トップ > 環境 > 環境保全・温暖化対策 > 環境保全 > とちぎの環境 > 計画・報告書等(環境資料アーカイブ) > 環境の状況及び施策に関する報告書(環境白書)  > 平成12年度環境の状況及び施策に関する報告書(要約)

大気環境保全対策

 

1 広域大気汚染対策

(1) 光化学スモッグ対策                                                                                   

 光化学スモッグは、大気中の窒素酸化物や炭化水素などから紫外線の作用で二次的に発生する刺激性ガス(光化学オキシダント)の濃度増により起こるもので、目の刺激、のどの痛み、胸苦しさなどの健康被害を伴うことがあります。
 被害を未然に防止するため、「栃木県光化学スモッグ対策要綱」を策定し、光化学スモッグ予報を、関係する市町村、行政機関、報道機関及び緊急時協力工場等に通報しています。 (表2−1−2)
 また、緊急時には、注意報等を発令し、市町村へ通報するとともに、緊急時協力工場に対してばい煙排出量の削減措置を要請したり、電話応答装置により県民への周知を図るなど、被害の未然防止に努めています。(表2−1−3)
 光化学スモッグの発生予報業務は、大気環境情報システムにより収集した光化学オキシダント濃度等と気象に関する専門機関から提供される発生予測気象情報及び環境庁の大気汚染物質広域監視システムから得られた関東地区の広域的な情報を把握し総合的に解析することで行っています。

表2−1−2 光化学スモッグ発令対象地域

番号 対象地域 市町村数市町村


 

県中央部
 

2市4町
 

宇都宮市、鹿沼市、河内町、粟野町、芳賀町、
高根沢町                  



 

県南部

 

2市11町

 

栃木市、小山市、上三川町、南河内町、西方町、
壬生町、石橋町、国分寺町、野木町、大平町、
藤岡町、岩舟町、都賀町           


県南西部

2市2町

足利市、佐野市、田沼町、葛生町       


県南東部

1市2町

真岡市、二宮町、益子町           


 

県北東部
 

3市5町
 

大田原市、矢板市、黒磯市、上河内町、塩谷町、
氏家町、喜連川町、西那須野町        


県北西部

2市1町

日光市、今市市、藤原町           



 

県東部

 

7町1村

 

茂木町、市貝町、湯津上村、黒羽町、南那須町、
烏山町、馬頭町、小川町           
 

 

表2−1−3 光化学スモッグ緊急時の発令及び解除の基準

区 分発令の基準解除の基準
     
予   報     
     
気象条件及びオキシダント測定値等を検討し、下三欄に掲げるいずれかの一の状態が発生すると予測されるとき。             左に掲げる状態がなくなったと認められるとき又は日没になったとき。
                
                
     
    
注 意 報     
     
一の測定地点において、オキシダント測定値が0.12ppm以上になり、かつ、この状態が気象条件から見て継続すると認められるとき。                   発令地域内の測定地点において、オキシダント測定値が 0.12ppm未満になり、かつ、気象条件から見てその状態が悪化するおそれがなくなったと認められるとき又は日没になったとき。       
     
警   報     
 
一の測定地点において、オキシダント測定値が0.24ppm以上になり、かつ、この状態が気象条件から見て継続すると認められるとき。    発令地域内の測定地点において、オキシダント測定値が 0.24ppm未満になり、かつ、気象条件から見てその状態が悪化するおそれがなくなったと認められるとき。
     
重大緊急報     
 
一の測定地点において、オキシダント測定値が0.40ppm以上になり、かつ、この状態が気象条件から見て継続すると認められるとき。    発令地域内の測定地点において、オキシダント測定値が0.40ppm未満になり、かつ、気象条件から見てその状態が悪化するおそれがなくなったと認められるとき。 

 

(2) 酸性雨                                                                                                 

 欧州や北米等においては、酸性雨が原因とみられる湖沼の酸性化や森林被害などが広域的に発生し、地球規模の環境問題の一つとして注目されています。(図2−1−13)
本県においてもpH5.6以下の降雨(酸性雨)が観測されていますが、生態系への影響は明らかでありません。
 広域的な汚染であることから、関係都県との共同調査(関東地方環境対策推進本部の酸性雨共同調査)に積極的に参加するなど、調査・研究等を継続して実施しています。
加えて、庁内の関係課所と酸性雨調査部会を設置し、奥日光地方(白根山付近)の調査を実施したほか情報交換を図っています。
 また、県内3か所での常時監視、8か所での酸性降下物量調査を実施して、被害の未然防止に努めています。
 さらに、環境庁が男体山北東部に設置した酸性雨測定所について、測定機器管理及び分析業務を受託して調査を実施しています。
 酸性霧は、雨に比べ微小水滴で滞留時間が長いため、汚染物質を多量に取り込むといわれていますが、不明な点も多いため、継続して常時監視を行い実態を把握しています。
 酸性雨に関する啓発の一環として、小中学校を対象とした雨のpHの簡易測定を実施しています。平成11年度は52校1,457名の参加がありました。
 平成12年度も引き続き調査を実施し、啓発に努めることとしています。

