
大気環境の保全を図るため、「大気汚染防止法」及び「栃木県生活環境の保全等に関する条例」(*)に基づく工場・事業場への立入検査を実施している。
また、「工場・事業場ばい煙等自主管理要領」に基づき、ばい煙量等の自主測定及び結果の報告を求めるなどにより、施設の適切な維持管理を図るよう指導している。
(1) 規制基準
本県では、同法に基づく一律基準に加えて、同法第4条第1項の規定に基づき、有害物質(塩素、塩化水素、ふっ素、ふっ化水素及びふっ化けい素)についてより厳しい上乗せ排出基準を定めている。
また同条例では、4種類のばい煙に係る特定施設を定め、排出基準を設定している。粉じんについては、3種類の特定施設を定め、施設の管理基準を規定している。
(2) ばい煙関係施設及び粉じん関係施設の届出状況
同法及び同条例に基づく、ばい煙及び粉じん関係施設の届出状況は、表2−1−4、表2−1−5のとおりとなっている。
(*) 「栃木県生活環境の保全等に関する条例」は、「栃木県公害防止条例」の全部を改正し、16年10月14日に公布され、一部を除き17年4月1日から施行された。(詳細については、第6部第1節を参照)
なお、以下に示す各届出等の状況は、「栃木県生活環境の保全等に関する条例」施行前の「栃木県公害防止条例」に基づくものである。
表2−1−4 ばい煙関係施設等届出状況(16年度末)
@ 大気汚染防止法
ばい煙発生施設 |
施 設 数 (件) |
県 分 |
宇都宮市分 |
計 |
ボ イ ラ ー |
2,882 |
666 |
3,548 |
溶 解 炉 |
234 |
1 |
235 |
金 属 加 熱 炉 |
210 |
0 |
210 |
焼成炉及び溶融炉 |
35 |
15 |
50 |
乾 燥 炉 |
152 |
6 |
178 |
廃棄物焼却炉 |
122 |
6 |
128 |
その他の産業炉 |
168 |
249 |
417 |
施 設 合 計 |
3,803 |
963 |
4,766 |
届出工場・事業場数 |
1,515 |
298 |
1,813 |
A 栃木県公害防止条例
ばい煙に係る
特 定 施 設 |
施 設 数 (件) |
県 分 |
宇都宮市分 |
計 |
亜鉛又はアルミニウム
の第二次精錬の用
に供する溶解炉 |
35 |
0 |
35 |
金属製品の製造の用
に供する表面処理
設及び酸洗施設 |
3 |
0 |
3 |
そ の 他 |
1 |
0 |
1 |
施 設 合 計 |
39 |
0 |
39 |
届出工場・事業場数 |
11 |
0 |
11 |
表2−1−5 粉じん関係施設等届出状況(16年度末)
@ 大気汚染防止法(一般粉じん)
一 般 粉 じ ん
発 生 施 設 |
施 設 数 (件) |
県 分 |
宇都宮市分 |
計 |
コークス炉 |
2 |
0 |
2 |
堆 積 場 |
230 |
13 |
243 |
コ ン ベ ア |
744 |
16 |
760 |
破砕機・摩砕機 |
334 |
7 |
341 |
ふ る い |
137 |
0 |
137 |
施 設 合 計 |
1,447 |
36 |
1,483 |
届出工場・事業場数 |
226 |
11 |
237 |
A 大気汚染防止法(特定粉じん排出等作業件数)
 |
作 業 件 数 |
県 分 |
宇都宮市分 |
計 |
14 |
12 |
1 |
13 |
15 |
6 |
7 |
13 |
16 |
9 |
4 |
13 |
B 栃木県公害防止条例
粉じんに係る特定施設 |
施 設 数 (件) |
県 分 |
宇都宮市分 |
計 |
飼料又は有機肥料の用に供する粉砕施設及びふるい |
38 |
0 |
38 |
窯業土石又は鉱物の用に供する施設 |
210 |
22 |
232 |
活性炭又は炭素製品の用に供する施設 |
14 |
1 |
15 |
施設合計 |
262 |
23 |
285 |
届出工場・事業場数 |
104 |
12 |
116 |
(3) 工場・事業場に対する立入検査状況
16年度は、延べ346工場等について立入調査を実施した。(表2−1−6)
