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地球環境保全対策の推進

 

1 これまでの県の取組

 地球環境問題は、地域や住民の日常生活を含めた社会経済活動に深く根ざしたものであり、その解決のためには地方自治体も重要な役割を担っています。
 県では、地球環境問題の対応を検討するため、平成2年6月に全庁的組織として「栃木県地球環境保全連絡会議」を設置し、同年11月に取組方針を策定しました。
 平成4年6月に同会議を全庁32課に拡大し、また、「酸性雨調査部会」を設置しました。
 さらに、平成7年7月にはフロン対策を円滑に推進するため「オゾン層保護対策部会」を設置しました。
 地域の環境を保全し、県民の生活や社会経済活動を健全に維持するためには、県民・事業者・行政が一体となって地域を挙げて着実に対策に取り組むことが重要であるため、県は市町村など関係機関と連携し、以下のような各種対策を推進してきました。
    @ 普及啓発の推進
      ア クリーンアップフェアの開催
      イ 子供向け環境副読本・消費者啓発資料の作成、配付
      ウ 中小企業金融対策(地球環境の保全に資する設備の導入促進)
      ヱ 環境保全型農業の普及促進
    A 地球環境に配慮した地域づくりの推進
      ア 省資源・省エネルギー対策
      イ 省資源・リサイクル技術の開発促進
      ウ ごみ減量化・再生利用の推進
      ヱ 工場、学校等施設の各種緑化
      オ 自動車排出ガス抑制対策
      カ バス、鉄道の利用促進
      ク 日光小田代原における低公害車の運行
      ケ 電気自動車の運行
      コ 県有施設における特定フロンの排出抑制
      サ 市町村が実施するフロン回収・破壊への助成
    B 環境の実態調査、研究の推進
      ・ 酸性雨、フロン等の調査
2 地球温暖化対策

(1) 地球温暖化対策地域推進計画の策定                                                       

 県は、平成12年3月、本県の地球温暖化対策を計画的、総合的に推進するため、「栃木県地球温暖化対策地域推進計画」を策定しました。
 この計画では、県内の温室効果ガスの排出実態と排出特性を踏まえ、本県の温室効果ガスの削減目標を掲げるとともに、その目標を達成するための県の施策と、県民、事業者及び行政の各主体が地球温暖化防止に向けた取組を実践する際の行動指針を具体的に示しています。
 削減目標は、「22年度(2010年度)における本県の温室効果ガスの排出量を、平成2年度 (1990年度)に比べ6%削減する。」こととしました。
 本県の温室効果ガスの排出量は、平成2年度で約1,597万トン、平成9年度(1997年度)で  約1,980万トンであり、このままの状態で排出され続けると、平成22年度には、県内での排出量が2,300万トンになると予測されています。
 削減目標を達成するためには、22年度の排出量を約1,500万トンに抑制する必要がありますが、これは、平成9年度の排出量から見ても480万トンの削減となるため、今から着実な対策を講じていく必要があります。(図4−1)

図4−1 温室効果ガスの将来予測と削減目標

 

3 新エネルギーの導入促進

(1) 地域新エネルギービジョンの策定                                                            

 我が国は、エネルギーの8割以上を輸入に依存するとともに、その約6割を石油に依存しています。
 そのため、石油をはじめとするエネルギーの安定供給の確保や石油依存度の低減等の努力が求められています。 
 また、我が国の温室効果ガスの約9割を占める二酸化炭素のうち、約8割以上が石油をはじめとした化石エネルギーに起因していることや平成9年12月の「地球温暖化防止京都会議」の結果等を踏まえると、エネルギー施策における環境対策は必要不可欠な状況となっています。
 これらの課題に対応するものとして、近年、太陽光発電や風力発電、廃棄物発電等の新エネルギーが注目されています。(表4−2)
 本県では、こうした新エネルギーの導入促進を図るため、本県におけるエネルギーの需給構造の実態や地域特性等を把握するとともに、各種の新エネルギーに関する現状と課題を把握した上で、行政、県民、事業者が取り組むべき、将来の新エネルギーの導入方策や導入指針をまとめた「栃木県地域新エネルギービジョン(仮称)」を平成12年度に策定することとしました。

表4−2 新エネルギーの種類

再生可能エネルギー

太陽熱利用
太陽光発電
風力発電
温度差エネルギー
中小水力発電
地熱エネルギー

リサイクルエネルギー

廃棄物発電
廃棄物熱利用
廃棄物燃料製造
その他排熱利用 (工場排熱等)
バイオマスエネルギー

従来型エネルギーの新利用形態
(広義の新エネルギー)

天然ガスコージェネレーション
燃料電池
クリーンエネルギー自動車

 

