平成１２年度環境の状況及び施策に関する報告書（要約）/栃木県

１河川環境の状況

　近年の河川流域における生産活動の拡大や都市化の進展等に伴って、河川に排出される汚濁負荷量の増加、河川沿いの緑地の減少などにより水辺環境が著しく変化しています。
それにより河川景観や親水性の低下、水質の悪化等の問題が生じ、その保全と回復が望まれています。
　また、河川空間は、防災機能、レクリエーション機能等、水と緑のオープンスペースとして地域環境の形成に果たす役割が再評価されています。
　これらの水辺環境の保全と創造についての住民ニーズは、今後一層増大し、かつ多様化するものと見込まれますが、現状では必ずしも十分に応えられない状況にあります。
　このため、水辺環境の改善、河川及びその流域の特徴を生かした河川空間の整備と保全、地域活動による河川環境の維持と利用の増進などの各種施策を、総合的かつ計画的に実施し、豊かで潤いのある河川環境を保全・創造することが重要になっています。

２河川環境保全対策

(1) 河川の環境整備

① 河川浄化事業

　県は、汚濁の著しい河川や湖沼において、水質の保全や改善を図るために汚泥のしゅんせつや浄化施設の設置等の事業をを実施しています。
　汚濁の著しい湯の湖のしゅんせつ事業は、平成８年度に完了し、流入支川の浄化対策工事についても平成10年度に完了しました。
　また、近年水質汚濁が進んでいた巴波川（栃木市）、蓮台寺川（足利市）の浄化対策事業についても平成11年度で完了しました。
　平成12年度は、新規に矢場川（足利市）の浄化対策事業を実施します。

② 水辺環境整備事業

　水と緑の広場を確保し、緑地、多目的広場、運動場、園路、防災空間として河川敷の有効利用を図るため、低水路の整正や高水敷の造成などを行う河道整備を、那珂川（黒磯市・那須町）、行屋川（真岡市）で実施し、平成10年度に完了しました。
　平成11年度に着手した湯西川（栗山村）の河道の整備を、平成12年度も実施します。
　（表３－３－１）
　また、河川に清流と生物を呼び戻しすとともに、広く住民に親しまれる憩いの場として河川の有効利用を図るため、ポケットパークなど、せせらぎのある水辺、親水、豊かな川づくりを実施しています。

③ 清流ルネッサンス21

　平成５年度、建設省により、水質の汚濁が著しく生活環境の悪化が顕著な河川等において、熱意ある市町村と河川管理者、下水道管理者及び関係機関が一体となって西暦2000年までに良好な水環境を取り戻すため、「水環境改善緊急行動計画（清流ルネッサンス21）」を策定し、実施していくことが提唱されました。
　これに基づき、汚濁の著しい巴波川（栃木市）、渡良瀬川上流部支川の蓮台寺川、袋川、矢場川（足利市）を対象河川とした水環境改善緊急行動計画を策定し、効果的に事業の実施を図っています。

表３－３－１　河川環境整備事業

河川名	地区名	着工年度	全体計画概要	１１年度事業概要	備　　　考
巴波川	栃木市	４	流入支川対策を含む総合的な水質浄化事業費　 861,000千円	事業効果検討事業費 12,000千円	準用河川県庁堀川を含む　11年度完了
蓮台寺川	足利市	８	直接浄化、河床整理　植生浄化　　　　　　事業費　 975,000千円	河道浚渫　L=600m 簡易浄化　　１基事業費 330,000千円	11年度完了
矢場川	足利市	12	河道浚渫　浄化施設事業費　 450,000千円		12年度新規
湯西川	栗山村	11	河道整備　低水護岸　事業費　 108,000千円	環境護岸整備護岸　 A=800m²事業費　66,000千円	11年度新規

(２)　個性豊かなふるさとづくり事業

　地域住民や市町村、県等が一体となって、地域の活力や自然、歴史、文化等を生かした個性的で魅力的な地域づくりを支援するために、周辺の景観と調和した水辺づくりを五行川（氏家町）ほか１河川で実施します。

(3) 河川愛護運動

　都市化の進展に伴い河川環境の悪化が目立ち始めた昭和45年に、各市町村に河川愛護会が置かれました。
　また、連合会が発足してからは、地域住民や関係諸団体の協力により、河川の清掃等の実践活動が活発に行われるようになりました。
　河川愛護会の活動は、河川美化の向上と河川愛護の啓発に大きな効果を上げています。
なお、平成11年度に実施した事業の概要は次のとおりです。

① 県の事業
ア	全国統一実施の「河川愛護月間」（7月1日～7月31日）において、河川愛護運動を普及推進しました。
イ	河川敷の清掃及び草刈りを実施しました。
② 栃木県河川愛護連合会の事業
ア	6月1日～6月30日を「河川愛護月間」と定め、各市町村河川愛護会の協力のもとに、ゴミ・雑草の除去や川さらい等を実施しました。
イ	河川愛護普及ポスターを募集し、優秀作品の表彰及び展示を行った。また、上位入選作品でカレンダーを作成し、各市町村等に配付しました。
ウ	河川愛護普及用パンフレットを配付しました。
エ	河川愛護功労者を表彰しました。
オ	とちぎテレビＣＭにより、河川愛護思想の高揚を図りました。

(4) 水辺のビオトープ事業

　水辺のビオトープ研究会において、ビオトープの保全に係る普及啓発を図るため、平成11年度は、河川の水生生物調査を実施しました。
　また、「水辺のビオトープ講演会」を開催しました。