第1章 環境への負荷の少ない循環型の社会づくり
第5節 化学物質対策の推進
1 ダイオキシン類対策
(1) 環境基準等
ダイオキシン類に係る環境基準は、「ダイオキシン類対策特別措置法」により、人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準として定められている。
また、同法において、ヒトが生涯にわたって摂取し続けても許容される摂取量(TDI)は、1日当たりの摂取量として、体重1kg当たり4pg-TEQと定められている。(表2−1−34)
媒 体 | 基 準 値 |
---|---|
大 気 | 年平均値 0.6pg−TEQ/m3以下であること |
水 質 | 年平均値 1pg−TEQ/ℓ以下であること |
水底の底質 | 150pg−TEQ/g以下であること |
土 壌 | 1,000pg−TEQ/g以下であること |
(2) 環境汚染の現況
「ダイオキシン類対策特別措置法」に基づき、大気、水質、底質及び土壌の汚染の状況について、常時監視を行っている。
17年度においては、大気16地点、水質(河川・地下水)89地点、河川底質28地点及び土壌(一般環境)30地点でダイオキシン類の測定を行った。(表2−1−35)
調査対象 | 区 分 | 調 査 地点数 |
測定結果 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
最低値 | 最高値 | 平均値 | 中央値 | |||
大 気 (pg-TEQ/m³) |
16 | 0.030 | 0.15 | 0.068 | 0.054 | |
水 質 (pg-TEQ/ℓ) |
河 川 | 53 | 0.044 | 0.86 | 0.18 | 0.085 |
地 下 水 | 36 | 0.045 | 0.070 | 0.051 | 0.048 | |
底 質 (pg-TEQ/g) |
河 川 | 28 | 0.22 | 33 | 4.5 | 0.59 |
土 壌 (pg-TEQ/g) |
30 | 0.001 | 24 | 5.3 | 2.4 |
(注)
1 大気関係の調査地点数は、県分10地点、宇都宮市分6地点
2 水質河川関係の調査地点数は、県分50地点、宇都宮市分3地点
3 水質地下水関係の調査地点数は、県分30地点、宇都宮市分6地点
4 底質関係の調査地点数は、県分25地点、宇都宮市分3地点
5 土壌関係の調査地点数は、県分24地点、宇都宮市分6地点
ア 大気
一般環境11地点、固定発生源周辺5地点の合計16地点で、年4回1週間の採取によるモニタリング調査を実施した。各調査地点の年平均値は、0.03〜0.15pg-TEQ/m3であり,全ての調査地点で環境基準(0.6pg-TEQ/m³以下)を達成している。
10年度からの経年変化は、一般環境、発生源周辺とも減少傾向にある。(図2−1−38)
図2−1−38 ダイオキシン類濃度の推移(年平均値)

イ 水質
(ア) 河川
53地点において調査を実施した。各調査地点の濃度は、0.044〜0.86pg-TEQ/ℓあり、全ての調査地点で環境基準(1pg-TEQ/ℓ以下)を達成している。
(イ) 地下水
36地点において調査を実施した。各調査地点の濃度は、0.045〜0.070pg-TEQ/ℓあり、全ての調査地点で環境基準(1pg-TEQ/ℓ以下)を達成している。
ウ 底質
河川28地点において底質の調査を実施した。各調査地点の濃度は0.22〜33pg-TEQ/gであり、全ての調査地点で環境基準(150pg-TEQ/g以下)を達成している。
エ 土壌
一般環境30地点において調査を実施した。各調査地点の濃度は0.001〜24pg-TEQ/gであり、全ての調査地点で環境基準(1,000pg-TEQ/g以下)を達成している。
(3) 工場・事業場対策の推進
ダイオキシン類による環境の汚染を防止するため、常時監視と並行して「ダイオキシン類対策特別措置法」に基づく工場・事業場への立入検査を実施している。
ア 規制基準
同法に基づく特定施設について、その種類ごとに規制基準が定められている。
イ 特定施設の届出状況
同法に基づく特定施設の届出状況は、表2−1−36に示すとおりである。
表2−1−36 ダイオキシン類対策特別措置法に基づく特定施設数(18年3月31日現在)
種 類 ・ 施 設 規 模 | 施 設 数 | |||
---|---|---|---|---|
県 分 | 宇都宮市分 | 計 | ||
製鋼用電気炉 | 3 | 1 | 4 | |
アルミニウム合金製造施設 | 63 | 0 | 63 | |
廃棄物焼却炉 | 4t/h以上 | 13 | 5 | 18 |
2t/h以上4t/h未満 | 30 | 6 | 36 | |
2t/h未満 | 187 | 12 | 199 | |
施 設 合 計 | 296 | 24 | 320 | |
工場・事業場数 | 200 | 17 | 217 |
施 設 の 種 類 | 施 設 数 | ||
---|---|---|---|
県 分 | 宇都宮市分 | 計 | |
カーバイト法アセチレンの製造の用に供するアセチレン洗浄施設 | 1 | 0 | 1 |
