
(1) 環境基準
騒音に係る環境基準は、「環境基本法」により、人の健康を保護し、生活環境を保全する観点から維持することが望ましい行政上の目標として、騒音に係る基準、航空機騒音及び新幹線鉄道騒音に係る基準が定められている。
騒音に係る環境基準は、地域の類型及び時間の区分ごとに定められており、「都市計画法」に基づく用途地域の区分に準拠して工業専用地域を除く県内全域について、類型指定を行っている。 なお、10年9月の環境基準の改正により、地域の類型指定のあてはめの見直しと評価方法を「中央値」から、より人の感覚に近い「等価騒音レベル」に改正し、11年4月から適用している。
新幹線鉄道騒音に係る環境基準は、沿線16市町の一部地域について、類型指定のあてはめを行っている。
(2) 環境基準の達成状況
ア 騒音に係る環境基準
騒音に係る環境基準の達成状況を把握するため、県及び市町村で「道路に面しない地域」及び「道路に面する地域」の騒音を測定した。
表2−4−1 環境基準の達成状況
地域 |
類型 |
調査地点数 |
いずれの時間
区分でも達成
した地点数(割合) |
時間区分毎の達成地点数 |
昼間
(6:00〜22:00) |
夜間
(22:00〜6:00) |
道路に
面しな
い地域 |
A |
7 |
7(100.0%) |
7(100.0%) |
7(100.0%) |
B |
10 |
7( 70.0%) |
8( 80.0%) |
7( 70.0%) |
C |
10 |
9( 90.0%) |
10(100.0%) |
9( 90.0%) |
計 |
27 |
23( 85.2%) |
25( 92.6%) |
23( 85.2%) |
道路に
面する
地域 |
A |
5 |
4( 80.0%) |
5(100.0%) |
4( 80.0%) |
B |
28 |
12( 42.9%) |
17( 60.7%) |
14( 50.0%) |
C |
46 |
18( 39.1%) |
24( 52.2%) |
19( 41.3%) |
計 |
79 |
34( 43.0%) |
46( 58.2%) |
37( 46.8%) |
(注)
道路に面する地域の環境基準達成状況の評価については、12年4月から基準値を超える騒音に暴露される住居の戸数やその割合を把握することにより評価する、いわゆる「面的評価」となったことから測定地点での評価は参考値である。
(ア) 道路に面しない地域
県内27地点で測定を実施したが、すべての時間区分で環境基準を達成したのは23地点(85.2%)であり、長期的な達成率は、経年的に向上している。
地域類型別にみると、A類型(住居専用地域)では7地点のうちすべてが達成する等、各類型とも高い達成率となっている。
(イ) 道路に面する地域
県内79地点で測定を実施したが、すべての時間区分で環境基準を達成したのは34地点(達成率43.0%)であり、達成率は、経年的にほぼ横ばいの傾向である。
地域類型別の達成率をみると、A類型(住居専用地域)では高く、C類型(商・工業系地域他)では低い状況である。
イ 新幹線鉄道騒音
沿線市町で軌道中心から25mの14地点で調査したが、その結果は69〜78デシベルの範囲であり、環境基準を達成していたのは2地点(14.3%)であった。
なお、東日本旅客鉄道鰍ノおいて、当面の対策としてピーク騒音レベルを75デシベル以下とする対策(いわゆる「75ホン対策」)を講じているところであるが、測定地点14地点のうち9地点(64.3%)で75デシベルを超過していた。
(3) 自動車騒音の常時監視
騒音規制法第18条に基づく自動車騒音の常時監視を県内の286区間、道路延長280qについて実施したが、環境基準の達成状況は、自動車専用道路で100%、一般国道で77.9%、県道で86.0%、286区間合計で84.2%の達成率であった。(表2−4−2)
表2−4−2 道路種別毎の環境基準達成状況
道路種別 |
自動車専用道 |
一般国道 |
県道 |
計 |
住居戸数 |
83 |
6,714 |
23,284 |
30,081 |
環境基準達成戸数 |
83 |
5,227 |
20,030 |
25,340 |
環境基準達成率 |
100.0% |
77.9% |
86.0% |
84.2% |
(1) 環境上の振動の限度等
ア 道路交通振動の限度
道路交通振動の限度は、「振動規制法」に基づき、区域及び時間の区分ごとに定められており、これを超えた場合で道路の周辺の生活環境が著しく損なわれるときは、道路管理者に対し、道路交通振動の防止のための舗装等の措置をとるべきこと、または県公安委員会に対し、道路交通法の規定に基づく交通規制等の措置をとるべきことを要請することになっている。
イ 新幹線鉄道対策に係る指針
新幹線鉄道の列車走行時に発生する振動については「環境保全上緊急を要する新幹線鉄道振動対策について(勧告)」に基づき、振動レベルが70デシベルを超える地域については、防止対策を講ずることになっている。
(2) 振動の現況
ア 道路交通振動
道路交通振動の実態を把握するため、県内19地点において国道・県道等の振動を測定したが、振動規制法に基づく道路交通振動の要請限度を超える地点はなかった。
イ 新幹線鉄道振動
沿線市町で軌道中心から25mの6地点で調査したが、その結果は51〜61デシベルの範囲であり、指針値70デシベルを超える地点はみられなかった。
悪臭は、人の感覚や生活環境に左右されるいわゆる感覚公害である。
都市地域の拡大による住居と悪臭発生源の接近と、生活環境の質的向上に対する欲求の高まりにより、これまで容認されてきたにおいが悪臭と感じられるようになってきている。
