第2部 環境の状況と保全に関して講じた施策

第5章 共通的基盤的施策の展開

第6節 工場・事業場対策の推進

1 工場・事業場に対する規制的措置

(1)新規立地事業場の事前協議

公害の未然防止及び環境の保全を図ることを目的として、昭和60年6月に「新規立地事業場公害防止事前指導要綱」を定めた。
 この要綱は、9,000m2以上の敷地面積を有する工場又は科学技術に関する試験研究を行う事業場を新たに設置しようとする事業者に対し、あらかじめ公害防止施設整備計画等について事前協議を行うことを義務づけている。
 19年度の事前協議件数は、11件(すべて工場)である。(表2−5−9)

表2−5−9 事前協議件数及び立地企業数
年度 事前協議件数
工場 科学技術の関する
試験研究を行う事業場
合計
14 3 0 3
15 11 1 12
16 17 1 18
17 18 0 18
18 12 0 12
19 11 0 11

(注) 事前協議件数は当該年度に協議終了となった件数


(2)公害防止協定

 公害防止協定は、公害関係法令等の規制とは別に、市町村あるいは地域の自治会等と新たに立地しようとする工場又は既存の工場等が、当事者間の合意に基づき公害を防止するため締結するものである。
 「栃木県生活環境の保全等に関する条例」では、事業者の協定締結の努力義務を規定している。

2 工場・事業場に対する誘導的措置

(1)環境保全資金の融資

事業者には、「栃木県環境基本条例」に定めるように、その事業活動に伴って生ずる公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務がある。しかし、公害防止のための施設整備や工場移転には多額の資金を必要とすることから、特に経営基盤の弱い中小企業者等にとってはかなりの負担となる。
 このため、県では、中小企業者や中小企業団体が公害防止のための施設整備や工場移転をする資金の調達を円滑にするため、昭和45年度に融資制度(公害防止資金)を創設し、融資を行ってきた。
  また、9年度からは「栃木県環境保全資金」に改称し、環境への負担の軽減に資する施設の整備、環境の保全に資する事業についても融資対象とした。さらに、10年度からはダイオキシン類対策に係る経費を、15年度からは低公害車の購入やディーゼル微粒子除去装置の装着に係る経費を、17年度からは吹付け石綿の除去等に係る経費を対象に加えた。
 なお、個人向け融資として、太陽光エネルギーを利用した発電システムの普及促進を図るため、17年度から「一般住宅用太陽光発電システム融資制度」を同資金内に創設した。(第3章第1節2(3)ア 一般住宅用太陽光発電システム資金貸付参照)
 栃木県環境保全資金制度の概要(19年度)は次のとおりであり、19年度の融資状況(認定額の実績)は、認定件数3件、認定額5,870万円であった。(表2−5−10、図2−5−5)

ア 貸付金(新規分)
8億円
イ 対  象
中小企業者、中小企業団体
ウ 末端利率
年1.90%(19年10月1日現在)
エ 貸付期間
10年以内(うち元金の据置期間2年以内)
ただし、1千万円未満については7年以内
(うち元金の据置期間1年以内)
オ 貸付限度額
・ 施設の設置等:経費の90%以内で100万円以上1億円以下
・ 環境保全事業:経費の90%以内で100万円以上1億円以下
・ 工場等の移転:経費の90%以内で200万円以上1億5千万円以下
カ 預託先
栃木県信用保証協会
表2−5−10 環境保全資金融資認定状況   (単位:千円)
対象種別 設置(改善) 移転 合計
件数 金額 件数 金額 件数 金額
水質汚濁 2 56,200     2 56,200
産業廃棄物 1 2,500     1 2,500
合計 3 58,700     3 58,700

図2−5−5 環境保全資金の種類別融資件数及び認定額


(2)講習会等の開催

環境保全に関する普及啓発を図るため、工場・事業場等関係者を対象に講習会を開催した。(表2−5−11)

表2−5−11 講習会の実施状況
実施年月日 対象(出席者数) 開催場所 内容
19年6月27日 工場・事業場関係者
(266名)
宇都宮市 (1)改正フロン回収・破壊法の概要について
(2)改正フロン回収・破壊法に基づく行程管理票について
(3)改正フロン回収・破壊法に基づくフロン類回収業の登録について
19年10月24日

工場・事業場関係者
(233名)

宇都宮市 (1)水質関連法令の概要について
(2)事例発表

(3)環境保全巡回事業

公害発生施設等の改善を図ろうとする中小企業者等に対して、専門家を派遣して技術的指導を実施している。
 19年度は、産業廃棄物処理業者への悪臭対策について事業を実施した。