第9部 資料編

 

W 関係用語の解説

【あ】

ISO(アイ・エス・オー、イソ)
 「ISO」とは国際標準化機構の呼称であり、1947年にロンドンで創設された国際的な標準規格を制定、普及促進させる機関である。様々な分野で国際的な「交換」を容易にするための諸規格を取り決め、その普及促進を図っている。

ISO14000シリーズ
 ISO14000シリーズとは、環境管理全般(環境マネジメントシステム、環境監査、環境パフォーマンス、環境ラベル、ライフサイクルアセスメント)に関する国際規格の総称であり、シリーズの中で、ISO14001と呼ばれるものが「環境管理システム−仕様及び利用の手引」で、環境管理システムを構築する際に企業に要求される事項が記述されている。

アイドリング・ストップ運動
 駐停車中の車のエンジンの不必要なかけっ放し(アイドリング)をストップすることにより、排ガスによる大気汚染や騒音、ひいては地球温暖化の防止を図ろうとする運動であり、身近でできる運動として注目されている。

亜鉛(Zn)
 主に亜鉛メッキ、黄銅、ダイキャストなどの原料として使われ、鉱山排水等これらの金属を取り扱う工場の排水から検出され、毒性は比較的弱い。

悪臭物質
 悪臭は一般に多種類の悪臭物質により構成されている。悪臭物質の代表的なものとして※アンモニア、※メチルメルカプタン、※硫化水素、※硫化メチル、※二酸化メチル、※トリメチルアミン、※アセトアルデヒド、※スチレン、※硫化ジメチル、硫化ジエチル、メチルアミン、エチルアミン、ブチレン、酪酸、アセトン、アクロレイン等が挙げられる。(※は「悪臭防止法」の特定悪臭物質として規制されている。)

アジェンダ21
 1992(平成4)年6月にブラジルで開かれた地球サミットにおいて採択された「21世紀に向けた環境と開発に関する行動計画」をいう。全体は40章から構成され、各国政府をはじめ様々な社会構成主体が、21世紀に向けてともに連携しつつ、着実に実施に移していくべき課題が具体的に整理されている。

アスベスト(石綿)
 天然に産出する鉱物のうちで高い抗張力と柔軟性を持つ絹糸状光沢の特異な繊維状集合をなすものの俗称である。この形状を呈する鉱物としては、蛇紋石に属する「クリソタイル」、角閃石に属する「クロシドライト」、「アモサイト」等がある。アスベストは安価な上、紡織性、耐熱性、耐薬品性等の優れた特性を有し、建築材料等の工業原材料として古くから使用されてきており、我が国では、年間約20万トンが使用されている。肺がん、悪性中皮腫の原因になると言われている。

アメニティ
 快適性。環境の「質」や事物について用いられる概念である。環境の快適性といった場合には、場所、風景などの感じよさ、好ましさ、あるいは快適さや人間生活の楽しさ、利便さ等の諸要素を含めた総合的視点から捉えたときの状態を意味する。

アルキル水銀(R-Hg)
 メチル基、エチル基などのアルキル基を持った有機水銀。水俣病で注目されたメチル水銀などの水銀中毒者は、手足のしびれ、言語及び運動障害等特有の症状を示すといわれている。水質汚濁に係る環境基準、排水基準とも「検出されないこと」である。

暗騒音
 ある音を対象とするとき、その対象音が停止したときにも、その場所に存在する騒音を、対象とする騒音に対して暗騒音という。
  暗騒音の影響のある所で対象とする騒音のレベルを測定した値が、暗騒音のみのレベルより10dB(デシベル)以上大きいときには、暗騒音の影響を無視し得るが、10dB以下のときには暗騒音の影響を除くための補正を行って、対象音のみの音圧レベルを求めなければならない。

アンモニア(NH3)
 特有の刺激臭のある無色の気体で圧縮することによって常温でも液化する。人体への影響は粘膜刺激、呼吸刺激、腐蝕性があり、眼に入ると結膜浮腫などを起こす。2,500〜6,500ppmにさらされると30分で生命に危険が及ぶ。労働環境における許容濃度は50ppmである。「悪臭防止法」による悪臭物質に指定されている。

アンモニア態窒素(NH3-N)

 NH3の形で存在する窒素をいう。蛋白質、尿素、尿酸などの有機性窒素の分解により生成するもので窒素系の汚染の消長を知る手がかりとなる。りん酸塩とともに富栄養化を促進する原因となるものである。

【い】

1,1−ジクロロエチレン
 無色から淡黄色の透明な重い液体。芳香臭があり揮発性で、蒸気は空気より重い。水に難溶で有機溶媒に可溶、酸素と接触して過酸化物になる。水中では安定であるが、大気中で光化学分解される。トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタンの分解生成物。ほとんどが塩化ビニリデン樹脂の原料に用いられる。
 水質汚濁に係る環境基準は0.02mg/lである。

1,1,1 −トリクロロエタン
 無色透明の不燃性液体、沸点74℃、比重1.35。揮発性で芳香臭があり、不燃溶剤で毒性は低い。生分解性は低いが、好気条件より嫌気条件で分解が進む。大気中で比較的安定であり、広域に拡散する。金属の常温洗浄、蒸気洗浄、ドライクリーニング用溶剤等に用いられている。
 水質汚濁に係る環境基準は1mg/lである。

1,1,2−トリクロロエタン

 無色の液体、沸点113.8℃、比重1.44。水にわずかに溶け有機溶媒に可溶、揮発性で土壌吸着性は低く、大気中で光化学分解される。発がん性については立証されていない。溶剤、粘着剤、ラッカー、テフロンチューブの生産等に用いられている。
 水道水中の基準及び環境基準は
0.006mg/l、排水基準は0.06mg/lである。

1,2−ジクロロエタン

 無色の液体、沸点113.8℃、比重1.44。水にわずかに溶け有機溶媒に可溶、揮発性で土壌吸着性は低く、大気中で光化学分解される。溶剤、粘着剤、ラッカー、テフロンチューブの生産等に用いられている。
 水質汚濁に係る環境基準は0.006mg/lである。

1,3−ジクロロプロペン

 農薬。水より重い淡黄色の液体で揮発性を有し、沸点は約180℃である。水に溶けにくく、土壌に吸着されにくい。土壌中で生分解される。土壌くん蒸剤、土壌線虫の殺虫剤に用いられている。
 水質汚濁に係る環境基準は0.002mg/lである。

EPN

 エチルp−ニトロフェニルホスホロチオネートの略で「水質汚濁防止法」において、人の健康に係る被害を生ずるおそれのある物質に指定されている。

硫黄酸化物(SOX
 二酸化硫黄(SO2、亜硫酸ガスともいう。)、三酸化硫黄(SO3、無水硫酸ともいう。)などの硫黄の酸化物の総称で、燃料中の硫黄分の燃焼等に伴い発生する。
 硫黄酸化物は、それ自体有害であるし、環境大気中では他の汚染物質と共存することによって人間や動植物に影響を与える。特に環境での人間に対する影響としては、いわゆる「ぜんそく」を引き起こす等呼吸器への影響が顕著である。

いき値〔閾値〕(閾界濃度、限度濃度、恕限度)

 一般には、刺激を感知できるか否かの境目にあたる刺激の強さをいう。
 臭気については、臭気性ガスの臭気の強さを表す尺度として5段階分類法があるが、この分類法による臭気の強さが 0.5となるときの、その臭気性ガスの濃度のことである。この濃度では多くの人がかろうじて臭気を認めることができる。いき値の測定は官能試験によるものであるため、報告者によってその値は大幅に異なっており、確定したいき値というものはない。

一次汚染物質

 工場からのばい煙、粉じん、自動車の排出ガス等発生源から直接的に発生する汚染物質をいう。

一酸化炭素(CO)
 炭素又は炭素化合物の不完全燃焼によって発生する。一般には、燃料の不完全燃焼によって発生するが、都市における最大の発生源は、自動車の排出ガスである。一酸化炭素は、血液中のヘモグロビンと結合して、呼吸困難を引き起こす。

一酸化窒素(NO)

   窒素酸化物(NOX)の項を参照

一般廃棄物
 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」では、一般廃棄物とは産業廃棄物以外の廃棄物であると定義されている。具体的には、家庭から排出されるごみやし尿、オフィスから排出される紙くずなどである。一般廃棄物の処理は原則として市町村が行うこととされている。

インタープリター(自然解説指導者)

 自然と人間との間の通訳の役割を果たし、自然の発するメッセージを分かりやすく人々に伝える人のこと。アメリカの国立公園などには、インタープリターが多数いて、公園利用者に対する環境教育を行っている。
 我が国でも、自然公園や雑木林等の身近な自然のフィールドで、様々な体験・解説プログラムを通して環境教育を行う指導者の育成と活用システムの整備が急務となっており、行政と民間の双方で様々な取組が行われている。

インタープリテーション

 本来は「翻訳」の意味。「自然解説」と訳されているが、自然物だけではなく、歴史文化遺産も含めた事物の意味を伝えること。
 「インタープリテーションとは総合芸術である」とは、米国の研究家の言葉。様々な手法を使ってそのものの裏にある大切なメッセージを伝える。

