○栃木県補助金等交付規則の制定について
昭和36年4月14日
文第111号
副知事通達
本庁各課局長
教育委員会事務局各課長
今般、補助金等の交付等の適正化を図るため、昭和36年栃木県規則第33号で栃木県補助金等交付規則が制定され、昭和36年度分の補助金等から適用されることになった。
この規則制定の趣旨は、補助金等の交付の申請、決定及び使用等に関して基本的事項を1つの規則の中に規定し、これを各補助金等に適用することにより、補助金等に係る予算の執行の適正化を図りあわせて補助金等の交付事務の統一と規程等の立案事務の簡素化を図るためのものであり、また運営上留意すべき点は次のとおりであるから、充分御了知のうえ、制度及び補助金等の運営上遺憾のないよう命により通知する。
1 この規則を適用する補助金等について
(1) この規則により規制をうける補助金等は、県が国及び都道府県以外の者に対して交付する補助金、負担金、利子補給金その他相当の反対給付を受けない給付金であるが、その名称予算科目等にとらわれることなく、その実態によりこの規則によって規制することが適当であると認められるものについて適用するものであること。従って、この点についての考え方は次のとおりである。
ア ここに列挙した補助金、負担金、利子補給金は、それぞれの概念を意味するものではなく、これらすべてに共通する経費の性格を表わしているものであること。従って、補助金、負担金及び利子補給金については、法令補助についてはその根拠法規の表現により、予算補助についてもその予算科目の呼称によるものであること。
イ 補助金、負担金及び利子補給金以外の補助金等については、これら補助金等の呼称が法令または予算科目において与えられない経費であっても、(ア)相当の反対給付を受けない給付金であり、(イ)補助金等の給付を受けた相手方がこれによって利益を受け、(ウ)その給付される金銭に使用されるべき特定の用途が存在する等、補助金等に共通的性格をもつものであれば、この規則の目的から適用の対象とするものであること。
(2) 負担金その他相当の反対給付を受けない給付金で、この規則を適用することが適当でないと認められるものについては、別に知事が指定するものであること。
(3) 補助金等にこの規則を適用するにあたっては、それぞれの補助金等の交付に関する規程等の中に、この規則を適用する旨明文を設けるものとすること。
2 この規則と他の補助規程との関係について
(1) 補助制度におけるこの規則の基本的性格については、補助行政の基準として一般的共通的原則を規定したものであることは前述のとおりであって、その直接の目的は、現在各補助制度ごとに区々となっている手続きなり規定事項を、当該補助制度の特殊性と矛盾せざる限りにおいて統一するとともに補助行政の最低限度の基準というべきものを整備したものである。従って、現在何々規則または何々規程等で定められている規程等のうち、一般的な基準あるいは規程は、この規則により廃止をしたので、その後の措置については、規則第3条の規定による手続きが必要であること。
(2) この規則と他の補助規程との関係については、補助金等について特別の定めがあるものについては、当該補助制度の特別の必要に基づく規定と考え、当該規程による調整をとったものであるが、それは規程全体を意味するものではなく、当該補助制度の特別の必要に基づく規定のみ必要であるという意味であること。よって、この規則と異なる規定を設けているときは、当該規定によることとし、この規則に規定した事項で、他の規程に規定してない事項があれば、この規則の当該事項に関する規定は、当該補助金等に適用されるものであること。
(3) この規則の施行により予算補助のすべては、この規則により排他的な適用をうけることになるものであること。
3 補助金等の交付の決定をするにあたって加える修正について
補助金等の交付の申請に係る事項に修正を加えてその交付の決定をするにあたっては、その修正決定は無制限のものでなく適正な交付を行なうために必要があるときに限られるものであることの結果、純粋な目的以上にこの制度が濫用され、あるいは、その申請に係る補助事業等の遂行を不当に困難とされないように特に留意すること。
4 補助金等に附する条件について
規則第6条第1項に定める補助条件は、補助金等交付の目的からして一般的に必要な要件と考えられるべきものを規定したものであるから、通常の交付決定においては必らず附するものであること。その他補助金等の性格により、更に条件を附する必要がある場合は、第2項の規定により附することとしたが、また一面不必要に煩雑な条件を附し、または直接関係のない条件を附したりして補助事業等の遂行を阻害し、もしくは補助事業者等に対し不当干渉することのないよう配慮すること。
なお、各種事業の運営などが補助金等交付の真の目的である場合も多いのであって、かかる見地から補助金等交付の目的を達成するため必要がある場合には、その交付の条件として、補助金等の完了後においても従うべき事項を定めることは差しつかえないこと。
5 補助事業者等及び間接補助事業者等の遂行について
