第2部 環境の状況と保全に関して講じた施策 |
第2章 人と自然が共生する潤いのある地域づくり |
私たちは、自然の中から生きるために必要な空気や水、食料などの物質的な恵みを得ているばかりではなく、自然に接したときに感じる安らぎや潤いなど精神的にも大きな恵みを受けている。 第1節 環境を支える森林づくり
(1) 本県の森林の概要
18年度末における本県の森林面積は、県土面積約64万haの55%にあたる約35万haとなっている。県土面積における森林面積の割合(森林率)は全国で第27位にあたる。(図2−2−1)
(2) 森林の整備状況ア 造林面積の推移造林面積は昭和53年度の2,100haをピークに減少傾向を示し、18年度には、ピーク時の2割を下回る344haにまで落ち込んでいる。(図2−2−3) イ 民有人工林の齢級別構成〜間伐を必要とする森林の状況〜本県の民有人工林全体の約5割が、間伐を必要とする(V〜\齢級(11〜45年生))森林になっている(面積62.8千ha)。その半数近くが間伐の遅れた森林であり、荒廃の危険性が高まっている。特に奥地など条件の悪い箇所の遅れが顕著で早急な対策が必要である。本県では、これらを中心に14年度から18年度までの5年間で約2万haの間伐を実施し、健全な森林づくりに努めてきたが、未だに手入れの行き届かない森林が多く残されている。(図2−2−4) 図2−2−3 造林面積の推移
図2−2−4 県内民有人工林におけるスギ・ヒノキの林齢別面積(18年度末) (3) 森林の有する多面的機能
森林は多面的な機能を有しており、県民の生活と深くかかわっている。12年に農林水産大臣から日本学術会議に対して「地球環境・人間生活にかかわる農業及び森林の多面的な機能の評価について」諮問され、その答申(13年11月)では、森林には次のような機能があるとされている。 (4) 保安林の面積と推移水源かん養や土砂流出防備など森林の公益的機能をより高度に発揮させていくことを目的に指定する保安林については、国有林、民有林ともに着実に増加しており、18年度末現在の指定面積は約18万3千haで、その内訳は国有林が62%(国有林面積の約8割)、民有林が38%(民有林面積の約3割)となっている。(図2−2−5) 図2−2−5 保安林面積の推移 (5) 適正な森林整備の推進
森林は、所有者等による植林から伐採までの林業生産活動や病虫獣害の防除・森林火災の防止などの適正な管理を通じ、その多面的機能を維持向上させ、県民の生活環境を守るという重要な役割を担ってきた。 (6) 森林を支える林業の振興
木材生産を始め、二酸化炭素吸収や水源かん養等の森林の持つ多面的機能の発揮には、人工林における持続的な林業生産活動が不可欠であり、このためには「木を植え、育て、伐って利用し、また植える」という森林資源の循環利用を推進することが重要である。
(1) 森林の公益的機能の向上ア 間伐等森林整備の促進
森林の持つ二酸化炭素の吸収・固定をはじめとする公益的機能を持続的に発揮させるため、森林所有者への支援や県・森林整備公社による公的森林整備により間伐等の森林整備を促進している。18年度は約4,900haの間伐を含め、造林、下刈り等の森林整備を約7,000ha実施した。 イ 多様な森林の育成
森林の持つ公益的機能を持続的かつ高度に発揮させるためには、間伐の促進とともに複層林施業や長伐期施業、育成天然林施業、広葉樹林整備等による、多様な森林の育成が重要である。 ウ 県民参加の森林づくりの推進
森林の大切さについて情報提供を行うとともに、森づくり体験講座の開催や公募による森づくり活動の実施など、体験活動を通して森林環境の保全に対する県民意識の醸成を図った。 エ とちぎの元気な森づくり県民税の導入に向けての取組
森林の有する公益的機能の向上に向けて、県民協働の森づくりを目的とした本県独自の税制度について、必要性、使途、仕組み等の検討を行うため「県民協働森づくりに関する有識者会議」(学識経験者等が委員)を18年度に4回開催(計7回)した。この有識者会議から7月31日に知事へ提出された提言の内容は『公益的機能を持つ森林を県民共有の財産と捉え、社会全体で支える新たな取組が必要であり、その財源として県民の合意を得た上で「森林環境税(仮称)」の創設が適当である。また、県民協働による森づくりを進めていくためには、何より県民の理解促進が必要である。』とするものであった。
オ 森林資源の循環利用の推進森林資源の循環利用を推進するため、森林施業の中核を担う森林組合等林業事業体の新規就業者確保育成支援や経営改善指導を行うとともに、低コスト林業の基盤となる林道や作業道の整備を促進した。また、木材の高次加工に不可欠な人工乾燥施設等の導入支援や「とちぎ木の県推進運動」の展開等により、高品質な県産材の安定供給と利用拡大に努めた。 (2) 森林の適正管理ア 森林計画制度による森林管理の推進
森林計画制度は森林法において体系付けられており、国が策定する全国森林計画に即して、県が地域森林計画を、市町村は地域森林計画に適合した市町村森林整備計画を策定している。 イ 保安林・林地開発許可制度による森林の保全
保安林指定の拡大等により、森林の持つ公益的機能の高度発揮と森林の保全を推進した。 ウ 森林被害対策の推進
森林の病害虫等被害を早期に発見し、適切な対策を実施するため、市町村や関係団体等と連携して被害対策を図っている。 |
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