【う】

上乗せ排出基準
 「大気汚染防止法」又は「水質汚濁防止法」の規定に基づき、総理府令で定める全国一律の排出基準又は排水基準に代えて適用する基準で、都道府県が地域の実情に応じ条例で定める。

【え】

栄養塩類
 植物プランクトンや海藻が増殖するために必要な物質でけい素、りん、窒素等の塩類の総称である。

エコスラグ
 スラグとは、金属等を溶融し精錬するときに出る石灰やマグネシウムなどが主成分の非金属製のかすのことで、煉瓦やセメントを作る材料となる。
 エコスラグは、一般廃棄物あるいはその焼却灰を溶融後に冷却して生成されたスラグと、下水汚泥あるいはその焼却灰を溶融後に冷却して生成されたスラグがあり、これらを有効利用することによって埋立処分量を減らすことができる。

エコツーリズム

 自然の営みや人と自然との関わりを対象とし、それを楽しむとともに、その対象となる地域の自然環境や文化の保全に責任を持つ観光のあり方。

エコファーマー
 「持続性の高い生産方式の導入の促進に関する法律」に基づき、知事から認定を受けた農業者の愛称。

エコマーク

 環境への負荷が少なく環境保全に役立つと認められた商品に付けられる環境ラベルの一種。約70の商品類型ごとにエコマーク商品として認定されるための基準があり、専門家による審査委員会で基準を満たしているか確認し、認定が行われる。
 環境(Environment)と地球(Earth)の頭文字「e」が人間の手の形となって、地球をやさしく包み込んでいるデザインとなっている。

SS(浮遊物質)
 水に溶けないでその中に浮遊している物質で、水の濁りの原因となり魚介類に付着し、川底に沈積して流れを悪くする。この沈積したものが有機物であれば腐敗したりするので、BODを増す原因にもなる。

MSDS(化学物質等安全データシート)

 個別の化学物質について、安全性や毒性に関するデータ、取扱方、救急措置などの情報を記載したもの。
 「化学物質排出把握管理促進法」では、政令で指定された化学物質等を取り扱う事業者に、事業者間の取引を行う際、その提供を義務づけている。

塩化水素(HCl)
 無色の刺激臭の強い気体で、水に溶解したものが塩酸である。金属溶解性が強く腐食性物質である。大気中には塩化ビニールの燃焼等に伴い放出される。

塩素(Cl2)

 常温では緑黄色の気体で特有の強い刺激臭を持ち、水にはわずかに溶解する。容易に液化できるためボンベ又はタンクに入れて取り扱われ、化学、製薬、金属、精錬、製紙等の工業及び上水道での消毒等にも広く用いられる。また、強い毒性を持ち、眼、鼻、のど等に障害を与える。

【お】

オキシダント(OX)
 オゾン、アルデヒド、PAN(パーオキシアセチルナイトレート)などの酸化性物質の総称である。大気中の窒素酸化物、炭化水素等が紫外線によって光化学反応を起こした結果生成するオキシダントは光化学オキシダントとも呼ばれ、その大部分はオゾンで、光化学スモッグの原因物質といわれている。

オゾン(O3

 酸素の同素体で、大気中の酸素が紫外線、雷光等によって反応し生成する。オゾンは、有機物の酸化分解や漂白剤として利用される物質で、最近は光化学スモッグに関連し、粘膜を刺激したり、植物被害、ゴムの劣化を起こす汚染物質として注目されている。

オゾン層
 地上から20〜40km離れた成層圏には、オゾン濃度が高い場所がある。その層をオゾン層といい、太陽からの有害な紫外線を吸収して、地上の生物を紫外線から守る「宇宙服」の役割を果たしている。
 このオゾン層が破壊されると有害な紫外線が地上に降り注ぎ、皮膚がんや白内障が増えるといった人の健康に悪影響を生じると指摘されている。

オゾン層破壊係数

(ODP・Ozone Depletion Potential)

 大気中に放出された物質がオゾン層に与える破壊効果を、CFC11(CClF)を1.0として相対値として表したもの。

オゾンホール

 オゾン層が破壊されて穴のようになっている部分。南極大陸での10数年の観測でここ数年、8〜10月にこの現象が起こっていることが確認され、人間が使うフロンガスによるオゾン層の破壊との関連が注目されている。なお、北極地域での小規模なオゾンホールの存在も報告されている。

汚濁源

 河川などの公共用水域やその流域における自浄作用の喪失、都市美観の破壊、農水産資源、工業用水道及び上水道への被害などいわゆる公害を直接又は間接的に起こす原因となるものを汚濁源といい、汚濁源として都市下水、工場・事業場排水、汚物、じん芥、し尿、鉱山廃水、じん芥集積場からの汚物、放射性物質、農薬、殺虫剤などが挙げられる。

汚濁負荷量

 河川水を汚濁する物質の総量をいい、汚濁負荷量=水質×水量によって計算される。水質汚濁は水質と水量に密接な関係があり、水質汚濁防止対策のためには、どれだけの汚染物質が入っているかという汚濁負荷量を正確に把握し、どれだけカットすれば河川がきれいになるかという削減負荷量を調べなければならない。

汚泥
 工業廃水等の処理後に残る泥状のもの及び各種製造業の製造行程において生ずる泥状のもので、有機性及び無機性のもののすべての総称である。

音風景
 人々が地域のシンボルとして大切にし、将来に残していきたいと願っている音の聞こえる環境のことをいう。8年7月に「日本の音風景100選」が選定され、本県でも栃木市の「太平山あじさい坂の雨蛙」が認定された。

 

【か】

外来種
 人間の活動によって植物や動物が移動し、それまで生息していなかった地域に定着し、繁殖するようになった種のこと。スポーツフィッシングなどのために放流されたオオクチバスや、ペットとして飼いきれなくなって捨てられたアライグマのように意図的に持ち込まれるケースと輸入品と共に移動する種子のように非意図的に持ち込まれるケースがある。
 いずれの場合も定着した地域の在来種
 (もともと生息する種)との生存競争が起こり、在来種が絶滅に追いやられるケースも出ている。

かおり風景
 人々が心地よいと感じることができるかおりで、地域の自然や文化などと関わりのある風景とあわせて将来に残していきたい環境のことをいう。
 13年10月に「かおり風景100選」が選定され、本県でも今市市「今市竜蔵寺の藤と線香」、日光市「日光霧降高原のニッコウキスゲ」、那須町の「那須八幡のツツジ」が認定された。

拡散

 煙突から排出された煙が風下方向に流れながら希釈され、次第に目に見えなくなるような現象をいう。液体の中を異種の液体又は微粒子が広がっていく現象も拡散という。

活性汚泥法

 有機性汚水に空気を吹き込むとその汚水に適した好気性の微生物が繁殖し、フロックを形成するようになる。通気を止めるとフロックは急速に沈降し、透明な処理水が得られる。このフロック状のスラッジは、汚水中のコロイド状あるいは溶解性の有機物を吸着し、酸化分解する。この現象と作用を利用して汚水を浄化する方法を活性汚泥法という。活性汚泥法は最初沈殿池、ばっ気槽、最終沈殿池及び活性汚泥のばっ気槽への返送の4段階で構成される。

カドミウム(Cd)
 銀白色の軟らかい金属で亜鉛とともに産出される。カドミウムメッキや溶けやすい合金の原料として用いられるほか、硫化物は、黄色顔料や塗料として使用される。慢性中毒になると腎臓障害、骨変化等を起こす。イタイイタイ病の一要因として注目された。
 水質汚濁に係る環境基準は、0.01mg/lである。

環境影響評価(環境アセスメント)
 大規模な開発行為を行う前に、事業の実施が環境に及ぼす影響について十分な調査、予測及び評価を行い、環境の保全について適正な配慮がなされることを確保する手続。

環境学習
 人と環境のかかわりについての知識や体験を通して、環境のしくみや現在の環境の状況についての理解と認識を深めることで、将来にわたり豊かな環境の恵みを受けるために、自発的な責任ある行動がとれるようにするための学習。

環境管理

 企業が企業活動を行う際に、法令等の規制基準を遵守することにとどまらず、環境への負荷の低減を図るため、自ら遵守すべき環境保全の方針や達成すべき目標等を設定し、これらの実行や達成のために自主的に取り組むといった内容を示す言葉として様々な環境分野で用いられる。

環境基準
 人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準であり、環境施策に係る行政目標のことである。環境基準は、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染及び騒音について決められている。

環境基本計画

 環境基本法(平成5年法律第91号)第 15条に基づき、環境保全に関する基本的な計画として6年12月に閣議決定され、12年12月に変更されている。
 「循環」「共生」「参加」「国際的取組」の4つの長期的な目標を掲げ、その実現のための施策の展開の方向等を明らかにしている。

