(2022)年度における栃木県障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例に関連した取組について 1 周知・普及啓発関係 (1) 条例周知チラシの作成  配布先:障害者関係団体、審議会等委員、県立学校、商工団体、市町 (2) 条例周知パンフレットの作成  配布先:障害者関係団体、審議会等委員、県立学校、商工団体、市町 (3) 普及啓発シンポジウムの開催  R4.12.4 とちぎ健康の森講堂 にて開催予定 (4) 県職員向けeラーニングによる条例周知  コミュニケーション条例関係の問題を追加し、周知を図る。 (5) ヘルプマークとコラボしたバス広告によるPR  コミュニケーション条例のPRについて、合理的配慮の浸透・定着を図るヘルプマークとともにバス広告を実施 (6) 県民だより、ラジオ、テレビによるPR  とちぎ県民だより、とちぎかわら版(とちぎテレビ)、県政ピックアップ(CATV)、県政ナビ(栃木放送)等 2 災害関係 (1) 災害関係ハンドブック作成(支援者及び家族向け)  配布先:障害者関係団体、審議会等委員、県立学校、市町 (2) 災害関係市町職員向け研修会への講師参加 3 コミュニケーション支援関係 (1) 失語症者向け意思疎通支援者の派遣 (2) 聴覚障害児支援体制構築事業の実施  聴覚障害児アドバイザーの派遣、聴覚障害児療育支援連携会議の設置、家族支援の実施 (3) 障害者ICTサポートセンター事業の実施  相談支援、パソコンボランティアの養成・派遣、地域別講習会の開催 (4) 遠隔手話通訳サービス事業の充実  とちぎ視聴覚障害者情報センターが行う事業について、市町への周知に協力 (5) いちご一会大会において確保した情報支援スタッフへの意思疎通支援資格取得に向けた案内・養成 資料7 ●障害のある方への差別解消に関する事例集 1 はじめに (1)事例集作成の経緯について 栃木県(以下「県」という。)では、平成28(2016)年3月に「栃木県障害者差別解消推進条例(以下「条例」という。)」を制定し、平成29(2017)年3月には、栃木県障害者差別対応指針「障害者差別解消のための道しるべ」を策定するとともに、県及び各市町での障害者差別に関する相談窓口の設置や普及啓発の実施など、障害者差別の解消に向け取組を行ってきました。 また、栃木県障害者差別解消推進委員会では、条例施行後3年を経過したことから、令和元(2019)年11月に栃木県障害者差別解消推進条例検証部会を立ち上げ、条例の施行状況の検証を行いました。そして、令和3(2021)年2月に「栃木県障害者差別解消推進条例 3年後施行状況に関する検証報告書」がまとめられ、市町や団体への支援として、障害者差別に関する相談対応の研修や相談事例の情報共有を行う必要があることが報告されました。 これらを踏まえ、県では、市町や団体において、相談事案の解決が円滑に図られるよう支援するため、本事例集を作成することとしました。 (2)事例集の活用について 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(以下「障害者差別解消法」という。)では、特定の行為が差別に該当するかどうかは、各々の事案に応じて個別具体的に判断されるものとされており、何が『不当な差別的取扱い』に当たるのか、合理的配慮はどのようなことまで提供する必要があるのかは、各事案において異なります。しかしながら、多くの相談事例を集め、その検証や分析を行うことは、障害者差別の解消に向けて有効な手段であることから、事例集を作成することで、市町や団体における相談対応の一助となり、県全体の障害者差別に関する相談対応のスキルアップにつながることを期待しています。また、事例集に掲載している事例は、「福祉サービス」「医療」「教育」など日常生活のあらゆる場面を想定し、栃木県障害者権利擁護センターに実際に相談された事例を元に掲載しておりますが、相談内容が特定されないよう、一部改編しております。 なお、本事例集に掲載している事例は、あくまで例示であり、個々の状況に応じて、建設的に対話し、双方が合意できる代替手段を模索することが重要であることに、御留意いただきますようお願いします。 (3)障害者差別解消法の改正について 障害者差別解消改正法が令和3(2021)年6月4日に公布され(公布の日から起算して3年を超えない範囲内において施行)ました。障害者差別解消改正法においては、事業者における合理的配慮の提供が、これまでの「努力義務」から「義務」となりました。