第2部 環境の状況と保全に関して講じた施策

第1章 環境への負荷の少ない循環型の社会づくり

第2節 水環境の保全

1 水環境の状況

(1) 環境基準等

水質汚濁に係る環境基準は、「環境基本法」により人の健康の保護に関する基準と生活環境の保全に関する基準とが定められている。これは、公共用水域及び地下水の水質保全のための行政上の目標として位置付けられている。

このうち、人の健康の保護に関する環境基準は、すべての公共用水域及び地下水に一律に適用され、カドミウム等23項目(「健康項目」)について定められていたが、11年2月にほう素ふっ素硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の3項目が追加され、現在は26項目が定められている。また、12年1月の「ダイオキシン類対策特別措置法」の施行により、ダイオキシン類についても環境基準が定められた。

また、生活環境の保全に関する環境基準は、上水道、農業用水など、公共用水域の利水目的に応じて河川、湖沼の水域ごとに類型指定が行われている。

本県においては、川俣ダム貯水池が15年3月に国の類型指定を受け69水域となり、17年1月には11水系の類型改定等による見直しを行った。(表2−1−11)

15年11月には水生生物保全の観点から全亜鉛が追加され、国において類型あてはめ方法等が検討されている。

この他に環境基準に準ずるものとして、公共用水域及び地下水を対象とした「要監視項目」27項目及び「公共用水域等における農薬の水質評価指針」27項目が定められている。

表2−1−11 環境基準類型指定状況
区 分 河川・湖沼数 水域数 類型別水域数内訳 環 境
基 準
地点数
AA A B C D E I II III
河川 那珂川水系 14 15 2 13               16
鬼怒川・小貝川水系 16 20 4 10 3 3           21
渡良瀬川水系 18 29 1 10 14 3 1         30
小   計 48 64 7 33 17 6 1         67
湖   沼 5 5 3 2         2 2 1 5
合   計 53 69 10 35 17 6 1   2 2 1 72

(注)
1 渡良瀬川上流水域について、当該水域数には計上しているが、同水域の環境基準地点
  (高津戸=群馬県みどり市所在)は地点数に含まれていない。
2 類型のうち、T〜Vについては窒素及びりんに係る類型を示す。
3 押川(久慈川水系)は那珂川水系に、西仁連川(利根川に直接流入する)は渡良瀬川水系に含む。
4 現在の類型は、17年1月28日に改定されたものである。

(2) 河川水質の現況
ア 概況

本県の河川は、ごく一部を除き那珂川、鬼怒川・小貝川及び渡良瀬川の三大水系に分けられ、その流域は、県土のほぼ3分の1ずつに等分される。

県内の公共用水域の水質汚濁の状況を監視するため、「水質汚濁防止法」に基づき策定した「公共用水域の水質測定計画」により、17年度は環境基準の類型指定されている48河川と環境基準点のない13河川の合計61河川130地点において水質調査を実施した。人の健康の保護に関する項目(健康項目)については、すべての地点で環境基準を達成していた。

生活環境の保全に関する項目(生活環境項目)について、河川の有機性汚濁の指標であるBODで環境基準の達成状況を見ると、県全体の達成率は86%であり、前年度(81%) より改善している。(図2−1−20)

 

図2−1−20 水系別のBOD環境基準達成率の推移

水系別のBOD環境基準達成率の推移

水系別のBODの環境基準達成率は、那珂川水系93%、鬼怒川・小貝川水系95%、渡良瀬川水系76%となっており、那珂川水系、渡良瀬川水系では達成率は横ばいの状況であるが、鬼怒川・小貝川水系で前年度より達成率が上昇した。

類型別のBODの環境基準達成状況は、AA、B類型では前年度より達成率が上昇し、A、C、D類型では前年度と同じ達成率であった。(表2−1−12)

表2−1−12 類型別のBOD環境基準達成率の推移 (単位:%)
類型 年度/
水域数
8 9 10 11 12 13 14 15 16 17
AA 7 100 100 100 75 100 50 75 100 75 100
A 33 83 97 91 80 91 91 94 100 94 94
B 17 24 71 59 59 71 59 77 76 71 82
C 6 17 50 33 50 83 50 67 83 50 50
D 1 100 100 100 100 100 100 100 100 0 0
E 0 100 100 100 100 100 100 100 100 100 -
64 63 86 77 72 86 77 86 92 81 86