環境月間
 昭和47年6月にスウェーデンのストックホルムで開催された国連人間環境会議において「人間環境の擁護、向上は人類の至上の目標である」として、「人間環境宣言」が採択され、環境問題が世界共通の重要な問題として認識されることになった。
 これを記念して、国連では6月5日を「世界環境デー」とし、毎年この日に世界的な活動を行うことになった。我が国では3年度以降、6月を「環境月間」として諸行事が実施されている。
 なお、5年11月に制定された「環境基本法」において、6月5日が「環境の日」と定められており、キャンペーン等が展開されている。

環境への負荷

 「栃木県環境基本条例」では、「人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。」と定義されている。あわせて、「人間社会の規模が巨大になるにつれ、環境から取り入れる有用物の量、環境に捨てる不用物の量が自然の復元能力(再生・浄化)を超え、その結果、供給源及び吸収源としての環境が次第に損なわれつつある。このため、自然の回復能力、復元能力を超える部分について、これを低減させるための施策を講じていくことが必要である」との認識が示されている。環境への負荷には、汚染物質等が排出されることによるもの、動植物等の自然物が損傷されることによるもの、自然景観が著しく損なわれることによるものなどがある。

環境保全型農業
 農業の持つ物質循環機能を生かし、土づくりを基本に化学肥料、化学農薬の使用低減等による環境と生産性との調和に配慮した持続可能な農業。

環境ホルモン(内分泌攪乱化学物質)
 外部から生体内に入って、生体内で営まれている正常なホルモン作用(内分泌)に影響を与える化学物質をいう。環境ホルモンとして、DDTなどの農薬、ポリ塩化ビフェニル、有機スズ化合物などが指摘されているが、化学的に未解明な点が多く、人への作用メカニズムの解明など、多方面からの調査研究が必要とされている。

環境容量

 排出された環境汚染物質が環境の浄化作用によって浄化しうる限界があるものとし、その限界を環境容量あるいは環境受容能力という。また、環境基準と同じ意味で使われることもある。

観測井

 地盤沈下がどの深さにおいて、どの程度の速さで生じているか、また、地下水位の状態はどのようになっているかを観測するための井戸である。その装置は、地下に鉄管を埋設し、鉄管の下部は堅い地層に固定させ、この地層の上の部分が収縮することにより相対的に鉄管が浮き上がってくるような構造になっている。また、鉄管内にフロートを浮かせ地下水位も測定できるようになっている。

官能試験法
 臭気の測定法は官能試験法と機器分析法とに大別することができるが、機器分析法が臭気成分の分析を主目的とするのに対し、官能試験法は臭気の質と、その強さの測定を目的として行われるものである。官能試験法では検体が液体である場合にはこれを無臭水で、気体である場合には無臭空気で希釈し、いき値に達したときの希釈倍率をもって臭気の強さを示すのが普通である。前者に属する試験法としては、ASTMD1292−65、日本水道協会法、JIS−K−0102、食塩水平衡法などがあり、後者に属する試験法としては、ASTMD1391−57、ネーダー氏法、オルファクトテスター、圧力比法、臭研木下式、無臭室法、三点比較式臭袋法などがある。

【き】

危急種
 絶滅の危機が増大している種または亜種。もしも現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用するならば、近い将来「絶滅危惧種」のランクに移行することが確実と考えられるもの。

希少種

 存続基盤が脆弱な種または亜種。現在のところ絶滅危惧種にも危惧種にも該当しないが、生息条件の変化によって容易にこれらのランクに移行する要素を有するもの。

規制基準
 工場等から排出される汚水、ばい煙及び発生する騒音等についての限度を定めた基準であり、この数値は、人体に影響を及ぼす限界あるいは農作物などに影響を及ぼす限界などを考慮して定められ、具体的数値は、各法令に定められている。

逆転層

 大気の温度は、一般に高さが増すと低くなるが、これが逆に高くなっている気層の状態があり、これを大気の逆転層という。逆転層内の気層は安定であるため、煙の拡散は悪くなり、スモッグの原因となる。

98%値

 二酸化窒素の長期的評価による環境基準適合を判定するときに用いる値であり、年間における測定値の1日平均値のうち、低い方から98%に相当する値。ただし、1時間値の欠測が4時間を超える日の日平均値は用いない。

【く】

グリーン購入・調達
 商品やサービスを購入する際に、その必要性をよく考え、価格や品質だけで選択するのではなく、環境への負荷ができるだけ小さいものを優先的に購入・調達すること。

グリーンコンシューマー

 消費者が、環境に配慮した商品を選択することによって、販売店やメーカーにエコ商品を販売、製造することを促し、市場全体をグリーン化するための消費者行動をいう。また、そのような行動をする消費者そのものを示すこともある。

クローズドシステム

 水使用を合理化し、用水量の節減を図り、排出量も減少させることは、あらゆる産業を通じて要求される状況となっている。また、公害を防止するための最善の策は、排水を外部に出さないということである。この目的を達成するために技術革新が行われ、排水を完全に浄化し循環使用することができるようになった。このような排水等を外部に出さないで再利用するシステムをクローズドシステムという。

クロム(Cr)

 空気及び湿気に対して極めて安定であり、すなわち酸化されにくい硬い金属であるので、日用品、装飾品をはじめとして広くめっきに利用されている。クロム化合物のうち三価クロムは、ほとんど毒性がないが、六価クロムは、極めて毒性が高い。六価クロムの水質汚濁に係る環境基準は、0.05mg/lである。

【け】

K値規制
 煙突の高さに応じて硫黄酸化物の許容排出量を定める規制方式で、Kの値が小さいほど厳しい基準となる。なお、具体的数値は、「大気汚染防止法」で定める地域ごとに政令により定められている。

下水道
 公衆衛生の向上、公共用水域の水質保全などを目的として、生活排水、工場排水を集めて、処理する施設を下水道といい、主として公共下水道、流域下水道がある。また、主に雨水排除を目的とした都市下水路も下水道の1つである。
 さらに、農業集落排水事業、コミュニティ・プラント、合併処理浄化槽も広い意味での下水道といわれている。

健康項目
 人の健康に影響を及ぼす項目。例えば、水質については、重金属、農薬等26項目が定められている。

建設廃棄物

 建設副産物のうち、廃棄物処理法に規定する廃棄物をいう。アスファルト・コンクリート塊、コンクリート塊、建設発生木材、建設汚泥、建設混合廃棄物などが主たる内容である。

建設発生土

 建設工事に伴って発生する土砂類をいう。

建設副産物

 建設工事に伴い副次的に得られるものを総称していい、廃棄物処理法により廃棄物として定義されるものと、原材料として利用可能な再生資源に分けられる。
〈建設副産物、廃棄物、再生資源の関係〉

 

【こ】

広域大気汚染
 影響が数県にわたるような大気汚染をいう。光化学スモッグ、酸性雨はその例である。

公害
 公害とは、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。(環境基本法第2条第3項)

公害防止協定
 地方公共団体と企業、住民団体と企業などの間で、公害防止のために必要な措置を取り決める協定のことをいう。「公害規制法」の不備を補い、地域の特殊性に応じた有効な公害規制を弾力的に実施するのに適するため、法律や条例の規制と並ぶ有力な公害防止対策上の手段として広く利用されている。

光化学オキシダント
   オキシダントの項を参照

光化学スモッグ
 大気中に存在する炭化水素、窒素酸化物などが紫外線の作用を受け新しい物質が生成される。この二次生成物のうち、オゾン、PAN(パーオキシアセチルナイトレート)等をオキシダント(酸化性物質)と総称し、これが特殊な気象条件のもとでスモッグを発生させる。このスモッグが光化学スモッグと呼ばれ、目のチカチカ、のどの刺激等の症状や植物被害を発生させる。

降下ばいじん
 大気中から雨水とともにあるいは単独に地面に降下したばいじんをいい、その量は、t/ku/月で表される。

公共用水域
 「水質汚濁防止法」では、「公共用水域とは、河川、湖沼、港湾、沿岸海域その他の公共の用に供される水域及びこれに接続する公共溝きょ、かんがい用水路その他公共の用に供される水路(「下水道法」第2条第3号及び第4号に規定する公共下水道及び流域下水道であって、同条第6号に規定する終末処理場を有しているもの(その流域下水道に接続する公共下水道を含む。)を除く。)をいう。」と定義されている。

コカナダモ
 関東以西の湖沼、河川などの浅い水中に群生する沈水性の多年草。アメリカ北東部原産で昭和初期にもたらされた帰化植物。低温や水流に耐え、そのままで越冬する。茎葉は折れやすいが、繁殖力が強く、そのまま根付いて増える。
 藻類は生育時には栄養塩類を吸収し、水質浄化作用があると考えられるが、枯れると湖底に堆積し汚濁の原因となる。

コ・ジェネレーション・システム(Co-Generation System)

 コ・ジェネレーションとは、燃料を燃やして得られる熱を動力や電力に変えると同時に、その排熱(未利用熱)を熱源として暖房・給湯などにも利用するシステムで、熱効率(省エネルギー効果)が極めて高いのが特徴である。