加えて、更なる国、県と市町の連携強化が示されています。 2 栃木県障害者差別解消推進条例について (1)目的 全ての県民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することです。 (2)用語の定義 「障害者」 身体障害や知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」という。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある者のことです。 手帳を持っている人、自立支援医療や助成制度の対象となっている人だけが「障害者」ではありません。 「社会的障壁」 障害のある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもののことです。 …例えば ・手に障害がある人や車いす利用者にとって、『開けづらいドア』 ・聴覚障害の人にとって、『言葉を声に出して説明する習慣』 ・「障害者は誰かに面倒をみてもらわなくてはならない」という『思い込み』 などです。 「不当な差別的取扱い」 正当な理由なしに、障害があることだけを理由として、障害者を障害者でない人よりも不利に対応することです。行政機関等や事業者はもちろんのこと、何人も、不当な差別的取扱いをすることは禁止です。 …例えば ・障害があることを理由に、施設を利用させない、アパートを貸さないこと ・身体障害者補助犬を連れていることを理由に、入店を拒否すること ・障害のない人の付添いを条件にすること、利用する時間や場所を制限すること  などです。 ※ 正当な理由…多くの県民がやむを得ないと納得できる、具体的で客観的な理由のことであり、障害者、事業者、第三者の権利利益及び行政機関等の事業目的・内容等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要です。 「合理的配慮」 そのときの状況に応じて、障害者が障害者ではない人と同じように社会参加する上で困っていることを伝えられたとき、過重な負担のない範囲で、困っていることをなくすための取組をすることです。 障害者差別解消法が改正(令和3(2021)年6月4日公布、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において施行)され、事業者においても合理的配慮の提供が義務となります。なお、行政機関等は法改正前から、合理的配慮の提供は義務です。 …例えば ・聴覚障害のある人から、メールやファックスで予約や注文を受けること ・知的障害のある人に、わかりやすい絵や実物を見せて説明すること ・障害のある人に席を譲ること、おもいやり駐車スペースを適切に利用す ること  などです。 ※ 過重な負担…配慮ができないことについて、多くの県民がやむを得ないと納得できる、具体的で客観的な理由のことです。 (3)基本理念 @ 等しく基本的人権を享有する個人として全ての県民の尊厳が重んぜられること及びその尊厳にふさわしい地域生活を営む権利が尊重されること  障害があってもなくても、私たちは等しく基本的人権を享有する個人として固有の権利があります。互いの個性を認め合い、尊重し合うことが大切です。 A 障害及び障害者に関する理解を深めること  障害のことや配慮の仕方がわからなくて利用を断ってしまうなど、多くの障害者差別の原因は、障害や障害者のことをよく知らないことから始まります。  障害や障害者に関する理解を深めることが大切です。 B 地域社会を構成する多様な主体が、相互に協力すること  障害の有無にかかわらず、地域社会に暮らす私たち一人ひとりや企業、団体、行政などが、互いの立場を認め合い、相互に協力して障害者差別を解消していくことが大切です。 (4)条例で定める取組 ☆対応指針の策定(栃木県障害者差別解消のための対応指針) 「障害者差別解消のための道しるべ」  http://www.pref.tochigi.lg.jp/e05/welfare/shougaisha/sesaku/documents/02_sisin_2903_1.pdf 「障害者差別解消のための道しるべ(概要版)」  https://www.pref.tochigi.lg.jp/e05/welfare/shougaisha/sesaku/documents/gaiyoban_1.pdf ☆差別解消推進委員会 障害者差別解消を推進するため、障害者やその家族、お店や会社の団体の代表者、関係する団体や機関をメンバーとした「栃木県障害者差別解消推進委員会」を設置しています。 ☆相談体制 ・相談窓口「栃木県障害者権利擁護センター」  TEL:028-623-3139  FAX:028-623-3052  Mail:tochigi-shougaishakenri@dream.jp ・相談の流れ  ア 相談の受理   ・電話、FAX、メール、来庁により相談を受け、内容の聞き取りを行う。  イ 情報の収集   ・不当な差別的取扱いを行った相手方(事業所等)について、HP等で情報を得る。  ウ 担当者の打合せ   ・権利擁護センターの関係職員で、方向性について打合せを行い、方針を決定する。  エ 事実確認の調査   ・状況に応じて、直接、相手方(事業所等)に事実確認を行う等調査を行う。  オ 相手方(事業所等)及び相談者との調整   ・調査した内容をまとめ、相談者にその旨を連絡し、調整を行う。  カ 相談の終結  ※ 調整を行っても解決しない場合、条例第15条に基づくあっせん行為が行われる場合があります。 ☆紛争解決の仕組みの整備  条例では、県等に相談しても解決されない場合の紛争解決の仕組みとして、あっせん(第三者機関が入り、当事者間の話合いを促進し、解決を援助すること)、勧告(あっせん案の受諾や必要な措置を講じることを勧告すること)及び公表(当該勧告等を公表すること)の手続きを規定しています。手続きにあたっては、栃木県障害者差別解消推進委員会が関わり、解決を目指します。 ☆表彰の実施  県では、障害者差別の解消の推進について特に顕著な功績があると認められる者(事業所等)を表彰しています。  共生社会とちぎづくり表彰(障害者差別解消部門、ナイスハート部門、障害者工賃向上部門) ☆障害及び障害者に関する普及啓発、教育の推進  栃木県職員、教育委員会、警察における対応要領  県政出前講座の実施  教育委員会との連携  ヘルプマークの普及啓発  ポスターの掲示、分かりやすいパンフレット、啓発動画の作成  県庁スタンダードの周知  eラーニングの実施 3 栃木県障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例について (1)条例制定の背景 外部委員による栃木県障害者差別解消推進条例施行の検証結果の報告、近年の障害者の情報格差を解消するICT技術の進展や災害の頻発、激甚化及び第22回全国障害者スポーツ大会「いちご一会とちぎ大会」の開催を踏まえ、障害者に対する合理的配慮の中で最も重要な、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進を図る必要がある。 (2)条例の目的 障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関し、基本理念を定め、並びに県、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、その施策を総合的に推進し、もって全ての県民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資すること。 (3)主な内容 @県、県民及び事業者の責務、県と市町村との協力の規定 A障害の特性に応じた多様なコミュニケーションについての規定  手話、点字、要約筆記、触手話、指点字、筆談、代筆、代読、平易な表現、表情、身振り、手振り、実物又は絵若しくは図形の提示、情報通信機器の利用その他の障害者が他人との意思疎通を図るための障害の特性に応じた手段 B啓発活動や相談体制の充実、県政等に関する情報の取得の円滑化等、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進のための取組についての規定  障害及び障害者に関する理解を深めることができるよう、啓発活動、教育及び学習の推進に努める。相談体制の充実、情報の提供、助言その他必要な施策。意思疎通支援者及びその指導者の養成のための研修の実施。県政等に関する情報の発信。 C災害等における必要な情報の取得や避難所等における他人との意思疎通の円滑化に向けた連絡体制の整備等について規定  市町村その他関係機関と連携し、災害その他非常の事態の場合において、障害者が必要な情報を取得する。避難所等において他人との意思疎通を円滑に行うことができるよう、家族及び支援者の協力を得る。障害の特性に応じたコミュニケーション手段を利用した連絡体制の整備その他必要な施策を講じる。 (4)施行期日 令和4年4月1日 4 相談対応事例 (1)ケース1<商品・サービス>〜盲導犬ユーザーの方の飲食店入店について〜 (視覚障害のある方から) 盲導犬同伴で飲食店に入ろうとしたら、入店を断られました。