その結果、立入検査時の指導事項の主な内訳は、届出の不備48件(60.0%)、自主分析の実施12件(15.0%)、管理組織体制11件(13.8%)であった。(表2−1−7)
表2−1−6 立入検査実施数

(注) 1 16年度のばい煙関係の立入検査実施数は、県分278件、宇都宮市分55件
2 16年度の粉じん関係の立入検査実施数は、県分 13件、宇都宮市分0件
表2−1−7 立入検査指導内容
指 導 事 項 |
施 設 数 (件) |
県実施分 |
宇都宮市実施分 |
合 計 |
是正指導した工場・事業場数 |
61 ( 61) |
19 ( 11) |
80 ( 72) |
指
導
の
内
容 |
排出基準・管理基準の遵守 |
1 ( 2) |
0 ( 0) |
1 ( 2) |
自主分析の実施 |
6 ( 9) |
6 ( 1) |
12 ( 10) |
申請届出 |
40 ( 32) |
8 ( 5) |
48 ( 37) |
施設等の点検・管理 |
3 ( 13) |
0 ( 2) |
3 ( 15) |
処理施設等の設置・改善 |
1 ( 7) |
0 ( 0) |
1 ( 7) |
管理組織体制 |
5 ( 7) |
6 ( 2) |
11 ( 9) |
記録の整備 |
2 ( 3) |
0 ( 1) |
2 ( 4) |
その他 |
13 ( 4) |
0 ( 0) |
13 ( 4) |
(注) 合計欄の( )内数値は、15年度実績値
(4) アスベスト対策
元年12月に「大気汚染防止法の一部を改正する法律」が施行され、アスベストが「特定粉じん」として規制を受けたことに伴い、関係企業の監視・指導に努めてきた。
また、9年4月に吹付け石綿が使用されている建物の解体等作業が「特定粉じん排出等作業」として規定されたことに伴い、この解体作業についても規制・指導を実施している。
(5) 佐野市葛生地区における粉じん対策
佐野市葛生地区は、日本有数の石灰鉱山等の密集地域であり、特に沿道の粉じん量が多いため、降下ばいじん調査を実施するとともに、発生源対策を実施している。
(1) 自動車排出ガス対策
ア 自動車排出ガス対策
自動車排出ガス対策は、国においてディーゼル車の排出ガス対策を中心に「大気汚染防止法」や「自動車NOx・PM法」により、逐次規制の強化が図られている。
本県では、自動車排出ガスによる影響を把握するため、10局(うち1局は宇都宮市設置)の自動車排出ガス測定局で、大気汚染の常時監視を行っている。
なお、これまで自動車排出ガス測定局を14年度に1局増設したほか、窒素酸化物や浮遊粒子状物質の測定を全自動車排出ガス測定局で行う等充実強化を図っている。
また、「アイドリング・ストップ運動」(自動車の駐停車時における不必要なエンジン使用の中止)の普及を図るため、県民への啓発用ステッカーの貼付や運輸関係業界への呼び掛けを行っている。
イ 低公害車の普及促進
電気自動車、天然ガス自動車等の低公害車の導入は、自動車走行に起因する大気汚染(NOX、黒煙等)や騒音の改善、二酸化炭素(CO2)の排出削減等に対し、極めて有効である。県では、奥日光で電気バスやハイブリッドバスを運行するほか、公用車に天然ガス車やハイブリッド自動車を計画的に導入しており、16年度は、ハイブリッド自動車12台を導入した。
ウ ディーゼル自動車粒子状物質減少装置装着の促進
埼玉県、東京都、千葉県及び神奈川県の一都三県において、各都県の条例に基づき、15年10月から、一定の排出基準を満たさないディーゼル自動車の通行が禁止されている。
本県では、当該地域を通行する大型ディーゼル自動車にDPF等の粒子状物質減少装置を装着する際の費用の一部を補助することにより、粒子状物質減少装置の装着を促進し、大気環境の保全を図った。
(2) スパイクタイヤ装着に伴う道路粉じん対策
「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」に基づき、3年5月に宇都宮市以北の17市町がスパイクタイヤ使用禁止地域として指定され、5年2月に日光市が追加指定された。(表2−1−8)
表2−1−8 スパイクタイヤ使用禁止地域
7市 |
宇都宮市、鹿沼市、日光市、今市市、
大田原市、矢板市、黒磯市(現那須塩原市) |
11町 |
上河内町、河内町、芳賀町、藤原町、
