とちぎ県民だより VOL302 2016 3月号
1/4

とちぎの地酒をつくる人々の思い栃木県は、隠れた酒どころ。平成27年全国新酒鑑評会では過去最高の11銘柄が金賞を受賞するなど、全国的にその高い品質が認められ、知名度も上がってきています。その根源には、とちぎの酒蔵の経営者や蔵くら人びとたちの熱い思いがありました。 酒造業界では、伝統的な日本酒づくりにおける製造現場の最高責任者を“杜とう氏じ”、その統率のもと分業で製造にあたる人を“蔵くら人びと”と呼びます。 全国には昔ながらの杜氏集団がたくさんあり、本県の酒蔵では主に岩手の「南部杜氏」や新潟の「越後杜氏」が酒づくりを担ってきました。酒蔵は、冬の間、蔵に寝泊まりしながら作業にあたる杜氏を杜氏集団に要請して雇い、その杜氏が連れてくる数名の蔵人と地元の蔵人たちとが協力して酒をつくるというシステムです。 しかし、杜氏集団も高齢化によって後継者が不足。優れた技術を持つ杜氏の確保が難しくなってきた本県の酒蔵は、「南部杜氏」や「越後杜氏」のもとで働いてきた地元・とちぎの蔵人をリーダーとして酒づくりを始めました。 その際、「栃木県で酒をつくる“とちぎの酒造技術者”を認定し、とちぎの酒をPRしていこう」と、栃木県酒造組合が県産業技術センターの協力を受けて始めたのが「下野杜氏」の認定制度です。地元の酒造技術者を、地元の力で育成し認定するという、全国でも先駆けの制度でした。とちぎPrefectural Newsletter of Tochigi  2面 栃木県重点戦略 とちぎ元気発信プラン3面 県からのお知らせ ほか4面 吹き竹・なるほどとちぎ ほか編集・発行 栃木県広報課平成28年3月6日発行〒320-8501 宇都宮市塙田1-1-20TEL 028-623-2192 FAX 028-623-2160栃木県のホームページ http://www.pref.tochigi.lg.jp/毎月第1日曜発行(次回は4/3発行)目次栃木県の人口〔2月1日現在〕1,973,300人(前月比715人減)世帯数764,430世帯(前月比340世帯増)❶読みやすさ向上のため、文字のデザインを工夫したユニバーサルデザインフォントを使用しています【問合せ】県工業振興課☎028・623・3198VOL.30220163月号とちぎの酒造技術を継いでいく 下しも野つけ杜とう氏じ下野杜氏に聞く とちぎの酒づくり 「下野杜氏」は、冬季だけでなく一年を通して蔵にいるので、通年で酒の管理に携わることができるのも特徴です。 平成18年度の発足後、これまでに認定されたのは22人。「下野杜氏」になるためには厳しい試験やカリキュラムが課されており、筆記・実技・面接試験だけでなく、酒造技術者養成講座で講師を務めることも要件となっています。地元の若い蔵人たちは、とちぎの地酒づくりを担う後継者として、勤め先の酒蔵の枠を越え、互いに切せっ磋さ琢たく磨ましながら酒造技術と品質の向上を目指しています。 杜氏は、製造現場を統括しています。惣誉酒造では、会社から「こんな種類の酒をこれくらいの量つくってほしい」という製造計画をもらうので、それを具体的なスケジュールに落とし込み、与えられた原料の酒米を使って、酒づくりを円滑に進めていくのが杜氏の仕事です。実際の作業は各工程を担当する蔵人が行いますが、米を水に漬ける時間や出でこうじ麹(麹づくり終了)のタイミング、もろみの温度管理など、肝となるところで指示を出しています。また、最後の“しぼり”の時期は、私が決めています。 惣誉の蔵では、地元の7名と冬季に岩手から来る南部杜氏協会所属の7名で作業をしているので、みんなをまとめていく役割も大きいです。良い酒をつくるためには、技術だけでなく、全員の心を一つにすることが大切だと思いますので、蔵人の和が乱れないよう気をつけています。