1 環境基準等の達成状況 |
○ |
二酸化硫黄は、長期的評価ではすべての測定局で環境基準を達成していますが、短期的評価では20測定局中16測定局の達成でした。 |
○ |
浮遊粒子状物質は、長期的評価では19測定局中16測定局で環境基準を達成していますが、短期的評価ではすべての測定局で環境基準が達成されていません。 |
○ |
二酸化窒素は、すべての測定局で環境基準を達成しています。 |
○ |
光化学オキシダントは、すべての測定局で環境基準が達成されていません。 |
○ |
一酸化炭素は、すべての測定局で長期的評価・短期的評価ともに環境基準を達成しています。 |
表2−1−1 大気汚染に係る環境基準達成状況
測定項目 | 評 価
方 法 |
区 分 | 12年度 | 11年度 |
一般局 |
自排局 |
一般局 |
自排局 | 二酸化硫黄
(SO2) | 長期的
評価 | 達成局数/有効測定局数 | 20/20 | − | 20/20 | − | 達成率(%) | 100.0 | − | 100.0 | − | 短期的
評価 | 達成局数/有効測定局数 | 16/20 | − | 20/20 | − | 達成率(%) | 80.0 | − | 100.0 | − | 浮遊粒子状物質
(SPM) | 長期的
評価 | 達成局数/有効測定局数 | 14/17 | 2/2 | 17/17 | 1/1 | 達成率(%) | 82.4 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 短期的
評価 | 達成局数/有効測定局数 | 0/17 | 0/2 | 6/17 | 0/1 | 達成率(%) | 0 | 0 | 35.3 | 0 | 二酸化窒素
(NO2) | 長期的
評価 | 達成局数/有効測定局数 | 21/21 | 7/7 | 20/20 | 7/7 | 達成率(%) | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 光化学オキシダント
(OX) | 短期的
評価 | 達成局数/有効測定局数 | 0/19 | − | 0/19 | − | 達成率(%) | 0 | − | 0 | − | 一酸化炭素
(CO) | 長期的
評価 | 達成局数/有効測定局数 | 3/3 | 9/9 | 4/4 | 9/9 | 達成率(%) | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 短期的
評価 | 達成局数/有効測定局数 | 3/3 | 9/9 | 4/4 | 9/9 | 達成率(%) | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
(注)1 |
長期的評価とは、年間にわたる測定結果を長期的に観察した上で評価する方法をいう。 |
2 |
短期的評価とは、連続して、又は随時に行った測定結果により、測定を行った日又は時間について評価する方法をいう。 |
3 |
有効測定局とは、測定時間が6,000時間以上の測定局をいう。 |
4 |
一般局とは一般環境測定局、自排局とは自動車排出ガス測定局をいう。(表2−1−4参照) |
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2 二酸化硫黄 |
二酸化硫黄は、20か所で測定しています。
全測定局の年平均値は0.005ppmで、近年横ばいの状況にありますが、日平均値の2%除外値(環境基準評価値)は若干の増加が見られます。(図2−1−1)
これまでの法規制や燃料の低硫黄化、工場指導等により、工場・事業場からの汚染物質の排出量は着実に削減されてきていますが、12年度については三宅島噴火の影響があるものと考えられます。
図2−1−1 二酸化硫黄の経年変化

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3 浮遊粒子状物質 |
浮遊粒子状物質は、一般環境測定局(17か所)と自動車排出ガス測定局(2か所)で常時監視を実施しています。
一般環境測定局における年平均値は0.030mg/m3で、ここ数年横ばい傾向にあった後、11年度に一時減少しましたが、12年度はやや増加しています。
浮遊粒子状物質の主な発生源は工場・事業場や自動車ですが、12年度については三宅島噴火の影響の可能性も考えられます。
(図2−1−3) |
図2−1−2
浮遊粒子状物質の環境基準達成状況
(一般環境測定局)

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図2−1−3 浮遊粒子状物質の経年変化
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4 二酸化窒素
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二酸化窒素は、一般環境測定局(21か所)と自動車排出ガス測定局(7か所)で常時監視を実施しています。
二酸化窒素の年平均値は一般環境測定局で0.015ppm、自動車排出ガス測定局で0.029ppmであり、自動車排出ガス測定局の濃度は一般環境測定局のほぼ2倍の値を示しています。
環境基準評価値である年平均値の98%値でも同様の傾向を示しており、これらは自動車交通量の増加等に起因するものと思われます。(図2−1−4)
図2−1−4 二酸化窒素濃度の経年変化
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5 光化学オキシダント
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光化学オキシダントは、県内19か所で常時監視を実施しています。
その結果は、5〜20時の年平均値が0.027ppmでした。(図2−1−5)
光化学オキシダントは、すべての測定局で環境基準を達成しておらず、特に夏期においては気象条件等により高濃度になることがあり、光化学スモッグの発生しやすい状況にあります。
図2−1−5 光化学オキシダントの経年変化(5時〜20時)

