5章 ケーススタディ及び事例紹介

第2 事例紹介
 1.廃棄物エネルギー利用  (2) ごみ発電
  宇都宮市で計画されている直接燃焼方式のごみ発電事業を紹介します。
施設名称 クリーンパーク茂原焼却ごみ処理施設
対象とする新エネルギー等 廃棄物エネルギー(一般廃棄物)
導入施設の種類 ごみ発電(直接燃焼方式)
イニシャルコスト

 
発電事業費
約18億6400万円
うち、補助金5500万円(売電分事業費のみ)
施設規模


 
炉形式:全連続燃焼式焼却炉(ストーカ炉)
焼却能力:390t/日(130t/日×3)
灰溶融能力:40t/日
定格出力:7,500kW
運用期間 2001年3月より運転開始。
環境負荷削減効果


 
年間発電量:48,750,936 kWh
(うち電力会社への売電量:20,447,784 kWh)
二酸化炭素排出削減効果:18,720,359kg-CO2/年 
ダイオキシン類:0.1ng-TEQ/Nm3以下

■ごみ発電を導入するに当たって活用できる制度
  ・ 廃棄物発電促進対策費補助金(経済産業省)
  ・ 先進型廃棄物発電フィールドテスト事業(経済産業省 NEDO)
  ・ 廃棄物処理施設整備費補助金(環境省)

1.システムの導入事例(宇都宮市 クリーンパーク茂原焼却ごみ処理施設)
(1)導入の背景
 宇都宮市は、ごみ排出量の増加と焼却施設の老朽化に対応するために、上三川町、石橋町、河内町、上河内町とともに、ごみ焼却施設やリサイクルプラザからなる「クリーンパーク茂原」の整備を進めており、平成13年3月から運転を開始する予定です。

(2)導入システムの概要
 クリーンパーク茂原焼却ごみ処理施設では、未利用エネルギーの有効活用の観点から、ごみ焼却時に発生する熱エネルギーを利用した「ごみ発電」を行うこととしています。具体的には、ごみの焼却時に発生する熱エネルギーをボイラーによって蒸気の形で回収し、この蒸気を利用して発電を実施するものです。発生した電力については、各施設において消費されるほか、余剰分については電力会社に売電する計画となっています。また、ごみ発電に利用した熱エネルギー(蒸気)の一部を用い、当施設の暖房や給湯に利用する「廃棄物熱利用」も計画されています。
 ごみの焼却に伴う排ガス中のダイオキシン類の発生を抑制するとともに、焼却灰についても、灰溶融炉において溶融スラグ化してアスファルト混合物などの建設資材としてリサイクルするなど、環境に配慮したごみ処理施設となっています。

(3)運転計画
@発電量
 平年ベースの運転計画では、年間約11万トンのごみを焼却する予定になっています。年間の発電量は約48,751千kWhを予定しており、このうち焼却施設や余熱利用施設で消費する電力量(約28,303千kWh)を差し引いた余剰電力(約20,448千kWh)を電力会社に売却する計画となっています。

■年間ごみ焼却量と発電量(計画)

年間ごみ焼却量(t/年) 110,032
年間発電量(kWh/年) 48,750,936
 

年間電力消費量(kWh/年)

28,303,152
年間売電量  (kWh/年) 20,447,784
年間売電量/年間発電量(%) 41.9

■年間収益(計画)                   単位:千円

売電による収益 153,200
自家消費分の電気料金相当額 265,484
合     計 418,684

Aランニングコスト
 平年ベースの発電事業に関する修繕費や運転委託費などの維持管理費と建設費の減価償却費の合計は、約193,050千円を予定しています。
                                                 単位:千円

建設費減価償却費 131,890
維持管理費 61,160
  保守点検委託料 12,336
消耗品費 1,000
修繕工事費 12,424
人件費 9,292
運転委託料 26,108
合   計 193,050

B排ガス計画値
 排ガスの計画値は、ダイオキシン類の発生を基準値の0.1ng-TEQ/Nm3以下に抑制するほか、ばいじん量0.02g/Nm3以下、硫黄酸化物30ppm以下などいずれも法規制値以下の値となっています。

■合成ガスの性状例(千葉プラント)

種  類 計画値 参考(法規制値等)
ばいじん量 0.02g/Nm3以下 0.04g/Nm3以下
硫黄酸化物 30ppm以下 約2,160ppm以下
塩化水素 50ppm以下 430ppm以下
窒素酸化物 70ppm以下 250ppm以下
ダイオキシン類 0.1ng-TEQ/Nm3以下 0.1ng-TEQ/Nm3以下

(4)まとめ
 ごみ発電は、日本全国において既に約170ヶ所以上のごみ処理施設において導入されており、信頼性の高い技術と言えます。発電した電力により、ごみ処理施設内の所内電力をまかなうことが可能なほか、余剰分については電力会社に売却できるようになっており、未利用エネルギーの有効利用やごみ処理コストの低減の観点からも優れたシステムと言えます。
  しかし、小規模な焼却施設ではスケールメリットが得られないため、経済性を考えると1日当たり150〜200tの処理規模が必要とされています。

■参考
 ○宇都宮市資料

 
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