5章 ケーススタディ及び事例紹介

第1 ケーススタディ
 3.クリーンエネルギー自動車 (1)個別導入
 クリーンエネルギー自動車としてガソリン・電気ハイブリッド自動車を導入します。
対象とする新エネルギー等 クリーンエネルギー自動車
想定する導入対象 一般家庭
導入車両の種類
 
ガソリン・電気ハイブリッド自動車
(排気量:1500cc)
イニシャルコスト 本体価格:218万円(うち補助金25万円)
投資回収の目安



 
約95,000km
※ 実走行値よりも一般的に燃費が良い10・15モード値に
 より試算していることから、実際の投資回収距離は、
 これよりも少なくなる。
環境負荷削減効果
(エネルギー使用削減効果)
(二酸化炭素排出削減効果)

240 L/年(ガソリン消費量)
570 kg-CO2/年
経済効果(経費節減効果) 年間24,000円(ガソリン代)
活用できる補助制度




 
<補助制度>
クリーンエネルギー自動車普及事業
((財)日本電動車両協会 ほか)
<優遇税制>
エネルギー需給構造改革投資促進税制(国税)
自動車取得税の軽減措置(地方税)
 クリーンエネルギー自動車は、各主体が比較的容易に導入することができる新エネルギーの一つです。
 クリーンエネルギー自動車には「電気自動車」「天然ガス自動車」「メタノール自動車」「ハイブリッド自動車」等があります。
 なかでも、ガソリン・電気ハイブリッド自動車は、ガソリンを使用し新たな供給施設の整備が必要でないことから、1997年の販売開始から一般家庭への導入が急速に進んでいます。
 本ケーススタディでは、このガソリン・電気ハイブリッド自動車の導入による効果について検討を行います。

1.導入システムの設定条件

・ガソリン・電気ハイブリッド自動車(乗用車、排気量1500cc)

 一般家庭におけるガソリン・電気ハイブリッド乗用車の導入を想定し、同一用途、同排気量のガソリン車と比較を行います。

●ハイブリッド自動車のしくみ
 ハイブリッド自動車は、複数の動力源を組み合わせて、状況に応じて動力源を同時に又は個々に作動させて走行する自動車です。ガソリン・電気ハイブリッド自動車は、ガソリンエンジンによって走行するとともに、モーターを回して発電し、その電気によっても走行するというものです。

 

2.効果の算定
(1)環境負荷削減効果

・年間車両燃料節約量   :240L
・温室効果ガス排出抑制効果:570kg-CO2/年

 ハイブリッド自動車は、同クラスのガソリン車に比べて燃費は約2倍良くなっています。年間に同じ距離を走行した場合、燃料の節減に係るエネルギー使用抑制効果、温室効果ガス排出抑制効果は次のようになります。

年間車両燃料節約量 240L/年 年間の走行距離を7,000kmと仮定し、ハイブリッド自動車とガソリン車の燃料消費量の差を算定(燃費は10・15モードの値を使用)
温室効果ガス排出抑制効果 570 kg-CO2/年 年間車両燃料節約量から、温暖化対策推進法での排出原単位2.3587kg-CO2/Lを使用して算定
その他の大気汚染物質 ハイブリッド自動車は約2倍燃費が良いことから、大気汚染物質の排出はトータルで半分に抑えられる。

  (算定条件)

  ガソリン・電気
ハイブリッド自動車
ガソリン自動車
燃費(10・15モード) 29.0km/L 14.6km/L
排気量 1500cc 1500cc

(2000年夏時点におけるデータ)
自動車メーカーホームページ資料より作成

※10・15モード燃費
  排出ガスの認定試験に使用される都市内および高速道路の平均的走行パターンを模擬した走行モードで測定した燃費値(国土交通省審査値)です。実際の燃費は、車内エアコンの使用や、渋滞などの燃料消費の原因が重なることによって、この値よりも悪くなることが普通です。

(2)経済性
 

・イニシャルコスト:218万円(うち補助金25万円)
(同クラスガソリン車との差額:50万円)
・車両燃料節約効果:年間24,000円
・投資回収の目安 :10年
 ※燃費として10・15モード燃費を使用。

@イニシャルコスト
 想定するハイブリッド自動車の本体価格は2000年夏の時点で、218万円、同クラスのガソリン車との差額は約50万円です。補助金(クリーンエネルギー自動車普及事業費)は、通常車両との価格差の1/2ということで25万円が補助されます。補助金を用いた場合、差額は25万円となります。

A経済効果

(車両燃料節約効果)
 車両燃料節約額は、燃料費を100円/Lとし車両燃料節約量から算定すると、年間約24,000円となります。
(投資回収の目安)
 投資回収の目安として、ガソリン車との本体価格の差額を燃料節約額と比較し、何年間の節約総額で、差額を充足できるかを算定します。算定においては、補助金の活用を想定します。
     25[万円] ÷ 2.4[万円/年] = 10.4[年] (補助を用いる場合)
投資回収の目安は約10年ということになります。
 しかし、上の計算では、燃費として実際の燃費より良い10・15モード燃費を採用しているため、実際の効果はこれよりも大きいと考えられます。例えば、実際の燃費が10・15モード燃費の7割であると仮定すると、車両本体価格差を回収するために必要な年数は、およそ7.3年(補助を用いた場合)になります。

●支援制度について
 一般家庭へのクリーンエネルギー自動車の導入について適用可能な補助制度は以下のとおりです。

支援制度 対象者 内容 実施主体
クリーンエネルギー自動車普及事業費
(燃料供給設備についての補助もこの制度で実施)
限定せず 通常車両との価格差の1/2 (財)エコ・ステーション   
   推進協会
(社)日本ガス協会
(財)日本電動車両協会
 NEDO
エネルギー需給構造改革投資促進税制
(国税)
クリーンエネルギー自動車の取得、その燃料供給施設の設置に対して、いずれかの軽減措置を選択
  ・初年度30%の減価償却の特例
  ・基準取得価格の7%の特別税額控除
自動車取得税の軽減措置(地方税) 自動車取得税を軽減
税率:
   電気自動車、天然ガス自動車、メタノール自動車:2.7%
   ハイブリッド自動車(トラック、バス):2.7%
   ハイブリッド自動車(乗用車):2.2%
自動車税の軽減措置(地方税)  ※ 自動車税を2年間軽減
軽減率:
   電気自動車、天然ガス自動車、メタノール自動車:50%
   ハイブリッド自動車:25〜50%

※ 平成13年3月現在、平成14年4月実施を目指し国会で審議中。

3.課題
 燃料供給設備に対する設備投資が不要であるハイブリッド自動車は、燃費効率もよく、県民、事業者がより積極的に導入を図っていくことが望まれます。
 また現在、各自動車メーカーでは、水素と酸素を化学反応させて電気を取り出す燃料電池を使用した燃料電池車の研究開発が行われており、近い将来、市場に登場すると期待されています。
  

 
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