1 ㈱虎屋本店/菊 2 ㈱外池荘五郎商店/東錦 3 ㈱井上清吉商店/澤姫4 宇都宮酒造㈱/四季桜 5 西堀酒造㈱/若盛 6 若駒酒造㈱/若駒7 杉田酒造㈱/雄東正宗 8 ㈱相良酒造/朝日榮 9 大平酒造㈱/黒龍10 三福酒造㈱/三福 11 小林酒造㈱/鳳凰美田 12 北関酒造㈱/北冠13 飯沼銘醸㈱/杉並木 14 ㈱渡邊佐平商店/清開 15 片山酒造㈱/柏盛16 第一酒造㈱/開華 17 吉井酒造㈱/初戎 18 相澤酒造㈱/愛乃澤19 ㈱辻善兵衛商店/桜川 20 ㈱外池酒造店/燦爛 21 惣誉酒造㈱/惣誉22 森戸酒造㈱/十一正宗 23 ㈱富川酒造店/富美川 24 ㈱松井酒造店/松の寿25 合小島酒造店/かんなびの里 26 ㈱せんきん/仙禽 27 ㈱島崎酒造/東力士28 ㈱白相酒造/とちあかね 29 鳳鸞酒造㈱/鳳鸞 30 池島酒造㈱/池錦31 天鷹酒造㈱/天鷹 32 渡邉酒造㈱/旭興 33 ㈱平山酒造店/藤の盛34 菊の里酒造㈱/大那 ★とちぎ銘酒館 酒々楽 酒蔵名/代表銘柄問栃木県酒造組合☎028-622-5071 栃木県酒造組合が運営する地酒のアンテナショップ『酒々楽』は、「県内の地酒を1カ所で飲み比べできる場所が欲しい」という声を受け、若手経営者たちが中心となってオープンさせました。ここでは、県内全ての酒蔵から直送された地酒が常に100種類以上並ぶほか、毎週金曜には蔵元が交代で店を訪れ、おすすめの地酒を提供します。店内に入るとガラスの保管庫に酒瓶がずらりと並んでいます。迷ったときは、その日の「おすすめ」をチェック!どのお酒も1杯100円で試飲できます。営業時間は平日の夕方(午後5時~7時)の2時間。座席数は約30席です。あくまで試飲なので一人10杯まで。“0.5次会の店”として利用し、試飲後はぜひ周辺のお店でお酒を楽しんでください。大田原市矢板市益子町真岡市小山市栃木市佐野市宇都宮市塩谷町日光市那須烏山市那珂川町市貝町さくら市12356781011131416171819202122232425262728293031323334151294★とちぎの酒蔵MAP麹こうじづくり栃木県庁本町二荒山神社二荒山P大通り至宇都宮駅酒々楽栃木県総合文化センターとちぎ銘酒館 酒々楽にて、地酒で乾杯!(セルジオ越後さんと福田知事)杜氏の役割惣そう誉ほまれ酒造㈱ 秋田 徹さん 入社16年目。昨季から杜氏として働き、今年度「下野杜氏」の認定を受けました。 「下野杜氏」立ち上げの中心となった若手の経営者たちは私と同世代で、その頑張っている中に加わりたいという思いがありました。“とちぎの地酒”は県内外でも認知度が高まってきていて、栃木県で酒をつくる者として自分にも何かできないかと思い、認定試験を受けました。 貴重な酒米を使い、力を合わせ、手間をかけてつくっているので、そうしてできる酒を一本たりとも無駄にせず、おいしいものにできるようにしたいと思っています。 「とちぎの酒は、こういう味」というような、地域的に統一された特徴はありませんが、逆に各酒蔵でそれぞれ趣向を凝らし、多種多様な酒をつくっていると思います。また、酒蔵同士はライバルですが、“とちぎの酒”という意識を持って互いに高め合っています。そのまとまりと向上心が、県外にアピールしていくときの力になっていると思います。酒づくりへの思いとちぎの地酒のいいところ県内の地酒が一堂に とちぎ銘酒館酒さ々さ楽ら「下野杜氏」だけが羽織ることのできる法被※青字は見学可能な酒蔵(事前にご確認の上お出かけください)1234Point「下野杜氏」を目指した理由

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です