○栃木県安全で安心なまちづくり推進条例
平成17年3月25日
栃木県条例第8号
栃木県安全で安心なまちづくり推進条例をここに公布する。
栃木県安全で安心なまちづくり推進条例
安全で安心して暮らせる社会の実現は、栃木県が未来に向かって発展していくために欠くことのできない基盤であり、私たちすべての願いである。
私たちは、これまで、ふるさと栃木の豊かな自然の恵みの中、県民のたゆまぬ努力により、活力ある産業と多彩な文化をはぐくみながら発展してきた。
しかしながら、近年、都市化、国際化及び情報化の進展などに伴う社会情勢の変化や社会的な規範意識の低下などを背景として、日常生活が営まれる身近な場所での犯罪が増加し、次代の社会を担う児童等が犯罪に巻き込まれるなど、私たちの暮らしを脅かすに至っている。
このような犯罪を防止するためには、県民1人ひとりが自らの防犯意識を高めて犯罪に遭わないように心がけ、安全で安心なまちづくりの担い手であることを自覚するとともに、日常生活において児童等を見守るなど、人と人とのきずなを大切にして、支え合い、助け合うことのできる家庭と地域社会を築いていくことが重要である。
ここに、私たちは、住む人にとっても、訪れる人にとっても、安全で安心な栃木県の実現を目指し、県民の総意として安全で安心なまちづくりの推進に取り組んでいくことを決意し、この条例を制定する。
(令元条例22・一部改正)
(目的)
第1条 この条例は、安全で安心なまちづくりの推進に関し、基本理念を定め、及び県の責務等を明らかにするとともに、安全で安心なまちづくりの推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、安全で安心なまちづくりの推進に関する施策を総合的に推進し、もってすべての県民が安全で安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 安全で安心なまちづくり(地域社会における犯罪の防止のための自主的な活動及び犯罪の防止に配慮した環境の整備をいう。以下同じ。)は、自主自立の精神及び相互扶助の精神に支えられた良好な地域社会の形成が必要であるという基本的認識の下に推進されなければならない。
2 安全で安心なまちづくりは、県、県民及び事業者がそれぞれ適切な役割分担の下に、相互に連携を図りながら協力することにより推進されなければならない。
(県の責務)
第3条 県は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、安全で安心なまちづくりの推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
2 県は、安全で安心なまちづくりの推進に関する施策を総合的に企画し、調整し、及び推進するため、必要な体制の整備その他の措置を講ずるものとする。
(県民の役割)
第4条 県民は、基本理念にのっとり、安全で安心なまちづくりに関する理解を深め、安全の確保に自ら努めるとともに、安全で安心なまちづくりの推進に取り組むように努めるものとする。
2 県民は、県が実施する安全で安心なまちづくりの推進に関する施策に協力するように努めるものとする。
(事業者の役割)
第5条 事業者は、基本理念にのっとり、安全で安心なまちづくりに関する理解を深め、その所有し、又は管理する施設及び事業活動に関し、安全の確保に自ら努めるとともに、安全で安心なまちづくりの推進に取り組むように努めるものとする。
2 事業者は、県が実施する安全で安心なまちづくりの推進に関する施策に協力するように努めるものとする。
(県と市町村との協力)
第6条 県及び市町村は、それぞれが実施する安全で安心なまちづくりの推進に関する施策が円滑かつ効果的に推進されるよう、相互に連携を図りながら協力するものとする。
(推進指針)
第7条 知事、教育委員会及び公安委員会は、共同して、安全で安心なまちづくりの推進を図るための指針(以下この条において「推進指針」という。)を定めなければならない。
2 推進指針には、次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 安全で安心なまちづくりの推進に関する基本的方向
(2) 安全で安心なまちづくりの推進に関する施策に関する事項
(3) 前2号に掲げるもののほか、安全で安心なまちづくりの推進に関し必要な事項
3 知事、教育委員会及び公安委員会は、推進指針を定めたときは、退滞なく、これを公表しなければならない。
4 前項の規定は、推進指針の変更について準用する。
(県民等に対する支援)
第8条 県は、県民及び事業者並びにこれらの者が組織する団体(以下「県民等」という。)が行う犯罪の防止のための自主的な活動に対し、技術的な助言その他の必要な支援を行うものとする。
(広報活動等)
第9条 県は、安全で安心なまちづくりに関する県民の理解を深めるため、安全で安心なまちづくりに関する広報活動の充実、研修の機会の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
(情報の提供)
第10条 県は、県民等が行う犯罪の防止のための自主的な活動を促進するため、必要な情報の提供を行うものとする。
2 警察署長は、県民等が行う犯罪の防止のための自主的な活動を促進するため、その管轄区域の住民に対し、当該区域における犯罪の発生状況等必要な情報の提供を行うものとする。
(調査研究)
第11条 県は、安全で安心なまちづくりを効果的に推進するため、安全で安心なまちづくりの推進に関する施策の策定に必要な調査研究を行うものとする。
(安全教育の充実)
第12条 県は、児童、生徒及び幼児(以下「児童等」という。)が犯罪による被害を受けないための教育及び犯罪を起こさないようにするための教育を充実するように努めるものとする。