こどもエコクラブ
 子どもたちが地域の中で、主体的に環境学習及び環境の保全に関する活動を行うクラブで、環境省が7年度から「こどもエコクラブ事業」として支援している。数人から30人程度の小中学生及び助言等を行う1名以上の大人(サポーター)から構成される。クラブでは、自主的に行う「エコロジカルあくしょん」と、全国共通の「エコロジカルとれーにんぐ」とよばれる環境に関する行動を行う。

コンポスト

 生ごみや落ち葉、わらのような植物等の有機物を、土中の微生物を利用して発酵・分解して堆肥化すること。

 

【さ】

サーマルリサイクル
 廃棄物から熱エネルギーを回収し、焼却施設や近隣施設の冷暖房や温水施設、農業などの熱源として利用する方法や技術のことをいう。

最終処分
 廃棄物を自然環境に還元すること。これには埋立処分、海洋投入処分があり、法令により一定の処理基準が定められている。

最終処分場
 一般廃棄物及び産業廃棄物を埋立処分するために必要な場所及び施設・設備の総体をいう。産業廃棄物処分場には、安定型、管理型、遮断型の種類がある。

3R
 環境への負荷の少ない循環型の社会を形成するための廃棄物等に対する3つの取組である「発生抑制(Reduce)」、「再使用(Reuse)」、「再生利用(Recycle)」のこと。これらの頭文字をとって「3R」という。
 「発生抑制」とは、原材料を効率的に利用したり、製品を長期間使用したりすることにより、ごみの発生をできるだけ少なくすること。
 「再使用」とは、不要になったものをそのままもう一度使用したり、他の製品の一部として使用したりすること。
 「再生利用」とは、不要になったものを新たな製品の原材料として利用すること。

産業廃棄物
 事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃えがら、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、その他政令で定める廃棄物をいう。
 産業廃棄物の処理は、排出事業者が自ら処理することが原則とされている。

酸性雨
 大気中の硫黄酸化物や窒素酸化物等の強酸性物質が溶けこんで強い酸性を示す雨や霧をいい、一般にpH5.6以下の雨を酸性雨という。近年、我が国でも欧米と同程度の酸性雨が観測されている。湖沼の酸性化に伴う魚類の激減や森林被害が報告されている。

三点比較式臭袋法

 悪臭官能試験法の1つで、においを無臭の空気でその検知、又は認知いき値まで希釈した希釈倍数(臭気濃度)をもって数量化する方法であり、3個1組の臭袋のうち、においの入っている1つの袋を選択する方法により先入観の排除を図り、また、パネル選定試験等により安定性の確保に努めている。
 三点比較式臭袋法は、昭和46年東京都公害研究所において開発され、昭和52年に東京都公害防止条例で採用された。

【し】

シアン化合物(CN化合物)
 青酸(シアン化水素)及びその塩類の総称である。呼吸困難となり人が数秒で死ぬほどの猛毒で致死量0.06gといわれている。めっき工場や鉱山などの青酸化合物を使用する事業場からの廃液に含まれ公害の原因となる。水質汚濁に係る環境基準は全シアンとして検出されないことである。

四塩化炭素(CCl4

 無色透明の液体、水に難溶、沸点76.7
 ℃、比重1.63。揮発性で大気中で安定、オゾン層破壊の原因物質の1つである。土壌吸着性は低く、地下に浸透しやすい。微生物による分解が可能である。フルオロカーボン類の原料、溶剤、機械洗浄剤、殺虫剤等に用いられている。
 水質汚濁に係る環境基準は0.002mg/lである。

COD(化学的酸素要求量、Chemical Oxygen Demand )

 水中の有機性汚濁物質が化学的に分解されるときに必要な酸素の量で、この数値が大きいほど水質汚濁が進んでいる。

ジクロロメタン
 無色透明の芳香のある水より重い液体。沸点40℃、不燃性、非引火性、湿気により加水分解する。土壌吸着性及び生分解性は低く大気中では容易に光化学分解する。溶剤、ウレタン発泡助剤、エアロゾルの噴射剤、冷媒、抽出溶媒等に用いられている。
 水質汚濁に係る環境基準は0.02mg/lである。

シス−1,2−ジクロロエチレン

 無色透明の液体で、芳香臭、刺激性、揮発性がある。蒸気は空気より重く水に難溶であるが、有機溶剤に自由に混合される。表流水では直ちに蒸散し、大気中で光化学的に分解される。土壌吸着性が低く地下に浸透しやすい。溶剤、染料抽出剤、ラッカー、有機合成原料等に用いられている。
 水質汚濁に係る環境基準は0.04mg/lである。

自然環境保全地域
 高山性植生、亜高山性植生、優れた天然林等のうち、自然的社会的諸条件から見て、その自然環境を保全することが特に必要な地域として、「自然環境保全法」又は「県自然環境の保全及び緑化に関する条例」に基づき指定した地域をいう。

自然公園
 優れた自然の風景地に、その保護と利用を図るため区域を画して設けられる公園をいい、国が指定する国立公園、国定公園のほか、県が指定する県立自然公園の3種類がある。

湿性大気汚染

 酸性雨による大気汚染のこと。酸性雨の項を参照。

指定区域

 「土壌汚染対策法」において、有害物質使用特定施設の使用の廃止時または都道府県知事等による調査命令により行われた土壌汚染状況調査の結果、土壌の汚染状態が指定基準に適合しない場合に、都道府県知事等が指定する区域をいう。

自動車排出ガス

 自動車のエンジンの燃焼排出ガスをいう。自動車排出ガス中には一酸化炭素、窒素酸化物、炭化水素粒子状物質等の有害物質が含まれており、環境に与えている影響は大きい。

シマジン

 農薬。白色の結晶、水及び有機溶剤にも溶けにくく、自然環境中では比較的安定である。土壌中の移動性は小さく、有機物含有量が少ない土壌では地下浸透の可能性がある。非ホルモン性土壌処理剤(殺草)として用いられている。
 水質汚濁に係る環境基準は0.003mg/lである。

シミュレーション(Simulation)

 模擬実験のこと。社会現象テスト、自然現象の観察、工場団地の計画など、実際に自由に試してみることのできないことを、実際とよく似たモデルを作り、コンピュータ等を使って実験してみること。

重金属
 比重4.0以上の金属。水銀、カドミウム、銅、鉛、クロム等生体に入ると微量でも有害なものが多い。

シュレッダーダスト

 廃自動車や廃家電製品を破砕し、比重の大きい鉄スクラップと非鉄金属スクラップを選別回収した後の、プラスチック・ガラス・ゴムなど比重の小さいものからなる廃棄物をいう。
 具体的に問題なのは、自動車シュレッダーダスト(ASR:automobileshredder residue)である。破砕業者が廃棄する廃自動車のシュレッダーダストは車重量の約20%の割合で発生し、年間55〜75万tにのぼる。埋立処分場の延命の点から、固化減容を含む発生削減と有効利用手法の技術的確立が急務となっている。

浄化槽
 トイレと連結してし尿及びこれと併せて厨房排水や洗たく排水などの生活雑排水を処理し、公共下水道以外に放流するための設備。合併処理浄化槽ともいう。なお、し尿のみを処理する単独処理浄化槽は、12年の浄化槽法の改正により新設が禁止された。

硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素
 自然界における窒素循環の一化学形態。硝酸塩及び亜硝酸塩は一方の形態から他方の形態へと変わる。土壌・水・植物中に広く存在している。多量に人体に摂取された場合、メトヘモグロビン血症を起こす。
 水質汚濁に係る環境基準は10mg/lである。

新エネルギー
 石炭・石油などの化石燃料や核エネルギーに対し、新しいエネルギー源や供給形態の総称をいう。新エネルギーには、太陽光発電、風力発電などの再生可能な自然エネルギー、廃棄物発電などのリサイクル型エネルギーのほか、コ・ジェネレーション、燃料電池等のエネルギーの新しい利用形態も含まれる。

【す】

水域類型
 水質汚濁に係る環境基準のうち、生活環境の基準については、河川、湖沼、海域別に利水目的に応じた水域を区切ってAA、A、B、C、D、Eの6つの類型を設けている。pH、BOD等の項目について、それぞれの水域類型ごとに環境基準値を定め、各公共用水域に水域類型のあてはめを行うことにより当該水域の環境基準値が具体的に示される。

水温躍層

 湖沼の夏の水温を表面から深部にかけて計ると、表面では水温が高く深層では低いが、その間のある層で温度が急に低下するところがある。この層を水温躍層といい、これより上層を表水層、下層を深水層という。

水銀(Hg)
 重金属のひとつで有毒。蒸気を吸入したり皮下呼吸すると全身中毒を起こす。水銀の可溶性塩類、例えば塩化第二水銀(HgCl2)は、猛毒で消化器官を侵す。致死量は、0.2〜0.4gである。水質汚濁に係る環境基準は0.0005mg/lである。