県では、光化学スモッグ発生予報業務を4月1日から9月30日までの183日間実施しました。
注意報の発令日数は21日で、昭和47年度の常時監視開始以来最高となり、発令日のうち12日が6月から7月に集中しました。
発令状況は、県南西部が19日、県南部が15日、県南東部が5日、県中央部が1日、県北西部が1日、県北東部が2日となっています。(図2−1−6)
なお、健康被害は2件9名の届出がありましたが、これは9年度以来のものです。
図2−1−6 光化学スモッグ注意報 発令日数の経年変化

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6 一酸化炭素
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一酸化炭素は、一般環境測定局(3か所)と自動車排出ガス測定局(9か所)で常時監視を実施しています。
一般環境測定局の年平均値は0.4ppm、自動車排出ガス測定局の年平均値は0.9ppmで、自動車排出ガス規制の強化に伴い、いずれの局も長期的に見て減少傾向にあります。(図2−1−7)
図2−1−7 一酸化炭素の経年変化

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7 炭化水素
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炭化水素は、一般環境測定局(9か所)と自動車排出ガス測定局(5か所)で常時監視を実施しています。
非メタン炭化水素の結果をみると、一般環境測定局の6〜9時における年平均値は炭素換算で0.21ppm、自動車排出ガス測定局は0.39ppmであり、一般環境測定局、自動車排出ガス測定局とも横ばいの傾向を示しています。(図2−1−8)
濃度指針の超過日数の割合が最も高かったのは、一般環境測定局では足利市役所測定局(56.1%)、自動車排出ガス測定局では鹿沼市天神町交差点測定局(78.9%)でした。
図2−1−8 非メタン炭化水素の経年変化

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8 有害大気汚染物質
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健康リスクが高いと考えられ優先的に対策に取り組むべきとされている有害大気汚染物質(22物質)のうち、測定方法の確立されている18物質について、大気汚染防止法第18条の23の規定に基づき一般環境3地点、固定発生源周辺(工業団地周辺)3地点、沿道1地点の合計7地点で、月1回24時間の採取により年間を通じてモニタリングを実施しました。
環境基準が設定されている3物質(ベンゼン、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレン)は、すべての地点で環境基準を下回っていました。
10年度から継続して調査している6地点のベンゼン濃度は、図2−1−9のとおりです。
図2−1−9 継続調査地点の有害大気汚染物質(ベンゼン)の測定結果(年平均値)

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9 ダイオキシン類
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ダイオキシン類は、一般環境11地点、固定発生源周辺(工業団地周辺)6地点の合計17地点で、年4回24時間の採取によるモニタリングを実施しました。
12年度は、すべての地点で大気環境基準値(0.6pg-TEQ/m3)以下でした。
10年度から継続して調査している6地点の濃度は、図2−1−10のとおりです。
図 2−1−10 継続調査地点のダイオキシン類の測定結果(年平均値)

(注)10年度は、大気環境指針0.8pg-TEQ/m3で評価
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10 酸性雨
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一般に、pHが5.6以下の雨は酸性雨といわれており、工場等のばい煙や自動車排出ガスからの硫黄酸化物や窒素酸化物が大気中に放出され、硫酸イオンや硝酸イオンに変化し、雨水中に取り込まれるために生ずるものと考えられています。
酸性雨調査の一環として、ろ過式採取装置により1か月単位の酸性降下物量の調査を4地点で、また、酸性雨自動測定装置により降水量0.5mmごとのpH、EC(電気伝導度)の常時監視を3地点(装置の故障で1地点は欠測)で、それぞれ実施しています。
ろ過式採取装置による調査結果では、4地点のpHの年平均値は4.54〜5.02(11年度4.79〜5.79)の範囲であり、また、酸性雨自動測定装置による調査結果では、2地点のpHの年平均値はともに4.5(9年度4.6〜5.0)であり、いずれの測定結果も前年より低い値となりましたが、これは三宅島の火山活動の影響の可能性も考えられます。(図2−1−11、図2−1−12)
図2−1−11 ろ過式採取装置による雨のpHの経年変化

図2−1−12 降水量0.5mmごとのpH頻度分布図

酸性雨に比べ植物等への影響が大きいといわれている酸性霧について、6年度から日光市湯元(金精峠入口)に霧自動採取装置を設置し、調査を行っています。
12年度の結果では、pHの最大値は7.23、最小値は3.41、平均値は5.78であり、前述の雨に比べ中性に近い値でしたが、8月下旬以降は、雨同様、三宅島の火山活動の影響を受けた可能性があり、pHは低くなっています。
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11 葛生町における降下ばいじん量調査
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経年的には、最高値を記録した昭和46年度と比較すると、昭和52年度以降4分の1程度になっており、その後横ばいの状況で推移しています。
12年度は、沿道を中心に3地点で調査を実施しました。
その結果は年平均値で5.4〜18.8t/km2/月で、いずれの地点も11年度の結果を下回りました。
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12 アスベスト調査
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アスベスト粉じんの濃度を河内町の県保健環境センター(一般環境)で調査しましたが、検出されませんでした。
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