(注)
1 達成率=環境基準達成水域数/類型指定水域数×100
2 各環境基準点(渡良瀬川上流水域は補助地点)において、BODの75%値が当該水域の環境基準に適合している場合を環境基準達成水域とした。
3 類型ごとのBODの環境基準は、AA:1mg/ℓ以下、A:2mg/ℓ以下、B:3mg/ℓ以下、C:5mg/ℓ以下、D:8mg/ℓ以下、E:10mg/ℓ以下である。

生活環境項目別の環境基準適合状況を前年度と比較すると、DO、BOD、SSの達成率は高く、大腸菌群数は低くなっている。

生活環境項目について各水系を比較すると、那珂川水系は他水系と比較してBODの適合率が95.7%と高いが、大腸菌群数の適合率は11.2%と低い。(表2−1−13)

表2−1−13 項目別環境基準適合状況 (単位:%)
水 系 名 地点数 pH DO BOD SS 大腸菌群数
那 珂 川 33 94.8 100.0 95.7 100.0 11.2
鬼怒川・小貝川 45 98.7 99.4 90.3 99.7 23.8
渡 良 瀬 川 44 98.5 98.7 85.1 99.3 26.0
122 97.7 99.3 89.8 99.6 19.2
前 年 度 119 97.7 98.7 87.9 98.7 26.1

(注)
1 環境基準類型指定の全調査地点を対象とした。
2 適合率=環境基準適合検体数/調査実施検体数×100

過去5か年における主要河川の県内末流地点における水質をBODの年平均値で見ると、全体的な傾向は渡良瀬川を除き、良好な状態に向かっている。(図2−1−21)

図2−1−21 主要河川県内末流地点の水質の推移(BOD 年平均値)

主要河川県内末流地点の水質の推移(BOD 年平均値)
イ 各水系の概要
(ア) 那珂川水系の水質

那珂川水系に属する河川の15水域における環境基準類型指定状況はAA又はA類型で、他水系に比較し、水質的に良好な河川が多い。

環境基準達成状況をBODで見ると、14水域で環境基準を達成しており、達成率は93%で前年度と変わらなかった。(表2−1−14)

表2−1−14 那珂川水系の環境基準達成状況

I 環境基準を達成した水域
類 型 水域名 環境基
準地点
適合率
(%)
75%値
(mg/ℓ)
平均値
(mg/ℓ)
5年間
平均値
(mg/ℓ)
AA 那珂川(1)
高雄股川
恒明橋
高雄股橋
92
75
0.6
0.8
0.6
0.7
0.9
0.9
那珂川(2)

湯 川
余笹川
黒 川
松葉川
箒 川
蛇尾川
武茂川
荒 川
内 川
逆 川
押 川
新那珂橋
野 口
湯川橋
川田橋
新田橋
末 流
箒川橋
宇田川橋
更生橋
向田橋
旭 橋
末 流
越地橋
100
100
100
100
100
100
100
100
100
92
100
100
100
1.1
0.9
1.0
0.6
0.8
0.8
〈0.5
0.6
0.9
0.9
1.3
1.1
0.5
0.9
0.9
0.9
0.7
0.7
0.7
0.7
0.6
0.8
0.9
1.0
1.0
0.6
1.0
0.9
1.1
1.2
1.2
1.2
1.3
1.0
1.7
1.1
1.4
1,3
0.9
水域数 14(14)
構成比 93%(93%)
                   
II 環境基準を達成しない水域
類 型 水域名 環境基
準地点
適合率
(%)
75%値
(mg/ℓ)
平均値
(mg/ℓ)
5年間
平均値
(mg/ℓ)
江 川 末 流 67 2.3 1.6 2.0
水域数 1(1)
構成比 7%(7%)

(注)
1 環境基準地点において、BODの75%値が当該水域の環境基準に適合している場合を環境基準達成水域とした。
2 5年間平均とは、13年度〜17年度の75%値の平均値である。
3 計欄の( )は、前年度の数値を示す。

那珂川本川の水質流程変化をBODを指標として見ると、全域で1.0mg/ℓ前後の推移となっており、良好な水質を維持している。(図2−1−22)

図2−1−22 那珂川の水質流程変化(BOD75%値

那珂川の水質流程変化(BOD75%値)
(イ) 鬼怒川・小貝川水系の水質

鬼怒川・小貝川水系に属する河川の20水域における環境基準類型指定状況は、AA類型からC類型までの4類型である。

環境基準達成状況をBODで見ると、19水域で環境基準を達成しており、達成率は95%で前年度より上昇した。(表2−1−15)

表2−1−15 鬼怒川・小貝川水系の環境基準達成状況

I 環境基準を達成した水域
類 型 水域名 環境基
準地点
適合率
(%)
75%値
(mg/ℓ)
平均値
(mg/ℓ)
5年間
平均値
(mg/ℓ)
AA 鬼怒川(1)

