栃木県 水環境保全計画

第2章 栃木県の水環境の現況

 

水収支

(1) 流入と流出の状況

 本県の水収支を試算すると、県全域の年間降水量は約97億㎥で、そのうち33%にあたる約32億㎥が蒸発散し、12%にあたる約12億㎥が地下に浸透し、55%にあたる約53億㎥が河川に流出している。河川からの県外への流出量は、那珂川水系約24億㎥、鬼怒川水系約17億㎥、渡良瀬川水系約19億㎥の計約60億㎥で、群馬県からの渡良瀬川水系への流入量は約7億k㎥である。


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(2)水利用の状況

 水道用水として約2.7億㎥、工業用水として約1.6億㎥、農業用水として約22.6億㎥、計約26.9億㎥の水が利用されており、農業用水の占める割合は全用水の約84%と高い。また、これら用水量全体の約7割が河川水に、3割が地下水に依存している。

(3)排水処理の状況

 水道用水は、家庭用水や都市活動用水として使われ、その排水は、下水道終末処理場や浄化槽等で処理された後、河川に排出されている。
 工業用水は、工場での回収水の利用を中心に水の循環利用が行われているが、排水は、排水元の工場で処理され河川に排出されるものと、下水道終末処理場を経て河川に排出されるものとがある。
 農業用水は、河川や地下水から取水され、その後河川に戻されたり地下に浸透するなどして下流域での再利用が図られており、流域全体で見ると循環利用されている。

(水収支算出方法)

 概念図に使用している数値の差し引き計算で不整合な部分があるが、これは、統計年度の相違、長期的な統計データの平均値の使用等による概算値のためである。

  1. 年間降水量は、県土面積6,408.28ku年平均降水量1,507mmで算定した。

  2. 表面流出量は、県全体の降水量に、県全体の流出係数(0.5384)を乗じて算定した。

  3. 蒸発散量は、降水量から表面流出量を差し引いた量(可能かん養量)に蒸発散比率を乗じて算定した。

  4. 地下浸透量は、降水量から表面流出量、蒸発散量を差し引いた値である。

  5. 水道用水、工業用水、農業用水の水需要量は、平成10年の値(資料:「とちぎ21世紀プラン」)である。

  6. 上水道・簡易水道の水源別年間取水量は、平成11年度の値(資料:「栃木の水道」)である。

  7. 温泉湧出量、工業用水道水量、回収水量は、平成12年の値(資料:「栃木県統計年鑑」)である。

  8. 工業排水量は、「工業統計調査 平成13年版」の産業分類別工場排水量原単位に産業中分類別製造品出荷額、年間日数を乗じて算定した。

  9. 群馬県からの流入量は、渡良瀬川早川田上流量観測所(足利市)の流量(平年値、年総量)とし、群馬県への流出量は、高津戸流量観測所の流量に足尾町の面積割合(高津戸流量観測所との流域面積比)を乗じて算定した。

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