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化学物質対策

 

1 ダイオキシン類対策

 県では、9年12月、「小規模焼却炉に係るダイオキシン類削減のための指導方針」を策定し、小規模焼却炉の使用について指導してきた。また、10年2月にはダイオキシン類対策を全庁的に調整し、総合的に推進するための庁内組織として「栃木県ダイオキシン対策連絡会議」を設置した。
 さらに、11年1月には、「栃木県におけるダイオキシン類対策についての当面の取組方針」を策定し、発生源対策の推進として市町村等のごみ処理施設その他の廃棄物焼却施設対策の推進、ごみ減量化・リサイクルの推進、モニタリング調査等の推進、情報の収集・提供などの各種対策を講じている。
 11年度の環境モニタリング調査として、県では県内5地点において、大気、水質及び土壌中のダイオキシン類について調査を実施した。その結果は表2−6−2のとおり、調査した5地点すべて環境基準値を達成していた。(宇都宮市実施分の調査結果も掲載)

表2−6−2  ダイオキシン類環境モニタリング結果(11年度)

  大気 (pg-TEQ/‰) 河川水質(pg-TEQ/?) 土壌(pg-TEQ/g)

大田原市

   0.081

    0.036

   10

真岡市

   0.40 

    0.12

   8.6

栃木市

   0.20 

    0.018

   13

足利市

   0.13 

    0.12

   33

小山市

   0.35 

    0.10

   6.5

宇都宮市

  0.15〜0.44

  0.14〜0.30

  0.073〜34

環境基準
 

   0.6 以下
 

   1 以下 
 

 1,000 以下
 

 12年2月には、「工場・事業場ダイオキシン類測定結果報告等要領」を制定し、法に規定する事業者によるダイオキシン類の測定や測定結果の報告等を行ううえで必要な事項を定めた。
 12年度中には、県保健環境センターに測定施設を整備し、ダイオキシン類の検査体制を確立して、排出削減指導や監視体制の充実強化を図ることとしている。
 なお、11年度末の法に基づく特定施設数については、表2−6−3に示すとおりである。

表2−6−3  ダイオキシン類対策特別措置法に規定される施設数(11年度末)

   @ 大気基準適用施設

種類・施設規模

施  設  数
県 分 宇都宮市分

製鋼用電気炉

1

1

2

アルミニウム合金製造施設

59

0

59
廃棄物焼却炉
4t/h以上

18

6

24

2t/h以上4t/h未満

35

5

40

2t/h未満

446

54

500

施 設 合 計

559

66

625

工場・事業場数

397

46

443

   A 水質基準適用施設

施設の種類 施  設  数
県 分 宇都宮市分
アルミニウム又はその合金の製造の用に供する焙焼炉等の廃ガス洗浄施設と湿式集じん施設
9
 

0
 

9
 
廃棄物焼却炉の廃ガス洗浄施設、湿式集じん施設及び当該廃棄物焼却炉の灰の貯留施設
20
 

11
 

31
 
下水道終末処理施設
1

0

1
上記第1号から第5号までに掲げる施設を設置する工場及び事業場から排出される水の処理施設(前号に掲げるものを除く。)
0

1

1

施 設 合 計

30

12

42

工場・事業場数

15

6

21

 

2 環境ホルモン対策

 環境ホルモンについては、科学的に未解明な部分が多いことから、ダイオキシン対策連絡会議において、情報収集及び情報交換等により情報の共有化を図ってきた。
 11年度は水質の環境ホルモンの調査を5地点で実施した。その結果は、表2−6−4のとおり、検出状況は全国の検出レベルと同等であった。

表2−6−4  環境ホルモン実態調査結果(11年度)    (単位:μg/?)



        地  点

   物質名
 

那珂川

鬼怒川・小貝川

 渡良瀬川

荒 川

田 川

大谷川

姿 川

黒 川

向田橋

梁 橋

開進橋

宮前橋

御成橋

   臭化ビフェニル

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   二臭化ビフェニル

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   三臭化ビフェニル

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   四臭化ビフェニル

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   トリブチルスズ

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   トリフェニルスズ

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   4-t-ブチルフェノール

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   4-n-ブチルフェノール

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   4-n-ペンチルフェノール

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   4-n-ヘプチルフェノール

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   ノニルフェノール

0.06

0.07

0.06

0.07

0.06

   4-t-オクチルフェノール

N.D.

0.02

N.D.

N.D.

N.D.

   4-n-オクチルフェノール

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   ベンゾ(α)ピレン

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   ベンゾフェノン

0.03

0.05

0.04

0.02

0.01

   4-ニトロトルエン

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   オクタクロロスチレン

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   スチレンの2量体

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   スチレンの3量体

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   ペンタクロロフェノール

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   ビスフェノールA

N.D.

0.02

N.D.

0.13

N.D.

   2,4-ジクロロフェノール

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   フタル酸ジ-2-エチルヘキシル

N.D.

N.D.

0.3

N.D.

N.D.

   フタル酸ブチルベンジル

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   フタル酸ジ-n-ブチル

N.D.

N.D.

0.6

N.D.

N.D.

   フタル酸ジシクロヘキシル

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   フタル酸ジエチル

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   フタル酸ジペンチル

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   フタル酸ジヘキシル

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   フタル酸ジプロピル

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   n-ブチルベンゼン  

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   スチレンモノマー

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

N.D.

   17-β-エストラジオール
 

N.D.
 

N.D.
 

0.006
 

0.008
 

N.D.
 

注) N.D.は検出下限値未満 

 

3 化学物質の排出移動登録制度

 化学物質は、その用途及び種類が多岐にわたり、工業用に生産されているだけで、現在、約5万種にも及ぶと言われているが、直接的に生産されるこれらの化学物質とは別に、廃棄物の焼却や燃料の燃焼等により非意図的に生成される物質もある。
 こうした多種多様な化学物質のなかには、一般環境中に長期にわたり残留し、かつ、有害性の高い物質もあり、微量であってもヒトの健康に有害な影響を及ぼすおそれがある物質があることも指摘されている。
 このため、一般環境中において化学物質の状況を把握し、必要に応じて適切な対策を講じることが極めて重要となってくる。
 多種多様な未規制の化学物質を効率的に管理するためには、事業者自らが積極的に取組むことが不可欠であり、欧米では、化学物質の排出や移動の量について事業者自ら公表し、適正に管理することにより環境への負荷を低減する制度が既に採用されている。
 我が国においても、化学物質による環境への影響を未然に防止するため、特定の化学物質についての排出や移動の量を把握し、化学物質の性状や取扱いに関する事業者の情報を公表することにより、事業者による化学物質の自主的な管理を適正に推進することを目的とした「特定化学物質の環境への排出量の把握及び管理の改善の促進に関する法律」(いわゆるPRTR法)が11年7月に制定され、12年3月30日から一部の事務が施行されている。
 県としても、PRTR法の円滑な実施に向け、説明会の開催や広報媒体等により関係者に対する周知に努めている。


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