4章 新エネルギー導入に向けた施策の体系と役割分担

 1.新エネルギー導入にむけた施策の体系
  新エネルギーの導入促進を図るためには、県民、事業者、行政すべての主体が、それぞれの役割を認識するとともに、それぞれが連携・協調しながら取り組んでいくことが必要です。しかし、新エネルギーの種類や特性、導入の効果、具体的な導入事例など、新エネルギーに対する基礎的な情報や理解が、県民、事業者、行政の各主体に十分浸透しているとは言えない状況です。
  そのため県としては、まず公共施設に新エネルギーの率先的導入を図り、県民や事業者の新エネルギーに対する関心を高めるとともに、市町村との連携を図りながら、県民、事業者に対する普及啓発や環境・エネルギー教育などをはじめとした各種の施策を展開し、新エネルギーの導入促進を図ります。

T.県の新エネルギーの率先的導入と推進体制の強化

【施策の方向】
 現段階では、県民や事業者の新エネルギーに対する基礎的知識や理解があまり十分でないという現状にあります。県としては、県民や事業者などの新エネルギーに対する理解を深めるため、公共施設への率先的な導入を図ります。また、効果的に導入促進を図るための庁内推進体制の整備を図ります。

項目 施策名・施策内容
(1)公共施設への率先的導入 ○庁舎、県民利用施設等への率先的導入
 多くの県民が利用する公共施設等への新エネルギーの導入は、県民・事業者に対して大きな普及啓発効果が期待できることから、積極的に導入を図ります。

【個別施策例】
・ 庁舎、県民利用施設、学校等への太陽光発電、ソーラーシステム等の導入
・ 街路灯、道路標識等への太陽光発電システムの導入
(2)防災拠点への導入 ○公園等の整備に際しての率先的導入
 地域自立型エネルギーである新エネルギーは、災害時の非常用エネルギーとしての役割が期待できます。災害時のライフスポットを確保するため、都市公園等の避難場所(防災拠点)となるところに太陽光発電等の新エネルギーの導入を図ります。

【個別施策例】
・ 都市公園への太陽光発電、風力発電の導入
・ 病院等へのコージェネレーションの導入
(3)クリーンエネルギー自動車の計画的導入 ○公用車へのクリーンエネルギー自動車の計画的導入
 クリーンエネルギー自動車の普及を図るため、県の公用車へクリーンエネルギー自動車を計画的に導入します。
(4)推進体制の整備 ○「新エネルギー導入促進連絡会議」(仮称)の設置
 庁内に「新エネルギー導入促進連絡会議」(仮称)を設置し、新エネルギー導入可能な事業について、部局横断的に検討を行い、新エネルギーの導入促進に向け、全庁を挙げて取り組みます。

U.県民・事業者に対する普及啓発の推進と支援

【施策の方向】
 県民や事業者の環境に対する問題意識は高まってきています。しかし、こうした県民や事業者の問題意識を実際の新エネルギー導入につなげていくためには、県民や事業者の新エネルギーに対する一層の理解が必要です。新エネルギー導入促進のため、体験型施設の整備や体系的な環境・エネルギー教育の充実をはじめ、様々な手段を活用した情報提供、広報活動を通じて、普及啓発を図ります。また、普及啓発とあわせて、新エネルギー導入に対する助成・支援制度の充実を図ります。

項目 施策名・施策内容
(1)普及啓発の推進 ○普及啓発の推進
新エネルギー導入促進のため、様々な手段を使った情報提供、広報活動などを通じて、普及啓発を図ります。

【個別施策例】
・ マスメディアやインターネットを活用した情報の提供
・ 新エネルギー講演会、新エネルギー導入促進シンポジウム等の開催
・ 新エネルギー導入表彰制度の創設
・ 消費者団体、商工団体、建築業団体等への情報提供
・ 県内のエネルギーに関する各種情報や新エネルギー導入状況に関する情報提供
・ 理解促進のための新エネルギー体験型施設の整備
(2)体系的な環境・エネルギー教育の充実 ○義務教育段階からの環境・エネルギー教育の実施
 地球環境問題やエネルギー問題についての理解を深めるため、義務教育段階からの環境・エネルギー教育の充実を図ります。