食事を楽しみにしていたのに、残念です。 <どのような差別なのか> 身体障害者補助犬法により、補助犬(盲導犬、聴導犬、介助犬)同伴による入店は認められています。補助犬同伴を理由に、入店を断ることは差別に当たります。 <参考となる法令等> 身体障害者補助犬法:国等、特殊法人は、その管理する施設を身体障害者が利用する場合において身体障害者補助犬を同伴することを拒んではならない。(第7条) <対応> 飲食店に確認したところ、盲導犬の同伴が認められていることを理解していませんでした。店舗全体で、補助犬についての研修を行い、入店が可能になりました。 <合理的配慮の提供について> 盲導犬は、視覚障害のある方にとって、無くてはならないものです。ユーザーには、常に盲導犬を清潔に保つことが求められています。店員は、盲導犬等補助犬を同伴したユーザーが来店した際は、犬アレルギーや動物が苦手なお客様の確認を行うと共に、盲導犬についての説明をするなどして、理解を促すことが求められます。 この他、宿泊施設、タクシー、イベント等での事例がありました。障害福祉課社会参加促進担当とも連携し、引き続き盲導犬ユーザーの外出の機会が広がるよう、さまざまな場面で啓発をおこなってまいります。 (2)ケース2<商品・サービス>〜店舗での会計の確認について〜 (視覚障害のある方から) 近所の店に行って、買い物をしたのですが、釣り銭が合わないことがありました。できれば、レジの方に、買った品物と金額の読み上げをしてほしいのですが・・・ <どのような差別なのか> 視覚障害のある方は、レシートを確認することができません。視覚障害のある方から、商品と金額の読み上げを依頼された場合は、正当な理由がある場合を除いて、読み上げを行ってください。 <参考となる資料等> 障害者差別解消のための道しるべ(概要版):11ページ 合理的配慮の具体例・・・「おつりは〇〇円です」と伝えながら手渡したり、口頭で注文を受けること。 <対応> 店舗を統括する部署に連絡をし、レジでの商品と代金の読み上げの配慮について依頼しました。 <合理的配慮の提供について> 視覚障害のある方が店舗を訪れた際は、商品の位置などについて質問されたら答える、通路に物を置かない、商品と金額の読み上げ、おつりの手渡しなど、配慮をお願いいたします。この他、視覚障害のある方から、合理的配慮の依頼があった場合は、できる範囲で対応をお願いいたします。 この他、点字ブロック上に物が置いてある、駅での対応に時間がかかるなどの相談が寄せられています。視覚障害のある方が、安心して街の中を歩くことができますよう、ご理解とご協力をお願いいたします。バリアフリー新法の施行などにより、駅での「声かけ運動」などの取組も進んできています。 (3)ケース3<商品・サービス>〜聴覚障害のある方の教習受講について〜 (聴覚障害のある方から) 運転免許を取りたくて、教習所に行ったら、聴覚障害を理由に、入校を断られてしまいました。自立への一歩だと思っていましたが、残念です。 <どのような差別なのか> 聴覚障害があることのみを理由として教習所への入校を断ることは、差別に当たります。 <参考となる資料等> 障害者差別解消のための道しるべ(概要版):12ページ 合理的配慮の具体例・・・本人の希望を確認し、筆談や手話などを使ってコミュニケーションをとること <対応> 教習所に確認の連絡を入れたところ、聴覚障害のある方の入校も可能であり、受入の準備を進めていましたが、受付との連絡調整が不十分だったとのことでした。相談者は、入校できることになりました。 <合理的配慮の提供について> 講座等の開講に当たっては、可能な限り、様々な障害の特性を考慮した対応をお願いいたします。合理的配慮の申し出があった場合は、建設的な対話を行い、できる限り申し出に添えるよう、添えない場合は、その理由を丁寧に説明し、お互いが納得できるよう、話し合いをお願いいたします。 聴覚に障害がある方(10メートル離れた所で90デシベルの警報器の音が聞こえない方)の免許の取得に際しては、事前に栃木県警察本部交通部運転免許監理課(栃木県運転免許センター内)適性相談係で適性相談を受け、適性検査終了書の交付を受けてから、免許取得の手続きが始まります。 (4)ケース4<商品・サービス>〜聴覚障害のある方の店舗利用予約について〜 (聴覚障害のある方から) お店を利用しようと、FAXでの予約をしましたが、電話での予約を求められました。 <どのような差別なのか> 聴覚障害のある方は、電話での対応が難しいので、それに代わる連絡手段が必要です。