5章 ケーススタディ及び事例紹介

第2 事例紹介
 2.風力発電 (2)100kW以下
  弱い風でも発電できる40kWプロペラ型風車の設置を想定します。
対象とする新エネルギー等 風力発電
対象の想定 地方自治体、事業者等

風車の諸元

定格出力 40kW
ブレード数 3枚
ロータ形式 水平軸
ロータ位置 アップウインド
回転数制御 可変速
直径 15mφ
定格回転数 60rpm
定格風速 11m/s
カットイン風速 2m/s
カットアウト風速 25m/s
タワー(ハブ)高さ 22m
騒音 40dB(A)
(風速8m/s時150m離れた地点での値)
イニシャルコスト 4000〜5000万円
環境負荷削減効果 ・発電量分の電力使用抑制効果がある。
・発電時に大気汚染物質の排出がない。
活用できる支援制度 <融資>
・地域エネルギー開発利用(発電事業)普及促進利子補給制度(新エネルギー財団)

  近年、北海道などにおいては、売電を目的とした大型風車の大量導入が進められています。しかし、本県においては、大型風車を大量導入できる適地が非常に少ないため、大型風車よりも一回り小さく、弱い風でも回りやすい風車(発電出力40kW)の導入を考えます。小型風車は、中程度の風(2m/s以上)があれば発電が可能で、大規模風車が導入できない場所への導入が可能です。さらに、副次的な効果としてシンボル効果や普及啓発効果等が期待できます。

1.導入システムの 設定条件
 
発電出力40kWの風車を1基設置することを想定します。

 システムの概要は下図のとおりです。
 なお風車については、発電出力40kWで、カットイン風速2m/sという風の弱い地域でもよく回る風車を導入します。

2.効果の算定
(1)環境負荷削減効果
 発電の際に大気汚染物質を排出しないため、発電した電力量に相当する環境負荷削減効果があります。

(2)経済性
●建設コスト・運転保守費
 風力発電システム建設に必要なコストは、風車本体(約2,000〜2,500万円)のほか、電気設備、土木工事(整地、基礎、仮設道路等)、風車据付工事、電気工事の費用などから構成されます。また、系統の状況によっては、別途、電力会社への工事費負担金が必要となります。
 運転保守については、電気設備関係の点検費用(年間数十万円程度)、風車本体の点検費用(風車本体価格の3%程度)のほか、保険料、税金等があります。

■参考
 ○富士重工業資料

小型風車導入に当たっての課題
 本県では、風の強い地域が標高の高い自然公園区域内に多いことから、売電を目的とした風車の設置は困難であるといえます。このため、弱い風でも回りやすい小型風車であっても、設置を図る場合は、風車のその他の効用(シンボル効果、普及啓発効果等)が十分に得られるように配慮することが必要です。

■クリーンエネルギーのシンボルとしての設置と周辺施設整備
 風車は、視覚的にクリーンエネルギーを理解しやすい設備であり、また、ランドマークにもなることから、「エネルギーを感じる」ことをコンセプトに公園等に整備を図ることは、環境・エネルギー教育や地域振興の観点から有効です。
 クリーンエネルギーのシンボルとして、小規模で、回りやすい(カットイン風速の小さい)風車を設置するとともに、風車の発電量をわかりやすく示す展示設備を設置したり、太陽エネルギーなど他の新エネルギーを併せて展示することにより、自然エネルギーへの理解を促進し、より効果的な普及啓発を図ることができます。

 

 
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