5章 ケーススタディ及び事例紹介

第2 事例紹介
 3.中小水力発電<小水力発電(流れ込み式)>
  群馬県企業局が運営している中小水力発電「天狗岩発電所」の事例を紹介します。
施設名称 天狗岩発電所
対象とする新エネルギー等 中小水力発電
導入施設の種類 小水力発電所(流れ込み式)
イニシャルコスト 457,470千円(補助金含む水力発電設備)
施設規模 出力:最大540kW
使用水量:最大10.4m3/s
有効落差:最大出力時7.36m
水車:横軸固定プロペラ 4台
運用期間 昭和57年6月運転開始
環境負荷削減効果 二酸化炭素排出削減効果:680,759kg-CO2/年
(平成11年度実績)

■中小水力発電を導入するに当たって活用できる制度
  ・ 中小水力発電開発事業(経済産業省 NEDO)
  ・ 中小水力開発促進指導事業補助金(経済産業省)
  ・ 補助かんがい排水事業(農林水産省)

1.システムの 導入事例(群馬県北群馬郡吉岡町 天狗岩発電所)
(1) 導入の背景
 天狗岩発電所は、昭和57年6月に群馬県が国の指導と補助金を受けて建設した最大出力540kWの小水力発電所で、北群馬郡吉岡町を流れる天狗岩用水路(農業用)の落差7.36m延長約100mの区間を利用して発電を行っています。

(2)導入システムの概要
 天狗岩発電所は、農業用水路の流れをそのまま利用して発電を行う流れ込み式の小水力発電です。農業用水路を利用しているため、灌漑期(6月1日〜9月25日)と非灌漑期では水量が変動しますが、水車発電機を4台設置し、水量の豊富な灌漑期には4台運転、非灌漑期には1台運転と水車発電機の使用台数を季節によって変えることによって、農業用水路の水量の変化に対応した発電ができるようになっています。
  この天狗岩発電所は、前橋市にある群馬県管理総合事務所からの遠方制御により運転・管理されています。

(3)運転状況
@発電量

  平成11年度における発電量は、約1,772千kWh、設備利用率は約37%となっています。発電した電力は、電力会社に売電しています。

天狗岩発電所における発電状況

Aランニングコスト
 平成12年度における営業費などのランニングコストは、約27,885千円となっています。 

                                         単位:千円

営業費 14,771
交付金 2,594
減価償却費 10,520
合計 27,885

2.まとめ
 
天狗岩発電所のような流れ込み式の中小水力発電所は、小河川や農業用水路などの有効落差が比較的小さい場所にも設置が可能なため、農業用水路が比較的多く存在する本県においても導入が期待できます。
  また、河川や用水路などの流れをそのまま利用する流れ込み式の中小水力発電は、ダム等の大規模施設を建設する必要がないうえ、自然エネルギーの水力を利用するため、発電に伴う二酸化炭素等の環境負荷の排出がないなど、環境保全の観点からも優れたシステムと言えます。

■参考
 ○群馬県企業局資料


 

 
戻る 表紙へ 次へ