FAXやメールによる予約であれば可能です。 <参考となる資料等> 障害者差別解消のための道しるべ:12ページ 合理的配慮の具体例・・・FAXやメールで、予約の受付、説明や相談をすること <対応> 店舗に連絡し、予約の方法について確認したところ、FAXでの予約も可能であることが確認できました。それを相談者に伝えました。 <合理的配慮の提供について> 店舗の利用予約に当たっては、可能な限り、様々な障害の特性に応じた予約の方法を提供することが求められます。 この他、聴覚障害のある方の体育施設利用について、県立の施設における受け入れの基準を統一した事例や、学校における合理的配慮について、相続事務における合理的配慮などについての相談がありました。聴覚障害のある方は、一見して障害があることが見えにくい状況ではありますが、手話、要約筆記、筆談、ICTの活用等、できる限りコミュニケーション手段を多く設定し、意思疎通が図れるよう、よろしくお願いいたします。 (5)ケース5<公共的施設>〜ワクチン接種における付き添いについて〜 (精神障害のある方の支援者から) ワクチン接種会場に、精神障害のある利用者と一緒に行ったところ、付き添いは困ると言われた。いつもと違う場所で不安な利用者の方に付き添いたいが・・・ <どのような差別なのか> いつもと違う場所で見通しがもてず、不安感のある精神障害のある方に支援者が付き添うことは、安心感を高めます。 <参考となる資料等> 障害者差別解消のための道しるべ:16ページ 合理的配慮の具体例・・・大勢の人がいることや、音が気になることなどにより、その場で待つことができないとき、呼出器の活用や携帯電話への連絡、呼出時間を決めることなどにより、落ち着いたところで待つことができるようにすること <対応> 担当課に確認しました。感染のリスクを考慮して付き添いの入室を断ったと考えられるとのことですが、高齢者と障害者の付き添いは認められていることを確認し、支援者に伝えました。 <合理的配慮の提供について> いつもとは違う場所や行事等で見通しがもてないと、不安になる方には、安心できる支援者が付き添ったり、予めスケジュールを示したり、練習したり、絵や写真や文字などで分かるように示すことが大切です。 この接種会場では、2回目のときは、「介助者」と明記された印が準備され、これを身に付け、一目で介助者であることが分かるよう対応したとのことです。 この他、司法手続き関する相談、銀行の手続きに関する相談、学校における聴覚過敏に対する合理的配慮の提供に関する相談などがありました。特性により、不安が高じてしまう場合は、落ち着ける物の活用や、場所や話し方の工夫なども考えられます。 (6)ケース6<商品・サービス>〜商業施設におけるマナーについて〜 (知的障害のある方の保護者から) 商業施設にあるお店に知的障害のある子を連れて買い物に行ったところ、次回からの入店を断られました。子どもは、外出を楽しみにしていたので、残念です。 <どのような差別なのか> 知的障害があることだけを理由に、入店を断ることは、差別に当たります。 <参考となる資料等> 障害者差別解消のための道しるべ(概要版):15ページ 合理的配慮の具体例・・・本人の理解度に応じて、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明すること <対応> 店舗と商業施設を管理している部署に連絡をしたところ、知的障害についての理解が不十分であったことが分かりました。店舗としてできることと、相談者にお願いしたいことを丁寧に説明しました。県としても、制度の啓発に努めることも伝えました。 <合理的配慮の提供について> 知的障害のある方は、状況によって興奮しやすかったり、大声を出したり、感情表現が豊かで飛び跳ねてしまったりしますが、環境を整えたり、支援者による言葉かけなどで、適切に対応することができます。店舗等と、保護者や支援者の方と、建設的な対話を行い、周りの方(客など)に説明するなどして、お互いに気持ちよく場を共有できるよう、協力できると良いですね。 この他、知的障害児者の施設の飲食店舗利用について、行政手続きについて、就労支援施設の勤務時間について、職場でのコミュニケーションについてなどの事例がありました。職場における相談については、労働局と連携しました。 (7)ケース7<公共的施設>〜おもいやり駐車スペースの利用について〜 (身体障害のある方から) 車いす利用者です。施設や公園で、思いやり駐車場を利用したいのですが、健常の方が車を駐めていて、利用できないことが多くて困っています。 <どのような状況なのか> 車いすの方は、車の乗り降りをするために、十分なスペースが必要です。また、入口から近い方が、移動距離が短くなります。おもいやり駐車スペースは、このような方々のためのスペースです。 <参考となる法令等> 車いす使用者用駐車施設は、バリアフリー法で、一定の条件に該当する場合に設置が義務付けられ、整備が促進されています。その適正な利用に向けて、パーキングパーミット制度が多くの自治体で導入されています。 <対応> 施設や公園の担当部署に連絡し、思いやり駐車スペースの適正な利用について理解を求めるとともに、県の担当部署とも情報の共有を図りました。 <合理的配慮の提供について> 身体障害者、知的障害者、精神障害者、要介護者及び難病者、妊産婦、傷病人等のうち、歩行が困難な方が、車を降りてスムーズに目的の場所まで行けるよう、施設や公園から協力の申し出のあったスペースを「思いやり駐車スペース」としています。県では、「利用証」を交付して利用できる方を明らかにすることで、適正な利用を図っています。必要としている方のためにも、歩行に困難が無い方は、駐車を控えて頂けるようお願いいたします。 思いやり駐車場に関する相談は、かなりの数を占めています。それぞれの利用者の方々にご事情はおありかと思いますが、困っている方がスムーズに利用することができますよう、ご協力をお願いいたします。 (8)ケース8<公共交通機関>〜車いすによる公共交通機関の利用について〜 (身体障害のある方から) 車いすを使用して、公共交通機関の利用をしています。エレベーターまでの距離が長かったり、利用に当たって事前に予約が必要だったり、利用しづらいことが多いです。 <どのような状況なのか> 近年、駅等のバリアフリー化が進んできていますが、電車やバスを利用する際は、簡易スロープなどの設置と、乗務員による支援が必要です。駅によっては乗務員の確保が難しく、予め乗車予約を求められることもあります。 <参考となる法令等> バリアフリー新法では、移動等円滑化促進方針が明記されました。住民等から提案を受けたら、積極的に検討を行う旨が記載されました。 <対応> 電車やバスの営業所等に状況の確認を行い、できる限り希望する駅やバス停、希望する時間に乗車することができるよう、更なる協力を依頼しました。 <合理的配慮の提供について> 障害のある方が、できる限り一人で移動ができるよう、エレベーターの設置、スロープの設置、段差をなくす等、バリアフリー化を推進することが必要です。また、点字ブロック、エスコートゾーン、ホームドアの設置、放送による案内、電光掲示板による案内、分かりやすい表示やアナウンスなど、様々な障害の特性に応じた環境への配慮が求められます。 この他、車いす利用の方のバス利用や、盲導犬ユーザーの方の利用についての相談などが寄せられています。人的、物的、費用などの都合により、すぐには対応が難しい場合もありますが、難しい理由を丁寧に説明し、建設的な対話を通して、お互いが歩みよることができると良いですね。 (9)ケース9<医療>〜通院時の移動手段について〜 (内部障害のある方から) 入院後、退院して、人工透析の通院をバス利用で再開しようと連絡したが、病院の利用を断られてしまった。どうしたら良いのか・・・ <どのような差別なのか> 障害があることで、病院への通院を断ることは、差別となります。 <参考となる資料等> 障害者差別解消のための道しるべ(概要版):10ページ 合理的配慮の具体例・・・人工透析が必要な人に、通院や安静にするために必要な休憩などを認めること <対応> 病院に確認したところ、障害により通院を断ったのでは無く、公共交通機関のバスを利用することが、体調や透析にかかる時間と、運行時刻との兼ね合いで、バス利用による人工透析は難しいのではないかと助言したとのことでした。この後の話し合いで、通院できるようになりました。 <合理的配慮の提供について> 内部障害は、内臓機能に障害がある状態ですが、見た目には分かりにくいため、疲れやすかったり、体力が低下していたりする状況が周囲の人に理解されにくいことがあります。 ヘルプマークを付けることにより、困っていることを意思表示できることもあります。周囲の人に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくします。ヘルプカードには、具体的な支援について記入することができます。 この他、内部障害により、勤務時間の調整がうまくいかなくなってしまったなどの相談もありました。労働関係の相談には、労働局やハローワーク等と連携して対応しています。 (10)ケース10<公共的施設>〜公衆浴場の利用について〜 (内部障害のある方から) ストマ(人口肛門、人工膀胱)を装着しています。入浴施設で、利用を断られてしまいました。お湯を汚すことはないので、利用したかったです。 <どのような差別なのか> ストマの装着を理由に、入浴施設の利用を断るのは、差別に当たります。 <参考となる資料等> 障害者差別解消のための道しるべ:14ページ お腹に排せつのためのストマ(人工肛門、人工膀胱)を造設した人(オストメイト)が、温泉などで入浴しようとすると、不衛生であるという誤解を受けることがあります。 <対応> 入浴施設に連絡をし、事実の確認を行いました。障害者差別解消法の説明をし、ストマの装着を理由に入浴を断ることは、差別に当たることを伝え、施設の理解を得ることができました。 <合理的配慮の提供について> 人口肛門、人工膀胱のパッチ(ストマ)は、装着していれば、排せつ物が漏れて湯を汚す心配はありません。装着していない方への配慮を求めることはあるかとは思いますが、衛生上の問題はありません。装着を理由に利用を拒否することは、しないようにしましょう。 (11)ケース11<公共交通機関>〜公共交通機関の乗車マナーについて〜 (発達障害のある方の保護者から) 発達障害のある子が利用している公共交通機関の営業所から、独り言が多いと注意を受けました。 本人は、注意されて落ち込んでしまいました。これは、障害の特性を理解していない対応ではないでしょうか。 <どのような差別なのか> 発達障害の特性を理解せず、独り言が多いことに対して本人に注意を行ったことは、合理的配慮の不提供に当たります。 <参考となる資料等> 障害者差別解消のための道しるべ(概要版):17、18ページ 合理的配慮の具体例・・・大勢の人がいる、音などが気になるため、その場で待つことができない場合、落ち着いたところで待つことができるようにすること。 <対応> 公共交通機関の営業所に連絡をし、事実の確認を行いました。 乗務員は、発達障害であることを知らず、他の乗客から苦情があったため、状況の確認後、本人に注意してしまったとのことでした。 その旨を相談者に伝えました。 <合理的配慮の提供について> 発達障害(自閉スペクトラム症)のある乗客には、特性を理解し、安心感を高める関わりを行ったり、見通しをもつことができるような工夫をしたり、周りの乗客に説明を行ったり等の配慮が考えられます。 発達障害のある方は、状況によって、場にそぐわない言動が見られることがあります。 本人や保護者や支援者と話をしたり、環境を整えたりすることで、適応できることが多いので、温かく見守っていただけると、安心できると思います。「心のバリアフリー」ですね。 (12)ケース12<教育>〜医療的ケアのある児童の学校生活について〜 (肢体不自由のある方の保護者から) 子どもは医療的ケア児で、学校で保護者の付き添いや行事の付き添いを求められるのは、合理的配慮の不提供ではないでしょうか。 <どのような状況なのか> 学校において、看護師不在の時や、行事等で、学校を離れるときに、保護者等の付き添いが求められます。 <参考となる資料等> 障害者差別解消のための道しるべ(概要版):20ページ 合理的配慮の具体例・・・医療機関や支援者等と連携を図り、本人の状態や必要な支援を丁寧に確認し、必要以上に活動の制限等をしないようにすること <対応> 教育委員会所管課と連携し、安全安心な学校生活、行事の実施に向けて、保護者や医療機関を交えて建設的な話し合いを行いました。 <合理的配慮の提供について> 学校における医療的ケアの実施においては、マニュアルに基づき、保護者・医療機関・教育委員会・学校の委員会にて、適正に実施されています。 今後、関係諸機関の緊密な連携の下、保護者の方々の負担が少しでも解消されるよう、取り組んでまいります。 この他、修学旅行における保護者の付き添いを求められることや、教育場面における合理的配慮の提供について相談があり、その都度、教育委員会所管課や学校の管理職等々と連携し、保護者の方々と建設的な対話をかさね、ご理解ご協力を得られるよう、努めました。 特に、医療的ケア児のご家庭への支援については、今後、支援センターの設置など、充実が図られる予定です。 (13)ケース13<その他>〜携帯電話の電磁波の影響について〜 (障害のある方から) 携帯電話の電磁波により、具合が悪くなってしまいます。このような場合、障害者差別解消法上の障害者の対象になりますか? <どのような差別なのか> 手帳の所持等にかかわらず、障害(病気を含む)があり社会的障壁により日常生活・社会生活に相当の困難があれば、障害者と見なされます。 <参考となる資料等> 障害者差別解消のための道しるべ(概要版):3ページ 障害者とは・・・身体障害や知的障害、精神障害、発達障害、高次脳機能障害、難病などにより、障害のある人で、社会的障壁によって、学校で学ぶ、仕事をする、遊びに出かけることに相当な制限を受けている人のことを言います。障害者手帳をもっていない人もいます。 <対応> 障害者差別解消法の対象となることを説明しました。 <合理的配慮の提供について> 栃木県障害者権利擁護センターとして、ペースメーカーを植え込んでおり、携帯電話の電磁波により、具合が悪くなる方がいることを関係各課所に伝えました。 県のイベントの際は、携帯(スマホ)の電源を切ることをアナウンスするなど、関係各課所にできる対応についても県の各課に伝えました。 電磁波により、スーパーに買い物に行くことも困難に感じる方もいます。 この他、化学物質過敏症や様々な難病により、見た目では分かりにくいですが、困難を感じている方がいらっしゃいます。 (14)ケース14<行政>〜自治体におけるがん検診について〜 (身体障害のある方から) 自治体のがん検診で、体幹の維持ができないため、検査技師から個別に病院で検査を受けてほしいと言われたが、個別の検査が自己負担免除の対象にならないことは、合理的配慮の不提供ではないか。 <どのような差別なのか> 検診の技師から、個別に病院で検査を受けてほしいと言われたにもかかわらず、病院受診は、自己負担免除にならないことは、合理的配慮の不提供になる可能性があります。 <対応> 関係する自治体の部署に連絡をし、状況を確認しました。 現在の制度では、自己負担免除の対象にならないので、今後、新しい制度に向けて、検討を始めたいとのことでした。 <合理的配慮の提供について> 市町の健康診断並びにがん検診について、既存の制度では、対応が難しい状況があり、本センターに相談がありました。 これは、市町の制度設計による実施のため、県としては状況の確認しかできませんでしたが、相談者が声を上げてくださったことにより、課題が明らかとなり、次につながったと思われます。 (15)ケース15<行政>〜選挙における点字資料について〜 (視覚障害のある方から) 期日前投票をしようと思って、投票所に行ったら、点字の資料(候補者等名簿)が準備されていませんでした・・・ <どのような状況なのか> 視覚障害のある方は、点字の候補者名簿で、氏名や経歴、公約等の確認を行います。 読み上げも可能ですが、読み上げ者への確認などにより、投票者が推察されるなど、公正な選挙という観点で適切ではありません。 <参考となる資料等> 選挙管理委員会規則 <対応> 関係市町の選挙管理委員会に事実の確認を行いました。候補者が決まってから準備をして県が点訳して各投票所に送付するので、どうしても配置に時間がかかるとのことで、その旨相談者に伝えました。 <合理的配慮の提供について> 投票所は、様々な障害種別に対応できるよう、工夫されています。 利用に当たって、不都合な点があれば、投票所に申し出てください。この他、郵便等による不在者投票も、該当する障害の程度の場合、投票用紙の請求をすることで、行うことができます。 有権者の年齢が引き下げられたこと、今後成人年齢の引き下げなども控えています。分かりやすい選挙制度の説明や、意思表示の仕方など、更なる工夫が求められます。 5 おわりに  障害の有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、栃木県として様々な施策を行っています。  本事例集は、栃木県障害者差別解消条例で求めている「不当な差別的取扱いの禁止」、「合理的配慮の提供」について、より理解を深めることを目的としています。  本事例集で強調したいことは、相談の解決方法は一つではないということです。申し出のあった対応が難しい場合でも、「建設的対話」に努め、解決方法を一緒に検討していくことが重要です。  障害のある方が、特性に応じたコミュニケーション手段の利用ができるよう、令和4(2022)年3月に「栃木県障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例」が制定されました。  掲載事例は、受け付けた相談の一部であり、各事業者の法の理解状況を示すものではないことに留意いただければと思います。  本事例集が、お互い理解し合おうという気持ちで、一人でも多くの人々が共生社会の実現に向けて取り組むためのきっかけになれば幸いです。