14年度における悪臭苦情件数は217件で、公害苦情件数の12.8%、公害の種類別苦情順位では、大気汚染についで第2位である。
(1) 工場等に対する規制と指導
ア 「騒音規制法」に基づく規制
「騒音規制法」では、特定施設を設置する工場・事業場(以下この節において「特定工場等」という。)及び特定建設作業から発生する騒音について、地域を指定して規制を行っている。
地域の指定は、知事が行うことになっており、「都市計画法」に基づく用途地域の区分に準拠して、43市町で指定を行っている。なお、中核市である宇都宮市においては、宇都宮市長が指定を行っている。
イ 「栃木県公害防止条例」による規制
「栃木県公害防止条例」では、「騒音規制法」で規制される地域以外について、特定工場等及び特定建設作業から発生する騒音について、規制を行っている。これにより、県内全域が規制の対象となっている。
ウ 工場等に対する指導等
特定工場等に対する規制の事務は、市町村長の自治事務として、実態に即したきめ細かな指導が行われ、騒音公害の未然防止を図っている。
中小企業者等には、騒音防止施設の設置・改善のために融資制度による支援を行っている。
(2) 交通騒音対策
道路交通騒音が深刻な地域について総合的な施策を講ずべく、9年3月に「栃木県沿道環境整備協議会」(会長:国土交通省関東地方整備局宇都宮国道事務所長)が設立され、関係機関により、低騒音舗装などによる「道路構造対策」、道路網の整備などによる「交通流対策」、緑地帯の整備などによる「沿道対策」などの対策を講じてきた。
高速自動車道については、関係都県と連携し、道路公団に対して騒音の低減対策等を要請している。
(3) 新幹線鉄道騒音対策
東日本旅客鉄道鰍ノおいては、当面の対策としているピーク騒音レベルを75デシベル以下とするいわゆる「75ホン対策」として、低騒音の新型車両の導入や防音壁の設置等による発生源対策を推進している。
10年度からは、「第三次75ホン対策」として、住宅立地地域(住宅が点在する地域を除く。)のうち75デシベルを超える地域について、対策を講じてきた。
県においては、環境基準達成に向け、沿線の16市町で構成する「栃木県新幹線公害対策連絡会議」で東日本旅客鉄道鰍ノ対し、騒音の低減対策を要請している。
(4) 航空機騒音対策
宇都宮市と共同で陸上自衛隊宇都宮分校周辺の11地点で航空機騒音の状況を把握するための調査を実施したが、その結果は、62.1〜72.6
WECPNLの範囲であった。
(5) 音風景の保全
無駄な音、迷惑がられる音である騒音を低減し、好ましい音環境を実現しようとする取組の一つとして、環境省において「残したい“日本の音風景100選”」を選定している。
県内においては、栃木市の「太平山あじさい坂の雨蛙」が認定されている。
(1) 工場等に対する規制と指導
ア 「振動規制法」に基づく規制
「振動規制法」では、特定工場等及び特定建設作業から発生する振動について、地域を指定して規制を行っている。地域の指定は知事が行うことになっており、「都市計画法」に基づく用途地域の区分に準拠して43市町で指定を行っている。なお、中核市である宇都宮市においては、宇都宮市長が指定を行っている。
イ 「栃木県公害防止条例」による規制
「栃木県公害防止条例」では、「振動規制法」で規制される地域以外について、振動の規制基準を設定している。これにより、県内全域が規制の対象となっている。
ウ 工場等に対する指導等
特定工場等に対する規制の事務は、市町村長の自治事務として、実態に即したきめ細かな指導が行われ、振動公害の未然防止を図っている。
中小企業者等には、振動防止施設の設置・改善のために融資制度による支援を行っている。
(1) 工場等に対する規制と指導
ア 「悪臭防止法」に基づく規制
「悪臭防止法」によりアンモニア、アセトアルデヒドなど22の物質を特定悪臭物質として、工場・事業場における事業活動に伴い発生するにおいに対し、地域を指定して規制を行っている。
地域の指定は、知事が行うことになっており、「都市計画法」に基づく用途地域及び一部の学校、病院、老人ホーム等の周辺について、47市町村で指定を行っている。
なお、中核市である宇都宮市においては、宇都宮市長が指定を行っている。
イ 「栃木県公害防止条例」に基づく規制
「栃木県公害防止条例」では、特に悪臭が発生する養豚・養鶏施設等8施設を特定施設とし、設置等について届出を義務づけるとともに施設の種類ごとに規制基準(管理上の基準)を定めている。
ウ 官能試験法(三点比較式臭袋法)による指導
悪臭防止法では、従来、単一物質を機器を用いて分析・測定する方法により悪臭が規制されていたが、低濃度多成分による複合臭気には対応できない問題点があった。そこで、法の一部改正により、従来の機器を用いた分析・測定方法に加え、ヒトの嗅覚を用いた測定法も採用できることとなった。嗅覚測定法の積極的な導入を図るため、市町村に対し測定法について普及啓発を行っている。
エ 工場等に対する指導等
悪臭に係る規制事務等は、市町村長の自治事務とされており、立入検査等による実態に即したきめ細かな指導が行われ、悪臭公害の未然防止を図っている。
中小企業者等には、悪臭防止施設の設置・改善のために融資制度による支援を行っている。
(2) かおり風景の保全
良好なかおりとその源となる自然や文化を保全・創出しようとする地域の取組の支援の一環として、環境省において「かおり風景100選」を選定している。
県内においては、今市市の「今市竜蔵寺の藤と線香」、日光市の「日光霧降高原のニッコウキスゲ」及び那須町の「那須八幡のツツジ」が認定されている。
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