水準点
 水準測量によりその標高を決定してある点。日本では、全国の国道、県道沿いに2kmおきに1等水準点が設置され、その標高が0.1mmまで決定されている。水準点は、半球状の凸起をもった花崗岩石材や凸型の金属を頭部に埋め込んだコンクリート・ブロックなどを地中に埋めて作られている。
 日本では、水準測量の基準となっている水準点を水準原点と呼び、国会議事堂横の尾崎公園内にあり、東京湾平均海面上24.4140mと定めている。

水生生物
 水生生物は、生息場所、移動力の大小により、底生生物(底泥中で生活するもの)、遊泳生物(遊泳して生活するもの)、浮遊生物(プランクトン、水に浮いて生活するもの)などに分類される。この底生生物のうち動物を特に底生動物という。底生動物は、移動性が小さく、研究も比較的進んでいるので、特定の河川や海域などの水質環境を生物学的に評価する際に指標の1つとして使われる。

ストレーナー(Strainer)

 地下水の採取による帯水層の崩壊や砂の流入を防止するために、井戸のケーシング(鋼管)に設けた穴あき管をいう。このストレーナーの深さにより井戸がどのような深さにある地下水をくみあげているのかが分かり、地盤沈下に与えている影響を判断することができる。

スプロール化
 都市周辺の農地が、都市化の進展に伴って無秩序に虫が食ったように宅地化されていく状態をいう。

スラッジ(汚泥)

 一般的に下水処理や工場等の排水処理により、水中の浮遊物質が液体から分離したものをいう。
 スラッジは、水分が多いので非常にかさばることと、有機物を含むので腐敗しやすい点で厄介な問題になっている。また、有害物質を含むスラッジの処分についても確固たる決め手がないだけに大きな問題になっている。

【せ】

生活環境項目
 主として水質の有機汚染を示す指標であり、河川等の外観上の汚さを表す項目で次の項目がある。
 pH、BOD、COD、SS、n−ヘキサン抽出物質(油分)、フェノール類、銅、亜鉛、溶解性鉄、溶解性マンガン、クロム、ふっ素、大腸菌群数、窒素、りん

生息地等保護区
 希少な野生動植物の生息環境を保全するため、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に基づき指定された地域をいう。同地域では、工作物の設置や土地の形状変更等の一定の改変行為が制限される。
 6年12月に、本県の大田原市羽田地区のミヤコタナゴ生息地が、全国で初めて生息地等保護区に指定された。

生態系
 生物群集(植物群落と動物群集)及びそれらをとりまく自然界の物理的、化学的環境要因が総合された系をいう。エネルギーや物質が受け渡される状態から、生物的構成要素は生産者、消費者、分解者の3グループに区分される。また、自然環境に着目して陸上生態系や海洋生態系などに、生物群集に着目して森林生態系や草地生態系などに区分される。

生物の多様性
 「生物の多様性」とは、すべての生物(陸上生態系、海洋その他の水界生態系、これらが複合した生態系その他生息又は生育の場の如何を問わない。)の間の変異性をいうものであり、@多様な生態系が存在するという「生態系の多様性」、A多様な種が存在すること、すなわち、全地球的に種の絶滅が防止され、個々の生態系が多様な種から構成されているという「種間の多様性」、B同じ種においても、多様な地域的個体群が存在することを含め、同じ種の中でもそれぞれの個体が有している遺伝形質が異なるという「種内の多様性」3つのレベルの多様性をいう。

絶滅危惧種
 絶滅の危機に瀕している種または亜種。もしも現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用するならば、その存続が困難なもの。

絶滅種
 わが国ではすでに絶滅したと考えられる種または亜種。

セレン
 灰色の光沢のある固体、室温で安定しており、多くの金属、非金属元素とセレン化合物をつくる。平均地殻存在量は0.05mg/kgである。ガラス、窯業、半導体材料、光電池、コピー感光体に用いられている。
 水質汚濁に係る環境基準は0.01mg/lである。

【そ】

総量規制
 現在の規制基準は、濃度規制が主であるが、濃度規制の場合は、汚染物質の絶対量を規制するものではないため、薄めて排出すればよいという法律のがれが可能である。また、蓄積性有害物質のように長年の蓄積の結果害が現れるような物質の排出を防止できない。このようなことから、地域ごとに環境容量を設定し、汚染物質の地域総排出量が環境容量の範囲内になるように、各排出許容量を配分する規制方式をいう。

 

【た】

ダイオキシン類
 ポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン及びコプラナーポリ塩化ビフェニルをまとめてダイオキシン類という。無色無臭の固体で水に溶けにくく、油などに溶けやすい。物の燃焼に伴い非意図的に生成し、廃棄物焼却炉などから排出される。
 ダイオキシン類の中で2,3,7,8-TCDDは人工物質としては最も強い急性毒性がある物質であり、WHOでは発がん性があると評価している。
 環境基準は大気0.6pg-TEQ/l、水質1pg-TEQ/l、水底の底質150pg-TEQ/g、土壌1,000pg-TEQ/gである。

大気汚染物質
 大気汚染に関する物質は、その発生の条件によって、種類や性状を異にし、気体状のもの、固体状のものあるいは液体状のものなどがある。気体状のものは、硫黄酸化物、窒素酸化物、ふっ化水素、塩化水素、塩素、炭化水素等があり、固体状のものは、ばいじん、粉じん、また、液体状のものは、硫酸ミスト等がある。

代替フロン
 オゾン層を破壊するフロン類に替わり使用される物質。炭素、水素、ふっ素の化合物である「ハイドロフルオロカーボン」(HFC)などが上げられる。オゾン層は破壊しないが、地球温暖化物質である。

大腸菌群数
 大腸菌の存在は、水が人畜のし尿などで汚された証拠であり、その数は、汚染の程度を示す一指標である。

脱硫

 重油中の硫黄分あるいは、排煙中の硫黄酸化物を除去することを一般に脱硫という。亜硫酸ガス汚染が近年最大の公害問題となっていたが、脱硫によりこの問題の基本的解決が図られてきた。重油そのものから直接に硫黄分を除去する「重油脱硫」と排煙から亜硫酸ガスを除去する「排煙脱硫」の2つの方法がある。

炭化水素(HC)
 炭素と水素を含んだ有機化合物の総称である。大気汚染上問題にされる炭化水素は、エチレンを代表とするオレフィン系炭化水素で光化学スモッグの生成に寄与していると考えられている。主な発生源は、自動車、石油精製工場、塗装工場等である。

【ち】

チウラム
 農薬。白色の結晶、比重1.29、融点155℃、水には溶けにくい。酸性条件下で水及び土壌中において分解する。光によっても分解し、土壌吸着性が高い。種子消毒剤、茎葉散布用消毒剤等に用いられている。
 水質汚濁に係る環境基準は0.006mg/lである。

チオベンカルブ

 農薬。無色から淡黄色の液体、比重1.16、融点3.3℃、水に溶けにくく有機溶媒に溶ける。土壌に吸着されやすく、塩素により分解する。除草剤として主に水田で用いられ、野菜、豆類等にも用いられる。
 水質汚濁に係る環境基準は0.02mg/lである。

地下水盆

 1つの大規模な帯水層又は帯水層群の分布地域をいい、この地域内の地下水は、1つの連続した地下水貯水池的な性質を示す。日本の被圧地下水盆は、多くの場合下部洪積層が連続して分布するたい積盆地に相当するところが多い。

地下水面

 地下水本体の上表面、すなわち土中のすきまが水で完全に飽和した部分の上面。地下水面を有する地下水体を自由地下水(不圧地下水)と呼び、その地下水面を自由地下水面(不圧地下水面)という。

地球温暖化
 大気中の二酸化炭素やメタンなどのガスは、地球から宇宙に出ていく熱を閉じこめる働きがあるため温室効果ガスといわれている。近年、化石燃料の燃焼等の人間活動の拡大に伴い、大気中の温室効果ガスが増加しており、近い将来地球の気温が上昇し、生活環境や生態系へ大きな影響を及ぼすことが懸念されている。
 1990年から2100年までの間に、地球の平均地上気温は1.4〜5.8℃上昇し、海面水位は9〜88p上昇すると予測されている。

地球温暖化係数(GWP)

 個々の温室効果ガスが地球温暖化に与える効果を二酸化炭素(CO2)を1.0として相対値として表したもの。

窒素酸化物(NOX
 物の燃焼の際、空気中に含まれる酸素と窒素から発生する。高温になるほどその発生量は多くなる。また燃料の成分中の窒素分も燃焼の際、窒素酸化物になる。エネルギーの消費に伴い年々環境濃度は高まっており、その主な発生源は工場と自動車である。窒素酸化物の代表的なものは一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO2)で、人間に対する影響としては肺気腫等の原因となる。

中間処理
 中間処理とは、廃棄物の最終的な処分(埋立て、海洋投棄など)を行うために廃棄物を処理する行為をいい、ごみの焼却や有害物質を含む廃棄物のコンクリート固形化(コンクリートによる有害物質の封じ込め)などの処理をいう。