図2−1−13 酸性雨発生の仕組み

 

(3) スターウォッチング・ネットワーク                                                                    

 一人ひとりが身近な大気の状況を把握し、大気保全の重要性や自然観察についての興味と関心を深めることを目的として、昭和62年度から環境庁の主催で実施しています。
 平成11年度は、夏及び冬の代表的な星座である「こと座」及び「すばる星団(プレアデス星団)」について、双眼鏡でどの等級の星まで見えるか観察しました。
 本県では、4市1町12団体延べ495名の参加により実施され、夜空が星の観察に適していた場所として大田原市が全国において夏季5位、冬期2位となりました。
 平成12年度も引き続き実施することにしています。

 

2 大気環境監視事業

(1) 大気汚染常時監視事業                                                                               

 本県では、「大気汚染防止法」に基づき、大気汚染の状況を監視するため、35か所の測定局(一般環境26局、自動車排出ガス9局)で常時監視を実施しています。
 測定局は、県が27局(一般環境19局、自動車排出ガス8局)、宇都宮市が8局(一般環境7局、自動車排出ガス1局)を設置しています。(表2−1−4)
 これらの測定局を県保健環境センター内の大気汚染監視室とデジタル回線で結ぶことによって、大気汚染の状況を迅速に把握しています。
 また、そのデータなどを基礎として、光化学スモッグ注意報の発令等緊急時の対策を講じています。(図2−1−14)

表2−1−4 大気汚染監視体制           (12年3月末現在)

       測定    項目

市 町
(測定局)

二酸化硫黄浮遊粒子状物質窒素酸化物

 
オキシダント
 
一酸化炭素炭化水素風向・風速温度・湿度                
市 町
(測定局)
二酸化硫黄

 
浮遊粒子状物質窒素酸化物

 
オキシダント
 
一酸化炭素

 
炭化水素


 
風向・風速

 
温度・湿度

 
栃木県設置の一般環境測定局栃木県設置の自動車排出ガス測定局
足利市足利市     
栃木市  栃木市     
佐野市  佐野市      
鹿沼市 鹿沼市     
日光市     今市市       
今市市 真岡市      
小山市小山市     
真岡市矢板市       
大田原市    小  計00608400
矢板市     宇都宮市設置の一般環境測定局
黒磯市中央 
上三川町    泉ヶ丘小学校     
足尾町      宮の原小学校      
益子町     雀宮中学校  
野木町     瑞穂野北小学校     
烏山町  細谷小学校     
小川町     清原    
葛生町    小  計 7 7 3 2 0 1 7 2
藤原町 宇都宮市設置の自動車排出ガス測定局
小  計14101817481910大通り    
 合  計2118281914132612

(注)△:年間有効測定時間(6,000時間)を満たしていない。

 

(2) 有害大気汚染物質モニタリング調査                                                                

 平成11年度は、18項目について、一般環境3地点、固定発生源周辺(工業団地周辺)3地点、沿道1地点の合計7地点で、年間モニタリング(月1回24時間の採取)を実施しました。
 平成12年度も同様にモニタリングを実施することにしています。

(3) ダイオキシン類モニタリング調査                                                                    

 平成11年度は、一般環境7地点、固定発生源周辺(工業団地周辺)5地点の合計12地点で、年4回24時間の採取によるモニタリングを実施しました。
 12年度は測定地点を増やし、一般環境11地点、固定発生源周辺6地点の合計17地点でモニタリングを実施することにしています。

(4) 葛生町における降下ばいじん量調査                                                               

 葛生町は、日本有数の石灰鉱山等の密集地域であり、特に沿道の粉じん量が多いため、継続して降下ばいじん調査を実施するとともに、発生源対策を実施しています。

 

