首都機能移転実現に関する要望
首都機能移転は、東京一極集中を是正し、地方分権をはじめとする国政改革の推進、我が国の災害対応力強化の観点から、極めて重要な意義を有するものである。
特に、国家中枢機能の集中配置は、地震等の大規模災害やテロ、外部からの武力攻撃といった有事における機能確保の観点から極めて危険であり、国家組織における危機管理体制の充実強化は重要かつ緊急の課題である。
阪神・淡路大震災から10年が経過し、これまでは都市部の地震災害の対策が注目されてきたところであるが、折しも、昨年10月に発生した新潟県中越地震は、最大震度7を記録、震度5弱以上の強い余震が長時間続いた。範囲が広い災害では、他の地域からの救援が追いつかない場合があり、広域で同時多発で災害が起きた場合の対応も今後の課題である。
また、昨年12月、中央防災会議の専門調査会で想定された首都直下型地震では、死者が最大1万2千人、焼失戸数が85万棟、帰宅困難者が最大650万人と非常に巨大な被害が想定されたところである。
さらに、大津波により、死者、行方不明者が約30万人にも上った昨年末のスマトラ沖地震を考えても、大災害では一瞬の判断が生死をわけることとなり、国家の中枢たる首都機能は、常に万全の体制が保持されることが必須である。
しかしながら、このような課題が山積するなかで、国会においては、平成2年11月の衆参両院における「国会等の移転に関する決議」、平成4年の「国会等の移転に関する法律」の議員立法以来、首都機能移転に関する検討が進められてきたものの、東京への人口及び各種機能の集中がますます顕著となるなかで、結論が再三にわたって先送りされてきたばかりか、今般の、「国会等の移転に関する政党間両院協議会」の座長とりまとめにおいては、首都機能移転の重要性・必要性は増大しているとの認識を明らかにしているにもかかわらず、積み重ねてきた議論を棚上げし、防災・危機管理機能のみの移転などの議論を行うとしたことは、本来の「国会の意思を問う方法」についての検討からはずれた乱暴な論理である。
首都機能移転論は、近年、まさに防災・危機管理上の必要性を大きな背景として進んできたものであり、これを無視し、新たな観点からの議論を行おうとするのは、ここまで進んできた地方の努力を無に帰すに等しい行為である。
さらに昨年暮れに、衆参両院の国会議員会館の現在地改築の概要が発表されたことは、移転決議を反故にする行為であり、かつての先賢が見抜いた日本の将来に対する危惧と、それを克服し国の安心に向けて描いた設計図を、目先の便利に惑わされて破り捨てるがごとき妄動であり、誠に遺憾である。
我々首都機能移転北東地域県議会連絡協議会は、これまで国会等移転審議会から最高の評価を得た「栃木・福島地域」への移転を早期に実現するよう、国会及び政府に強く働きかけてきたが、ここに至って、首都機能移転論議を棚上げ・白紙化し、バックアップ地域の選定のみでことたれりとするがごとき軽挙を、国自らがその責任において即時撤回し、我が国の将来について責任を持つ立場として、国家百年の大計を真剣に考え、基本に立ち返り早急に完全な首都機能移転の実行を決断するよう、改めて要望する。
首都機能移転北東地域県議会連絡協議会
会 長 山 口 武 平
副会長 大 沼 迪 義
副会長 奥 山 誠 治
副会長 渡 部 譲
副会長 阿久津 憲 二
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