【個別施策例】
・ 環境・エネルギー問題についての副読本の作成、配布
・ 新エネルギー導入施設への見学会の実施
・ 環境学習拠点施設の整備

○環境学習の推進
 生涯学習において、環境・エネルギー問題について理解を深められるような学習機会の提供を図ります。

【個別施策例】
・ シルバー大学、県民カレッジ等への「環境・エネルギー講座」の設置
・ 環境学習推進指針に基づく体系的な学習プログラムの構築

(3)県民・事業者に対する助成・支援 ○県民・事業者に対する助成・支援制度の充実
 新エネルギー導入促進のため、効果的な支援制度の継続、拡大を検討していくとともに、国や県等で実施している各種の支援制度の活用が図られるよう情報提供を行います。

【個別施策例】
・ クリーンエネルギー自動車導入に対する低利融資
・ クリーンエネルギー自動車優遇策の検討
・ 新エネルギー導入に関する相談窓口の設置
・ バイオマス利用に関する研究会の設置及び利用指針の作成
・ 新エネルギーに関する専門家の派遣

V.新エネルギー関連産業の育成・誘致

【施策の方向】
 新エネルギー関連産業は、今後の成長産業として期待されています。栃木県の21世紀を担う新しい産業基盤を築くため、可能な限り既存の工業集積を活用し、新エネルギー関連産業の育成を図るとともに、新エネルギー関連分野に取り組んでいる企業の誘致を促進します。

項目 施策名・施策内容
(1)新エネルギー関連企業の育成・誘致 ○新エネルギー関連企業の育成
 県内の中小企業が行う新エネルギー関連の技術開発に対し、技術面から支援を行います。
 
【個別施策例】
・ 新エネルギー技術開発アドバイザーの設置
・ 試験研究機関による新エネルギー関連技術研究開発の支援
・ 新エネルギー技術交流会の設置

○新エネルギー関連企業の誘致
 新エネルギー関連分野に取り組んでいる企業の誘致を積極的に実施します。


W.市町村に対する支援、国等との連携強化

【施策の方向】
 新エネルギーの導入促進のためには、県のみではなく、市町村が積極的に新エネルギーを導入していくことが期待されます。市町村における新エネルギーの導入が円滑に図られるように、情報提供や新エネルギービジョンの策定の支援を充実します。また、国等に対しても新エネルギーの導入促進が図られるような支援策の充実を要望していきます。

項目 施策名・施策内容
(1)市町村に対する支援 ○市町村に対する情報提供
 新エネルギーの技術情報や助成制度に関する情報提供を行うとともに、県内の新エネルギーの導入状況を把握し、その情報を市町村に提供します。

【個別施策例】
・ 技術情報や助成制度に関する情報の提供

○新エネルギービジョン策定支援
 新エネルギービジョン策定支援セミナーや担当者研修会を開催し、市町村の新エネルギービジョン策定支援を行います。

【個別施策例】
・ 新エネルギービジョン策定支援セミナーの開催
・ 担当者研修会の実施
・ 新エネルギー導入促進相談窓口の設置

○市町村に対する導入支援
 市町村が公共施設に新エネルギーの導入を行うにあたっての支援のあり方について検討します。

(2)国等との連携強化 ○補助制度や優遇税制等の支援策の充実
 国や国の関連団体に対して、新エネルギーの導入促進のための補助制度や優遇税制等の各種支援策の充実を要望していきます。

X.省エネルギー対策との連携

【施策の方向】
 地球温暖化問題をはじめとした地球環境問題への対応やエネルギー安定供給の確保のためには、石油依存度の低減や新エネルギーの導入などの供給面からの対策とあわせて、省エネルギーや電力の負荷平準化などの需要面からの対策も重要となってきます。新エネルギー導入の効果をより大きなものとするためにも、新エネルギー導入促進と省エネルギー対策の有機的連携を図っていくことが必要です。

項目 施策名・施策内容
(1)省エネルギー対策との有機的連携 ○省エネルギー対策との有機的連携
 エネルギー有効利用や地球環境保全のためには、新エネルギーの導入などの供給面からの対策とあわせて、省エネルギーや電力の負荷平準化などの需要面からの対策も重要となってきます。新エネルギー導入を効果的に進めていくためにも、省エネルギー対策等との有機的な連携を図ります。

 
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