(2) 栃木県庁環境保全率先実行計画の策定                                                 

 県は、県の事業者・消費者としての立場から自らの活動による環境への負荷を低減するため、平成9年度に「栃木県環境保全取組指針」を策定し、全庁的な取組を行ってきました。
 一方、国においては、平成10年10月に「地球温暖化対策推進法」を制定し、国、地方公共団体、事業者、国民の自主的、積極的な温暖化対策を推進することとしました。
本県においてもこれを受け、これまでの取組をさらに強力に推進するため、平成12年3月に「栃木県庁環境保全率先実行計画」を策定しました。
 この計画は、県自らが行う経済活動の中で生じる環境への負荷を低減するため、温室効果ガスの排出抑制などについて率先して行動することとしており、県のすべての組織が行う事務・事業(病院、企業庁、県立学校、警察を含む)を対象としています。(表4−1)
 計画期間は、平成12年度から平成16年度までの5年間であり、計画の推進に当たっては、環境マネジメントシステムの国際規格ISO14001の考え方であるPDCAサイクルを導入し、環境の継続的な改善を行うこととしています。

表4−1 計画に掲げる数値目標

項目目標及び目標値
 電気使用量庁舎等における単位面積当たりの電気使用量を7%削減する。
 水道使用量庁舎等における単位面積当たりの水道水使用量を5%削減する。
 庁舎燃料使用量庁舎等における単位面積当たりの燃料の使用量を5%削減する。
 用紙使用量
 
コピー用紙・印刷機用紙の総使用枚数を10%削減する。
印刷物を含めた用紙の古紙利用率を90%以上とする。
 グリーン購入の推進
 
常用物品に占める環境配慮型製品の購入率を70%以上(金額ベース)とする。
 公用車燃料使用量公用車燃料の総使用量を10%削減する。
 廃棄物庁舎等からのごみの排出量を20%削減する。
 建設副産物
 
建設廃棄物の利用率を94%、建設発生土利用率を90%とする。
(目標年度 平成17年度)

また、これらの取組を行うことにより、温室効果ガスを次のとおり削減することとしている。

県の活動による温室効果ガスの総排出量を6%削減する。
   温室効果ガス総排出量(二酸化炭素換算)
  平成10年度 59,883トン → 平成16年度 56,300 トン(約3,600トンの削減)


(3) エコライフ推進事業の実施                                                                 

 二酸化炭素の削減など地球環境保全に関する問題について、消費者が環境家計簿の記入を通し、消費生活面から環境保全を考え、地球環境にやさしいライフスタイルの確立を支援するための講座等を実施しています。
平成12年度は、「地球にやさしい生活講座」と「二酸化炭素(CO2)体験講座」を実施し、消費者の地球にやさしいライフスタイルの確立を支援していきます。

@  地球にやさしい生活講座
各種広報を通して一般県民から受講生を募集し、8回の講座(うちスクーリング3回、通信講座5回)を実施しました。(受講生51名)
平成12年度も40名の受講生に対し、平成11年度と同様に8回の講座を実施します。
A  環境家計簿普及推進員養成講座
平成10年度の地球にやさしい生活講座修了生10名を対象に5回の講座(うちスクーリング2回、通信講座3回)を実施し、このうち規定のカリキュラムを修了した7名を、「地球にやさしい生活アドバイザー」として認定しました。
また、講座受講生の意見を参考にして環境家計簿普及版「ルリちゃんのエコカレンダー」を作成し、5,000部を県民に配布しました。
B  CO2 体験講座
消費生活センターにおいて、二酸化炭素の視認等を簡易な実験により実施し、二酸化炭素削減の意識づけを図りました。
平成12年度も要望に応じて同様に実施します。
C  エコライフネットワーク「とちぎ」への活動支援
地球環境に負荷の少ない永続性のある生活(エコライフ)を、県民、団体、企業、行政等が一体となり広く普及し、全県的に確立することを目的として設立されたエコライフネットワーク「とちぎ」の活動を支援していきます。

 

4 オゾン層保護対策

 オゾン層保護のためには、オゾン層破壊物質であるフロンの大気への放出抑制が重要です。
市町村における廃冷蔵庫等からのフロンの回収を促進するため、市町村等に対しフロン回収機の導入に際し、補助金を交付しました。
 この結果、県内ほとんどの市町村等清掃工場において、フロン回収の体制が整いました。
 また、回収したフロンを適切に処理するため、補助金を交付しています。
 民間における廃冷蔵庫や廃カーエアコン等からのフロン回収は、ほとんど行われていなかったため、平成9年1月に関係業界、消費者、行政で組織する「栃木県フロン回収推進協議会」を設立し、情報の交換及び普及啓発活動を行っています。


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