塩谷町、氏家町(現さくら市)、高根沢町、
喜連川町(現さくら市)、那須町、
西那須野町(現那須塩原市)、塩原町(現那須塩原市) |
(1) 光化学スモッグ
光化学スモッグは、窒素酸化物や炭化水素などが紫外線の作用を受けて生成する刺激性ガス(光化学オキシダント)により起こるもので、目の刺激、のどの痛み、胸苦しさなどの健康被害を伴う。
本県では、被害を未然に防止するため、「栃木県光化学スモッグ対策要綱」を策定し、光化学スモッグ予報を、関係する市町村、行政機関、報道機関及び緊急時協力工場等に通報している。
また、緊急時には、注意報等を発令し、市町村への通報、ホームページ「とちぎの青空」等による県民への情報提供、緊急時協力工場等に対するばい煙排出量の削減措置の要請を行い、被害の未然防止に努めている。
光化学スモッグの発生予報業務は、大気環境情報システムにより収集した光化学オキシダント濃度等と気象に関する専門機関から提供される発生予測気象情報及び環境省の大気汚染物質広域監視システムから得られた関東地区の広域的な情報を把握し、総合的に解析することで行っている。
表2−1−9 光化学スモッグ発令対象地域
番号 |
対象地域 |
市町村数 |
市町村 |
1 |
県中央部 |
2市4町 |
宇都宮市、鹿沼市、河内町、粟野町、
芳賀町、高根沢町 |
2 |
県南部 |
2市11町 |
栃木市、小山市、上川町、南河内町、
西方町、壬生町、石橋町、国分寺町、
野木町、大平町、藤岡町、岩舟町、
都賀町 |
3 |
県南西部 |
2市2町 |
足利市、佐野市(現佐野市)、田沼町
(現佐野市)、葛生町(現佐野市) |
4 |
県南東部 |
1市2町 |
真岡市、二宮町、益子町 |
5 |
県北東部 |
3市5町 |
大田原市、矢板市、黒磯市
(現那須塩原市)、上河内町、塩谷町、
氏家町(現さくら市)、喜連川町
(現さくら市)、西那須野町
(現那須塩原市) |
6 |
県北西部 |
2市1町 |
日光市、今市市、藤原町 |
7 |
県東部 |
7町1村 |
茂木町、市貝町、湯津上村、黒羽町、
南那須町、烏山町、馬頭町、小川町 |
表2−1−10 光化学スモッグ緊急時の発令及び解除の基準
区 分 |
発 令 の 基 準 |
解 除 の 基 準 |
予 報 |
気象条件及びオキシダント測定値等を検討し、下三欄に掲げるいずれかの一の状態が発生すると予測されるとき。 |
左に掲げる状態がなくなったと認められるとき又は日没になったとき。 |
注 意 報 |
一の測定地点において、オキシダント測定値が0.12ppm以上になり、かつ、この状態が気象条件からみて継続すると認められるとき。 |
発令地域内の測定地点において、オキシダント測定値が0.12ppm未満になり、かつ、気象条件からみてその状態が悪化するおそれがなくなったと認められるとき又は日没になったとき。 |
警 報 |
一の測定地点において、オキシダント測定値が0.24ppm以上になり、かつ、この状態が気象条件からみて継続すると認められるとき。 |
発令地域内の測定地点において、オキシダント測定値が0.24ppm未満になり、かつ、気象条件からみてその状態が悪化するおそれがなくなったと認められるとき。 |
重大緊急報 |
一の測定地点において、オキシダント測定値が0.40ppm以上になり、かつ、この状態が気象条件からみて継続すると認められるとき。 |
発令地域内の測定地点において、オキシダント測定値が0.40ppm未満になり、かつ、気象条件からみてその状態が悪化するおそれがなくなったと認められるとき。 |
(2) スターウォッチング・ネットワーク
一人ひとりが身近な大気の状況を把握し、大気保全の重要性や自然観察についての興味と関心を深めることを目的として、昭和62年度から環境省の主催で実施されている。
16年度は、肉眼による「天の川」の観察、双眼鏡による夏期及び冬期の代表的な星座である「こと座」及び「すばる星団(プレアデス星団)」が、どの等級の星まで見えるかの観察等がなされ、本県では、4市2町の14団体延べ369名が参加した。
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