鳥獣保護区
 鳥獣の保護繁殖を図るために、環境大臣又は都道府県知事が「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」に基づいて設定する。鳥獣保護区の中では、鳥獣を捕獲することができないほか、土地所有者等は、環境大臣又は都道府県知事が当該土地又は立木竹に営巣、給餌施設等を設置することを拒むことができない。

【て】

TEQ(毒性等量)
 ダイオキシン類は種類によって毒性の強さが異なるが、ダイオキシン類としての全体の毒性を評価するために、最も毒性が強いとされている「2,3,7,8-四塩化ジベンゾジオキシン (TeCDD)」の毒性を1とし、この毒性に比較して定められた種類ごとの係数を乗じて合計したものをいう。

TOC(全有機炭素量、Total Organic Carbon)
TOD(全酸素消費量、Total Oxygen Demand)

 川の汚れの指標となるBODは、水中の有機性汚濁物質が微生物によって分解される際に消費される酸素の量を表しているが、この分解には第1段階と第2段階がある。第1段階では主に炭素化合物の酸化が行われ、20℃で7〜10日を要する。通常用いられるBODは、この第1段階中の5日間における酸素消費量を表しているものであるが、これに換え、第1段階で酸化される炭素化合物の全量を表そうとするのが、TOCとTODである。TOCは炭素量を、TODは酸化に必要な酸素の量を表す。

DO(溶存酸素、Dissolved Oxygen)
 溶存酸素とは、一般に液相中あるいは水中に溶解している分子状酸素をいう。溶存酸素の量は水温や気圧、他の媒質の影響を受け、水温の上昇とともに減少し、大気中の酸素分圧に比例して増加する。河川の上流では、ほぼ飽和に近い溶存酸素が含まれているが、下水や工場排水などにより汚染され有機腐敗物質やその他の還元性物質によりBODやCODが増大し、溶存酸素は消費される。したがって、DOは汚染の度合を示しているといえる。

低公害車
 従来のガソリン車やディーゼル車に比べて、排出ガスに含まれる人体への有害物質の量や騒音が大幅に少ない電気自動車、メタノール自動車、ハイブリッド自動車などをいう。低公害車の普及は、地球温暖化対策や、大都市の大気汚染の改善のための抜本的な対策の1つとして期待されている。

底質
 河川、湖沼及び海洋の水底に堆積した土砂や泥をいう。底質は生物の分布を左右する最も重要な環境要因の1つである。

TDI(耐容一日摂取量)

 長期にわたり体内に取り込むことにより健康影響が懸念される化学物質について、その量までは人が一生涯にわたり摂取しても健康に対する有害な影響が現れないと判断される1日体重1kg当たりの摂取量をいう。ダイオキシン類は、4pg-TEQ/kg体重/日に設定されている。

テクノロジーアセスメント

 技術再点検制度、技術革新の再調整とも訳され、あるいは、政策決定のための技術の総合評価とも訳される。新技術、新物質などの開発に当たっては、それが人間社会や環境にどのような影響を及ぼすかを調査、評価、監視し、広い視野から総合的体系的に検討して、政策決定に持っていこうとするものである。

デシベル(dB)
 音の強さなどの物理量をある標準的な基準量と対比して、相対的な比較検討を行うのに用いる単位。騒音や振動等のレベルを表すのに用いる。

テトラクロロエチレン
 無色透明の液体、水に不溶、不燃性、沸点121℃、比重1.62。揮発性で生物分解性が低く、有機物含有量が多い土壌には吸着されるが一般には吸着性が低い。溶剤、メッキ・医薬品・香料の製造工程等に用いられている。
v水質汚濁に係る環境基準は0.01mg/lである。

テレメータシステム
 各地に設置した測定局と監視センターとの間でデータ通信を行い、測定データを収集するとともに、データの蓄積、加工及び提供を行うシステム。
 現在、県内の大気汚染の状況を監視し、光化学スモッグ対策等に役立てられている大気環境情報システム及び県南部の地盤沈下を監視する地盤沈下テレメータシステムが稼働している。

典型7公害
 社会的に公害と呼ばれる事象は、範囲が広く、建築物による日照の阻害、道路照明等の人工光源による農作物被害、電波障害等も公害と呼ばれている。典型7公害とは「環境基本法」で規定されている公害であって、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下及び悪臭をいう。

【と】

銅(Cu)
 普通の表流水中の銅の含有量は0.05mg/l以下であるが、地下水中に12mg/lもあることが発見されている。銅塩は、繊維、なめし、写真、彫刻、電気めっき、殺虫、殺菌など多くの分野において用いられている。

等価騒音レベル(LAeq)
 ある時間範囲について、変動する騒音レベルをエネルギー的な平均値として表したもので、11年4月から環境基準の改定により、従来の中央値に変わる評価方法となった。

透明度

 水の汚れの程度を透明さで示すもので、セッキー円板と呼ばれる直径約30cmの白ペンキ塗りの円盤を水中に沈め、上から円板が見えなくなる深さをmで示す。

特定悪臭物質
 工場その他の事業場における事業活動に伴って発生する悪臭物質の排出の規制を目的とした悪臭防止法第2条において、「アンモニア、メチルメルカプタンその他の不快なにおいの原因となり、生活環境を損なうおそれのある物質であって政令で定めるもの」と規定され、同法施行令第1条により定められている物質。昭和47年にアンモニア等5物質、51年に二硫化メチル等3物質、平成元年にプロピオン酸等4物質、5年にプロピオンアルデヒド等10物質が指定され、7年度末現在22物質が特定悪臭物質となっている。

特定建設作業
 「騒音規制法」及び「振動規制法」の規制対象になっている作業で、建設作業として行われる作業のうち、くい打機、びょう打ち機を使用する作業など著しい騒音と振動を発生する作業をいう。

特定建設資材

 建設資材のうち、建設リサイクル法で定められた次のものをいう。コンクリート、コンクリート及び鉄から成る建設資材、木材、アスファルト・コンクリート

特定建設資材廃棄物

 特定建設資材が廃棄物となったものをいう。

特定施設
 公害規制法令の規制の対象になっている施設で、汚水を排出する施設、騒音、振動を発生する施設等をいう。

特定有害物質
 農用地の土壌の汚染防止等に関する法律では、カドミウム及びその他化合物、銅及びその他化合物、砒素及びその他化合物をいい、土壌汚染対策法では、カドミウム及びその化合物、六価クロム化合物、シマジン、シアン化合物、チオベンカルブ、四塩化炭素、1.2−ジクロロエタン、1.1−ジクロロエチレン、シス−1.2−、ジクロロエチレン、1.3−ジクロロプロペン、ジクロロメタン、水銀及びその化合物、セレン及びその化合物、テトラクロロエチレン、チウラム、1.1.1−トリクロロエタン、1.1.2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、鉛及びその化合物、砒素及びその化合物、ふっ素及びその化合物、ベンゼン、ほう素及びその化合物、ポリ塩化ビフェニル、有機リン化合物をいう。

特別管理一般(産業)廃棄物
 一般(産業)廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。感染性の医療廃棄物や揮発性の廃油などがある。

トリクロロエチレン
 無色透明の液体、水に難溶、有機溶媒に可溶、沸点86.7℃、比重1.46。中枢神経に抑制作用、高濃度で麻酔作用があり、脱油脂類洗浄剤、溶剤に用いられている。
 水質汚濁に係る環境基準は0.03mg/lである。

トリハロメタン

 メタン(CH4)の四つの水素原子のうち3個が塩素や臭素などのハロゲン原子で置き換わった化合物である。具体的には、クロロホルム(CHCl3)、ブロモジクロロメタン(CHBrCl2)、ブロモホルム(CHBr3)、ジブロモクロロメタン(CHBr2Cl2)の4物質が代表的な物質である。これらのトリハロメタンは、水道原水中に含まれるフミン質等の有機物質が浄水処理の過程で注入される塩素と反応して生じる。

トリハロメタン生成能

 一定の条件下でその水が持つトリハロメタンの潜在的な生成量をいい、具体的には一定のpH(7±0.2)及び温度(20℃)において、水に塩素を添加して一定時間(24時間)経過した場合に生成されるトリハロメタンの量で表される。

 

【な】

75%値
 BODやCODの環境基準適合状況を判定するときに用いる。年間の日間平均値の全データをその値の小さいものから順に並べ、0.75×n番目(nは、日間平均値のデータ数)のデータ値が75%値である。(0.75×nが整数でない場合は、端数を切り上げた整数番目の値とする。)

鉛(Pb)
 融点が低く、非常に軟らかく加工しやすく、そのうえ耐蝕性に富んでいる。鉛は、蓄積性毒があり、水質汚濁に係る環境基準は0.01mg/lである。過去において自動車排出ガスからの鉛の放出が問題になった。

【に】

二酸化硫黄(SO2)
 硫黄酸化物(SOX)の項を参照

二酸化炭素(CO2
 炭酸ガス又は無水炭酸ともいう。無色、無臭の安定な気体で水に溶け、溶液は微酸性を呈する。大気中には約0.03%存在し、植物の光合成に欠くことのできないものである。しかしながら人間が、石油、石炭、天然ガスという化石燃料を大量に使うようになり数十年前に比べると十数%ぐらい増加し、引き続き増加の傾向にあるといわれている。

