○栃木県文化振興条例

平成20年3月26日

栃木県条例第3号

栃木県文化振興条例をここに公布する。

栃木県文化振興条例

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 文化振興基本計画(第7条)

第3章 文化の振興に関する基本的施策(第8条―第26条)

第4章 栃木県文化振興審議会(第27条)

附則

地域の自然や歴史とのかかわりの中で人々が創造してきた文化は、暮らしにゆとりと潤いをもたらすとともに、人と人とが互いに理解し、尊重し合う社会の基盤となるものである。

私たちのふるさと栃木県は、日光、那須の山々や鬼怒川をはじめとする河川など豊かな自然に恵まれており、県内には、こうした自然と先人たちの知恵や努力にはぐくまれ、地域独自の民俗芸能や陶器、織物などの特色ある伝統工芸が継承されてきている。また、世界文化遺産に登録された日光の社寺など多くの文化的遺産を有しているほか、音楽や美術などの芸術の分野においても、県内各地で様々な活動が展開されている。

こうした県民共通の財産である本県の多彩な文化の一層の振興を図るとともに、これらを基盤として新たな県民文化を創造し、次代に引き継いでいくことが重要である。

ここに、私たちは、誰もが生きがいをもって幸せに暮らすことができ、活力と個性にあふれた地域社会の実現を目指し、協働の理念のもとに本県文化の振興に取り組んでいくことを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、文化の振興に関し、基本理念を定め、並びに県の責務及び県民等の役割を明らかにするとともに、文化の振興に関する施策(以下「文化振興施策」という。)の基本となる事項を定めることにより、文化振興施策を総合的に推進し、もって心豊かな県民生活及び活力ある地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第2条 文化の振興に当たっては、文化の担い手である県民1人ひとりの自主性及び創造性が尊重されなければならない。

2 文化の振興に当たっては、文化を創造し、及び享受することが人々の生まれながらの権利であることにかんがみ、県民が等しく文化を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造することができるような環境の整備が図られなければならない。

3 文化の振興に当たっては、多様な文化の保護及び発展が図られなければならない。

4 文化の振興に当たっては、豊かな自然、歴史及び風土に培われてきた郷土の伝統的な文化が、県民共通の財産として、将来にわたり保存され、及び継承されるとともに、新しい文化の創造のために生かされるよう配慮されなければならない。

5 文化の振興に当たっては、県民、文化活動を行う民間の団体及び個人(以下「文化団体等」という。)、事業者、市町村並びに県が、それぞれの責務又は役割を担うとともに、相互に連携し、及び協力するよう努めなければならない。

(県の責務)

第3条 県は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、文化振興施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2 県は、文化振興施策の策定及び実施に当たっては、広く県民の意見が反映されるように努めるものとする。

3 県は、文化振興施策の効果的な推進を図るため、市町村及び文化団体等との連携に努めるものとする。

(県民の役割)

第4条 県民は、基本理念にのっとり、文化についての理解と関心を深め、文化に親しむこと等を通じて、文化を振興する役割を果たすように努めるものとする。

(文化団体等の役割)

第5条 文化団体等は、基本理念にのっとり、それぞれの文化活動を通じて、文化を振興する役割を果たすように努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、文化活動への支援等を通じて、文化を振興する役割を果たすように努めるものとする。

第2章 文化振興基本計画

第7条 知事は、文化振興施策の総合的かつ効果的な推進を図るため、文化の振興に関する基本的な計画(以下「文化振興基本計画」という。)を定めなければならない。

2 文化振興基本計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 文化の振興に関する基本的方向

(2) 文化の振興に関する施策に関する事項

(3) 前2号に掲げるもののほか、文化の振興に関し必要な事項

3 知事は、文化振興基本計画を定めようとするときは、あらかじめ、栃木県文化振興審議会の意見を聴かなければならない。

4 知事は、文化振興基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、文化振興基本計画の変更について準用する。

第3章 文化の振興に関する基本的施策

(芸術及び芸能の振興)

第8条 県は、文学、音楽、美術、写真、演劇、舞踊、メディア芸術、能楽、歌舞伎その他の芸術及び芸能の振興を図るため、必要な施策を講ずるように努めるものとする。

(生活文化等の振興)

第9条 県は、茶道、華道、書道、食文化、囲碁、将棋その他の生活文化及び国民娯楽の振興を図るため、必要な施策を講ずるように努めるものとする。

(文化財の保存等)

第10条 県は、有形及び無形の文化財が適切に保存され、継承され、及び活用されるよう、必要な施策を講ずるように努めるものとする。

(伝統的な文化の保存等)