3 交通公害対策

(1) 自動車排出ガス対策                                                                                  

 本県においては、「栃木県交通公害対策連絡会議」を設置し、車両に対する自動車排出ガスの規制と併せて、交通規制、道路網の整備等の自動車排出ガス対策を推進しています。
 しかし、自動車保有台数や交通量はわずかながらも増加傾向にあり、また、RV車等のディーゼルエンジン搭載車が増加しているため、これらの対策にもかかわらず窒素酸化物濃度は横ばいで推移しています。
 県では、自動車排出ガスによる影響を把握するため、自動車排出ガス測定局9局(うち1局は宇都宮市設置)で常時監視を行っています。
 県が推進している「アイドリング・ストップ運動」(自動車の駐停車時における不必要なエンジン使用の中止)の普及を図るため、県民への啓発用ステッカーのちょう付や運輸関係業界への呼び掛けも行っています。

(2) 低公害車導入促進モデル事業                                                                      

 電気自動車や天然ガス自動車等の低公害車の導入は、自動車走行に起因する大気汚染(NO、黒煙等)や騒音の改善、二酸化炭素(CO)削減等に対し極めて有効です。
 そのため、県では、ハイブリッドバスと電気バスを奥日光で運行するほか、電気自動車5台を健康福祉センターにモデル的に導入しています。
 今後とも、低公害車を率先して導入していくとともに、一般への普及促進を図っていくため、走行性能の調査、イベントでの普及啓発等を実施していきます。

(3) スパイクタイヤ装着に伴う道路粉じん対策                                                         

 「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」に基づき、平成3年5月に宇都宮市以北の17市町がスパイクタイヤ使用禁止地域に指定されました。(平成5年2月に日光市が追加指定)(図2−1−5)

 主な国道・県道等への固定標識設置等により、スパイクタイヤの使用禁止は、県民に十分理解されている状況にあります。

表2−1−5 スパイクタイヤ使用禁止地域


7市

宇都宮市、鹿沼市、日光市、今市市、大田原市、矢板市、黒磯市

11町

 

上河内町、河内町、芳賀町、藤原町、塩谷町、氏家町、高根沢町、喜連川町、那須町
西那須野町、塩原町
 

 

 

4 工場等に対する規制と指導


 大気環境の保全を図るため、大気汚染の常時監視と平行して、「大気汚染防止法」及び「栃木県公害防止条例」に基づく工場・事業場への立入検査を実施しています。
 また、「工場・事業場ばい煙等自主管理要領」(昭和50年3月)を定め、ばい煙濃度の自主分析及び報告を義務付け、ばい煙発生施設の適切な維持管理を図るよう指導しています。

(1) 規制基準                                                                                               

 本県では、「大気汚染防止法」に基づく一律基準に加えて、同法第4条第1項の規定に基づき、有害物質(ふっ素及び塩化水素)について条例でより厳しい上乗せ排出基準を定めています。
 また「栃木県公害防止条例」では、4種類のばい煙に係る特定施設を定め、排出基準を設定しています。
 粉じんについても、3種類の特定施設を定め、施設の管理基準を規定しています。

(2) ばい煙関係施設及び粉じん関係施設の届出状況                                               

 「大気汚染防止法」、「栃木県公害防止条例」に基づく、ばい煙及び粉じん関係施設の届出状況は、表2−1−6、表2−1−7のとおりです。

表2−1−6 ばい煙関係施設等設置状況(12年3月31日現在)

@ 大気汚染防止法

ばい煙
発生施設
施設数(件)
県 分宇都宮市分

ボイラ−

2,871

622

3,493

溶解炉

242

17

259

金属加熱炉

226

37

263

焼成炉及び溶融炉

30

1

31

乾燥炉

183

28

211

廃棄物焼却炉

143

26

169

その他の産業炉

59

12

71

施設合計

3,754

743

4,497

届出工場・事業場数

1,632
 

313
 

1,945
 

 

A 栃木県公害防止条例

ばい煙に係る
特定施設
施設数(件)
県 分 宇都宮市分
亜鉛又はアルミニウムの第二次精錬の用に供する溶解炉
38

1
 

39
 

その他

0

0

0

施設合計

38

1

39

届出工場・事業場数

16
 

1
 

17
 

 

表2−1−7 粉じん関係施設等届出状況(12年3月31日現在)

@ 大気汚染防止法(一般粉じん)
 
一般粉じん
発生施設
施設数(件)
県 分 宇都宮市分

堆積場

197

14

211

コンベア

664

16

680

破砕機・摩砕機

298

9

307

ふるい

131

0

131

施設合計

1,290

39

1,329

届出工場・事業場数
 

223
 

12
 

235
 
A 大気汚染防止法(特定粉じん)
 
