燃料電池の利用について (1)燃料電池の種類
燃料電池はこれまで、電解質の種類によって、アルカリ型、リン酸型、固体高分子型、溶融炭酸塩型、固体電解質型の5種類が開発されています。その中で最も開発が進んでいるものは、リン酸型燃料電池で、主に50kWから200kW程度の発電容量でパッケージ化されたプラントが日本、アメリカ、ヨーロッパを中心に導入されています。
(2)使用する燃料
燃料は、天然ガス、メタノールなどを改質して得られる水素を利用します。都市ガス(天然ガス)のほか、LPG、下水汚泥の処理過程で得られる消化ガス、食品排水や生ゴミの処理過程で得られるバイオガス、メタノール、水素などが燃料として使用可能です。
現在実際使われているものは、下水汚泥の消化ガス(例:横浜市下水道局)、工場から出る廃メタノール(例:セイコーエプソン豊科工場)、食品工場の排水から得られるバイオガス(例:キリンビール栃木工場)などがあります。
今後は家畜のふん尿から得られる消化ガスや生ゴミから得られるバイオガス、化学工場から得られる廃水素の利用も期待できます。
(3)特長
●高い発電効率
送電端で40%という、大型火力発電所と同程度の発電効率が得られます。さらに、発電の際に発生する熱の利用も合わせると、総合エネルギー効率は80%以上となります。
●良好な環境性
大気汚染物質はほとんど排出しません。また、変換効率が高いことから、相対的に温室効果ガスの排出量も少ないと言えます。
●高品質な電力の供給が可能
インバータを通し出力することで、一定周波数、一定電圧という高品質な電力が得られます。
●多様な燃料に対応
「(2)使用する燃料」で述べたように多様な燃料に対応することができます。
●保守や取り扱いが容易
静止型の電気化学的な発電装置であることから、長期間にわたる連続運転が可能です。また、運転管理も容易で、実用化されているリン酸型燃料電池では「全自動・無人運転」が可能となっています。
(4)経済性
イニシャルコスト
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本体価格:40〜80万円/kW
(1999年度における代表値は75万円/kW) |
発電コスト
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1999年度における代表値は
発電コスト: 28円/kWh…@
排熱利用分: 6.9円/kWh…A
排熱利用分を除いた差引純発電コスト(=@−A)
:21.1円/kWh
差引純発電コストは商用電力単価(16.2円)の約1.3倍 |
出所:新エネルギー技術開発関係データ集作成調査(燃料電池)(NEDO・燃料電池開発情報センター)
●支援制度等
燃料電池の導入に当たっては、以下の支援制度が活用可能です。
支援制度 |
対象者 |
内容 |
実施主体 |
新エネルギー事業者支援事業 |
事業者 |
債務保証
補助(補助率1/3) |
NEDO |
地域新エネルギー等導入促進事業 |
地方公共団体 |
補助率 1/2 |
NEDO |
日本開発銀行融資 |
限定せず |
融資 |
日本開発銀行 |
エネルギー需給構造改革投資促進税制
(国税) |
青色申告を提出する個人又は法人 |
優遇税制 |
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