男鹿川
板穴川
大谷川
川治第一
発電所前
末 流
末 流
開進橋
92

96
83
83
0.8

0.5
1.0
0.7
0.7

0.6
1.1
0.9
0.7

0.6
1.1
0.9
鬼怒川(2)

湯 川
西鬼怒川
江川下流
田川上流
赤堀川
小貝川
五行川
野元川
行屋川
鬼怒川橋
川島橋
末 流
西鬼怒川橋
末 流
大曽橋
木和田島
三谷橋
桂 橋
末 流
常盤橋
100
100
92
100
100
75
100
93
100
92
92
0.9
1.5
1.0
1.1
1.3
2.0
1.2
1.2
1.2
1.0
1.5
0.9
1.1
0.9
0.9
1.0
1.3
1.0
1.1
1.0
0.9
1.5
1.1
1.3
1.2
1.1
1.5
1.9
1.2
1.4
1.5
1.3
1.6
志渡渕川
江川上流
田川下流
筋違橋
高宮橋
梁 橋
100
92
92
2.0
1.7
2.3
1.6
1.5
2.2
2.3
2.1
3.5
御用川
釜 川
錦中央公園
つくし橋
75
100
5.0
2.7
4.6
1.8
7.4
2.4
水域数 19     (16)
構成比 95%    (80%)
II 環境基準を達成しない水域
類 型 水域名 環境基
準地点
適合率
(%)
75%値
(mg/ℓ)
平均値
(mg/ℓ)
5年間
平均値
(mg/ℓ)
田川中流 明治橋 58 5.6 3.6 5.5
水域数 1(4)
構成比 5%(20%)

(注)
1 環境基準地点において、BODの75%値が当該水域の環境基準に適合している場合を環境基準達成とした。
2 5年間平均とは、13年度〜17年度の75%値の平均値である。
3 計欄の( )は、前年度の数値を示す。

鬼怒川本川の水質流程変化をBODを指標として見ると、県内全域で1.0mg/ℓ前後の推移となっており、ほぼ良好な水質を維持している。(図2−1−23)

図2−1−23 鬼怒川の水質流程変化(BOD75%値)

鬼怒川の水質流程変化(BOD75%値)
(ウ) 渡良瀬川水系の水質

渡良瀬川水系に属する河川の29水域における環境基準類型指定状況は、AA類型からD類型までの5類型にわたっている。

環境基準達成状況をBODで見ると、22水域で達成し、達成率は76%と前年度と変わらなかった。(表2−1−16)

表2−1−16 渡良瀬川水系の環境基準達成状況

I 環境基準を達成した水域
類 型 水域名 環境基
準地点
適合率
(%)
75%値
(mg/ℓ)
平均値
(mg/ℓ)
5年間
平均値
(mg/ℓ)
AA 大芦川 赤石橋 100 〈0.5 0.5 0.88
渡良瀬川上流

神子内川
松田川上流
旗川上流
才川
秋山川上流

永野川上流

思川上流
黒川
沢入発電所
渡良瀬川取水堰
末 流
新松田川橋
高田橋
末 流
小屋橋
堀米橋
星野橋
大岩橋
保 橋
御成橋
100

100
100
100
100
100
92
100
100
100
100
0.8

0.6
0.7
1.2
1.6
〈0.5
1.6
0.6
〈0.5
0.6
1.0
0.8

0.7
0.6
0.9
1.2
0.5
1.2
0.6
0.6
0.6
0.8
1.2

0.9
1.0
1.3
1.5
0.9
1.5
1.0
1.1
1.0
1.5
渡良瀬川(2)
渡良瀬川(3)
小俣川下流
袋川上流
旗川下流
出流川
巴波川下流
永野川下流
思川下流
姿 川
西仁連川
葉鹿橋
渡良瀬大橋
末 流
助 戸
末 流
末 流
巴波橋
落合橋
乙女大橋
宮前橋
武井橋
100
92
83
100
75
92
88
83
100
92
83
1.0
2.3
2.9
2.1
2.7
2.8
2.3
1.6
1.6
1.7
2.5
0.9
1.7
2.5
1.8
1.8
2.1
2.0
2.0
1.2
1.6
2.1
1.1
2.1
3.0
2.7
2.7
3.5
2.3
2.2
1.8
2.2
3.1
矢場川 矢場川水門 83 4.4 3.3 4.4
水域数 22     (22)
構成比 76%    (76%)
II 環境基準を達成しない水域
類 型 水域名 環境基
準地点
適合率
(%)
75%値
(mg/ℓ)
平均値
(mg/ℓ)
5年間
平均値
(mg/ℓ)
小俣川上流 新上野田橋 50 3.4 4.1 3.6
渡良瀬川(4)
松田川下流
三杉川
三国橋
末 流
末 流
67
17
50
3.8
11
3.6
2.5
8.4
2.8
3.1
11
3.8
秋山川下流
巴波川上流
末 流
吾妻橋
58
25
7.5
8.7
5.8
7.6
6.1
8.2
袋川下流 袋川水門 50 12 8.1 9.6
水域数 7      ( 7)
構成比 24%    (24%)

