栃木県水環境保全計画

第2章 栃木県の水環境の現況

 

水環境の保全活動

(1)住民団体の活動の状況

 県内で水環境保全に関わる活動を行っている住民団体として、平成14年に実施した市町村へのアンケート調査等により60団体余りが把握された。これら以外にも、地域レベルでの取組を行っている団体は相当数存在するものと考えられ、さらに地域住民などによる河川清掃などの活動も含めると、かなりの住民が何らかの形で水環境保全活動に参加しているものと思われる。
 活動の形態では、ほとんどの団体が、環境保全のための「実践活動」を行っており、また、「普及啓発」や「調査研究」も過半数の団体が取り組んでいる。「他団体の活動支援」は33%であったが、環境保全団体相互の連携を進めることにより、この割合が高まることが期待される。
 活動内容としては、自然観察、水辺での環境学習、美化・清掃活動等、幅広い活動が行われている。
 活動の成果としては、水辺の自然や水質の保全に加え、地域の人々の水環境への意識啓発や地域における諸活動の連携、交流の促進などが挙げられる。
 また、今後の活動に当たっての課題として、「地域の人々の協力」、「中心スタッフの養成」といった、活動に関わる人材に関する課題が多く指摘されている。

(2)河川愛護活動

 各市町村に事務局のある河川愛護会では、多くの地域住民が参加して河川の清掃等の活動を行っている。平成14年度は、約16万人の住民が参加し、約1,540トンのごみ等を回収した。

(3)水に関連した環境学習

 小中学校においては、完全週5日制や「総合的な学習の時間」の実施を背景に、環境学習や自然体験活動のフィールドとして、身近に存在する自然豊かな水辺への注目が集まっている。小中学校や環境保全活動団体等による水辺を活用した環境学習が各地で行われている。

(4)県民の意識

 県民の水環境に関する意識等を把握するため、平成14年に県内に居住する満20歳以上の男女3,000人を対象にアンケート調査を実施した。有効回収数は1,045(回収率34.8%)であった。

 1.県民の水環境に対する満足度

 身の回りの水環境に対して、「不満」及び「やや不満」の回答が過半数を超えた項目は、「ごみなどの少なさ」であった。また、「不満」及び「やや不満」の回答より、「満足」及び「やや満足」の回答が多かったものは、「水道水の安定供給」、「景観・風景のきれいさ」、「水害からの安全性等」であった。

 2.県民の水環境保全活動に対する意識

 家庭においては、洗剤の適量使用や廃油を流さない、節水に気をつけるなどの取組は過半が実施していた。

 地域等における活動については、「河川や湖沼などの美化・清掃活動」に41.6%と、半数近くの県民が何らかの形で参加している。ただし、その他の活動に関しては、参加しているとの回答は10%以下にとどまった。「今後は参加したい」が、各活動とも3〜5割程度あり、こうした活動への参加意向を持っている人も比較的多い。

 3.水環境保全の取組のあり方

 水環境を良くするための行政の取組として力を入れるべきもので多かった回答は、「下水道の整備」、「川を自然に近い状態に整備する」、「水源地域の森林管理」などであった。

 水環境保全に関する取組と住民の負担のあり方については、「負担が増えても行政に取り組んで欲しい」及び「負担は現状のまま、行政中心に取り組む」は67%であった。

(5)事業者の意識

 事業者の水環境に関する意識を把握するため、平成14年に県内の工場・事業場500社を対象にアンケート調査を実施した。有効回収数は161(回収率32.2%)であった。

 1.地域住民や民間団体等への協力

 地域住民や民間団体等で行っている環境保全活動に対して、今後、従業員の協力等の支援が可能であるとの回答が最も多かった。

 2.今後の取組

 水環境保全に関して、今後取り組みたいと考えている活動は、清掃・美化活動が54.8%と最も多かった。

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