第11条 県は、年中行事、伝統工芸その他の地域における伝統的な文化が適切に保存され、継承され、及び活用されるよう、必要な施策を講ずるように努めるものとする。

(文化交流の推進)

第12条 県は、県民の文化活動が促進されるとともに、県民と国内外の人々との相互理解が深まるよう、文化交流の推進に必要な施策を講ずるように努めるものとする。

(文化情報の発信)

第13条 県は、文化を活用した観光の振興、地域の産業の活性化、地域文化の形成等を図るため、本県の文化活動及び文化資源に関する情報を発信するように努めるものとする。

(文化活動の担い手の育成)

第14条 県は、県民の文化活動の充実を図るため、文化活動を担う人材及び団体の育成に必要な施策を講ずるように努めるものとする。

(鑑賞等の機会の充実)

第15条 県は、広く県民が文化を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造する機会の充実を図るため、必要な施策を講ずるように努めるものとする。

(高齢者、障害者等の文化活動の充実)

第16条 県は、高齢者、障害者等の文化活動の充実を図るため、必要な施策を講ずるように努めるものとする。

(学校教育等における文化活動の充実)

第17条 県は、学校教育及び社会教育における文化活動の充実を図るため、必要な施策を講ずるように努めるものとする。

(文化施設の充実及び活用)

第18条 県は、県民の文化活動の充実を図るため、文化ホール(音楽、演劇等の公演のための施設をいう。)、美術館、博物館、図書館その他の文化施設の充実及び活用に必要な施策を講ずるように努めるものとする。

(文化情報の収集及び提供)

第19条 県は、県民の文化活動を促進するため、地域の文化に関する情報を収集し、及び提供するように努めるものとする。

(文化による地域づくり)

第20条 県は、文化が、家庭や地域社会に潤いをもたらすとともに、地域の特色ある産業の創出及び活性化に寄与することにかんがみ、文化による地域づくりに必要な施策を講ずるように努めるものとする。

(文化をはぐくむ環境の整備)

第21条 県は、個性豊かな地域文化をはぐくむため、自然環境の保全、優れた景観の形成等を図ることにより、潤いと安らぎのある文化的な環境の整備に努めるものとする。

(市町村及び文化団体等との連携等)

第22条 県は、市町村の文化振興施策及び文化団体等の活動を促進するため、市町村及び文化団体等との連携を図るとともに、助言、情報提供等の支援に努めるものとする。

(民間の支援活動等の促進)

第23条 県は、民間の団体及び個人が文化活動に対して行う支援活動及びボランティア活動を促進するため、普及啓発、情報提供等に努めるものとする。

(顕彰)

第24条 県は、文化活動で顕著な成果を収めた者その他文化の振興に寄与した者の顕彰に努めるものとする。

(推進体制の整備)

第25条 県は、文化振興施策の総合的な推進を図るため、必要な体制の整備に努めるものとする。

(財政上の措置)

第26条 県は、文化振興施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるように努めるものとする。

第4章 栃木県文化振興審議会

第27条 この条例の規定によりその権限に属させられた事務を処理し、及び知事の諮問に応じ、文化の振興に関する重要事項を調査審議するため、栃木県文化振興審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、前項に規定するもののほか、文化の振興に関し必要と認められる事項について、知事に意見を述べることができる。

3 審議会は、委員20人以内で組織する。

4 委員は、学識経験を有する者のうちから、知事が任命する。

5 委員の任期は、3年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

6 委員は、再任されることができる。

7 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(平30条例10・一部改正)

この条例は、平成20年4月1日から施行する。

(平成30年条例第10号)

1 この条例は、平成30年4月1日から施行する。

2 この条例の施行の際現に栃木県水防協議会、栃木県立図書館協議会、栃木県固定資産評価審議会、栃木県地方薬事審議会、栃木県職業能力開発審議会、栃木県開発審査会、栃木県立美術館評議員会、栃木県文化財保護審議会、栃木県立博物館協議会、栃木県障害者施策推進審議会、栃木県環境審議会、栃木県事業認定審議会、栃木県男女共同参画審議会、栃木県人権施策推進審議会、栃木県景観審議会、栃木県青少年健全育成審議会、栃木県文化振興審議会若しくは栃木県スポーツ推進審議会の委員、栃木県社会教育委員又は栃木県いじめ問題対策委員会、栃木県薬物指定審査会若しくは栃木県障害者差別解消推進委員会の委員に任命され、又は委嘱されている者の任期については、なお従前の例による。

栃木県文化振興条例

平成20年3月26日 条例第3号

(平成30年4月1日施行)

体系情報
第3編 県民生活/第1章 生活文化スポーツ
沿革情報
平成20年3月26日 条例第3号
平成30年3月26日 条例第10号