○栃木県犯罪被害者等支援条例

令和3年3月11日

栃木県条例第3号

栃木県犯罪被害者等支援条例をここに公布する。

栃木県犯罪被害者等支援条例

(目的)

第1条 この条例は、犯罪被害者等支援に関し、基本理念を定め、並びに県、県民、事業者及び民間支援団体の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等支援に関する施策の基本となる事項を定めることにより、犯罪被害者等支援に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって犯罪被害者等を支える地域社会の形成に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 犯罪等 犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。

(2) 犯罪被害者等 犯罪等により被害を受けた者及びその家族又は遺族をいう。

(3) 犯罪被害者等支援 犯罪被害者等が、その受けた被害を回復し、又は軽減し、再び平穏な生活を営むことができるようにするための取組をいう。

(4) 2次的被害 犯罪等による被害を受けた後に、人々の無理解又は配慮に欠ける言動、インターネットを通じて行われる誹謗ひぼう中傷、報道機関による過剰な取材等により、犯罪被害者等が受ける精神的な苦痛、身体の不調、私生活の平穏の侵害、経済的な損失その他の被害をいう。

(5) 民間支援団体 犯罪被害者等支援を行う民間の団体をいう。

(基本理念)

第3条 犯罪被害者等支援は、犯罪被害者等が受けた犯罪等による被害又は2次的被害の特性及び原因、犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に推進されなければならない。

2 犯罪被害者等支援は、犯罪被害者等が被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援等を途切れることなく受けることができるよう推進されなければならない。

(県の責務)

第4条 県は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、犯罪被害者等支援に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

(市町村との連携等)

第5条 県は、市町村との連携を図りつつ、犯罪被害者等支援に関する施策を確実かつ効果的に実施するよう努めるとともに、市町村において、当該地域の実情に応じた犯罪被害者等支援に関する施策が円滑に実施されるよう、情報の提供、助言その他の措置を講ずるものとする。

(県民の責務)

第6条 県民は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性についての理解を深め、2次的被害が生ずることのないよう十分配慮するとともに、県及び市町村が実施する犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第7条 事業者は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性についての理解を深め、その事業活動を行うに当たっては、2次的被害が生ずることのないよう十分配慮するとともに、県及び市町村が実施する犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

2 犯罪被害者等を雇用する事業者は、基本理念にのっとり、その雇用する犯罪被害者等に対し、就労の支援その他の必要な支援を行うよう努めるものとする。

(民間支援団体の責務)

第8条 民間支援団体は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等支援に関する知識及び経験を活用し、犯罪被害者等支援を行うとともに、県及び市町村が実施する犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(基本計画)

第9条 知事は、犯罪被害者等支援に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、犯罪被害者等支援に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めるものとする。

2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 犯罪被害者等支援に関する基本的方向

(2) 犯罪被害者等支援に関する施策に関する事項

(3) 前2号に掲げるもののほか、犯罪被害者等支援に関し必要な事項

3 知事は、基本計画を定めるに当たっては、県民の意見を反映することができるよう適切な措置を講じなければならない。

4 知事は、基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。

(相談及び情報の提供等)

第10条 県は、犯罪被害者等が日常生活又は社会生活を円滑に営むことができるようにするため、民間支援団体と連携し、犯罪被害者等が直面している各般の問題に関する相談に応ずるとともに、必要な情報の提供及び助言その他の必要な措置を講ずるものとする。

(保健医療サービス及び福祉サービスの提供等)

第11条 県は、犯罪被害者等が犯罪等による心理的外傷その他心身に受けた影響から回復できるようにするため、その心身の状況等に応じた適切な保健医療サービス及び福祉サービスが提供されるよう必要な措置を講ずるものとする。

(日常生活の支援)

第12条 県は、犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるよう、病院等への付添い、家事又は育児に係る援助その他の日常生活の支援のために必要な措置を講ずるものとする。

(安全の確保)

第13条 県は、犯罪被害者等が更なる犯罪等により被害を受けることを防止し、その安全を確保するため、一時保護、施設への入所による保護、防犯に係る指導、犯罪被害者等に係る個人情報の適切な取扱いの確保その他の必要な措置を講ずるものとする。

(居住の安定)

第14条 県は、犯罪等により従前の住居に居住することが困難となった犯罪被害者等の居住の安定を図るため、一時的な利用に供する住居の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

(雇用の安定)

第15条 県は、犯罪被害者等の雇用の安定を図るため、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性について事業者が理解を深めることができるよう、普及啓発その他の必要な措置を講ずるものとする。

(保護等の過程における配慮等)

第16条 県は、犯罪被害者等の保護、その被害に係る刑事事件の捜査等の過程において、犯罪被害者等が置かれている状況を踏まえ、2次的被害が生ずることのないよう十分配慮するとともに、犯罪被害者等の負担が軽減されるよう、専門的知識又は技能を有する職員の配置その他の必要な措置を講ずるものとする。

(県民の理解の増進)

第17条 県は、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性について県民が理解を深めることができるよう、普及啓発、教育の充実その他の必要な措置を講ずるものとする。

(人材の育成)

第18条 県は、犯罪被害者等支援に携わる人材の育成を図るため、犯罪被害者等支援に関する研修の実施その他の必要な措置を講ずるものとする。

(推進体制の整備)

第19条 県は、市町村、民間支援団体等と連携し、犯罪被害者等支援の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、必要な体制の整備に努めるものとする。

(財政上の措置)

第20条 県は、犯罪被害者等支援に関する施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

1 この条例は、令和3年4月1日から施行する。

〔次のよう〕略

栃木県犯罪被害者等支援条例

令和3年3月11日 条例第3号

(令和3年4月1日施行)