(1) 公共下水道の整備
公共下水道については、昭和32年度に宇都宮市が事業に着手したのを皮切りに、年々、事業に着手する市町村が増加し、11年度末現在12市32町1村で事業を実施しています。
また、12年度に新たに芳賀町が事業着手し、さらに、塩谷町が事業を検討中です。このうち、下水道を使用している市町村は、12市25町1村になっています。(図2−7−1)
12年度末現在の本県の公共下水道の普及率は46.3%であり、徐々に向上していますが、全国平均60%(11年度末)に比べて遅れています。(図2−7−2)
図2−7−1 公共下水道事業実施市町村位置図(12年度末)

図2−7−2 公共下水道を実施している市町村別下水道普及状況(12年度末)

(2) 流域下水道の整備
流域下水道は、昭和51年度の鬼怒川上流流域下水道(上流処理区)の事業着手に引き続き、巴波川流域下水道、北那須流域下水道が順次事業に着手し、昭和56年度には鬼怒川上流流域下水道(中央処理区)、昭和62年度には渡良瀬川下流流域下水道(大岩藤処理区)、3年度には小山市(間々田地区)、野木町を対象とした渡良瀬川下流流域下水道(思川処理区)、5年度には佐野市、田沼町、葛生町を対象とした渡良瀬川上流流域下水道(秋山川処理区)の事業に着手しており、すべての処理区で供用を開始しています。(表2−7−1)
13年度は水処理施設、幹線管渠等の整備を引き続き行うこととしています。
表2−7−1 流域下水道計画(12年度末)
流域名 |
鬼怒川上流
流域下水道 |
巴波川流域
下水道 |
北那須流域
下水道 |
渡良瀬川下流
流域下水道 |
渡良瀬川上流流域下水道 |
上流処理区 |
中央処理区 |
大岩藤処理区 |
思川処理区 |
事業着手年度 |
昭和51年度 |
昭和56年度 |
昭和52年度 |
昭和53年度 |
昭和62年度 |
平成3年度 |
平成5年度 |
全体計画 |
計画
面積 |
2,837ha |
3,717ha |
3,050ha |
3,788ha |
1,843ha |
1,096ha |
4,038ha |
計画
人口 |
77千人 |
164千人 |
106千人 |
106千人 |
54千人 |
54千人 |
115千人 |
計画
水量 |
71千m3/日 |
111千m3/日 |
73千m3/日 |
68千m3/日 |
34千m3/日 |
32千m3/日 |
97千m3/日 |
幹線管渠 |
管径(mm) |
φ150〜1500 |
φ150〜1500 |
φ250〜1800 |
φ250〜1200 |
φ250〜1100 |
φ350〜1100 |
φ100〜1000 |
延長(km) |
41km |
22.8km |
27.9km |
37.6km |
18.4km |
11.9km |
26.9km |
中継ポンプ場 |
2箇所 |
5箇所 |
1箇所 |
0箇所 |
2箇所 |
1箇所 |
2箇所 |
処理場敷地
面積 |
13.1ha |
13.7ha |
10.9ha |
10.8ha |
6.7ha |
4.0ha |
6.2ha |
関係市町村
()は供用開始日
|
・今市市
(S56.4.1)
・日光市
(S62.3.31)
・藤原町
(S61.3.31)
|
・宇都宮市
(S63.3.31)
・石橋町
(S62.3.31)
・国分寺町
(S62.3.31)
・南河内町
(S62.3.31)
・上三川町
(S63.3.31)
|
・栃木市
(S57.11.1)
・都賀町
(S60.7.1)
・壬生町
(S63.3.31)
・西方町
(H1.3.31)
・大平町
( ― )
|
・大田原市
(S58.11.1)
・黒磯市
(H2.3.31)
・西那須野町
(S61.3.31)
・塩原町
(H11.3.31)
|
・大平町
(H8.3.31)
・岩舟町
(H8.3.31)
・藤岡町
(H8.3.31)
|
・小山市
(H11.3.31)
・野木町
(H11.3.31)
|
・佐野市
(S51.7.1)
・田沼町
(H11.3.31)
・葛生町
(H12.3.31)
|
整備状況 |
処理
面積 |
1,620ha |
2,299ha |
1,232ha |
1,617ha |
397ha |
368ha |
1,180ha |
処理
人口 |
51千人 |
99千人 |
52千人 |
45千人 |
14千人 |
19千人 |
47千人 |
幹線
管渠 |
37.2km |
22.4km |
17.1km |
32.7km |
14.9km |
10.8km |
19.5km |
処理施設 |
42.6千m3/日 |
64.5千m3/日 |
24.4千m3/日 |
23.4千m3/日 |
5.68千m3/日 |
7.5千m3/日 |
42千m3/日 |
(3) 都市下水路の整備
都市下水路については、12年度に足利市で事業(借宿都市下水路)を実施しました。
13年度においても継続し、整備を進めています。
(4) 下水道資源化工場の整備
下水道資源化工場は、流域下水汚泥処理事業として県内の流域下水道及び単独公共下水道の終末処理場から発生する下水汚泥を集約し、焼却により減量化し、さらには溶融により建設資材等に転換し、有効利用を図ることを目的に宇都宮市茂原地区に計画しています。
14年度の供用開始を目標に、11年度から工事に着工しています。
(5) 農業集落排水事業の推進
@ 事業の目的
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本事業は、農業用用排水の水質保全、農業用用排水施設の機能維持又は農村の生活環境の改善を図り、併せて、公共用水域の水質保全に寄与するため、農業集落におけるし尿、生活雑排水などの汚水、汚泥又は雨水を処理する施設の整備又は改築を行い、もって生産性の高い農業の実現と活力ある農村社会の形成に資することを目的としています。
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A 事業の役割
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農業集落排水事業は、汚水処理のための施設を整備するという点では下水道事業と同様の機能を有しているものの、その役割は農業集落からの排水の浄化を通じて、
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ア |
農業用水の水質保全を通じた農業生産条件の安定化及び水質面での土地条件の優劣の解消による農地流動化の促進への寄与。 |
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イ |
農業の担い手及び地域を支える多様な農業関係者等の定住条件の整備。 |
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ウ |
整備された施設の共同維持管理を通じた農村コミュニティの維持強化。 |
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などの農業構造の改善のための政策を推進するうえで不可欠な条件整備を行うことです。
農業集落排水施設は、主として集落を単位とした小規模分散システムであるため、処理水が農業用水などとして集落内で反復利用され、地域の水環境の保全に役立ちます。
また、施設より発生する汚泥についても、農地還元を通じて資源のリサイクルを図り、土づくりの面から環境保全型農業に資するなど、農業集落排水施設は生態系と調和をとりながら農村環境の保全に適したシステムとなっています。
なお、汚泥は緑農地利用、建設資材利用、熱利用に分けられますが、農業集落排水事業は自己完結型として緑農地利用を目指しており、真岡市をはじめ益子町、二宮町、芳賀町において、汚泥と石灰を混合する肥料化装置(図2−7−3)やコンポスト施設により農地還元を行っています。
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図2−7−3 益子町長堤地区の肥料化装置の事例