(注)
1 環境基準地点において、BODの75%値が当該水域の環境基準に適合している場合を環境基準達成水域とした。
2 5年間平均とは、13年度〜17年度の75%値の平均値である。
3 計欄の( )は、前年度の数値を示す。

渡良瀬川本川の水質流程変化をBODで見ると、上流域では比較的良好な水質を示しているが、県境付近から徐々に悪化し、新開橋(藤岡町)付近から3.8mg/ℓとなっている。 (図2−1−24)

図2−1−24 渡良瀬川の水質流程変化(BOD75%値)

水生生物による水質調査

水生生物による水質調査は、水質階級の指標となる生物の生息数等を調査し、水質の判定を行うものである。この方法は、環境を構成する様々な要素を長期的かつ総合的に把握でき、理化学試験による水質の評価と併せて河川の状況を知る有効な手段である。

生物学的水質階級は、調査水域に生息する水生生物の種類、数等により「きれいな水(貧腐水性)」「少し汚れた水(β中腐水性)」「汚い水(α中腐水性)」「大変汚い水(強腐水性)」の4階級に分けられる。

本県では昭和59年度から、那珂川水系、鬼怒川・小貝川水系、渡良瀬川水系の3水系について毎年度調査を行っている。17年度は、那珂川水系17地点について調査を行ったが、前回の調査(14年度)と比較すると、「汚い水」の割合が増加し、「少し汚れた水」の割合が減少した。(表2−1−17)

水系別の評価は、総体的に見ると那珂川水系が最も「きれいな水」の割合が高く、次いで鬼怒川・小貝川水系、渡良瀬川水系の順になっており、理化学的な水質評価であるBODの評価と同様の傾向である。

 
表2−1−17 各水系における水質階級評価状況
水  系 実施
年度
調査
地点
きれいな水 少し汚れた水 汚い水 大変汚い水
m/n m/n m/n m/n
那 珂 川 59 38 36/38 94 1/38 3 1/38 3 0/38 0
62 16 16/16 100 0/16 0 0/16 0 0/16 0
2 16 11/16 69 5/16 31 0/16 0 0/16 0
5 16 15/16 94 1/16 6 0/16 0 0/16 0
8 16 16/16 100 0/16 0 0/16 0 0/16 0
11 37 35/37 95 2/37 5 0/37 0 0/37 0
14 16 15/16 94 1/16 6 0/16 0 0/16 0
17 17 16/17 94 0/17 0 1/17 6 0/17 0
鬼怒川・小貝川 60 43 29/43 67 8/43 19 5/43 12 1/43 2
63 21 8/21 38 4/21 19 7/21 33 2/21 10
3 21 9/21 43 9/21 43 1/21 5 2/21 10
6 18 11/18 61 4/18 22 3/18 17 0/18 0
9 51 35/51 68 10/51 20 5/51 10 1/51 2
12 18 15/18 83 2/18 11 1/18 6 0/18 0
15 16 8/16 50 6/16 38 2/16 12 0/16 0
渡良瀬川 61 53 24/53 45 5/53 9 12/53 23 12/53 23
29 11/29v 38 7/29 24 6/29 21 5/29 17
4 30 14/30 47 8/30 27 4/30 13 4/30 13
7 30 9/30 30 11/30 36 8/30 27 2/30 7
10 47 27/47 57 9/47 19 7/47 15 4/47 9
13 26 16/26 62 5/26 19 5/26 19 0/26 0
16 26 11/26 42 8/26 31 4/26 15 3/26 12

(注)
1 m/n=(各評価数)/(地点数)
2 調査は、基本的に5月と11月に実施した。

(3) 湖沼水質の現況
ア 概 況

近年、全国的な傾向として、窒素、りん等の栄養塩類が湖沼へ流入することにより、植物プランクトン等が大量繁殖し、水質の悪化や魚類のへい死、上水道における異臭味の発生等の障害が生じる富栄養化現象が見受けられる。

