○栃木県男女共同参画推進条例

平成14年12月27日

栃木県条例第58号

栃木県男女共同参画推進条例をここに公布する。

栃木県男女共同参画推進条例

目次

前文

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策等

第1節 基本的施策(第8条―第15条)

第2節 推進体制(第16条―第19条)

第3章 男女共同参画を阻害する行為の制限(第20条・第21条)

第4章 栃木県男女共同参画審議会(第22条)

附則

男女は、すべて、人として平等であって、個人として尊重されなければならない。

これまで、本県においては、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約を軸とした国際社会の取組や国内の動向を踏まえつつ、男女平等の実現に向けた様々な取組を進めてきた。

しかしながら、社会的、文化的に形成された性別によって役割分担を固定的にとらえる慣行やセクシュアル・ハラスメント、女性に対する暴力などの人権侵害が依然として存在し、多くの解決すべき課題が残されている。

こうした状況の中、真の男女平等を達成し、豊かで活力ある栃木県を築いていくためには、男女が、その違いを画一的に否定することなく、互いに人権を尊重し、共に支え合い、責任を分かち合うとともに、自立した個人としてその個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会を実現することが不可欠である。

ここに、私たちは、21世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置付けられる男女共同参画社会の早期実現を目指し、県民の総意として男女共同参画の推進に取り組んでいくことを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、並びに県、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する県の施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。

(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

(3) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動を行うことにより相手方の生活環境を害する行為又は性的な言動を受けた相手方の対応によりその者に不利益を与える行為をいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が直接的であるか間接的であるかを問わず性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されることを基本として、推進されなければならない。

2 男女共同参画は、社会における制度又は慣行が男女の社会における活動に対して及ぼす影響に配慮し、男女が性別による固定的な役割分担にとらわれることなく多様な生き方を選択することができるようにすることを基本として、推進されなければならない。

3 男女共同参画は、男女が、社会の対等な構成員として、県における政策又は民間の団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることを基本として、推進されなければならない。

4 男女共同参画は、家族を構成する男女が、互いの協力と社会の支援の下に、家庭の重要性を認識して、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、職域、学校、地域その他の家庭以外の社会における活動を行うことができるようにすることを基本として、推進されなければならない。

5 男女共同参画は、男女が互いの性についての理解を深め、双方の意思が尊重されることにより、良好な環境の下に、安全な妊娠又は出産ができるようにすること及び生涯にわたり健康な生活を営むことができるようにすることを基本として、推進されなければならない。

6 男女共同参画の推進が国際社会における取組と密接な関係を有していることを考慮し、男女共同参画は、国際社会の動向を踏まえながら、推進されなければならない。

(県の責務)

第4条 県は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2 県は、男女共同参画の推進に当たっては、県民、事業者、市町村、他の都道府県、国等と連携しつつ、率先してこれに取り組むものとする。

3 県は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的に企画し、調整し、及び推進するために必要な体制を整備するとともに、財政上の措置その他の措置を講ずるように努めるものとする。

(県民の責務)

第5条 県民は、基本理念にのっとり、男女共同参画に関する理解を深め、かつ、男女共同参画の推進に自ら取り組むとともに、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するように努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に積極的に取り組むとともに、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するように努めなければならない。

(年次報告)

第7条 知事は、毎年、男女共同参画の推進の状況及び県が講じた男女共同参画の推進に関する施策についての報告書を作成し、これを公表しなければならない。

第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策等

第1節 基本的施策

(基本的な計画の策定等)

第8条 知事は、男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)第14条第1項の基本的な計画を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、県民の意見を反映することができるよう適切な措置を講ずるとともに、栃木県男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。

(施策の策定等に当たっての配慮)

第9条 県は、男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、男女共同参画の推進に配慮するものとする。

2 県は、刊行物等を作成するに当たっては、性別による固定的な役割分担等を助長し、又は連想させるような表現を用いることにより男女共同参画の推進を阻害することのないように配慮するものとする。

(県民の理解を深めるための措置等)

第10条 県は、県民が、男女共同参画についての関心と理解を深めるとともに、男女共同参画の推進に向けた取組を積極的に行うことができるよう、普及啓発、情報提供、助言その他の必要な措置を講ずるものとする。

2 県は、男女共同参画の推進のための人材の養成に努めるとともに、女性の人材に関する情報を積極的に収集し、活用し、又は提供するように努めるものとする。

(教育の分野における措置)

第11条 県は、学校教育、社会教育、家庭教育等のあらゆる教育の分野において、男女平等意識の醸成、個性と能力の育成等男女共同参画の推進のための措置を講ずるように努めるものとする。

(事業者が行う活動への支援等)

第12条 県は、事業者が行う男女共同参画の推進に関する活動を支援するため、情報提供、助言その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。

2 知事は、必要があると認めるときは、事業者に対し、雇用その他の事業活動における男女共同参画の状況等について報告を求めることができる。

3 知事は、前項の報告により把握した男女共同参画の状況等について、必要に応じ公表することができる。

(農林業及び家族経営的な商工業等の分野における措置)

