
■市町村フォーラム
- 4.意見概要
- パネリストの意見は、それぞれ2〜4程度の論点があったが、全体としてどのような立場(賛成・反対)で意見を述べていたかを整理した。
- 意義に関する意見
- 国会等移転調査会報告で示された9つの選定基準、2つの留意事項からみると、土地利用関係の法整備、空港までのアクセス整備、水害や火山対策、水の関係など、いろいろと検討しなければならない事項もあるが、基本的に那須地域は適地であり、賛成する。
- 国会等移転で言われている3つの意義を考えると、東京一極集中は、今後の少子化を考えるれば必要ないと思うし、災害対応力の強化については、災害はどこで起きるか分からない現実もあり、国政全般の改革については、どこに移転しても進まないのではないかと考えている。
- 国民的な合意形成あるいは議論がないままに、国会等の移転が行われると、この事業自体が失敗してしまう心配がある。一人一人が真剣に考えなければ、間違った選択をしてしまう。
- 移転は、浪費としか思えない。官庁の建て替えが進んでいるのも矛盾である。移転費用のつけが国民に跳ね返ってくることを考えると、先が暗くなってしまう。発想はすばらしいが、経済的なことを考えると手放しでは賛成できない。
- 国会等の移転は、那須地域のみならず、全県的に取り組んでいくべき問題である。日本経済の活性化・雇用促進対策として、また、2000年の一大イベントとして移転先の決定を早期に決めて欲しいし、それが、那須地域であってほしい。自分たちとしても、全力で取り組んでいきたい。
- 自分の現場のことなら直ぐに判断できるが、国会等が移転された結果、何を失い、何を得るのか、まだ見えていないので判断できない。農家を例に考えてみると、土地を売りたい人にとってはラッキーだが、農家を続けたい人にはマイナスという具合に、環境・商業等、あらゆる分野でメリット、デメリットが有ると思われる。これらを整理する必要がある。
- 環境に関する意見
- 子供たちの将来の街づくりについての作文の中で、ほとんどが環境に配慮するといった視点が盛り込まれていた。県の資料には、「環境」といったキーワードが盛り込まれているので、那須地域に新首都を作る場合、将来の子供たちのためにも環境に配慮した都市づくりをお願いしたい。また、日本全国に波及するような、今考えられる最高の都市づくりをお願いしたい。
- 那須の自然を壊してまで都市づくりをする必要があるのか。木を切ってしまい、コンクリートで固めてしまうことに危惧を感じる。自然環境と共生した都市づくりができるのか疑問に思う。
- 地域振興(まちづくり)に関する意見
- 個人的な意見になるが、どのような町になって欲しいといえば、若い人、特に女性が活き活きと夢を持って働けるような町になってほしい。このことは、移転されてもされなくても一緒だと思う。現在でも日夜若い人達も一緒になって様々な問題について議論を重ねているところであるが、移転によって、息子が元気に店を継いでくれて、店・町・商店街が活き活きとしてくることが現実味を帯びてくることを期待したい。
- 地域振興については、地域の自助努力は必要であるが、そのきっかけとして国会等移転は重要である。移転が決まれば、那須と東京を結ぶ交通情報インフラが優先的に整備される。そうすれば、中間に位置するこの地域(県南地域)も経済的な利益も含めて、長期に渡る恩恵があると考える。
- 福祉・文化に関する意見
- ビルが建っただけで、新都市で働く人達が、仕事が終われば地域外に帰ってしまったら意味がない。定住するようにならなければならない。定住者が増えれば、経済も潤い、新しい産業が興り、活気が溢れ、今まで都市部に行かなければ受けられなかった高い教育・文化・医療・リクリエーション等の施設も整い、楽しくて便利な生活となる。
- 生活者には、赤ちゃんから老人、また、様々な社会的弱者がいる。それらの社会的弱者に対して優しく、思いやりのある街づくりのビジョンがあれば、国会等移転は、チャンスである。
- コミュニティーに関する意見
- 移転に消極的な理由には、新住民との関係づくりの困難さがある。例えば、農家には、「家畜の糞尿が臭い」、「米の乾燥機の音がうるさくて眠れない」、「トラクターが通った後の道路に残る泥を掃いて欲しい」等、色々な苦情がくる。都市部の農家になればなるほど、この苦情が顕著になり、皆、敏感になっている。こういった話を聞くと、本当に国会が来たほうが良いのか考えさせられる。
- 農業に関する意見
- 首都機能が今より遠くなってしまうと、本県の農業には大きなダメージになる。今後は、輸入自由化により、外国との農産物の競争になると思う。大消費地が、本県にできれば、品質と新鮮さ、つまり販売ルートの短縮で、本県の農業の発展に大いにプラスになる。農業は、自然環境の保全にも役立っていることを忘れてはならない。
- (農業者と)新住民との関係づくりについては、都会の人達は、家庭菜園やガーデニング等の自然とふれあうことに最近興味を持ってきているので、土地を提供して、お互いに話し合える機会を設けたりすれば、自然を理解して色々な苦情も減るのではないか。もちろん、農家も気をつけるように努力する必要がある。お互いに歩み寄る努力が必要。
|