○栃木県薬物の濫用の防止に関する条例

平成27年6月30日

栃木県条例第31号

栃木県薬物の濫用の防止に関する条例をここに公布する。

栃木県薬物の濫用の防止に関する条例

(目的)

第1条 この条例は、薬物の濫用の防止に関し、県、県民及び事業者の責務を明らかにし、薬物の濫用の防止に関する県の施策の基本となる事項を定めるとともに、必要な規制を行うこと等により、薬物の濫用による保健衛生上の危害の発生及び拡大を防止し、もって県民が安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「薬物」とは、次に掲げる物をいう。

(1) 大麻取締法(昭和23年法律第124号)第1条に規定する大麻

(2) 覚醒剤取締法(昭和26年法律第252号)第2条第1項に規定する覚醒剤及び同条第5項に規定する覚醒剤原料

(3) 麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)第2条第1号に規定する麻薬、同条第4号に規定する麻薬原料植物及び同条第6号に規定する向精神薬

(4) あへん法(昭和29年法律第71号)第3条第1号に規定するけし、同条第2号に規定するあへん及び同条第3号に規定するけしがら

(5) 毒物及び劇物取締法施行令(昭和30年政令第261号)第32条の2に規定する物

(6) 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「医薬品医療機器等法」という。)第2条第15項に規定する指定薬物

(7) 前各号に掲げるもののほか、中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用(当該作用の維持又は強化の作用を含む。)を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物

(令2条例17・一部改正)

(県の責務)

第3条 県は、薬物の濫用の防止に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2 県は、薬物の濫用の防止に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、国、他の都道府県、市町村、薬物の濫用の防止を目的とする団体等と緊密な連携を図るものとする。

(県民の責務)

第4条 県民は、薬物の濫用の危険性に関する知識と理解を深め、薬物の濫用を防止するよう努めなければならない。

2 県民は、県が実施する薬物の濫用の防止に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、薬物の濫用の防止に努めるとともに、県が実施する薬物の濫用の防止に関する施策に協力するよう努めなければならない。

2 事業者は、その事業活動を行うに当たり、薬物の濫用に関し法令に違反する行為があったことを知ったときは、当該違反行為に係る情報を県に提供するよう努めなければならない。

(基本計画)

第6条 知事は、薬物の濫用の防止に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、薬物の濫用の防止に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めるものとする。

2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 薬物の濫用の防止に関する基本的方向

(2) 薬物の濫用の防止に関する施策に関する事項

(3) 前2号に掲げるもののほか、薬物の濫用の防止に関し必要な事項

3 知事は、基本計画を定めようとするときは、あらかじめ、栃木県地方薬事審議会に意見を聴かなければならない。

4 知事は、基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。

(推進体制の整備)

第7条 県は、薬物の濫用の防止に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、必要な体制の整備に努めるものとする。

2 知事及び公安委員会は、相互に連携し、及び協力して、薬物の濫用の防止に関する調査、指導その他の措置を講ずるものとする。

(調査研究の実施等)

第8条 県は、薬物の濫用の防止に関する施策を最新の科学的知見に基づき適切に実施するため、薬物に関する調査研究を行うとともに、薬物の試験及び検査に関する研究開発を推進するものとする。

(情報の収集等)

第9条 県は、薬物の濫用の防止に関する施策を効果的かつ適正に実施するため、薬物の濫用の防止に関する情報の収集、整理、分析及び提供に努めるものとする。

(教育及び学習の推進)

第10条 県は、青少年をはじめとする県民が薬物の濫用の危険性に関する正しい知識に基づき行動することができるよう、教育及び学習の推進に努めるものとする。

(相談体制の充実等)

第11条 県は、薬物を濫用し、又は濫用していた者及びその家族等からの相談に適切に応じられるよう、相談体制の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。

(依存症治療の充実等)

第12条 県は、薬物依存症にかかった者の回復及び円滑な社会復帰に資するよう、専門的な治療の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。

(知事指定薬物の指定)