特定粉じん
発生施設
施設数(件)
県 分 宇都宮市分

解綿用機械

3

0

3

混合機

9

0

9

切断機

5

0

5

研磨機

6

0

6

切削用機械

7

0

7

破砕機・摩砕機

2

0

2

プレス

8

13

21

穿孔機

1

0

1

施設合計

41

13

54

届出工場・事業場数
 

5
 

1
 

6
 

     B 栃木県公害防止条例

粉じんに係る特定施設施設数(件)
県分宇都宮市分合 計
飼料又は有機肥料の用に供する粉砕施設及びふるい
16

0

16
窯業土石又は鉱物の用に供する施設
  破砕機・摩砕機

97

8

105

  ふるい

89

8

97

  消化施設

23

0

23

  包装施設

56

0

56

  堆積場

61

6

67
活性炭又は炭素製品の用に供する施設
  活性炭製造施設

18

0

18

  練炭、豆炭製造施設

1

1

2

  素灰製造施設

8

0

8
施設合計
369

23

392
届出工場・事業場数
123
 

13
 

136
 

 

(3) 工場等に対する立入検査状況                                                                       

 平成11年度は、延べ296工場等について立入調査を実施しました。(表2−1−8)
 立入検査時の指導事項の主な内訳は、届出の不備36件(46.8%)、自主分析の未実施16件(20.8%)、その他16件(20.8%)でした。(表2−1−9)
 行政分析については、廃棄物焼却炉1施設において排出基準不適合であり、改善警告を行いました。(表2−1−10)

 表2−1−8 立入検査実施数


区 分                年 度 

  7 

  8 

 9  

 10 

 11 

ばい煙関係の施設を設置する工場・事業場 

279

277

285

261

289

粉じん関係の施設を設置する工場・事業場 

5

9

8

3

7

         合     計       
 

284
 

286
 

293
 

264
 

296
 

(注) 1 ばい煙関係の立入検査実施数は、県分254件、宇都宮市委任分35件。
   2 粉じん関係の立入検査実施数は、県分 7件、宇都宮市委任分 0件。

 

表2−1−9 立入検査指導内容(11年度)


               
    指 導 事 項 

       施設数(件)        

 県実施分 

宇都宮市実施分 

 ※合  計  

指導した工場・事業場数(延べ)

      72

      5 

   77 ( 192)

 
 

 

 

 

 

 
 
 
 
 

排出基準・管理基準の遵守

       7 

      0  

    7 (  1)

自主分析の実施

      16 

      0 

   16 ( 28)

申請届出

      31 

      5 

   36 ( 52)

施設等の点検・管理

       4 

      0 

    4 ( 15)

処理施設等の設置・改善

       4 

      0  

    4 ( 15)

管理組織体制

       1 

      0  

    1 ( 40)

記録の整備

       0 

      0 

    0 ( 20)

その他
 

      16
 

      0  
 

   16 ( 21)
 

*合計欄の( )内数値は、10年度実績値

表2−1−10 行政分析結果及び行政処分内容(11年度)




 

       施設数(件)        

 県実施分 

宇都宮市実施分 

 ※合  計  


行政分析 
 

 実施数

     24

      5  

   29 (  8)

 不適合数

      1 

      0 

   1 (  0)


行政処分等

の内容

 指導

       

       

       

 警告

      1 

      0 

   1 (  0)

 勧告

       

       

       

 命令等
 

       
 

       
 

       
 

*合計欄の( )内数値は、10年度実績値

 

5 特定フロン対策


(1) 回収フロン破壊支援補助金                                                                         

 市町村又は一部事務組合が清掃事業により回収したフロンについて、破壊処理を促進するため、その運搬費用を助成しています。
 平成12年度も引き続き助成を実施します。

(2) 栃木県フロン回収促進協議会の運営                                                               

 関係業界、消費者、行政で組織する協議会により、フロンの回収・破壊の促進を図っています。

 

6 アスベスト対策


 平成元年12月に「大気汚染防止法の一部を改正する法律」が施行され、アスベストが「特定粉じん」として規制を受けるようになったことに伴い、関係企業の監視・指導に努めています。
 また、平成9年4月に吹付け石綿が使用されている建物の解体等作業が「特定粉じん排出等作業」として規定されたため、この解体作業についても規制・指導を実施しています。
 さらに、一般環境のアスベスト濃度についても、引き続きモニタリングを実施します。

                                       


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