一般家庭に風呂等の給湯の用途に使用することを想定した太陽熱温水器を導入します。
対象とする新エネルギー等 |
太陽熱利用 |
対象施設等の想定 |
一般戸建て住宅 |
導入システム |
太陽熱温水器 (集熱面積3m2) |
イニシャルコスト |
約30万円 |
投資回収の目安 |
約7年(代替する燃料がLPGの場合)
算定条件:年間集熱量を156万kcalとして算定 |
環境負荷削減効果
(エネルギー使用削減効果)
(二酸化炭素排出削減効果) |
163 kg-LPG/年(代替対象燃料により異なる)
491 kg-CO2/年
(LPGの場合;代替対象燃料により異なる) |
経済効果(経費節減効果) |
年間44,000円(燃料費(LPGの場合)) |
活用できる支援制度 |
<補助制度>
・住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業(NEDO)
<融資>
・環境共生住宅融資(住宅金融公庫)
・リフォームローン(住宅金融公庫) |
導入に当たっての留意事項 |
・太陽熱利用には、太陽熱温水器による温水利用とソーラーシステムがあるが、戸建て住宅への導入に関しては、設置面積の少ない太陽熱温水器のほうが有効であると考えられる。
・また、近年では、太陽光発電と太陽熱利用を同時に行う光・熱複合モジュールも存在する。 |
太陽熱利用は一般県民が導入することができる新エネルギーの一つです。そこで、太陽熱温水器を導入する場合について検討を行います。
1.導入システムの設定条件
標準的住宅(一戸建て)に、集熱面積3.0uの太陽熱温水器を導入します。
太陽熱利用については、給湯に利用する太陽熱温水器と冷暖房等にも使用するソーラーシステムの二つがあります。ここでは、集熱板設置面積が小さい太陽熱温水器を導入することとします。
2.効果の算定
(1)環境負荷削減効果
・年間集熱量:156万kcal/年
・温室効果ガス排出抑制効果:491 kg-C02/年(LPGを代替する場合)
・窒素酸化物排出抑制量:463 g/年(LPGを代替する場合) |
この太陽熱温水器による集熱量を試算すると約156万kcal/年となります。太陽熱温水器による環境負荷削減効果は、代替するエネルギーが何であるかによって変わってきますが、一般的な温水器のエネルギー源であるLPG、都市ガス、灯油、深夜電力と比較すると、温室効果ガスについては深夜電力を代替する場合が最も効果的であり、窒素酸化物についてはLPGを代替する場合が最も効果的との算定結果になりました。
導入設備:
太陽熱温水器(集熱面積:3.0u、集熱量156万kcal/年、設置費30万円) |
比較エネルギー |
節約量 |
温室効果ガス排出抑制量
(kg-CO2/年) |
窒素酸化物排出抑制量(g-NOx/年) |
LPG |
163kg |
491 |
463 |
都市ガス |
177u |
352 |
302 |
灯油 |
220L |
557 |
374 |
深夜電力 |
2,267kWh |
691 |
- |
算定方法 |
(集熱量)=(集熱面積)×(モジュール面日射量)× 365(日/年) × (システム効率)
(節約量):ソーラーシステム振興協会資料による
(温室効果ガス排出抑制量)=(節約量) × (温室効果ガス排出原単位)
(窒素酸化物排出抑制量)=(節約量) × (窒素酸化物排出原単位) |
算定条件 |
項目 |
数値 |
備考 |
集熱面積 |
3.0 m2 |
|
モジュール面日射量 |
3,552 kcal/m2/day
(4.13 kWh/m2/day) |
宇都宮地方気象台における年間最適日射角の平均日射量 |
システム効率 |
0.4 |
ソーラーシステム振興協会資料より |
温室効果ガス排出原単位 |
3.01 kg-CO2/kg(LPG)
2.53 kg-CO2/L(灯油)
1.99 kg-CO2/m3(都市ガス)
0.305 kg-CO2/kWh(深夜電力) |
LPG,灯油,都市ガス:温暖化対策推進法に基づく値
深夜電力:ソーラーシステム振興協会資料より |
窒素酸化物排出原単位 |
2.84 g/kg(LPG)
1.70 g/L(灯油)
1.71×10-3 kg/m3
(都市ガス) |
環境庁「環境活動評価プログラム」より |
(2)経済性
・イニシャルコスト:30万円
・燃料費節約効果 :約4.4万円(LPGの場合)
・投資回収年数 :約7年(LPGの場合) |
設置コストについては、「新エネルギーデータ集」(NEDO)を基に、一般的なコストとして30万円(工事費含む)と設定します。太陽熱温水器の導入による経済的な効果は、代替するエネルギーが何であるかによって燃料の節約額等が変わってくるため異なります。LPG、都市ガス、灯油、深夜電力を比較して算定すると、LPGを代替する場合が最も経済性が高い結果となっています。
導入設備:
太陽熱温水器(集熱面積:3.0u、集熱量156万kcal/年、設置費30万円) |
比較エネルギー |
節約量 |
節約額 |
投資回収の目安 |
LPG |
163kg |
44,000円 |
約7年 |
都市ガス |
177u |
22,000円 |
約14年 |
灯油 |
220L |
10,000円 |
約30年 |
深夜電力 |
2,267kWh |
16,000円 |
約19年 |
※投資回収の目安は設置コストを年間の節約額で割って算定。維持費、機器償却費等は考慮していない。
ソーラーシステム振興協会資料(1998年)を元に作成
●支援制度について
住宅への太陽熱温水器において適用可能な支援制度は以下のとおりです。
支援制度 |
対象者 |
内容 |
実施主体 |
住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業
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個 人
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住宅・建築物に関する高効率エネルギーシステムを公募し、その結果選ばれたものを事業者・消費者(建築主又は所有者)が導入する場合、その費用の一部を補助 |
NEDO
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環境共生住宅融資
(新築時) |
個 人 |
150万円割増融資 |
住宅金融公庫
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リフォームローン
(改築時) |
個 人 |
工事費の8割を限度に100〜530万円を融資 |
住宅金融公庫
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3.課題
イニシャルコストが太陽光発電と比較して少ないことから、既存住宅への設置が容易であると考えられます。
さらに近年は、「光・熱複合モジュール」という太陽光発電と太陽熱利用を同時に行うことができる太陽電池モジュールが発売されています。(下コラム参照)

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