二酸化窒素(NO2
 窒素酸化物(NOX)の項を参照

二次汚染物質

 一次汚染物質が他の汚染物質等と化学変化し、新たに生成された汚染物質をいう。大気中で炭化水素(HC)と窒素酸化物(NOX)の混合系に紫外線が作用し生成される光化学オキシダントがその例である。

2%除外値

 二酸化硫黄、一酸化炭素、浮遊粒子状物質の長期的評価による環境基準適合状況を判定するときに用いる値であり、年間にわたる1日平均値のうち、測定値の高い方から有効測定日数の2%にあたる日数分の測定値を除外した値。ただし、1日平均値につき環境基準を超える日が2日以上連続する日は、除外の範囲に入っていても除外しない。

【の】

農薬
 「農薬取締法」では、「農作物等を害する病害虫の防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤その他の薬剤及び農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる成長促進剤、発芽抑制剤その他の薬剤をいう。」と定義されている。水道水水質基準や環境基準健康項目にも何種類か追加され、ゴルフ場農薬45種については暫定指導指針値も定められている。農薬取締法では、農薬の登録検査制度、表示制度、販売や使用の規制等により、農薬の安全かつ適正な使用の確保を図ることとされている。また、農薬による環境汚染を防止し国民の健康の保護と生活環境の保全を図る見地から、@農薬の登録を認めるかどうかの基準(農薬登録保留基準)が定められるとともに、さらに、A登録農薬のうち、一定の地域でまとまって使用された場合に水産動植物への被害や、公共用水域の水質の汚濁、これに起因する人畜への被害が生ずるおそれが高い農薬については、水質汚濁性農薬として指定されている。

n−ヘキサン抽出物(ノルマルヘキサン)

 動物性油脂、脂肪酸、脂肪酸エステル、りん脂質などの脂肪酸誘導体、ワックス、グリース、石油系炭化水素、染料、そのほかの有機化合物の一部及び硫黄などの総称で、普通は「油分」といわれている。

Nm3又はm3N

 Nはノルマル(ノーマル)と読み、01気圧の標準状態を表す。主として排出ガス量等を表すのに用いる単位で 1Nm3とは、標準状態(01気圧)に換算した1m3のガス量を表す。

 

【は】

排煙脱硫装置
 燃料等の燃焼により発生した排煙中に含まれる硫黄酸化物を除去する装置で、アルカリ液による湿式吸収法を利用したもの、石灰による乾式吸収法を利用したもの等がある。

ばい煙
 「大気汚染防止法」の定義では、次の物質をいう。
(1) 燃料等の燃焼に伴い発生する硫黄酸化物
(2) 燃料等の燃焼又は電気炉等の使用に伴い発生するばいじん
(3) 物の燃焼、合成、分解等の処理に伴い発生するカドミウム、塩素、塩化水素、ふっ化水素、鉛、窒素酸化物等の有害物質

バイオマス(biomass)

 生物資源(バイオ)と量(マス)を合わせた造語で、再生可能な生物由来の有機性資源(化石燃料は除く)の総称。

廃棄物
 廃棄物とは、その物を占有している者が自ら利用し又は他人に有償で売却することができないため不用になった物をいい、ごみ、し尿などの固形状又は液状のものをいう。
 廃棄物の中には、主として家庭から発生する厨芥などの一般廃棄物と工場から発生する汚泥などの産業廃棄物の2つに大別される。

ばいじん

 いわゆる「すす」のこと。燃料あるいは可燃性物質の主成分をなしている炭化水素類の燃焼過程において発生する。

パックテスト

 採取した水の水質(pH、COD等)や成分量を、水と試薬が反応した時の色の変化により測定する簡易な水質分析器具。

【ひ】

被圧地下水
 不透水層の帯水層中の地下水の水頭が、その位置における帯水層の上側境界面より高い状態にある地下水。一般に自由面地下水より下位にあり、気圧の変化によってこの地下水面は上下する。

PRTR制度
(化学物質排出移動量届出制度:Pollutant Release and Transfer Register)

 人の健康や生態系に有害なおそれのある化学物質が、どのような排出源から、どれくらい環境中に排出したか、あるいは廃棄物に含まれて事業所の外に運ばれたかというデータを把握し、集計し、公表する仕組み。
 対象化学物質を製造したり使用したりしている事業者は、環境中に排出した量と、廃棄物として処理するために事業所の外へ移動させた量とを自ら把握し、行政機関に年に1回届け出る。行政機関は、そのデータを整理・集計し、また、家庭や農地、自動車などから排出されている対象化学物質の量を集計して公表する。

pH(水素イオン濃度)

 溶液の中の水素イオン(H+)の濃度を表す。pHは0から14で7.0を中性とし、酸性の場合は7より小さく、アルカリ性では7より大きい。

BOD(生物化学的酸素要求量、Biochemical Oxygen Demand)
 水中の有機性汚濁物質が微生物によって分解されるときに必要な酸素の量で、この数値が大きいほど川は汚れていることになる。普通、下水や排水中の主として有機物を分解させる微生物を入れて、酸素で飽和した水を加えて一定の温度(20℃)で5日間放置し、水中の酸素の減少量でBODを測定する。

ビオトープ
 生物が生存するための最小空間をいう。都市のような人工環境においても、生物が生存・繁殖でき、さらに生態系を発展させ、種の多様性を維持・拡大できるような小空間をつくり、環境の修復を行うことができる。
 たとえば、学校や家庭につくった小さな池、菜園、植栽などもビオトープになり得る。

光害

 屋外の照明の光が周囲に漏れて、まぶしさを感じることや動植物に悪影響が及んだりすることをいう。

ビジターセンター

 自然公園などでビジター(公園利用者)に対し、@各種の情報を提供する、A自然解説サービスを提供する、B公園の自然・文化に関する展示を行う、という機能をもつ施設。

ひ素(As)
 金属光沢のもろい結晶で、水に不溶であるが、硝酸、熱硫酸には酸化されて亜ひ酸又はひ酸となって溶ける。常温では安定であるが熱すると多くの金属と化合してひ素化合物を生じる。
 ひ素化合物は強い毒性をもっているため、取扱いには、十分な注意が必要である。水質汚濁に係る環境基準は0.01mg/lである。

PDCAサイクル
 「物事を管理し改善していくための方法」として最も有効な手法と言われ、環境マネジメントシステムに限らず、品質管理システムの手法としても広く活用されている。
 例えば環境マネジメントシステムにおいては、「プラン(環境に関する方針、目標、計画等を定める)→ドゥ(これを実行し、記録する)→チェック(その実施状況を点検・監査する)→アクション(これらの結果により、環境方針や環境目的・目標等を随時見直していく)→次の段階へ」という一連のサイクルの反復により、継続的に環境負荷の低減を図っていく仕組みをいう。

ppb(parts Per Billion)

 十億分の幾つにあたるかを表示する単位で、ppm、pptなどとともに、濃度、存在比率などについて用いる。(ppmの千分の一にあたる。)
 例えば、1ppbは、1mg/103 kg、1cc/10 kl、1cm3/103 m3を意味する。

ppm(parts Per Million)
 試料中の物質の量を百万分の1で表示する単位である。例えば、1ppmは、1mg/1kg、1cc/1kl、1cm3/1m3を意味する。

PPP

 Polluter Pays Principleの略で、汚染者負担の原則と訳されている。
 これは、OECD(経済協力開発機構)で確定された考え方で、環境汚染を引き起こした原因者が自分の費用負担で原因の解決を行うべきことをいう。公害健康被害補償制度等を通じてPPPの考え方が実現されている。

ppt(parts Per Trillion)

 一兆分の幾つにあたるかを表示する単位で、ppm、ppbなどとともに、濃度、存在比率などについて用いる。(ppbの千分の一にあたる。) 
  例えば、1pptは、1mg/106kg、1cc/106kl、1cm3/10 m3を意味する。

【ふ】

風致地区
 都市の自然風致(おもむき、味わい)を維持することを目的として都市計画区域内に定められた地区をいう。

富栄養湖
 海洋や湖沼で栄養塩類の少ないところは、プランクトンが少なく透明度も大きい。このような水域を貧栄養であるという。これに対し、栄養塩類が多いところでは、プランクトンが多く透明度が小さい。このような状態の湖を富栄養湖といい、汚染その他の影響で貧栄養から富栄養へと変化する現象を富栄養化という。

フタル酸エステル

 フタル酸とアルコール類が脱水して化合したものの総称で、90%以上はプラスチックの可塑剤として工業的に生産されている。フタル酸エステルの純粋なものは、透明で粘っこい液体で水に溶けにくく、油によく溶ける安定した物質である。プラスチックを軟らかくしたり、加工しやすくするために混ぜるもので、軟らかい塩化ビニール管には、多量に含まれている。
 FAO/WHOの専門委員会では、人に対する日常摂取許容量として1〜2mg/kg/日と定めている。