湖沼の水質についての環境基準は、生活環境項目に加え、富栄養化の原因となる窒素、りんについても設定されており、本県ではそれぞれの湖沼の特性に応じて中禅寺湖はAA類型・T類型(全りんのみ)、湯の湖はA類型・V類型、深山ダム貯水池はAA類型・T類型(全りんのみ)、川治ダム貯水池はAA類型・U類型にそれぞれ類型指定されている。

また、15年3月に川俣ダム貯水池(A類型・U類型(全りんのみ))が新たに類型指定を受けた。

イ 各湖沼の水質
(ア) 中禅寺湖の水質

中禅寺湖は面積11.5km²、最大水深163m、湖水の滞留日数は約6年で、標高1,269mに位置している天然堰止め湖であり、湖沼としては貧栄養湖に属している。

COD(湖心:表層75%値)は1.8mg/ℓ(基準値mg/ℓ)、全りん(湖心:表層)は0.006mg/ℓ(基準値0.005mg/ℓ)であり、いずれの項目も環境基準を達成していない。また、長期的に見るとCODはやや増加傾向にあるが、全りんは横ばいで推移している。(図2−1−25)

図2−1−25 中禅寺湖の水質の推移

中禅寺湖の水質の推移
(イ) 湯の湖の水質

湯の湖は面積0.35km²、最大水深14.5mで標高1,478mに位置している天然堰止め湖である。湖水の滞留日数は約30日で、水深も浅く、富栄養化しやすい湖沼といえる。

COD(湖心:全層75%値)は2.4mg/ℓ(基準値3mg/ℓ)、全窒素(湖心:表層)は0.43mg/ℓ(基準値0.4mg/ℓ)、全りん(湖心:表層)は0.029mg/ℓ(基準値0.03mg/ℓ)であり、COD、全りんは環境基準を達成している。長期的に見ると、COD、全窒素、全りんともほぼ横ばいで推移している。(図2−1−26)

図2−1−26 湯の湖の水質の推移

湯の湖の水質の推移
(ウ) 人工湖の水質

人工湖の水質状況を把握するため、「公共用水域の水質測定計画」に基づき、5貯水池について調査を実施している。

深山ダム貯水池では、COD(75%値)は1.0mg/ℓ(基準値1mg/ℓ)、全窒素は0.27mg/ℓ(基準値0.1mg/ℓ)、全りんは0.005mg/ℓ(基準値0.005mg/ℓ、H18暫定目標値0.011mg/ℓ)であり、COD、全りんは環境基準を達成している。

川治ダム貯水池では、COD(75%値)は2.2mg/ℓ(基準値1mg/ℓ、H18暫定目標値2mg/ℓ)、全窒素は0.40mg/ℓ(基準値0.2mg/ℓ、H18暫定目標値0.32mg/ℓ)、全りんは0.006mg/ℓ(基準値0.01mg/ℓ、H18暫定目標値0.021mg/ℓ)であり、全りんは環境基準を達成している。

川俣ダム貯水池では、COD(75%値)は2.0mg/ℓ(基準値3mg/ℓ)、全窒素は0.33mg/ℓ(基準値0.2mg/ℓ)、全りんは0.005mg/ℓ(基準値0.01mg/ℓ)であり、COD、全りんは環境基準を達成している。(図2−1−27)

その他の人工湖の水質については、いずれも前年度と比較して良好であった。

図2−1−27 人工湖の水質の推移

(4) 地下水水質の現況
ア 概況

トリクロロエチレンテトラクロロエチレン等による地下水汚染については、昭和60年度から18年3月までに138地区の汚染が確認されているが、そのうち52地区の汚染が終息した。18年3月末現在で地下水汚染の地区数は、86地区である。

イ 地下水水質の状況

県内の地下水の水質汚濁の状況を監視するため、「水質汚濁防止法」に基づき策定した「地下水の水質測定計画」により、実態把握のための概況調査及び汚染地区の監視のための定期モニタリング調査を実施した。

(ア) 概況調査結果

県内137地点で概況調査を実施したところ、2地点(小山市、野木町)で硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が環境基準を超過した。

(イ) 定期モニタリング調査結果

地下水汚染が確認されている地区において、汚染状況の監視のための定期モニタリング調査を実施した。その結果、テトラクロロエチレン等の汚染があった3地区(佐野市、鹿沼市、藤岡町)において汚染の拡大が見られた。

(ウ) その他の調査による汚染の確認

事業場の自主分析等の調査により、佐野市でテトラクロロエチレン、さくら市でジクロロメタン、真岡市で硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の汚染を新たに確認した。

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