第13条 知事は、第2条第7号に掲げる薬物のうち、県の区域内において現に濫用され、又は濫用されるおそれがあると認めるものを知事指定薬物として指定することができる。

2 知事は、前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、栃木県薬物指定審査会の意見を聴くものとする。ただし、緊急を要する場合で、あらかじめ、栃木県薬物指定審査会の意見を聴くいとまがないときは、この限りでない。

3 前項ただし書に規定する場合において、知事は、速やかに、その指定した内容について栃木県薬物指定審査会に報告しなければならない。

4 第1項の規定による指定は、知事指定薬物の名称、指定の理由その他必要な事項を告示してしなければならない。

(知事指定薬物の指定の失効)

第14条 知事指定薬物が第2条第1号から第6号までに掲げるいずれかの薬物に該当するに至ったときは、当該知事指定薬物の指定は、その効力を失う。

2 知事は、前項の規定により知事指定薬物の指定がその効力を失ったときは、当該知事指定薬物の名称、指定の失効の理由その他必要な事項を告示するものとする。

3 第23条から第27条までの規定は、第1項の規定により知事指定薬物の指定がその効力を失う前にした行為についても、適用する。

(製造等の禁止)

第15条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第1号から第4号までに掲げる行為については、正当な理由がある場合として規則で定める場合は、この限りでない。

(1) 知事指定薬物を製造し、又は栽培すること。

(2) 知事指定薬物を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で所持すること。

(3) 知事指定薬物を販売又は授与の目的で広告すること。

(4) 知事指定薬物を所持し、購入し、譲り受け、又は使用すること(第2号に該当する場合を除く。)

(5) 多数の者が集まって知事指定薬物をみだりに使用することを知って、そのための場所を提供し、又はあっせんすること。

(警告)

第16条 知事は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、警告を発することができる。

(1) 前条第1号の規定に違反して知事指定薬物を製造し、又は栽培した者

(2) 前条第2号の規定に違反して知事指定薬物を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で所持した者

(3) 前条第3号の規定に違反して知事指定薬物を販売又は授与の目的で広告した者

(4) 前条第4号の規定に違反して知事指定薬物を所持し、購入し、譲り受け、又は使用した者

(5) 前条第5号の規定に違反して場所を提供し、又はあっせんした者

2 知事は、前項各号(第4号を除く。)のいずれかに該当する者が法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者であるときは、その法人又は人に対しても、警告を発することができる。

3 前2項の警告は、書面を交付して行うものとする。

(製造等の中止命令等)

第17条 知事は、前条第1項の警告(同項第5号に係るものを除く。以下この条において同じ。)に従わない者に対し、知事指定薬物の製造、栽培、販売、授与、所持、広告、購入、譲受け若しくは使用の中止(以下「知事指定薬物の製造等の中止」という。)を命じ、又は期限を定めて知事指定薬物の回収若しくは廃棄その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

2 知事は、次の各号のいずれかに該当するときは、前条第1項第1号から第4号までのいずれかに該当する者に対し、同項の警告を発することなく、知事指定薬物の製造等の中止を命じ、又は期限を定めて知事指定薬物の回収若しくは廃棄その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

(1) 薬物の濫用による保健衛生上の危害の発生及び拡大を防止するため緊急を要する場合において、前条第1項の警告を発するいとまがないとき。

(2) 前条第1項第1号から第4号までのいずれかに該当する者が過去に同項の警告を受けたことがあるとき。

(緊急時の勧告)

第18条 知事は、第2条第7号に掲げる薬物の濫用により、保健衛生上の危害が発生し、又は拡大するおそれがあると認めるときは、第13条第1項の規定により当該薬物を知事指定薬物として指定する前に、当該薬物を製造し、栽培し、販売し、授与し、所持し、販売若しくは授与の目的で広告し、購入し、譲り受け、又は使用する者に対し、その行為を中止し、又は当該薬物の回収若しくは廃棄その他必要な措置をとるべきことを勧告することができる。

