第2部 環境の状況と保全に関して講じた施策

第1章 環境への負荷の少ない循環型の社会づくり

第5節 化学物質対策の推進

ダイオキシン類対策


 概況

○大気16地点、水質(河川・地下水)92地点、水底の底質31地点及び土壌(一般環境)29地点 で測定を行った結果、水質(河川)2地点で環境基準を超過していたが、それ以外はすべて達成していた。
○なお、環境基準を超過した2地点について、追跡調査を行った結果、環境基準を下回っていた。

(1) 環境基準等

  ダイオキシン類に係る環境基準は、「ダイオキシン類対策特別措置法」により、人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準として定められている。
 また、同法において、ヒトが生涯にわたって摂取し続けても許容される摂取量(TDI)は、1日当たりの摂取量として、体重1s当たり4pg-TEQと定められている。(表2−1−37)

表2−1−37 ダイオキシン類に係る環境基準
媒体 基準値
大気 年平均値 0.6pg−TEQ/m3以下であること
水質 年平均値 1pg−TEQ/?以下であること
水底の底質 150pg−TEQ/g以下であること
土壌 1,000pg−TEQ/g以下であること

(2) 環境汚染の現況

 「ダイオキシン類対策特別措置法」に基づき、大気、水質、水底の底質及び土壌の汚染の状況について、常時監視を行っている。
 18年度においては、大気16地点、水質(河川・地下水)92地点、水底の底質31地点及び土壌(一般環境)29地点でダイオキシン類の測定を行った。(表2−1−38)

表2−1−38 ダイオキシン類に係る常時監視結果
調査対象 区分 調査 地点数 測定結果
最低値 最高値 平均値 中央値
大気
(pg-TEQ/m)
  16 0.027 0.40 0.094 0.068
水質
(pg-TEQ/ℓ)
河川 56 0.022 1.2 0.25 0.10
地下水 36 0.022 0.073 0.045 0.048
水底の底質
(pg-TEQ/g)
河川 31 0.098 9.9 0.90 0.25
土壌
(pg-TEQ/g)
  29 0.052 23 3.3 1.8

(注)1 大気関係の調査地点数は、県分10地点、宇都宮市分6地点
   2 水質河川関係の調査地点数は、国分3地点、県分50地点、宇都宮市分3地点
   3 水質地下水関係の調査地点数は、県分30地点、宇都宮市分6地点
   4 水底の底質関係の調査地点数は、国分3地点、県分25地点、宇都宮市分3地点
   5 土壌関係の調査地点数は、県分23地点、宇都宮市分6地点

ア 大気

 一般環境11地点、固定発生源周辺5地点の合計16地点で、年4回1週間の採取によるモニタリング調査を実施した。各調査地点の年平均値は、0.027〜0.40pg-TEQ/m3であり、全ての調査地点で環境基準(0.6pg-TEQ/m3以下)を達成している。 
  10年度からの経年変化は、一般環境、発生源周辺とも概ね減少傾向にある。(図2−1−35)

図2−1−35 ダイオキシン類濃度の推移(年平均値)

イ 水質

(ア) 河川

 56地点において調査を実施した。各調査地点の濃度は、0.022〜1.2pg-TEQ/ℓであり、2地点を除いて環境基準(1pg-TEQ/ℓ以下)を達成している。
 また、環境基準を超過した2地点(1.1〜1.2pg-TEQ/ℓ)について、追跡調査(18年12月)を行った結果は、0.38及び0.14pg-TEQ/ℓであり、環境基準を下回っていた。

(イ) 地下水

 36地点において調査を実施した。各調査地点の濃度は、0.022〜0.073pg-TEQ/ℓであり、全ての調査地点で環境基準(1pg-TEQ/ℓ以下)を達成している。

ウ 水底の底質

 河川31地点において底質の調査を実施した。各調査地点の濃度は0.098〜9.9pg-TEQ/gであり、全ての調査地点で環境基準(150pg-TEQ/g以下)を達成している。

エ 土壌

 一般環境29地点において調査を実施した。各調査地点の濃度は0.052〜23pg-TEQ/gであり、全ての調査地点で環境基準(1,000pg-TEQ/g以下)を達成している。

(3) 工場・事業場対策の推進

  ダイオキシン類による環境の汚染を防止するため、常時監視と並行して「ダイオキシン類対策特別措置法」に基づく工場・事業場への立入検査を実施している。

規制基準

  同法に基づく特定施設について、その種類ごとに規制基準が定められている。

特定施設の届出状況

  同法に基づく特定施設の届出状況は、表2−1−39に示すとおりである。

  表2−1−39 ダイオキシン類対策特別措置法に基づく特定施設数(19年3月31日現在)

 @ 大気基準適用施設

種 類 ・ 施 設 規 模 施設数
県分 宇都宮市分
製鋼用電気炉 3 1  4
アルミニウム合金製造施設 63 0  63
廃棄物焼却炉

 
4t/h以上 10 7(2) 17
2t/h以上4t/h未満 30 7  37
2t/h未満 184 14(3) 198
施設合計 290 29(5) 319
工場・事業場数 196 20(4) 216


