フォトとちぎ2013春号
19/20

 栃木県立学悠館高等学校の歴史研究部が、奈良県で開かれた「全国高校生歴史フォーラム」で優秀賞を受賞しました。同フォーラムは「ほんとうの歴史・文化財・地理を研究する楽しさを高校生に実感してもらおう」と、奈良大学が毎年主催しています。6回目のフォーラムが昨年11月に奈良大学内で開かれ、全国から応募のあった研究レポートの中から、優秀賞に選ばれた6校の代表が研究成果を発表しました。学悠館高校のテーマは、「若き日の円仁が学んだ岩舟〜1200年の時を越えた寺と窯跡〜」。慈覚大師円仁ゆかりの大だいじじ慈寺周辺に点在する古代の窯跡を踏査した結果をもとに、古代岩舟の仏教と窯業の背景について発表しました。 フォーラムでは、歴史研究部の竹澤渉部長(当時)が壇上に立ち、映像や実物を示しながら、踏査した寺や窯跡、出土した古瓦や須恵器などの遺物を紹介。出土品などから、8世紀中頃に下野国にも国分寺が建立され、この地域が一大窯業地となったこと、瓦の特徴から大慈寺にも供給していた可能性が高いと、考察しました。最後に竹澤さんは「この研究が、仏教と窯業についての理解を深め、文化財の保護と普及・活用につながればよいと思います」と結びました。  学悠館高校は、全国でも数少ない単位制の県立高校です。定時制と通信制があり、幅広い年齢層の生徒が通学しています。自分の進路希望に合わせて時間割を作成できるのが特徴で、3年以上在籍し74単位以上習得すると卒業できます。 歴史研究部は、2006年に同好会としてスタート。年ごとに研究テーマを設定し活動しています。現在の部員数は4人。この4月から、4年生の吉田隆寿さんが新部長を務めています。今年のテーマは古文書の研究。旧皆川城内村(現在の栃木市)に遺されていた明治時代初期の古文書「地誌編へんしゅう輯材料取調書」を解読します。わかりやすい文体に直して、パソコン上で誰でも閲覧できるようにする計画です。「地誌には、地形や気候、人口、産物など、地域のさまざまな情報が記されています。わかりやすい表現にして公表すれば、郷土史の研究に役立てることができると思います」と吉田部長。全国高校生歴史フォーラムの会場で発表する竹澤さん窯跡付近で瓦などの遺物を調査する学悠館高校歴史研究部員大慈寺周辺の窯跡を調査今年のテーマは地誌の研究文化財保護と普及・活用へフォトとちぎ2013春19

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です