第13条 県は、農林業及び家族経営的な商工業等の分野において、男女が個人として能力を十分に発揮し、正当に評価され、並びに対等な構成員として経営方針の立案及び決定に参画する機会が確保されるよう、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(市町村との連携等)

第14条 県は、市町村と連携して男女共同参画の推進に関する施策を効果的に実施するように努めるとともに、市町村において、男女共同参画の推進に関する計画の策定、施策の実施等が円滑になされるよう、必要な協力を行うように努めるものとする。

(調査研究)

第15条 県は、男女共同参画の推進に関する施策を策定し、及び実施するために必要な事項並びに男女共同参画の推進を阻害する問題についての調査研究を行うものとする。

第2節 推進体制

(附属機関における委員の構成等)

第16条 県は、附属機関の委員の任命又は委嘱に当たっては、積極的改善措置を講ずることにより、できる限り男女の均衡を図るように努めるものとする。

2 県は、女性職員の職域の拡大、能力開発その他職場環境の整備に努めるとともに、職員の登用に当たっては、性別にかかわらず、本人の意欲と能力に応じて均等な機会を確保するように努めるものとする。

(栃木県男女共同参画地域推進員)

第17条 県は、県民の協力を得て男女共同参画の推進を図るため、地域において男女共同参画の普及啓発その他の活動を行う栃木県男女共同参画地域推進員を委嘱し、かつ、その活動を支援するものとする。

(県の施策に関する苦情等の申出)

第18条 知事は、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策について、県民から苦情、意見等の申出があった場合は、当該申出に適切に対応するものとする。

2 知事は、前項の申出があった場合において、必要と認めるときは、審議会の意見を聴くことができる。

(男女共同参画を阻害する行為に関する相談)

第19条 県は、男女共同参画を阻害する行為に関する県民からの相談に適切に対応するため、必要な体制を整備するように努めなければならない。

2 県は、前項の相談があった場合は、関係機関と連携し、適切な措置を講ずるように努めなければならない。

第3章 男女共同参画を阻害する行為の制限

(性別による権利侵害の禁止)

第20条 何人も、社会のあらゆる分野において、性別による差別的取扱いをしてはならない。

2 何人も、セクシュアル・ハラスメントを行ってはならない。

3 何人も、男女間の暴力的行為(身体的又は精神的な苦痛を与える行為をいう。次条において同じ。)を行ってはならない。

4 前3項に掲げるもののほか、何人も、性別により権利を侵害する行為を行ってはならない。

(公衆に表示する情報への配慮)

第21条 何人も、公衆に表示する情報が社会に及ぼす影響を考慮し、その情報において、性別による固定的な役割分担若しくは男女間の暴力的行為を助長し、若しくは連想させる表現又は不必要な性的表現を行わないように努めなければならない。

第4章 栃木県男女共同参画審議会

第22条 この条例の規定によりその権限に属させられた事務を処理し、及び知事の諮問に応じ、男女共同参画の推進に関する重要事項を調査審議するため、審議会を置く。

2 審議会は、前項に規定するもののほか、男女共同参画の推進に必要と認められる事項について、知事に意見を述べることができる。

3 審議会は、委員20人以内で組織する。この場合において、男女いずれの委員の数も委員の総数の10分の4未満とならないものとする。

4 委員は、学識経験を有する者のうちから、知事が任命する。

5 委員の任期は、3年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

6 委員は、再任されることができる。

7 審議会に、第18条第2項の規定による苦情等の申出その他必要な事項を調査審議するため、部会を置くことができる。

8 審議会に、専門の事項を調査させるため必要があるときは、専門委員を置くことができる。

9 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(平30条例10・一部改正)

この条例は、平成15年4月1日から施行する。

(平成30年条例第10号)

1 この条例は、平成30年4月1日から施行する。

2 この条例の施行の際現に栃木県水防協議会、栃木県立図書館協議会、栃木県固定資産評価審議会、栃木県地方薬事審議会、栃木県職業能力開発審議会、栃木県開発審査会、栃木県立美術館評議員会、栃木県文化財保護審議会、栃木県立博物館協議会、栃木県障害者施策推進審議会、栃木県環境審議会、栃木県事業認定審議会、栃木県男女共同参画審議会、栃木県人権施策推進審議会、栃木県景観審議会、栃木県青少年健全育成審議会、栃木県文化振興審議会若しくは栃木県スポーツ推進審議会の委員、栃木県社会教育委員又は栃木県いじめ問題対策委員会、栃木県薬物指定審査会若しくは栃木県障害者差別解消推進委員会の委員に任命され、又は委嘱されている者の任期については、なお従前の例による。

栃木県男女共同参画推進条例

平成14年12月27日 条例第58号

(平成30年4月1日施行)

体系情報
第3編 県民生活/第4章 青少年・男女共同参画
沿革情報
平成14年12月27日 条例第58号
平成30年3月26日 条例第10号