(学校等における児童等の安全対策の推進等)
第13条 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校(大学を除く。)及び同法第124条に規定する専修学校の高等課程並びに児童福祉法(昭和22年法律第164号)第7条第1項に規定する児童福祉施設(以下「学校等」という。)を設置し、又は管理する者は、児童等の保護者、地域における犯罪の防止に関する自主的な活動を行う県民等及び当該学校等の所在地を管轄する警察署長その他の関係機関と連携して、当該学校等における安全対策を推進するための体制を整備し、児童等の安全を確保するために必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(平18条例8・平19条例60・一部改正)
(通学路等における児童等の安全の確保)
第14条 通学、通園等の用に供されている道路及び児童等が日常的に利用している公園、広場等(以下この条において「通学路等」という。)を管理する者、児童等の保護者、学校等を管理する者、地域住民並びに通学路等の所在する地域を管轄する警察署長は、相互に連携して通学路等における児童等の安全を確保するために必要な措置を講ずるように努めるものとする。
2 県民は、通学路等において児童等が危害を受けていると認められる場合又は危害を受けるおそれがあると認められる場合には、警察官への通報、避難誘導その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(児童等の日常生活における安全の確保)
第15条 県民等は、児童等の日常生活における安全を確保するため、地域において、児童等を見守ることその他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。
2 地域における犯罪の防止に関する自主的な活動を行う県民等は、児童等の日常生活における安全を確保するため、地域住民と連携して、地域の実情に応じた犯罪の防止のための自主的な活動の推進その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。
3 児童等の保護者は、その監護に係る児童等の日常生活における安全を確保するため、必要な監護をするものとする。
(令元条例22・追加)
(犯罪の防止に配慮した道路等の普及)
第16条 県は、犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有する道路、公園、自動車駐車場及び自転車駐車場の普及に努めるものとする。
(令元条例22・旧第15条繰下)
(駐車場の設置者等の努力義務)
第17条 自動車駐車場又は自転車駐車場を設置し、又は管理する者は、当該自動車駐車場又は自転車駐車場を犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有するものとするために必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(令元条例22・旧第16条繰下)
(犯罪の防止に配慮した住宅の普及)
第18条 県は、犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有する住宅の普及に努めるものとする。
(令元条例22・旧第17条繰下)
(住宅の設計者等の努力義務)
第19条 住宅を設計し、又は建築する事業者及び共同住宅を所有し、又は管理する者は、住宅を犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有するものとするために必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(令元条例22・旧第18条繰下)
(深夜営業店舗を営む者の努力義務等)
第20条 深夜(午後11時から翌日の午前6時までの間をいう。次項において同じ。)において営業する店舗で小売業を営む者は、当該店舗を犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有するものとするために必要な措置を講ずるように努めるものとする。
2 警察署長は、その管轄区域において、深夜において営業する店舗で小売業を営む者に対し、犯罪の防止のために必要な情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
(令元条例22・旧第19条繰下)
(繁華街における犯罪の防止のための措置)
第21条 飲食店、小売店舗その他の店舗が集積する区域(以下この条において「繁華街」という。)において事業を営む者及び施設を所有し又は管理する者並びに当該繁華街の所在する地域を管轄する警察署長は、地域における犯罪の防止に関する自主的な活動を行う県民等と連携して、当該繁華街における犯罪の防止のために必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(令元条例22・旧第20条繰下)
附則
この条例は、平成17年4月1日から施行する。
附則(平成18年条例第8号)
この条例は、平成18年4月1日から施行する。ただし、第1条、第2条、第4条から第6条まで、第8条及び第9条の規定は、同年10月1日から施行する。
附則(平成19年条例第60号)
この条例は、規則で定める日から施行する。
(平成19年規則第69号で平成19年12月26日から施行)
附則(令和元年条例第22号)
この条例は、令和2年1月1日から施行する。
附則(令和3年条例第3号)抄
1 この条例は、令和3年4月1日から施行する。