第2部 環境の状況と保全に関して講じた施策

第5章 共通的基盤的施策の展開

第5節 公害紛争処理等

1 公害苦情処理

(1)県及び市町村における公害苦情の取扱状況

ア 公害苦情の受付件数

19年度に県及び市町が受け付けた苦情件数は1,635件で、そのうち、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下及び悪臭のいわゆる「典型7公害」の苦情件数は1,073件(全公害苦情件数の65.6%)で、前年度に比べて47件減少した。
 また、廃棄物の不法投棄、害虫等の発生、動物の死骸放置など、「典型7公害以外」の苦情件数は562件(全公害苦情件数の34.4%)で、前年度に比べて42件減少した。(図2−5−2、図2−5−3)

図2−5−2 公害苦情受付件数


図2−5−3 公害の種類別苦情受付件数の推移

イ 発生源別の苦情受付件数

19年度の公害苦情件数を発生源(場所)別にみると、野焼きが最も多く、次いで廃棄物投棄の順(自然系,その他、不明を除く。)となっている。(図2−5−4)

図2−5−4 発生源別苦情受付件数

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ウ 公害苦情の処理状況

19年度に処理した苦情件数は1,659件である。その内訳は、19年度に新規に受け付けた件数が1,635件、前年度以前から繰り越された件数が24件であった。
 苦情の処理状況をみると、受付機関が直接処理した件数が1,548件、警察や国等の他の機関へ移送した件数が29件、翌年度へ繰り越した件数が20件であった。(表2−5−4)
 一方、典型7公害のうち、直接処理した苦情について、苦情の処理方法(解決のために力を入れた手段又は有効であった手段)別にみると、「発生源側に対する行政指導」が732件(典型7公害の直接処理件数の71.8%)と最も多く、次いで、「原因の調査」が107件(同10.5%)、「申立人に対する説得」が29件(同2.8%)、「当事者間の話合い」が15件(同1.5%)などであった。(表2−5−5)
 また、典型7公害のうち、直接処理した苦情について、苦情の処理のための防止対策の有無をみると、「防止対策を講じた」が530件(典型7公害の直接処理件数の52.0%)「講じなかった」が142件(同13.9%)となっている。(表2−5−6)

表2−5−4 公害苦情の受付件数及び処理件数
受付の状況 処理の状況
総数
(受付件数)
当該年度受付 前年度以前からの繰越 総数
(処理件数)
直接処理 他へ移送 翌年度へ繰越 その他
1,659 1,635 24 1,659 1,548 29 20 62

表2−5−5 典型7公害の苦情処理のために行政が採った措置件数
  総数 発生源側に対する行政指導 原因の調査 当事者間の話合い 申立人に対する説得 その他
処理件数(件) 1,019 732 107 15 29 136
構成比(%) 100 71.8 10.5 1.5 2.8 13.4

表2−5−6 典型7公害の苦情処理のための防止対策の有無別件数
  総数 防止対策を講じた 講じなかった 不明
処理件数(件) 1,019 530 142 347
構成比(%) 100 52.0 13.9 34.1

(2)警察における公害苦情の取扱状況

ア 公害苦情の受付件数

19年度中に栃木県警察本部及び栃木県内各警察署で受け付けた公害関係苦情件数は、1,507件(前年度比−335件)で、うち騒音に関するものが1,002件(前年度比−359件)と最も多く、全体の約66%を占め、次いで廃棄物に関するものが378件(前年度比−22件)で全体の約25%を占めた。(表2−5−7)

表2−5−7 警察における公害苦情受付件数
区分/
受付(処理)状況
大気汚染 水質汚濁 土壌汚染 騒音 振動 地盤沈下 悪臭 廃棄物 その他
苦情受理件数 15 40 3 1,002 3   26 378 40 1,507
処理状況 話し合い・斡旋 1     50     5 40 2 98
警告・指導 13 12 1 553     9 108 21 717
検挙               47   47
措置不能 1 3   376 3   5 51 11 450
他機関への通報   25 2 23     7 132 6 195

イ 発生源別の苦情受付件数

騒音苦情の発生源を種類別にみると、車両音が425件(前年度比−94件)と、全体の約42%を占めた。(表2−5−8)

表2−5−8 騒音苦情発生源別受付件数
区分/
受付(処理)状況
機械設備音 建設作業音 拡声器音 人声 楽器音 カラオケ音 遊技音 車両音 その他
苦情受理件数 12 18 6 199 39 75 141 425 87 1,002
処理状況 話し合い・斡旋 1 9   5 3 1   14 17 50
警告・指導 9 5   168 33 72 55 173 38 553
検挙                    
措置不能     6 26 1 2 86 237 18 376
他機関への通報 2 4     2     1 14 23

2 公害紛争処理

典型7公害に係る紛争等について、あっせん、調停及び仲裁を行うため、「栃木県公害紛争処理条例」第2条に基づき、「栃木県公害審査会」(委員14人)が設置されている。
 なお、昭和45年度の「栃木県公害審査会」設置以来、19年度までに10件(参加申立を含む。)の調停申請がなされた。
 19年度に新規に受け付けた調停事件は1件である。