(1) 規則第10条第1項は、補助事業者の遂行義務を規定したものであるが、(ア)法令その他の規定には、この規則も含まれるものである。ただし、補助制度に対する基本原則は一般規程たるこの規則と個々の補助制度に関する補助規程によって充分なものとせられるためである。(イ)交付決定の内容及びこれに附した条件に従うことは、予算補助に関しては、補助事業の遂行の規制は、この規則を除いてはほとんど交付決定の内容及びこれに附した条件に従って行なわれることとなり、法令補助の場合も普遍的な原則は、法令をもって規制しうるとしても、個々の補助事業者等の基準とすべき事業方法、計画等は交付決定の内容及びこれに附した条件によって初めて有効な規制となるものである。
(2) 規則第10条第2項の規定は、間接補助事業者等とは直接の関係がないから、補助金等の交付の決定の内容及びその条件ならびに法令に基づく知事の処分はあり得ない。ただ、これらの基準の内容は、実質的には補助金等の交付の決定の内容、条件の形で補助事業者等を通じて間接補助金等の交付の目的となるわけである。
6 事業遂行等の指示
(1) 規則第12条に基づく指示は、まず補助事業等の遂行を指示し、その指示に従がわないときは、第12条第2項により、当該補助事業等の遂行の一時停止を命令することであること。
7 状況報告及び実績報告について
既に完了した事務または事業を対象とする補助事業については、状況報告及び実績報告は省略されるものであること。また補助金等が間接補助金等となっている場合は、補助事業等の実績報告には配分の実績だけでなく、添付書類とし間接補助事業者等が提出した実績報告書の写等を要求するようにすること。
8 是正のための措置について
(1) 交付の決定の内容及びこれに附した条件に適合するか否かの判断に際しては、実績報告の内容により制約される必要はないこと。
(2) 事業の成果と交付決定の内容及び条件が適合しないとは、その形式及び内容が共に完全に一致していることをいうものではない。両者がその趣旨において、あるいは精神において相似せるものであるならばという意味であること。
(3) 規則第15条の是正命令に従わぬ場合には、第17条の取消権を行使するよりほかないものであるが、事業成果の一部に適合しないと認められる原因があり、当該部分の決定を取消せば爾来の部分については、決定の内容と事業の成果とが適合すると認められる場合は、それにより取扱うものであること。また是正措置を命じ得るのは、補助事業者等に対してのみである。間接補助事業者等の段階において事業の成果が補助金等の交付の目的に反すると認められる場合には、補助金等の取消しということになるものであること。
9 決定の取消し等について
(1) 規則第9条の規定により決定の取消し等をする場合は、補助事業者等の責に帰すべからざる理由による場合に限られるものであり、補助事業者等の責に帰すべき理由による場合は、第17条の規定が適用されるものであること。
(3) 間接補助事業者等の義務違反については、「他の用途への使用」と「法令に違反」した場合の2つのみであるが、規則第10条の基準は、すべて法令に違反したときに包含されるものであること。また第17条第2項の義務違反は、間接補助事業者等の行為によって発生するものであるが、それによる取消権の効果は、間接補助事業者等でなく補助事業者等に対して生ずるものであること。ただし、間接補助事業者等を直接の相手方として知事が処分をする関係にないからである。
10 補助金等の額の確定について
いわゆる打切補助、精算補助等の別にかかわらず、また決定額と精算額が同額であると増減があるとにかかわらず、この規則第16条の規定による額の確定及び通知は行なわれるものである。ただし、既に完了した事務または事業を対象とする補助事業等については、交付の決定と額の確定が同時に行なわれるものとし、特に確定及び確定の通知を必要としないこと。
11 この規則の施行後新たに制定(この規則により廃止され、別に規程等を制定する場合も同じ。)する補助金の交付に関する規程等に制定すべき事項は、おおむね次のとおりである。
(1) この規則を適用する旨の定めを設けること。
(2) それぞれの補助金等の交付の目的及び名称
(3) 補助金等の交付の相手方
(4) 補助金等の交付の対象である事務または事業の内容
(5) 交付率または補助額
(6) 規則第6条に基づいて附する条件
(7) この規則中「別に定める」としている次の事項
ア 規則第4条による補助金等交付申請書に添付すべき書類及びその様式
イ 規則第6条第1項第1号の交付の条件中知事の承認を必要としない経費の配分または内容の軽微な変更
ウ 規則第11条による状況報告書の提出期日並びにこれに添付すべき書類及びその様式
エ 規則第13条による実績報告書の提出期日並びにこれに添付すべき書類及びその様式
オ 規則第18条による補助金交付請求書に添付すべき書類及びその様式
カ 規則第24条第1項による財産の処分を制限する期間
キ 規則第24条第1項第1号による不動産及びその従物若しくは機械及び重要な器具以外で処分を制限する場合は、その旨
(8) その他
ア 申請の取下げ期間について10日と異なる期間を定める場合はその旨通知すること。
イ 前金払または概算払をする場合は、その旨及び限度、請求の手続き等について通知すること。
12 その他
(1) 予算外義務負担の議決を得て既に金融機関等と数年にわたり利子補給金等の契約をしている補助金等については、この規則の施行にともなう改正をすることなく、それぞれの定めるところによるものとする。
(2) この規則で廃止された規則等については、前記第11により、新たに規程等を制定し告示する等の必要があること。