ふっ素、ふっ化水素、ふっ化けい素
 ふっ素を含む原料を使用するガラス製造工場やタイル製造工場等から発生し、大部分はふっ化水素だと考えられる。ふっ素そのものは土壌、海水、動植物中に広く分布するものであるが、ふっ素、ふっ化水素は反応に富み、それ自体刺激性と腐食性を持ち大気中濃度が低くても植物被害を発生する。ふっ化けい素は水によって加水分解され、ふっ化水素を生じる。水質汚濁に係る環境基準は0.8mg/lである。 

浮遊粉じん

 大気中に浮遊する粒子状の物質のこと。物理的な原因で飛散した粉じんや、燃焼に伴って発生するばいじん等があげられる。

浮遊粒子状物質(SPM)
 浮遊粉じんのうち粒径10μm(1μmは1000分の1mm)以下のもの。大気中での滞留時間が長く、気道や肺胞に沈着して健康上有害な影響を与える。

フロン
 「フロン」とは、我が国だけの俗称で、正式には「クロロフルオロカーボン」といい、「CFC」と略する。炭素にふっ素及び塩素が結びついた化合物の総称で、洗浄剤、冷媒、発泡剤等に用いられている。極めて安定な物質であり、長期間対流圏に止まり成層圏に達し、オゾン層を破壊する。また、地球温暖化物質でもある。
 CFCの代替物質として開発されたものに「ハイドロクロロフルオロカーボン」(HCFC)がある。これは炭素に水素、ふっ素、塩素が結びついた化合物の総称で、オゾン層破壊係数は小さいが、地球温暖化物質である。

粉じん
 空気又はガスなどに含まれている固体の粒子をいう。

【へ】

平地林
 本県では、県北の那須野が原、那珂川の西部、鬼怒川をはさむ沖積台地及び県南の沖積平地と洪積台地を中心とし、これに今市扇状地と宇都宮山地、県内の大平、唐沢の山地等を加えた地域における森林をいう。

ペットボトル
 ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)製の透明容器。無毒、無臭、強じん性、透明性などが高く評価され、しょう油や飲料品容器などに多く使われている。

へどろ

 流れの緩やかな河川、運河、港湾等の水底に通常存在する水分を非常に多く含んだ軟らかい泥のこと。パルプ工場廃液によるへどろの堆積がその例である。

ベンゼン
 水より軽い無色の液体。凝固点5.5℃、揮発性で水に溶けにくく有機溶媒に溶ける。有機分の多い土壌には吸着され、生分解される。光・空気などに対しては安定である。染料、溶剤、合成ゴム、合成皮革、合成顔料等多様な製品の合成原料に用いられている。
 水質汚濁に係る環境基準は0.01mg/lである。

【ほ】

ほう素
 黄色又は褐色の固体物質で、主にほう酸塩として存在している。植物及び動物にとって必須元素である。
 鉄合金等の硬さ増加剤、ガラスや陶器のエナメル合成、着火防止剤などに使われている。
 水質汚濁に係る環境基準は1mg/lである。

ポリ塩化ビフェニル(PCB)
 有機塩素化合物の一種で、水に溶けないが、油、有機溶剤に溶ける。化学的には不活性で酸、アルカリ等の化学薬品に対して安定で絶縁性が高いことから、トランスやコンデンサに広く使用されていた。一方で、人の健康・環境への有害性が確認され、分解されにくく広く環境中に残留していることが知られている。PCB廃棄物については、長期にわたって処分されていないことから、処理のために必要な体制を速やかに整備し、確実で適正な処理を推進することを目的として、13年にPCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法が成立、施行された。水質汚濁に係る環境基準は検出されないことである。

ホルムアルデヒド
 メチルアルコールを酸化すると生じる。水に溶けてホルマリンとなる。刺激臭が強く、「栃木県公害防止条例」では尿素、フェノール、メラミン各樹脂の製造又は加工の用に供する施設について排出を規制している。

 

【ま】

マイ・バッグ・キャンペーン
 「レジ袋」を自粛し、「買い物袋」を持参してごみの減量化を図る運動で、ごみゼロパートナーシップ会議が提唱するもの。消費者、事業者、行政、各種団体がそれぞれの役割を担い、例年10月1日〜31日までの1ヶ月間統一行動が行われる。

マテリアルリサイクル

 廃棄物を、製品の原材料として再利用することをいう。

マニフェスト(産業廃棄物管理票)

 事業者が産業廃棄物の処理を他人に委託する場合には、産業廃棄物の種類、量、運搬先などを記載したマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付しなければならないとされている。マニフェストの厳正な管理によって、産業廃棄物の排出から最終処分までの流れをチェックすることができる。

 

【や】

 

【ゆ】

有害大気汚染物質
 継続的に摂取されると、発がん性や慢性毒性などにより人の健康を損なうおそれのある物質で大気汚染の原因となるものをいう。現在、ベンゼン、トリクロロエチレンなど234物質がリストアップされている。

有害物質
 「大気汚染防止法」では、カドミウム及びその化合物、塩素及び塩化水素、ふっ素、ふっ化水素及びふっ化けい素、鉛及びその化合物、窒素酸化物をいい、「水質汚濁防止法」では、カドミウム及びその化合物、シアン化合物、有機りん化合物(パラチオン、メチルパラチオン、EPNに限る。)、鉛及びその化合物、六価クロム化合物、ひ素及びその化合物、水銀及びその化合物、PCB、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,3−ジクロロプロペン、チウラム、シマジン、チオベンカルブ、ベンゼン、セレン及びその化合物、ほう素及びその化合物、ふっ素及びその化合物、アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物をいう。

有機りん

 りんと有機物の化合物の総称で、毒性を有するものが多い。パラチオンは、その代表的なものである。「水質汚濁防止法」では、有機りんのうち4物質(パラチオン、メチルパラチオン、メチルジメトン、EPN)が人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質に指定され、その排水基準は、1mg/l以下と定められている。

【よ】

要監視項目
 人の健康の保護に関連する物質ではあるが、公共用水域等における検出状況等からみて、環境基準健康項目とせず、引き続き知見の集積に努めるべきと判断されるものを要監視項目としている。クロロホルム等29項目が定められている。

用途地域
 「都市計画法」第8条第1項第1号に規定する第1種・第2種低層住居専用地域、第1種・第2種中高層住居専用地域、第1種・第2種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域、工業専用地域をいい、それぞれの用途に適しない建物の建築を制限することにより、市街地の住工混在を解消して住みよい生活環境を保全する目的で設けられている。

横出し

 国の公害関係法により規制対象外となっている施設や項目について、地方公共団体が条例により規制を行うことをいう。

 

【ら】

 

【り】

リスクコミュニケーション
 化学物質による環境リスク(人の健康や生態系に影響を及ばすおそれ)に関する情報を、行政、事業者、県民等のすべての者が共有しつつ、相互に意志疎通をはかることをいう。

硫化水素(H2S)

 無色の気体で腐乱臭を有し、ごく低濃度でも悪臭を感ずる。人体に対しては粘膜刺激作用、神経まひ作用等があり、高濃度では呼吸中枢のまひにより窒息死を招く。また、低濃度長期吸入によっても頭痛、めまい、全身衰弱等の慢性的症状を呈するといわれている。

緑地環境保全地域
 市街地・集落地やその周辺地域の樹林地・草原丘陵等の区域及びこれと一体となって良好な緑地環境を形成している区域あるいは歴史的、文化的遺産と一体となって良好な緑地環境を形成している区域のうち、緑地環境を保全することが特に必要な地域として、「県自然環境の保全及び緑化に関する条例」に基づき指定した地域をいう。

【る】

類型あてはめ(類型指定)
 水質汚濁及び騒音の環境基準については、国において類型別に基準値が示され、これに基づき都道府県が河川等の状況、騒音に関係するところの都市計画地域等を勘案し、具体的に地域にあてはめ、指定していくことをいう。

【れ】

レッドデータブック
 絶滅のおそれのある種の現状を明らかにした資料をいう。国際的にはIUCN(国際自然保護連合)によって刊行されている。
 日本では、環境省が「緊急に保護を要する動植物の種の選定調査」の結果に基づき、「日本の絶滅のおそれのある野生生物」(日本版レッドデータブック)として刊行している。この中で、絶滅のおそれのある野生生物は、絶滅種、絶滅危惧種、危急種、希少種、保護に留意すべき地域個体群の5つのカテゴリーに分類されている。

レッドリスト

 国(環境省)が作成する日本の絶滅のおそれのある野生生物の種のリストのこと。レッドリストは、レッドデータブック(絶滅のおそれのある野生生物の個々の種の生育状況をまとめたもの)の基礎となるもので、これ自体が法的規制等の強制力を伴うものではなく、絶滅のおそれのある野生生物に関する理解を広めることを目的としている。

【ろ】

ロックウール(岩綿)
 アスベストとは組成は似ているが、火成岩等から人工的に造られる非結晶体の鉱物性繊維をいう。一般にアスベストより繊維径は太く、アスベストの代替品として使用されている。

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