第2部 環境の状況と保全に関して講じた施策

第1章 環境への負荷の少ない循環型の社会づくり

第4節 騒音・振動・悪臭の防止

1 騒音・振動・悪臭の状況

(1) 騒音の状況
環境基準

騒音に係る環境基準は、「環境基本法」により、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準として定められている。

また、騒音に係る環境基準は、地域の類型及び時間の区分ごとに定められており、道路交通騒音が支配的な音源である地域については「道路に面する地域」の環境基準として、「一般地域(道路に面する地域以外の地域)」の環境基準とは別個に定められている。類型指定は、「都市計画法」に基づく用途地域の区分に準拠して、工業専用地域を除く県内全域について行っている。なお、10年9月の環境基準の改正により、地域の類型指定の見直しと評価方法の改正(「中央値」から、より人の感覚に近い「等価騒音レベル」へ変更)を行い、11年4月から適用している。

なお、騒音に係る環境基準の達成状況は、一般地域(道路に面する地域以外の地域)については、原則として一定の地域ごとに当該地域の騒音を代表すると思われる地点を選定して評価し、道路に面する地域については、原則として一定の地域ごとに当該地域内のすべての住居等のうち環境基準値を超過する戸数及び超過する割合を把握することにより評価することとされている。

新幹線鉄道騒音に係る環境基準は、沿線市町村の一部地域について類型指定を行っているが、航空機騒音に係る環境基準の類型指定は行っていない。

イ 環境基準の達成状況
(ア) 一般地域(道路に面する地域以外の地域)

8市1町が一般地域(道路に面する地域以外の地域)の県内33地点について測定したところ、昼夜ともに環境基準を達成したのは25地点(75.8%)であった。(表2−1−31)

表2−1−31 一般地域(道路に面する地域以外の地域)の環境基準達成状況
地 域 類 型 調 査
地点数
いずれの時間
区分でも達成した
地点数(割合)
時間区分毎の達成地点数
昼 間
(6:00〜22:00)
夜 間
(22:00〜6:00)
一般
地域
9 7( 77.8%) 8( 88.9%) 7( 77.8%)
13 8( 61.5%) 9( 69.2%) 10( 76.9%)
11 10( 90.9%) 11(100.0%) 10( 90.9%)
33 25( 75.8%) 28( 84.8%) 27( 81.8%)

(注)類型は、A類型(住居専用地域)、B類型(住居地域、準住居地域)、C類型(商・工業地域)に区分される。

(イ) 自動車騒音の常時監視(道路に面する地域)

道路に面する地域の環境基準達成状況は、12年4月から地域内のすべての住居等のうち基準値を超過する戸数及びその割合を把握する、いわゆる「面的評価」により評価している。「騒音規制法」第18条に基づく自動車騒音の常時監視を、県が宇都宮市を除く県内の265区間、道路延長262.1kmについて、宇都宮市が市内の91区間、道路延長269.9kmについて実施したところ、環境基準の達成状況は、合計で83.7%の達成率であった。(表2−1−32)

なお、11年以前との比較を行うため、県及び8市1町(宇都宮市を含む。)が実施した道路に面する地域の測定地点における基準値の達成状況を参考として示す。(表2−1−33)

表2−1−32 道路に面する地域の環境基準達成状況(面的評価)
県・宇都宮市 全 体 自動車専用道 一般国道 県 道
住 居 戸 数 55,946 441 15,983 39,522
環境基準達成戸数 46,809 301 12,356 34,152
環境基準達成率 83.7% 68.3% 77.3% 86.4%
参考:県実施分 全 体 自動車専用道 一般国道 県 道
住 居 戸 数 30,133 15 6,788 23,330
環境基準達成戸数 25,054 13 5,168 19,873
環境基準達成率 83.1% 86.7% 76.1% 85.2%
表2−1−33 道路に面する地域の基準達成状況(測定地点評価)
地 域 類 型 調 査
地点数
いずれの時間
区分でも達成した
地点数(割合)
時間区分毎の達成地点数
昼 間
(6:00〜22:00)
夜 間
(22:00〜6:00)
道路に
面する
地 域
(地点)
4 4(100.0%) 4(100.0%) 4(100.0%)
30 20( 66.7%) 22( 73.3%) 20( 66.7%)
53 27( 50.9%) 34( 64.2%) 27( 50.9%)
87 51( 58.6%) 60( 69.0%) 51( 58.6%)

(注)道路に面する地域の環境基準達成状況は、面的評価となったことから測定地点評価は参考値である。

(ウ) 新幹線鉄道騒音

沿線市町村が軌道中心から25mの14地点で調査したところ、その結果は70〜78デシベルの範囲であり、環境基準を達成していたのは1地点(7.1%)であった。

なお、東日本旅客鉄道(株)において、当面の対策としてピーク騒音レベルを75デシベル以下とする対策(いわゆる「75デシベル対策」)を講じているところであるが、測定地点14地点のうち6地点(42.9%)で75デシベルを超過していた。

(エ) 航空機騒音

宇都宮市と共同で陸上自衛隊宇都宮分校周辺の11地点で航空機騒音の状況を把握するための調査をしたところ、60.0〜72.1 WECPNLの範囲であった。

(2) 振動の状況
ア 環境上の振動の限度等
(ア) 道路交通振動

道路交通振動の限度は、「振動規制法」に基づき区域及び時間の区分ごとに定められており、これを超えた場合で道路の周辺の生活環境が著しく損なわれるときは、道路管理者に対し、道路交通振動の防止のための舗装等の措置をとるべきこと、または県公安委員会に対し、道路交通法の規定に基づく交通規制等の措置をとるべきことを要請することになっている。

(イ) 新幹線鉄道対策に係る指針

新幹線鉄道の列車走行時に発生する振動については、「環境保全上緊急を要する新幹線鉄道振動対策について(勧告)」に基づき、振動レベルが70デシベルを超える地域について、防止対策を講ずることになっている。

イ 振動の現況
(ア) 道路交通振動

4市が国道・県道等沿道の県内15地点で測定したところ、「振動規制法」に基づく道路交通振動の要請限度を超える地点はなかった。

(イ) 新幹線鉄道振動

沿線市町村が軌道中心から25mの7地点で調査したところ、その結果は49〜56デシベルの範囲であり、指針値70デシベルを超える地点はみられなかった。

(3) 悪臭の状況

悪臭は、人の感覚や生活環境に左右されるいわゆる感覚公害である。市街地の拡大による住居と工場等の接近化、生活水準の向上とともに高まっている生活環境の質的向上に対する欲求等により、これまで容認されてきたにおいが悪臭と感じられるようになってきている。

17年度における悪臭苦情は199件(16年度200件)であり、公害苦情全体の13.0%(16年度11.4%)を占める。

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