(1) 地盤沈下の経緯
関東平野における地盤沈下は、かつて、関東南部地域において著しい状況にありました。
近年、南部地域は沈静化したものの、関東北部地域において、地盤沈下が進行しています。
本県においては、昭和50年に国が精密水準測量を実施した結果、野木町及び小山市の一部の水準点が最大で約14p(昭和44年9月から51年1月までの7年4か月間)沈下していることが認められました。
県は、昭和51年度に精密水準測量を、昭和53年度に地盤沈下計による観測を開始しました。
その後も、測量対象地域を拡大するとともに、地下水位と地盤変動を観測するための地盤沈下観測所の拡充に努めてきました。
平成11年度は、精密水準測量を県央以南平地部19市町に設置してある水準点224点、路線延長 504qについて、地盤沈下観測を県央以南平地部11市町に設置してある17観測所において、それぞれ実施しました。
(2) 地盤沈下の現況
県南地域の平地部は、沖積層や洪積層が厚く、地下水を過剰に揚水すると地盤沈下がおこりやすい地質になっています。
平成11年度は、野木町、藤岡町、小山市などで地盤沈下が進行したものの、前年同様、沈下量及び沈下面積とも小さい状況にあります。(表2−3−3、表2−3−4、表2−3−5)
年間の状況を見ると、地下水位は夏季に低下し、やがて回復するものの、経年的には低下の傾向にあります。
一方、地盤は夏季に沈下し、水位が回復しても、あまり回復しない傾向がみられます。
沈下量及び年間2p以上沈下している地域の面積等を経年的に見ると、渇水であった年(2年、4年、6年、8年)には沈下量及び沈下面積とも大きくなっており、地盤沈下と降水量の関連がみられます。(図2−3−1)
表2−3−3 県南地域代表市町の最大年間沈下地点とその沈下量 (11.1.1〜12.1.1)
単位:p
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市町名 | 水準点所在地 |
沈下量 |
野木町 |
野木町中谷504−3 (南赤塚小学校) |
1.46 |
足利市 |
足利市小曽根町517 (筑波小学校) |
0.79 |
小山市 |
小山市下生井1,547(下生井小学校) |
0.75 |
藤岡町 |
藤岡町下宮639 (八坂神社) |
0.62 |
佐野市
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佐野市船津川町 (椿田稲荷)
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0.49
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表2−3−4 県南地域代表市町の最大累積沈下地点とその沈下量 (昭52.1.1〜12.1.1)
単位:p
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市町名 |
水準点所在地 |
沈下量 |
野木町 |
野木町潤島800−1 (野木中学校) |
70.58 |
藤岡町 |
藤岡町下宮639 (八坂神社) |
59.20 |
小山市 |
小山市乙女934 (新井建業向側) |
49.33 |
足利市 |
足利市県町1,371 (県町公民館) |
28.09 |
佐野市
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佐野市高山町131 (渡良瀬川堤防敷)
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14.81
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表2−3−5 地盤沈下した地域の面積の推移

図2−3−1 県南地域代表市町の最大累積沈下水準点の経年変化

注)昭和52年1月1日を0pとした累積沈下量である。
図2−3−2 栃木県地盤変動等量線図

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