 A 水質基準適用施設

施設の種類 施設数
県分 宇都宮市分
カーバイト法アセチレンの製造の用に供するアセチレン洗浄施設 1 0  1
アルミニウム又はその合金の製造の用に供する焙焼炉等の廃ガス洗浄施設と湿式集じん施設 4
 
0 
 
4
 
廃棄物焼却炉の廃ガス洗浄施設、湿式集じん施設及び当該廃棄物焼却炉の灰の貯留施設 12
 
21(4)
 
33
 
フロン類の破壊の用に供する施設のうちプラズマ反応施設、廃ガス洗浄施設と湿式集じん施設 1
 
0 
 
1
 
下水道終末処理施設 3 1  4
水質基準対象施設を設置する工場又は事業場から排出される水の処理施設(共同排水処理施設) 1
 
1 
 
2
 
施設合計 22 23(4) 45
工場・事業場数 18 7(1) 25

(注) 宇都宮市分の( )内は、19年3月31日に市町村合併された旧河内町及び上河内町分である。

ウ 立入検査状況

  18年度は延べ87工場・事業場(県分83、宇都宮市分4)について立入検査を行い、ダイオキシン類の排出削減等について指導を行った。(表2−1−40)
  県では12年度に県保健環境センターに測定施設を設置し、ダイオキシン類の検査体制を整備し、13年度から工場・事業場の行政分析を計画的に実施している。
  行政分析の結果、18年度において、2件の基準不適合施設があったが、指導により施設改修等を行い改善されている。(表2−1−41)

表2−1−40 立入検査実施数
区分 実施数
大気関係の特定施設を設置する工場・事業場 78
水質関係の特定施設を設置する工場・事業場 9

合計

87

(注) 1 大気関係の立入検査実施数は、県分 75件、宇都宮市分 3件
   2 水質関係の立入検査実施数は、県分 8件、宇都宮市分 1件

表2−1−41 行政分析結果
区 分

施設数(件)

県分 宇都宮市分 合計
大気実施数 18 3 21
不適合数 2 0 2
水質実施数 1 1 2
不適合数 0 0 0

エ 事業者の自主測定結果

  「ダイオキシン類対策特別措置法」に基づき、特定施設の設置者は毎年1回以上自主分析を行い、県(宇都宮市)に報告することが義務付けられている。
  18年度の自主測定結果の報告状況は、18年4月1日〜19年3月31日の間に設置されていた施設(この間に廃止された施設も含む。)のうち、大気関係対象319施設(宇都宮市分24)に対し240施設(宇都宮市分19)、水質関係対象14事業場(宇都宮市分2)に対し10事業場(宇都宮市分2)の報告があった。
  18年度の報告結果については、排出基準超過が1件あり、改善対策を指導した。事業者が施設改善した上で、再測定した結果、排出基準に適合していた。(表2−1−42)

表2−1−42 ダイオキシン類自主測定結果の報告状況

 @ 大気関係対象施設  

種類・施設規模

対象 施設数

報告施設 未報告施設
施設数 基準 適合 基準 不適 廃止 休止 新設 測定中 未測定
製鋼用電気炉 4
(1)
3
(1)
3
(1)

 
1
 

 

 

 

 
アルミニウム合金製造施設 63 56 56   1 3 3    
廃棄物焼却炉

4t/h以上
 

17
(5)
16
(5)
16
(5)
    1      
2t/h以上4t/h未満 37
(7)
26
(4)
24
(4)
2
 
  6
(2)
3
(1)
2
 
 
2t/h未満
 
198
(11)
139
(9)
138
(9)
1
 
10
 
28
(1)
6
(1)
3
 
12
 

施設合計

319
(24)
240
(19)
237
(19)
3
 
12
 
38
(3)
12
(2)
5
 
12
 

(注) ( )は、宇都宮市分の内数

 A 水質関係対象事業場  

種類 対象
事 業場数
報告事業場 未報告事業場
事業
場数
基準
適合
基準
不適
廃止 休止 新設



アルミニウム又はその合金の製造の用に供する焙焼炉等の廃ガス洗浄施設と湿式集じん施設 4
 
2
 
2
 
    2
 
     
廃棄物焼却炉の廃ガス洗浄施設、湿式集じん施設及び当該廃棄物焼却炉の灰の貯留施設 4
(1)
3
(1)
3
(1)
    1      
下水道終末処理施設 3 3 3
フロン類の破壊の用に供する施設のうちプラズマ反応施設、廃ガス洗浄施設及び湿式集じん施設 1 1 1            
水質基準対象施設を設置する工場又は事業場から排出される水の処理施設(共同排水処理施設) 2
(1)
1
(1)
1
(1)
    1      
事業場合計 14
(2)
10
(2)
10
(2)
    4      

(注)1 ( )は、宇都宮市分の内数
   2  ダイオキシン類を含む汚水又は廃液の全量を下水道に排出したり循環使用することなどにより、公共用水域への排出がない特定事業場は、自主測定対象に該当しない。

ダイオキシン類削減対策

  栃木県環境保全資金の融資対象に産業廃棄物処理施設を追加して、処理業者が設置する焼却施設の改造等を支援している。