アルミニウム又はその合金の製造の用に供する焙焼炉等の 廃ガス洗浄施設と湿式集じん施設 |
3 | 0 | 3 |
廃棄物焼却炉の廃ガス洗浄施設、湿式集じん施設及び 当該廃棄物焼却炉の灰の貯留施設 |
20 | 16 | 36 |
フロン類の破壊の用に供する施設のうちプラズマ反応施設、 廃ガス洗浄施設と湿式集じん施設 |
1 | 0 | 1 |
下水道終末処理施設 | 3 | 0 | 3 |
水質基準対象施設を設置する工場又は事業場から排出される 水の処理施設(共同排水処理施設) |
1 | 1 | 2 |
施 設 合 計 | 29 | 17 | 46 |
工場・事業場数 | 21 | 6 | 27 |
ウ 立入検査状況
17年度は延べ138工場・事業場(県分134、宇都宮市分4)について立入検査を行い、ダイオキシン類の排出削減等について指導を行った。(表2−1−37)
県では12年度に県保健環境センターに測定施設を設置し、ダイオキシン類の検査体制を整備し、13年度から工場・事業場の行政分析を計画的に実施している。
行政分析の結果、17年度において、2件の基準不適合施設があったが、指導により施設改修等を行い改善されている。(表2−1−38)
区 分 | 実施数 |
---|---|
大気関係の特定施設を設置する工場・事業場 | 126 |
水質関係の特定施設を設置する工場・事業場 | 12 |
合 計 | 138 |
(注)
1 大気関係の立入検査実施数は、県分123件、宇都宮市分 3件
2 水質関係の立入検査実施数は、県分 11件、宇都宮市分 1件
区 分 | 施 設 数 (件) | ||
---|---|---|---|
県 分 | 宇都宮市分 | 合 計 | |
大気実施数 | 50 | 3 | 53 |
不適合数 | 2 | 0 | 2 |
水質実施数 | 6 | 1 | 7 |
不適合数 | 0 | 0 | 0 |
エ 事業者の自主測定結果
「ダイオキシン類対策特別措置法」に基づき、特定施設の設置者は毎年1回以上自主分析を行い、県(宇都宮市)に報告することが義務付けられている。
17年度の自主測定結果の報告状況は、17年4月1日〜18年3月31日の間に設置されていた施設(この間に廃止された施設も含む。)のうち、大気関係対象319施設(宇都宮市分23)に対し225施設(宇都宮市分19)、水質関係対象12事業場(宇都宮市分2)に対し8事業場(宇都宮市分2)の報告があった。
17年度の報告結果については、1件の排出基準超過があったが、維持管理上の理由によるものであり、改善対策を指導した。(表2−1−39)
表2−1−39 ダイオキシン類自主測定結果の報告状況
種類・施設規模 | 対 象
施設数 |
報 告 施 設 | 未 報 告 施 設 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
施設数 | 基準 適合 |
基準 不適 |
廃 止 | 休 止 | 新 設 | 測定中 | 未測定 | |||
製鋼用電気炉 | 4 (1) |
3 (1) |
3 (1) |
1 | ||||||
アルミニウム 合金製造施設 |
63 | 59 | 59 | 1 | 1 | 2 | ||||
廃棄物 焼却炉 |
4t/h以上 | 18 (5) |
14 (5) |
14 (5) |
3 | 1 | ||||
2t/h以上4t/h未満 | 36 (6) |
28
(4) |
28 (4) |
5
(2) |
3 | |||||
2t/h未満 | 198 (11) |
121 (9) |
120 (9) |
1 | 7 | 38 (1) |
5 | 27 (1) |
||
施 設 合 計 | 319 (23) |
225 (19) |
224 (19) |
1 | 8 | 48 (3) |
7 | 31 (1) |
(注) ( )は、宇都宮市分の内数
種 類 | 対象事 業場数 |
報告事業場 | 未報告事業場 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
事業 場数 |
基準 適合 |
基準 不適 |
廃 止 | 休 止 | 新 設 | 測定中 | 未測定 | ||
アルミニウム又はその合金の製造
の用に供する焙焼炉等の廃ガス洗 浄施設と湿式集じん施設 |
2 | 2 | 2 | ||||||
廃棄物焼却炉の廃ガス洗浄施設、 湿式集じん施設及び当該廃棄物焼 却炉の灰の貯留施設 |
6 (1) |
3 (1) |
3 (1) |
3 | |||||
下水道終末処理施設 | 2 | 2 | 2 | ||||||
水質基準対象施設を設置する工場
又は事業場から排出される水の処 理施設(共同排水処理施設) |
2 (1) |
1 (1) |
1 (1) |
1 | |||||
事業場合計 | 12 (2) |
8 (2) |
8 (2) |
4 |
(注)
1 ( )は、宇都宮市分の内数
2 ダイオキシン類を含む汚水又は廃液の全量を下水道に排出したり循環使用することなどにより、公共用水域への排出がない特定事業場は、自主測定対象に該当しない。
オ ダイオキシン類削減対策
栃木県環境保全資金の融資対象に産業廃棄物処理施設を追加して、処理業者が設置する焼却施設の改造等を支援している。