1章 ビジョン策定の基本的考え方

1.ビジョン策定の趣旨
 我が国は、石油をはじめとしたエネルギーの8割以上を海外からの輸入に依存しており、諸外国に比べてエネルギー供給構造は極めて脆弱な状況にある一方で、大量消費型のライフスタイルを背景に、エネルギー消費は全体の過半数を占める民生部門・運輸部門を中心に増加傾向となっています。
 このため、石油をはじめとしたエネルギーの中長期的な安定供給の確保や石油依存度の低下の促進が我が国のエネルギー政策の基本的な課題となっています。
 また、近年では二酸化炭素等の温室効果ガスの排出による地球温暖化問題が顕在化し、地球温暖化防止対策の必要性が国際的に高まってきています。地球温暖化の主な原因である二酸化炭素の排出原因をみると、約8割が石油などの化石エネルギーの消費に起因していることから、地球温暖化問題とエネルギー問題との間には密接な関係があると言えます。 
 こうした状況の中で、国においては、産業、民生、運輸の各部門における省エネルギー対策の推進、化石エネルギーの合理的な使用及び非化石エネルギーの導入促進を図るため、法制度の整備や各種の施策を展開しています。
 栃木県においても、エネルギー消費量は民生部門・運輸部門を中心に全国を上回る増加率を示しており、このままの状況で推移すると将来的に大きく増加してしまうことが予想されます。
 これまで、エネルギー政策は国主導で推進されてきましたが、太陽光発電や風力発電などの新エネルギーのような分散型エネルギーの活用については、生活環境や気候風土などの地域特性を十分に踏まえたきめ細やかな対策が求められており、県をはじめとした地方自治体の積極的な取組が期待されています。
 こうした背景を踏まえ、本県におけるエネルギー需給構造の実態や地域特性、新エネルギーの賦存量などを把握したうえで、県・市町村・事業者・県民が新エネルギーを導入する際の指針とするために「栃木県地域新エネルギービジョン」を策定しました。
2.ビジョンの位置付け
 栃木県地域新エネルギービジョンは、1999(平成11)年3月に策定された「栃木県環境基本計画」に基づき策定するものです。また、このビジョンは、新エネルギーの導入を促進するための県全体の総合計画という性格を有すると同時に、県民、事業者、行政(県、市町村)等の各主体が新エネルギーを導入する際の指針となるものとして、2010(平成22)年度を展望し策定するものです。

図表1 栃木県地域新エネルギービジョンの位置付け

 

 
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