B 12年度中に着手した農業集落排水事業
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農業振興地域内の集落を対象とした汚水処理施設整備は、農業集落排水事業と各種の総合整備事業の中で、昭和59年度から真岡市、佐野市で着手し、12年度までに県南東部を主に31市町89地区で実施しています。
1地区の工期は5〜6年で、短期間で供用を開始して、早期の効果発現を図っています。(図2−7−4)
12年度までの農業集落排水事業実施状況
着手市町村 : 8
市23町
着手地区数 :
89 地区
完了地区数 :
66 地区
完了地区人口 : 59,325
人
県全体の普及率 : 3.0
%
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図2−7−4 11年度農業集落排水事業実施状況図

C 13年度実施予定の農業集落排水事業
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農業及び農村の健全な発展を期するため、農業集落におけるし尿、生活雑排水等の汚水、汚泥又は雨水を処理する施設を整備することにより、生産性の高い農業の実現と活力ある農村社会の形成を図ることとしています。
(ア) 農業集落排水事業
・事業主体 市町村
・実施地区 24地区(継続23地区、新規1地区)
(イ) 農業集落排水緊急整備事業(地方単独)
・事業主体 市町村
・実施地区 2地区(継続2地区)
本事業の未着手市町村は、県北西部の地域に集中しているので、県北西部を中心に今後一層、啓発活動を行う必要があります。
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(6) 合併処理浄化槽の設置の推進
ア 合併処理浄化槽設置整備事業の目的
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本事業は、下水道や農業集落排水事業のように終末処理施設を設置し、し尿及び生活雑排水を処理することが必ずしも合理的・経済的でない地域の生活環境の保全及び公衆衛生の向上に寄与することを目的としています。
県内全市町村において合併処理浄化槽設置整備事業が実施されていますが、下水道等との役割分担を明確にした生活排水処理基本計画のもとに、補完的な事業展開ではなく、計画的な事業の展開を図る必要があります。
また、浄化槽の機能を充分発揮させるため、浄化槽の維持管理について浄化槽設置者(管理者)に対する指導・啓発の徹底を図る必要があります。
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イ 合併処理浄化槽設置整備事業の内容
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市町村が、合併処理浄化槽設置整備事業実施要綱に基づいて合併処理浄化槽の設置者に対し、設置に要する費用を補助した場合、国及び県が市町村に助成しています。
・実施市町村 49市町村
・補 助 額 (県費)補助基準額×1/3
〔財政力指数により調整〕
(国費)補助基準額×1/3
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ウ 合併処理浄化槽設置整備事業の現状
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昭和62年度に国庫補助制度が発足した当初は、事業実施市町村は1市でしたが、昭和63年度の県費補助制度実施と相まって、補助設置基数ともに飛躍的な伸びをみせています。(表2−7−3)
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表2−7−3 県費補助合併処理浄化槽設置整備事業の実績
(単位:千円)
年 度 | 実施市町村数 | 設置基数 | 補助金額 | 年 度 | 実施市町村数 | 設置基数 | 補助金額 | 昭63 | 11 | 285 | 28,772 | 7 | 47 | 2,040 | 355,315 | 元 | 23 | 656 | 73,098 | 8 | 49 | 2,169 | 368,556 | 2 | 34 | 929 | 108,254 | 9 | 48 | 2,182 | 386,663 | 3 | 38 | 1,051 | 126,200 | 10 | 49 | 2,499 | 322,229 | 4 | 41 | 1,275 | 158,882 | 11 | 49 | 2,650 | 333,276 |
5 | 45 | 1,528 | 243,509 | 12 | 49 | 3,038 | 356,503 |
6 | 46 | 1,808 | 309,443 | | | | |
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