2 知事は、前項の規定による勧告を行ったときは、県民に当該勧告に係る薬物に関する情報を提供するものとする。

3 知事は、第1項の規定による勧告を行ったときは、速やかに、その旨を栃木県薬物指定審査会に報告するものとする。

(広域規制製品の届出)

第19条 医薬品医療機器等法第76条の6の2第1項に規定する生産及び流通を広域的に規制する必要があると認める物品(以下「広域規制製品」という。)を所持する者は、当該広域規制製品の名称及び数量その他の規則で定める事項を知事に届け出なければならない。ただし、薬物の濫用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止に支障を及ぼすおそれがない場合として規則で定める場合は、この限りでない。

2 知事は、薬物の濫用による保健衛生上の危害の発生及び拡大を防止するため、前項の規定により届出を行った者に対し、当該広域規制製品を使用しないよう要請するとともに、必要な助言又は指導を行うものとする。

3 知事は、第1項の規定により届出を行った者の求めに応じ、当該広域規制製品を処分するものとする。

(立入検査等)

第20条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、第15条各号に掲げる行為を行い、若しくは行った疑いのある者に対して、必要な報告をさせ、又はその職員に、知事指定薬物若しくはこれに該当する疑いのある物(以下「知事指定薬物等」という。)を業務上取り扱う場所その他必要な場所に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させ、関係者に質問させ、若しくは知事指定薬物等を、試験のため必要な最少分量に限り、収去させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

3 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(栃木県薬物指定審査会)

第21条 第13条第1項の規定による知事指定薬物の指定に関する事項、第18条第1項の規定による勧告に関する事項その他の第2条第7号に掲げる薬物の危険性に関する事項について調査審議させるため、栃木県薬物指定審査会(以下「審査会」という。)を置く。

2 審査会は、委員5人以内で組織する。

3 委員は、学識経験を有する者のうちから、知事が任命する。

4 委員の任期は、3年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 委員は、再任されることができる。

6 委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

7 第2項から前項までに定めるもののほか、審査会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(平30条例10・一部改正)

(委任)

第22条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(罰則)

第23条 第17条の規定による命令(第16条第1項第1号又は第2号に係るものに限る。)に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

第24条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

(1) 第15条第1号又は第2号の規定に違反した者

(2) 第17条の規定による命令(第16条第1項第3号又は第4号に係るものに限る。)に違反した者

第25条 第15条第3号又は第4号の規定に違反した者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

第26条 第20条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入検査若しくは収去を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者は、20万円以下の罰金に処する。

(両罰規定)

第27条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第23条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

この条例は、公布の日から施行する。ただし、第14条第3項第15条から第20条まで及び第23条から第27条までの規定は、平成27年10月1日から施行する。

(平成30年条例第10号)

1 この条例は、平成30年4月1日から施行する。

2 この条例の施行の際現に栃木県水防協議会、栃木県立図書館協議会、栃木県固定資産評価審議会、栃木県地方薬事審議会、栃木県職業能力開発審議会、栃木県開発審査会、栃木県立美術館評議員会、栃木県文化財保護審議会、栃木県立博物館協議会、栃木県障害者施策推進審議会、栃木県環境審議会、栃木県事業認定審議会、栃木県男女共同参画審議会、栃木県人権施策推進審議会、栃木県景観審議会、栃木県青少年健全育成審議会、栃木県文化振興審議会若しくは栃木県スポーツ推進審議会の委員、栃木県社会教育委員又は栃木県いじめ問題対策委員会、栃木県薬物指定審査会若しくは栃木県障害者差別解消推進委員会の委員に任命され、又は委嘱されている者の任期については、なお従前の例による。

(令和2年条例第17号)

この条例は、規則で定める日から施行する。

(令和2年規則第35号で令和2年4月1日から施行)

栃木県薬物の濫用の防止に関する条例

平成27年6月30日 条例第31号

(令和2年4月1日施行)

体系情報
第5編 保健福祉/第8章
沿革情報
平成27年6月30日 条例第31号
平成30年3月26日 条例第10号
令和2年3月25日 条例第17号
令和6年3月25日 条例第14号